SCSIDNIKUFESIN

2 May, 2014

▼長らくタメてしまいましたが最近の収穫、バナナ・ジャズシンでTOM SCOTT「SMOKIN' SECTION」(99年)、楽YA植田本店にてCRISIS「DEATHSHEAD EXTERMINATION」(女性Vo.低速極悪デスラッシュ)、GROVER WASHINGTON, JR.「WINELIGHT」、サウンドベイのバーゲンでDEREK BAILEY「MIRAKLE」(トリオバンドスタイルの2000年作)、JIMMY BARNES「TWO FIRES」、KANSAS「VINYL CONFESSIONS」、DARE「OUT OF THE SILENCE」(ex.THIN LIZZYのダーレン・ワートン、pre-TENのヴィニー・バーンズ在籍)、RANDY NEWMAN「LAND OF DREAMS」、CIRCLE「INCARNATION」(EKTRO!)、ブックオフ熱田にてLEGER DE MAIN「SECOND FIRST IMPRESSION」(USカルトプログレメタル2nd)、COREY HART「YOUNG MAN RUNNING」(88年)、AL DI MEOLA「TIRAMI SU」(87年)。買いすぎててまだ続きます。まずい。増税前のドサクサの中アマゾンマーケットプレイスにてFREAK KITCHEN「DEAD SOUL MEN」「FREAK KITCHEN」、JANIS IAN「NIGHT RAINS / RESTLESS EYES / UNCLE WONDERFUL」、EVIE SANDS「SUSPENDED ANIMATION」、ブックオフ川原通にてRED HOT CHILI PEPPERS「ONE HOT MINUTE」、バナナのレコードストアデイイベント最終日にRICKY PETERSON「NIGHT WATCH」、MICHAEL FRANKS「SLEEPING GYPSY」、今池WILD HONEYにてPAT KELLEY「I'LL STAND UP」。

▼ひさびさにライブに出掛けたりもしました。カーリーズ+トゥラリカ混成バンド・トキノミノルは活動開始以来ようやく見れて、まずは攻めまくる楽曲に翻弄されどおし。初めて(またはかなり久しぶりになど)見るバンドのライブで、「新しい曲」と呼ぶに相応しいズッシリ大きい曲を一度に大量に浴びてファ~ッとなって、終演後早々にいまの出来事を思い出したくなる感覚ってなかなか得られないですが、久々にありがとうという感じでした。今後の変遷も読めなくて超気になります。見るたびにどこか違っていそうで楽しみ。

同日にハシゴしてsositeのレコ発名古屋編も目撃。ドラムもギターも生音圏内で、あの「1+1=ものすごい1」な生物的アンサンブルを直に体感できてしまう贅沢タイムでした。そんな距離感の中で聴いて、「明瞭な主題にいつもどこかで接触しながらの、感性先行の自由さ」がクラシックの変奏曲的でもあるなと認識。その場で何かがコロッと生まれて立ち上がって走りだすのを見るような、その場の時間から削り出していくような、文字通りの意味の「『アーティスト』の『ライブ』」をやってくれる希少なお二人です。

▼外食も随時開拓してます。吹上の喫茶 日本橋は巨大パンモーニングが壮絶で(食パンなら1斤の3枚切りクラス)、大きめデザートと本格食材のパニーニがイケている裏千種の超穴場MAGGIOREではイタリア歌謡に紛れてPFMが流れて戦慄が走り、常連おばあちゃんの多さが信用度を物語る中日ビル地下の浪越軒はモーニングも甘味も良い。作れば作るほど赤字必至な中川区の最強ホットドッグ屋くれえぷリンにはすぐにでも再訪したい。以前高畑にあったHIGH FARM BURGERはご近所の千早に移転してきて健在。九州以外では北海道と名古屋に1店ずつしかない肉肉うどん 御器所店は3日間で2回行きました。日替わり一品最強。鶴舞駅に出現したデフレチェーン風ルックスのおらが蕎麦はけっこう盛りが凄くて満足度高め。今池ユニー跡地で大戸屋の向かいにあるキッチン・ブーレのハンバーグは立地と外観に似つかわしくない丁寧な手作り感とハイコストパフォーマンス。東山にあった「できたてのロールケーキ ROLL」はPAROLEとして生まれ変わり、最強だったモーニングはやってないがティータイムのセットがめちゃくちゃお得。ロールケーキ相変わらずおいしい。名前的にMOTORHEADファンにもお勧め。平針のプティアンジュは生クリーム系のを頼むとかなり凄い。栄生のシャンティーヒラノは店内でケーキを食べるとちょっとだけソフトクリームがついてきてお得。ありがとうございました。

本日のレビュー:FREAK KITCHEN「DEAD SOUL MEN」

増税前のドサクサで入手した、かねてからCDが欲しかったバンドのこちらは3rd。変態バカテク路線ではバケットヘッドを凌がんとする狂人ギタリスト(&ヴォーカル)、マティアス・エクルンドが率いるスウェーデンのトリオです。

デビュー当初から、ダウンチューニングをおざなりに使わない屈折ヘヴィリフと、若干の尻軽感も漂う若々しげなファンクネスを柱に、さんざん変則的ながらも歌で曲を通す難儀でキャッチーな音楽性を標榜していた彼らですが、2000年のこのアルバムは歌心が割増になって本国を中心に成功を収めた、ひとつの達成点的作品であるようです。きょうびのジェントに通じなくもない(MESHUGGAHと同郷ですし)「大局観のもとの変則リズム」を器用に使いながら、そこに奇跡的にはりつく豊かなコード展開が歌と曲に生命感を与えて、いくらアグレッシヴな切り口であっても決して「実験してみました」が先に立つことはないという見事な仕事。

フラッシーなリードギターの卓越性も凄まじく、ノイズ感を味方につけるダイムバック・ダレルばりの攻撃姿勢、ポスト・スティーヴ・ヴァイなハミ出しすぎるヘンさと、不敵なオールジャンル適応能力を駆使して、終始休まずスキを見極めては散らかしまくる。テクニックとアイディア/センスとの総合力はヌーノ・ベッテンコートにも引けをとらない人ですが、飛び道具方向に精を出しすぎて孤高のまま突っ走っている感もあり。悪いことではない。

作品やバンド総体としては、先述のとおり決して「テクを持て余した達人の試行陳列会」で片付けられることのないものになってるので、もっと普通に聴かれるといいと思います。ATOMIC OPERA、MASQUERADEの「SURFACE OF PAIN」、HAREM SCAREMの「VOICE OF REASON」…といったグランジ感化型の冒険的境界線ハードロックの更に先を拓くバンドはないものか、と思っている人がいたら絶対におすすめ。

最近のたまった買い物の中でもおすすめなので3曲貼っちゃいました。

17 Mar, 2014

▼最近の収穫、いろんなブックオフでENSLAVED「RIITIIR」、ONCE BLUE「ONCE BLUE」、大須グレイテストヒッツでPHIL COLLINS「BOTH SIDES」(外盤買い替え、狙っていた100円台にて)、栄ミュージックファーストにてPSY・S「DIFFERENT VIEW」、EVERON「PARADOXES」(懐かしのゼロコーポレーションアイテム、外盤でひさびさの買い直し)、DRIVE, SHE SAID「DRIVIN' WHEEL」(MUSIC FOR NATIONSメロハーユニット91年作)。

以下、外出中にその場でSNSの類に投稿しようと思ったまま家に持ち帰ってしまった数件です。

▼わかりづらいアングルで撮ってしまったことに後悔しかないですが、防犯意識の高低がまったく不明な自転車。
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▼楽器屋のギター試奏で、フレーズ頭に毎回チョップを入れてくるオッサンは大概ドヘタ。

▼バンドでのMC芸のみならず、海外なまりのある日本語が元々異常に気になる身としては、最近ブックオフの店内放送番組でよく流れるアンジェラ・アキの有名曲のキラーフレーズ「(打ち明けられる)だぅろぅウォ」が凄すぎて、その後数10秒物色が手に付かない日もある。

※念のため調べてみたら、ハーフなだけで別に子供の頃から英語を話せたわけではないとの事。

▼店のレジで、品物の入った袋をかならず自分が受け取りたがるムスメ(2歳半)に、ディスクヘブンでもいつもと同じく袋を渡してみたら、例の絵柄(=写真)を見て「なんかかわいいのついてるー」と意外すぎる感想を漏らすので、無愛想でもないがまあ一見こわそうな長髪の男性店員からも思わぬ「wwかわいいかwwwドゥフwww」をいただいてしまい場が和んだ。
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本日のレビュー:ENSLAVED「RIITIIR」

ノルウェーヴァイキングブラックの草分け、ENSLAVEDの2012年リリース最新作。宇宙過ぎて恐い。年々プログレッシヴ度が増してくる作風にOPETHとの共通性を挙げる声もあるようですが、あちらは比較的素直な泣きが核にあるところにプログレ風な装飾を施したり、出自(メロデス)を匂わすアレンジを加えたりする要領であるっぽいのに対し(実はあんまり詳しくないなりの個人的な印象)、この人達はメジャーキーっぽくもある響きを崩した不気味な調性感覚を自在に使いこなして、メタル的音像のマッチョイズムとの合わせ技で恐るべき威圧感・存在感を演出。どうしてこれができたのか皆目検討もつかないが明らかに人の手によるものだしへースゴイなあ…という古代遺跡を見る感覚にも近い。クリーンヴォイスの入りどころも、スクリーモ以降の業務的な使われ方とは一線を画す。

そのうえで、まともなドレミファソも全然器用に操って、長尺なドラマを見事に描ききり、また長年描き続けるこの芸術家としての体力にはひたすら恐れ入ります。しかもけっこう多作だし、初期からの一貫性もあるという。もうメタル界の宝レベル、と思ったら母国ノルウェーじゃ国から表彰されてるらしく、驚きつつ納得。

10 Mar, 2014

▼最近の収穫、いろんなブックオフでJOHN FARNHAM「AGE OF REASON」、LOVE/HATE「LET'S RUMBLE」、NELSON「AFTER THE RAIN」、MAN WILL SURRENDER「MAN WILL SURRENDER」、アマゾンマーケットプレイスでBUZZ FEITEN & THE WHIRLIES「WHIRLIES」、今池P-CANでNEIL LARSEN「HIGH GEAR」(本国未CD化の79年作、国内盤525円で)、サウンドベイ金山でDAVE GRUSIN「OUT OF THE SHADOWS」、BOZ SCAGGS「SILK DEGREES」。

▼ツイッターでBABYMETALのアルバム発売の件を見かけて、今どんな感じなのだろうとYoutubeを探りながら、昼時の上前津サウンドベイに入ったらガッツリ店内で流れてたのでよーく聴きました。Yahoo知恵袋的なところでも「彼女達成功してるみたいですが、メタルファンの人はどう思うのですか?」みたいな質問を見かけましたが、ここをご覧のメタラー諸兄はどうなんでしょう。「メタル+アイドル」をどう受け止めるかは、アイドル的な表現を好む(または許容する)かどうかの問題として、メタル要素のみを見た場合の本格性云々については、まがい物と一蹴させないだけの作り込みをしてると思いました。リリース元が他ならぬ、ミスチル景気を底支えにしてアングラエクストリームメタルを日本に紹介し続けたトイズファクトリーであるというのが、個人的に大変いい話です。遂にメタル(的なもの)でお茶の間到達、おめでとうございます。

本日のレビュー:JOHN FARNHAM「AGE OF REASON」

AOR続きですみませんが、手短に。店頭で自主試聴(手元のiPhone+Youtubeで)して良かったから買ったクチのやつです。LITTLE RIVER BANDに在籍したこともあるオーストラリアのシンガーの88年作。ルー・グラム系のホット&ソウルフルな絶唱がお見事で、中低域はスティーヴィー・ワンダーばりの太さと粘りがあり、ワープするような節回しでもピッチが完璧(直した風でないことは分かります、88年だし)。それを耳で追うだけでもかなりの聴き応え。バック演奏はギターとシンセが半々の比重になった軽めのものながら、リードギターがやたらトリッキーで巧い。調べてみるとこのブレット・ガースドという人、ファーナム氏の客演を弾みに業界へ躍り出て、オーディションでアメリカに渡りNELSONに参加してるやり手でした。ヒュルヒュルしたトーンとレガートな速弾きが冴えてます。

メロハーファンが好むクサ要素、過剰前向き要素はやや控えめな中、数曲でドン・ヘンリーの「END OF INNOCENCE」(AOR界に潜むメロハー代替作品の大名盤)クラスの好球を放ってきます。ラストに同郷のAC/DCの"It's A Long Way To The Top"のカバーが入っており、特にオサレアレンジを加えることもなく素直にロックンロールを楽しんでいるところがまた好感。

歌のうまさが衝撃的なバラード。全音域パーフェクト!

しっとり系の曲が多い中、一番高揚してるのがこれ。

28 Feb, 2014

▼最近の収穫、黒川ブックオフでPSY・S「MINT-ELECTRIC」「COLLECTION」ともに500円でようやく。と、楽YA植田本店でTESTAMENT「DEMONIC」「THE GATHERING」、BRANDON FIELDS「OTHER PLACES」、STEVE HACKETT「DEFECTOR」(80年作)、3「TO THE POWER OF THREE」(エマーソン&パーマー在籍のプログレハードAORトリオ、88年の唯一作)、V.A.「EARPLUGGED」(往年のEARACHEコンピ、曲目違いの輸入盤)、バナナ四谷でBAD COMPANY「HOLY WATER」(90年)。ちなみに昨年9月にオープンした楽YA大須店の中古CDフロアは、行くたびにレイアウトが変わったり半額セールやってたりと落ち着かないなと思ってたら、早くも「エフェクター買い取り専門店」に変身したようです。サス・ジョーダンやHURRICANEを捨て値で拾わせてくれた恩は忘れませんありがとう。

▼前々回の更新で「再三の丁重な催促の末ようやくアメリカのオンラインショップから商品の出荷をもぎ取った」くだりの詳細を後日報告すると書きましたが、過ぎ去ってみればオオゴトでもなくなったので簡単に書きます。

とあるエフェクターを、過去に何度か利用したことのあるMusictoyzでオーダーしたところ、出荷予定が一向に知らされない。数日おきに5回ほど、問い合わせデスク / 出荷担当のEメール / オーナーのEメール宛てに丁寧な文面(英語)で問い合わせをしたが、「メーカー欠品中でバックオーダー中」という返事をもらうまでに2週間かかった。他店がちらほらストックありの状態になってきた頃に再度問い合わせたら「おっとごめん、ようやく入ったから送る準備はできるけど、カード払いキャンセルしなかった?」との超心外な連絡が来たので、カード明細のキャプチャと通帳の写真を添付して返信したらすぐに発送されて10日後に着いた(USPS International Priority)。という話でした。最後のなんじゃそりゃが凄かった。

返信がない間に不安になって調べてみたら、同じ店で買い物をした人がリップオフ的な目に遭いかけただの、梱包が無事で中身が壊れたアンプが送られてきただの、ずさんなエピソードがガサガサ出てきて結構おっかなかったので、一応情報共有までに。ここに限らず個人が小規模で安くやってるところは「在庫があれば円滑だが、そうでないとトラブルが起きやすい」ことがやはり珍しくないようです。サイトに独自コンテンツがちゃんとあるとか、内容のあるメルマガをマメに出してるか、Facebookの更新は活発か、サイトの作りが貧弱なのに商品数ばっかり多くないかなど、まともな管理体制のあるなしを確認してから(Musictoyzはそのへんクリアしてるんで微妙ですが…)海外通販は利用すべしと心に誓ったのでした。屋号で検索して1ページ目に「www.ripoffreport.off」とかいう物騒なタレコミサイトのスレッドが出てくるような店はもう論外(かつて利用してバックレられたTシャツ屋など)。アマゾンで一世を風靡したカイマンはどこに行ったのだろう。Flying Luttenbachersの1stを10年くらい待ってるのだけど。

▼続いて、読み飛ばし奨励、需要の低いHTML+jQueryの話題です。長年このサイトを続けてきて、人知れず抱いていた悩みがありまして、それは「『半角アルファベット+全角記号+半角アルファベット』がひとつづきになってしまって折り返されないこと」でした。具体的には、買い物報告でたとえば「…『BADMOTORFINGER』、TRETTIOARIGA KRIGET…」みたいに書くとすると、この「』、」の部分では改行してくれないんですよ。全角記号は前後の英単語と結びついて大きな1単語扱いになり、行からあふれればボッコリと広大なスペースを残して折り返すのです。何でなんでしょう!不親切ですね!

CSSで word-break:break-all; を指定すると単語の途中で折り返してしまうし、スペースを入れたら当然空白あいてしまうしで、何とかならんかと調べていたところ、ありました。正に望み通り「ここで折り返してもいい」を意味する神タグ<wbr>が。しかしこれを全ての過去ログの該当箇所に追加していくわけにもいかないので、jQuery+正規表現で挿入してやりました。

$(function(){
   $("※対象要素").each(function(){
       var txt = $(this).html();
       txt = txt.replace(/([a-zA-Z0-9])「([a-zA-Z0-9])/g,'$1<wbr>「$2');
       txt = txt.replace(/、([a-zA-Z0-9])/g,'、<wbr>$1');
       $(this).html(txt);
   });
});

何人いるか知りませんが同じ悩みの人、お役立てください!

本日のレビュー:MICHAEL BOLTON「THE HUNGER」

「ただのどメジャーシンガーの安値盤と思いきやメロハーの良作でしたシリーズ」の定番といえば、ブライアン・アダムスがDEF LEPPARDと長年二人三脚を組んできたマット・ランジの手により擬似ジョー・エリオットと化した「WAKING UP THE NEIGHBOURS」、ただただ良質な国産AORでしかない小田和正の「Oh! Yeah!」などがありますが、これはその列にぜひ加えたい1枚です。痰切り飴いります?と思わず勧めたくなる絡み系の絶唱がトレードマークのマイケル・ボルトンの、87年リリース5th。

この頃のこの手の作品はパーソネルのチェックが楽しみだったりしますが、どこででも見かけるポーカロ、ルカサー、ランドー、ガッド、etc.の名前は一切なし。代わりに、JOURNEYの鍵盤奏者ジョナサン・ケインが全体の半数くらいの曲でプロデュースを務めているのをはじめ、同じくJOURNEYのニール・ショーン(G.)、当時KISSにいたブルース・キューリック(G.)、バッキングボーカルにはまだMR. BIGがない頃のエリック・マーティン、RAINBOWが解体して浪人中のジョー・リン・ターナーなどなど、メタラーにちょっと嬉しい名前が大量に。

曲のほうも、多少バラード寄りではあるものの、スティーヴ・ペリーが歌ったらそのまま「RAISED ON RADIO」に入りそうな高品位赤面系メロハーが大半を占めてます。もう一人のメインプロデューサーであるキース・ダイヤモンド氏、誰々との仕事で超有名という手の人ではないようですが、関わった曲はシャバシャバ期のFOREIGNERを彷彿とさせる雰囲気があって非常にナイス。自身もマルチプレイヤーであるようで、関連作品が大いに気になるところです。

最後になりましたが肝心のマイケル先生のヴォーカルは、90年代に入ったあとの作品だと熟年シブ系の静かなバックとの対比でちょっとうるさいくらいですが、ここではあくまで生バンドが相手だからか、収まりは良く、80年代の熱病の中で然るべき役を務めている感じがイイです。もっと独壇場みたいなクド~いパフォーマンスを求めるファンは違う時期の作品の方が良いのかも?とりあえずメタラー/AOR愛好家はトータルでとても楽しめるアルバムです。

14 Feb, 2014

▼最近の収穫、どこかのブックオフでNIGHT RANGER「MAN IN MOTION」、サウンドベイ金山のバーゲン棚でAIRPLAY「AIRPLAY」、DON CICCONE「LOVER'S PRAYER」。

▼【しつこくPR】明日15日土曜はioueeeでライブやります。新ストラップをつけた新ギターに新ペダルをつないで新自作パーカッションとともに登場して(以上、見る人には何の意味もない情報)弾き語りします。もっと肝心な詳細こちら。何卒よろしくどうぞ。

▼ここのところ取り組んでいた問題がいくつかありますが、今回は「前面ガラスがバキバキに割れたiPad2を自力修理した件」について。

多分これをやると、以後Appleの有償サポートすら受けられなくなるはずですのでご注意ください。オフィシャルの修理に出せば20,000円以上、使う気がしないまま置いておいてはゴミになる、格安修理業者も12,800円くらいからだしApple公式じゃない時点でサポート対象外になるのは同じこと、パーツを買って自分でやれば2,500円で済むらしいよ。という複雑なトレードオフに悩んだ結果、「放置しておく」と「失敗して使用不可になる」はだいたい同じだし、「とりあえず使える状態に戻るかもしれない」を学生の飲み代程度で選択できるなら悪くないとの判断で、決行に踏み切った次第です。

作業の概要

詳しい事は、ウェブを検索すれば大量に出てきますし、Youtubeに親切な実録レクチャー動画もあるのでそちらを参照してください。やることは「超強力両面テープで貼りつけられた前面ガラスを、ドライヤー等の熱で緩めながらはがす。その下にネジ留めされている液晶もいったん外し、本体と前面ガラスの接続端子を抜く。あとは交換部品を使って逆の手順をおこなう」だけです。

サムネイルをクリックするとキャプションつきで拡大します。

まだ簡単か大変そうか分かりませんね。まあ動画(勿論拾いもの)で確認してください。

やってみた実感としては、「予習しておいたから良かったけど緊張した、慎重であれば誰でもできる」です。もう一度やれと言われたら1回目より上手くできる気がするので、反省点や意外と大丈夫だった点をここに共有します。これから挑戦する人はご参考に。

必要な準備

大仰な自力修理キットみたいなのも売ってるようですが、家にありそうなもので代替することがじゅうぶん可能です。ないと無理なものは次のとおり。

  • かなり薄い金属製のへら、またはマイナスドライバー
    これは必須中の必須、なければ熱々カレーうどんを素手で食べるようなもの。「かなり薄い」がポイントで、0.2mmとかそれくらいでしょうか?例えば鉄板焼き用のへらは厚すぎます。
  • ドライヤー、またはそれに類する熱源
    内側に仕込まれた両面テープはかなり強力で、じっくり温めながらやらないと、後述の「割りながら進む」の作業となり大幅に手間が増えます。ホットガン(グルーガン)を使うと書いてあることもありますが、ドライヤーで不足はないです。
  • 小さめのプラスドライバー
    大詰めの局面で一瞬だけ登場します。最も注意を要する、液晶がむき出しになった状態での作業に使うので、適当にサイズの合わないものでやろうとしてガッ!あっ!とならないようにしてください。ちなみにどれくらい小さいかというと、メガネのつるの付け根にあるネジくらいです。

あると助かるもの

  • ピック的なもの
    ギターやベースの演奏に使ういつものあれです。両面テープをはがした箇所が再びくっつくのを防ぐために使うとあります。多くのレクチャーページや動画で必須グッズとして紹介されていますが、割れ状況によってはなくても何とかなりますし、1mm以内の薄くて小さいものなら、棒状でも何でも可です。
  • ブロアー(ホコリ飛ばし)
    カメラのレンズやパソコンのキーボードの掃除用グッズとして100均に売っている、ゴム球に管がついたようなやつです。これがあると頼もしい。ガラスをすべてはがし終えたときに、本体内にある細かな破片を取り除いたり、液晶とガラスの間にホコリが入らないようにするのに大変有効です。ちなみに用が済んだ後も、スマートフォンの保護フィルムを貼るときなどに活躍してくれます。
  • テレホンカード的な磁気カード
    他の例えもありましょうが敢えて昭和の言葉で。必須の項で挙げたへらが無い場合、力技で最初の糸口さえ作ったらあとはこれでも代用できる気がします。

作業にあたって特に気をつけたほうがいいこと

  • 破片が飛んでも処理できる場所でやる
    割れが細かい箇所をゴリゴリとやったり、作業中に新たな割れができてしまったときに、相当こまかい破片がパッと飛びます。厚みもさほどないし刺さったりするようなものじゃありませんが、こすれたら血が出るくらいのキズにはなります。毛深いラグに入ってしまったりしないように注意して、完了後はしっかり掃除機をかけてください。ドライヤーがあるからといって洗面所で脱衣所で作業するのも危険です(裸足になる場所なので)。更にときどき小麦粉くらい細かいのが舞うこともあり、吸い込まないようにマスクをするとより安心かもしれません。
  • 内部に部品がある箇所を全力で警戒する
    基本的にガラスと本体は、のりしろ的な平面で接着されていますが、そこに重要な部品が乗り上げているポイントが数か所あり、そこを破損すると「失敗」です。特にWi-Fiアンテナと称するものはぺらぺらのシート状で、のりしろもろとも両面テープでベタッといかれてるので、破らないようにそーっとやらねばなりません。ちなみにその位置は、お手持ちの機体の世代のものを事前に調べてください。
  • なるべく新しい割れを作らないようにやる
    慎重に温めながらはがしていくのが正攻法だとして、とりあえずドライバーで持ち上げてピシッとひびを入れて、破片をゴリゴリ取り除いていく攻め方もあります。その場合は、破片あたりの接着面積が少ないので温めがあまり要らなくなるのですが、ゴミは飛ぶし、力が要るし、グッとやったところからどんどん割れていって「はがしながら進む」に戻れなくなり、相当ゲンナリします。急がば回れとはこのこと、と思いながら、地道に温めてはがしてください。

ということでした。冒頭にも書いたとおり2,500円でホームボタンつきの代替ガラスを使いましたが、若干感触が違うかな?という気がしなくもない程度で、動作はまったく良好です。何かあった際には選択肢のひとつとしてどうぞ。

本日のレビュー:AIRPLAY「AIRPLAY」

「80年代AORの名盤」の代名詞的なこの1枚、今まで持ってなくて本当にすいませんでした。調べるとどうも本国盤のCDは存在してないらしく、日本盤を500円で見かけたので、これならやむなしとして購入。華々しいMTV時代にありとあらゆる大物小物と仕事をし、ハリウッドでも重宝されたデイヴィッド・フォスターと、STEELY DANの「AJA」での客演で一躍注目をかっさらってからはセッションワークやプロデュース業で働きまくったジェイ・グレイドン、このビッグすぎる二人が中心となったバンドの唯一のアルバムです。リリースは80年。

この時代のいわゆるAORといっても、ホーンや鍵盤がたくさん入ったメロウなフュージョンポップのようなものから、それこそメタル雑誌に載るようなハードエッジなものまでそう呼ばれるわけですが、このAIRPLAYはといえばかなり後者寄りの感触。1曲目イントロから、NIGHT RANGER化したBOSTONてな様相で、よく歪んだギターによる鉄球のようなオーケストレーションが迫る。と同時に、迂回しかしないコード進行の循環でゴリ押しする冒頭パートに、新時代到来のセンセーション(当時)を生々しく想像してしまいました。これまで散々AORや前向きメロハーの類に接してきて、「これは聴いたことないな」と思ったのは猛烈に久し振り。

ボーカルは甲高く、時に(特にハードロック寄りの)AORにとって邪魔な要素となる「オヤジくささ」がほとんど皆無な素材。TOTOやBOSTONを思い起こすな―という感じで、AIRPLAY以降は短命プロジェクトを渡り歩いたりバンドを結成したりソロでリリースしたりと、あまり目立った活動はしていない様子。その他バックバンドはTOTOのメンバーをごそっと4人借りてきたのと、プラス数名+ホーン/コーラス隊。演奏自体の印象は、高度に統率されたアレンジワークの再生がメインの柱であり、ジャズ畑の人が集まると生まれる「隙間を取り囲んでの職人技のせめぎ合い」的な緊張感は薄め。

ゴアグラ界におけるCARCASSの如く「その後永きに渡って倒されることのない、ひとつの圧倒的な出発点を築き上げてしまった」的パターンというよりも、その時代に各地でじわじわと同時発生してきていた流れを最高のクオリティ+αでとりまとめた、という感もありつつ、このインパクトが間違いなく、数多くの産業ロック/メロハー職人達の尻を蹴り上げたことでしょう。何にせよJOURNEYやらNIGHT RANGERやらが好きな人はぜひ聴いてみていただきたいです。そして本国盤のオフィシャル再発を切望。

25 Jan, 2014

最近の収穫、いろんなブックオフでZZ TOP「ANTENNA」、BLIND GUARDIAN「BATTALIONS OF FEAR」、DOWNSET「DOWNSET」、AL JARREAU「THIS TIME」、CHANNEL ZERO「UNSAFE」「STIGMATIZED」(当時のPANTERA系マイナーバンド)、JANIS IAN「PRESENT COMPANY」、ERIK VOEKS「SANDBOX」、サウンドベイ金山でSLIK TOXIK「DOIN' THE NASTY」(ポストガンズ世代マイナーヘアメタル)、HERB ALPERT「SECOND WIND」(ジェフ・ローバー全面プロデュース96年作)、MICHAEL McDONALD「TAKE IT TO HEART」(ex.DOOBIE BROTHERS、90年作)、バナナ名駅店でKARLA BONOFF「KARLA BONOFF」、JUGGERNAUT「BLACK PAGODA」(マイナーローカルグランジ)、栄ミュージックファーストでYOUNGBLOODS「YOUNGBLOODS」(ジェシ・コリン・ヤング!EDSELリイシューの1st)、大須K-HOUSEでJACKLYN「MARBLE ROSE」(LONG ISLANDフィメールVo.化石系メロハー)。カーラ・ボノフ以外すべて250~500円でした。

▼割れたiPad2のフロントガラスの自家修理に乗り出していたり(途中)、バンドで使うわけでもない高級ギターを突然買ったり(売ったCD4箱分と引き換え)、再三の丁重な催促の末ようやくアメリカのオンラインショップから商品の出荷をもぎ取ったり(すべて完了後に顛末を報告します)、飲み会レベルの私的なニュースはぼちぼちありつつ、目下のお知らせすべき事柄はこれ。シラオカ小池さんソロと覚王山LARDERで2マンです。投げ銭なのでどうぞお気軽に!2月15日(土)です。自分だったら絶対行くなーこれ。カポタストはSHUBBと迷ってPLANET WAVESのNS Capoにしましたよ。

本日のレビュー:ERIK VOEKS「SANDBOX」

最近はブックオフでの物色時、とりあえずちょっと古そうなやつは引っ張りだして確かめてみるんですが、微妙なジャケ、裏は何かいかにも冴えなげな90年前後スタイルのシャツを着たおじさん一人、流通がDUTCH EAST INDIA TRADING(HOMESTEADのCDなんかでよく見る)、んー?と思ってその場でYoutubeで試聴したらめっぽう良い内容で購入したこちらの品。もうちょっと調べてみたら、ギターポップ/パワーポップの隠れ名盤扱いだそうで。93年にリリースされている唯一のアルバムです。

ちょっと線が細めでソフトな声質がまず良くて、アメリカンフォーク的なギターのスキルをたぶん持て余していて(そのへんが少々MEAT PUPPETS風)、60~70年代オールドポップの良きエッセンスを今様(94年当時)な温度感に落としこむ手腕が冴えまくっている、素晴らしき職人という印象です。全編アコギの響きを多めに入れていて、パワーポップといってもちょっとハツラツ感が目立つ程度。パンクからの流れを強く感じさせるのがちょいと苦手という聴き手には大変快適でしょう(逆にそういう感じを求める人にはユルいかも)。ジェイムズ・イハのソロ1stを外向きで軽くハイテンションにしたような雰囲気でしょうか。というか誰の参考にもならない切り口で言うなれば、KING'S Xのタイ・テイバーのソロワークに激似だからグッと来たのですが。コード使いの豊かさやヴォーカルハーモニーの入れ方などはまさに。それと半々くらいでポール・ギルバート風でもある(ソロではトッド・ラングレンに影響を受けた和やかギターポップをよくやってます)。

再発されたりしてるかどうか分かりませんが、とりあえずネット上で見た限りでは変な高騰はしていない模様。聴いておおこれはと思った人は是非買ってみてください。

最近ライブ活動を再開(継続?)してるようで、動画があがってました。

これは割と100%パワーポップ寄りな曲。アルバム音源がこれしか見つからず。

7 Jan, 2014

▼実家に10年近く溜めた売りCDの山をついに放出し終えた男の買いざまがこちらです。最近の収穫、ブックオフ平針店にてAL JARREAU「BREAKIN' AWAY」、BLUE MURDER「BLUE MURDER」(外盤買い直し)、同植田店にてDAVID SANBORN「BACKSTREET」(83年)、MIKE STERN「BETWEEN THE LINES」、楽-YA植田店にてDANGER DANGER「COCKROACH」(お蔵入り3rdの後出し2枚組)、MICHAEL FRANKS「PASSIONFRUIT」、EGBERTO GISMONTI「EGBERTO GISMONTI」(69年)、CHRISTOPHER CROSS「BACK OF MY MIND」(88年)、同大須店にてGINO VANNELI「BROTHER TO BROTHER」、PETER GABRIEL「OVO」、サウンドベイ上前津にてFIONA「BEYOND THE PALE」(レブ・ビーチ&キップ・ウインガー参加!)、今池WILD HONEYにてERIC CLAPTON「AUGUST」(フィル・コリンズ全面参加、スティーヴン・ビショップほかも作曲で参加の86年作)。一部を除いてだいたい500円以下。

▼「カバンのベルトにいわゆるカラビナらしきものをつけると、取り外ししやすくて絶対見失わない自転車の鍵のホルダーになる」という技を、ライフハックという言葉を見かけるよりかなり前からやってるのですが、「登山用ではありません」との但し書きがあってもやっぱり事故とクレームがあったのか、最近100円ショップでカラビナ的なあれを探しても全然いいのが見つからないという事象があり困っています。

で最近、寒さしのぎに入ったコンビニで、無印良品製の、携帯用靴べらがついた珍しい形のカラビナが売ってたので、購入してバラして、靴べらは曲中で脱着可能なスライドバーにしてみました。

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靴べらはめちゃくちゃ固くて、ここまで曲げるのに2晩かかりました。弦に接する面が完全にまっすぐじゃないのか、七味とうがらしの空きビンより音は悪い。しかも別に使い道はないので、オジーの"No More Tears"でもコピーするかと。(しません)

本日のレビュー:CIRCUS MAXIMUS「ISOLATE」

ノルウェーの若手(といってもデビューは05年)プログレメタルバンドの2nd。前回の「2013年に聴いたベスト」で唯一レビューなしだったのでご紹介します。

リリースはイタリアのFRONTIERS RECORDS。JOURNEYを頂点とするメロハー回顧の群れ(最近じゃJOURNEY自身までご厄介になる始末)やら、古き良き様式美時代の渡り鳥プレイヤーたちのシャッフルプロジェクトやカムバック組の受け皿をしつつ、伝統の踏襲に精を出す若手も積極応援するという、一段落ついてしまった正統派HM/HRシーンのクローズドな感じを余すところなく体現するレーベル…というちょっと後ろ向きなイメージも個人的には持ってたりします。ファンもミュージシャンも幸せにしているという点では何も悪くないし最善のあり方とも思う。

そこからのリリースなので、新鮮味は期待せず試聴してみたら、恐ろしいまでの機動力の高さと緻密さはばっちりイマドキ仕様ながら、過剰に新世代っぽくならずしてオールドメタラーのかつての夢を全部叶えたような最強プログレメタルで、抜け目なきクオリティと存在感に圧倒されてしまいました。ヴォーカルスタイルや陰りの入れ具合が同郷の大先輩・CONCEPTIONをかなり彷彿とさせながら(ここがポイント)、ダウンチューニングリフのグェグェ感+キメキメ変則拍子+キラキラを取り違えてないシンセのコンボ攻撃がどこまでもDREAM THEATER~SYNPHONY X。「やたらシンフォ感を盛った結果、なんだかヴィジュアル系と紙一重」というパターンが多い昨今の人達とは明確に一線を隔てていて、かつてのBURRN!の白黒ページ広告で腐るほど見かけた「Q.ライク~D.シアタータイプ様式美テクニカルプログレメタルGood!」と形容されるあの感じの延長線上。若い人にしてみればどうでもいいというか逆にもっと派手にやれってところなんでしょうけども、この微妙なラインを守ってくれている新譜というのが、今や大変希少なのです。サウンドプロダクションもどこまで人力か分からない潔癖なものではなく、適度に前時代的…と思ったらエンジニアがトミー・ハンセン(HELLOWEENなどを手掛ける)でした。

そんな化石耳の執着はさておき、このバンドがグッと来た最たる点は、楽曲のドラマ性やメロディがしっかりしていてヴォーカルもかなりの大器であるところです。良いものだから良い。カリスマ感をふりまく隙もないメカニカル&ハイグレードな演奏に「ロックバンドの色気」は一切漂いませんが、もともとこの音楽性にそれを求めるのは厳しいのでひとまず問題なし(そう思うとEXIVIOUSはつくづく凄い)。このアルバム以外の作品もじっくり聴いてみたいところです。

3 Jan, 2014

▼おっと明けてました。10年以上続けてることがあるのっていいよね、くらいの感じで存続しているこのブログですが、2014年もよろしくお願いします。年明け早々の元日午前から、BSで21年前のお正月映画「ラスト・アクション・ヒーロー」が放映されててとりあえず見るという幕開けをし、今年も引き続き90年代に負ったものの精算が続きそうです。

▼とりあえず昨年末の出来事から。ここ最近の収穫、サウンドベイ年末バーゲンの金山でJOHN PARR「JOHN PARR」、BAD BRAINS「QUICKNESS」、THERAPY?「NURSE」、5枚で100円コーナーではDOG EAT DOG(ロニーが1曲で参加)欲しさに悩んだ挙句のCHERYL CROW「TUESDAY NIGHT MUSIC CLUB」、MARIAH CAREY「MTV UNPUGGED EP」、O.S.T.「SPAWN THE ALBUM」、SELDOM「PLACES I HAVEN'T SEEN」、DOG EAT DOG「PLAY GAMES」。同上前津でAMERICA「HOMECOMING」、ANDY SUMMERS「CHARMING SNAKES」、LITTLE FEAT「DIXIE CHICKEN」、MADBALL「DEMONSTRATING MY STYLE」。そのほかブックオフ黒川でPETER GABRIEL「US」、バナナ本店でTHE RODS「VENGEANCE」(ロニーが1曲で参加の2011年作)。

▼長らく更新をさぼってたのは、暮れの22日にあったソロライブの練習と、次の案件向けにやっていた足元パーカッション制作のためでした。バスドラはピエゾピックアップを使ったけっこう無理やりなものになりましたが、長らく欲しかった「足を踏み下ろすだけでカポッと音のするスネア」が、カスタネットの原理を参考にしてようやく完成。

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赤い球体は画鋲みたいなピンで、固定用に使ってます。あとは肝心な演奏の準備をがんばります。

▼「1年で出会った音源ベスト選」、一応2013年版もやります。去年は深夜のブックオフ通いが定着するとともに、AOR/スムースジャズ/ただのシャバシャバメインストリームポップの安く買えるものをとにかくバカスカ買うようになり、リスナー人生でけっこう久々の新規開拓があった年でありました。迷えるくらい数もあり、10枚に絞った結果がこちら。レビュー掲載済みのものはタイトルが過去記事へのリンクになってます。

RESTLESS HEART「WHEELS」
カントリーとAORがナチュラルにクロスした、80年代の素晴らしき遺産。すべての前向きハードポップ愛好家におすすめ。

LARSEN / FEITEN BAND「LARSEN/FEITEN BAND / FULL MOON」
これを一番聴いてます。新たに師と仰ぐこととなったバズ・フェイトン大先生の青春。甘くなく諧謔に走りもしない、極上のシブめフィジカルフュージョンポップ。

PETER GABRIEL「SO」
大衆の方に顔だけ向いて眼は白目。地味に薄気味悪くて静かにラディカルな、奥ゆかしき旧時代エレポップ。

PASQUALSE MINIERI / GIORGIO VIVALDI「CARNASCIALIA」
やっちまえ的闇鍋だったとしても快くオーガナイズされた現代音楽ロック。伊マイナープログレで久々にひいた当たりでした。

STEVE MORSE BAND「STRUCTUAL DAMAGE」
フュージョン/ハードロック/プログレメタルから等距離にある理想のミュージシャンズ・ミュージック。上手くて面白いし、音楽として良いところがいいです。

LITTLE FEAT「LET IT ROLL」
脱オヤジ声が思わぬ好結果となった、AOR版フィートの個人的快作。時流になびいたようでいて逆に底力や芯が見えるような内容かと。

WHITE LION「MANE ATTRACTION」
ヴィトー・ブラッタはHM/HR界で最も過小評価されているギタリストの一人。80年代の終わりとともに残した輝かしいラスト作。

GREGG ALLMAN「LAID BACK」
武骨が売りな部分もあるサザンロックをメロウに洗練してしまった、アメリカ(の田舎)の良心の結晶的アルバム。バズ先生が哭く2曲目イントロの最大瞬間風速よ。

JESSE COLIN YOUNG「THE PERFECT STRANGER」
ハードロックとメインストリームAORの境界にJOURNEYやSURVIVORがいるとして、さらにそこと接するメインストリーム・サイドの哀愁最右翼的アルバム。ツカミがでかい。

CIRCUS MAXIMUS「ISOLATE」
今回唯一の2000年代作品。強力に磨き上げられたCONCEPTIONミーツSYMPHONY X的フィンランド産プログレメタル。いずれじっくりレビューに書きます。

その他、10枚には入らなかったが候補にあがったのはZZ TOP「DEGÜELLO」、JANIS IAN「BETWEEN THE LINES」、FOREIGNER「MR. MOONLIGHT」、DAVID SANBORN「AS WE SPEAK」THE BLUE NILE「HATS」EXIVIOUS「LIMINAL」STAN BUSH「STAN BUSH」など。とにかく旧譜が多かった。

お知り合い圏内/お世話になってるバンドではquizkid「333」、キツネの嫁入り「死にたくない」、SOSITE「Syronicus」などいずれもグレイトな作品がリリースされていて、自分達もうかうか休んでちゃいけねーと尻を蹴られる思いです。渡米中のボーカルが9月に帰国してから最短でいつライブをやれるか、未だまったく不透明なDOIMOIですが、忘れてもいいので頑張りだしたら思い出してください。

本日のレビュー:O.S.T.「LAST ACTION HERO」

93年公開の同名映画のサウンドトラックです。主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。映画のざっくりした内容はこんな感じ。

廃業寸前の映画館のじいさんオーナーが持っていた、映画の世界に入れる「魔法のチケット」により、シュワルツェネッガー主演の人気シリーズもの刑事映画(劇中の架空作品)『ジャック・スレイター』の世界に少年が迷い込む。シリーズの大ファンである少年のネタバレ知識によりドタバタと難を逃れる二人。少年は現実世界にジャックを連れて帰るが、紛失したチケットをジャックの宿敵に悪用されてまたドタバタ。最終的には「状況設定はどうあれ、トラブルに次ぐトラブルを切り抜けた挙句、大切な人とのじんわりシーンを経て温かいエンディングを迎える」というハリウッドの掟を遵守して終了。アメリカン・エンターテインメントな演出とかわいいストーリーで、それと知って楽しむ分にはけっこう楽しい作品だったと思います。

サントラのほうに話を戻すと、これはこの時期に流行った「サントラとは名ばかりで旬なバンドのコンピレーション」的なあれでして、AC/DCによるメインテーマが軽く流行ったりして当時けっこう話題にはなった気がします。一応顔ぶれを全て書くと、AC/DCのほかALICE IN CHAINS、MEGADETH、QUEENSRYCHE、DEF LEPPARD、ANTHRAX、AEROSMITH、CYPRESS HILL、FISHBONE、TESLA、バケットヘッド。グランジ全盛だがメタルのトップバンド達もまだ元気だったこの時期の世相を、果てしなく微妙に反映したラインナップであることです。ALICE IN CHAINSはインディロック色のないグランジだったし、FISHBONEも提供曲がやたらメタリックな"Swim"なので、聴いてみると意外に統一性があるような(ないような)。今にして振り返ると、「QUEENSRYCHEってそんな売れ線まで行ってたの!?」というのが不思議なポイントでしょうが、彼らは硬派であるにもかかわらず80年代メタルブームを味方にメジャーのEMIでジワジワと人気を上げ、アンプラグドブームにたまたまガッチリ噛みあったアコースティックバラード"Silent Lucidity"で大ヒットを飛ばし、この頃にはミリオンアーティストになっていたのです。

各アーティストともアルバム未収曲が多く、作品としての価値は決して低くないので、こういう時代だったな~という感慨とともに、だったのか~という資料として、安く見かけたら手にしてみてください。

懐かしい。シュワさん若い(劇中のジャック・スレイターの服装をしています)

MEGADETH自身の企画盤「HIDDEN TREASURES」でも聴けます。

安易にスクラッチ?を入れてみたイントロが決してダサくない。ANTHRAXはいつでもキレキレ。ジョン・ブッシュ帰ってきて…

14 Dec, 2013

最近の収穫、ブックオフ平針・植田・熱田にてNIGHT RANGER「BIG LIFE」「FEEDING OF THE MOJO」、CENTAUR「POWER WORLD」、DOOBIE BROTHERS「MINUTE BY MINUTE」、CIRCUS MAXIMUS「ISOLATE」、楽YA 植田本店にてPETER FLAMPTON「PETER FLAMPTON」(ex.HUMBLE PIE、94年ソロ)、P-CAN FUDGE今池店にてROBBIE DUPREE「ROBBIE DUPREE」、BOZ SCAGGS「BOZ SCAGGS」、JOURNEY「DEPARTURE」。

▼外食記録たまってるので書きます。

▼まずはモーニング特集。川名近くのCoffeehouse JUMBOはモーニングで珍しく自家製ワッフルが選択できます。ガリガリッと粗めの砂糖を感じるやつでコーヒーが超進む。こだわりのドリップコーヒーはクリアで濃厚すぎず、キレ系好きには嬉しいタイプでした。軽食のサンドイッチがおいしそうだったのでなんとか時間を合わせて行ってみたい。

やや遠方まで足を運んで(千種付近から自転車で)植田のLaid Back、アメリカンな佇まいの店内に面白そうな本が大量に。どこの刊行だったか失念しましたが、「CD世代のためのロック・ディスクガイド」的な(正しい名前が分かったら知りたいです)88年発売の本がむちゃくちゃディープで面白かったな~。モーニングはこちらもワッフルが選択可。ヨーグルト、コールスロー的なサラダ、卵までつくのがデフォルトという豪勢さ。生地に甘みを加えていない感じのワッフルは、ランチだと惣菜的なメニューに化けるそうで、そちらも気になりました。

せっかく植田まで来たのだからということで、前々から名古屋のモーニングを検索するとよくヒットしていたエスニークスにもハシゴしてみました。11時少し前に入ると、早めのランチとして利用しているとおぼしき客がやはり大勢いて満席。ここはベーグルサンドやマフィンが選べて、ウインナーコーヒーやらチョコ何々やらの変わり種コーヒーも一律380円という大盤振る舞い。さすがに飲み物のカップがやや小さめでしたが、ゴマカシ無しなサンドイッチの食べ応え最高でした。

▼続いて昼・夜の食事。大曽根のちょっとさみしい商店街・オズモールの路地にある茶房 玄庵は、おもてなしブームの昨今でもここまでの店はそうないだろうという凄さでした。入店するとまず、緑茶がお茶受けの砂糖菓子つきで出てくる。むろん食事を妨げないちょっとした量ですがこれがやたらおいしい。この日のランチは肉うどん定食的なやつで、肉がまた高級すき焼き並みにうまく、よく染みた肉じゃが、ご飯、失念しましたがもう1品くらいついた気がします。更にドリンクまたはアイスクリームもセットで普通に880円。座った席の傍のショウケースには、「着物の帯所有数世界一」のギネス記録証明書が鎮座していてたまげる。外観・内装含めてかなり興味深いお店です。甘味の時間にも訪問したい。

池下から北の方に行った住宅街の真ん中にある、きしめん/そば/うどんの戸田屋。公称18時開店なのに17時半にはもう入れて、定時にはすでに満席という、地元民からの支持が厚そうなお店です。気立てのいいご夫婦がムスメにもいろいろ気を使ってくれて、人気に納得。きしめんは手打ち感ありで普通においしく、蕎麦が中太で食べ応えあり。名物の定食についてくるチキンカツ、唐揚げまではいかないが衣にしっかり味がついてガリッと揚がったやつでウマかったです。

かなり前にも書いたかもしれませんが、御器所のすすきの亭にひさびさの再訪。味噌が看板メニューな札幌ラーメンの店ですが、魚系の濃厚ダシが効いた塩ラーメンがまた最高であることを発見したのと、こんなにインパクトあったっけというくらいチャーシューが良かったのでまたご紹介してしまいました。ここもけっこう地元の人に人気で、閉店ギリギリまでよく流行ってます。

▼最後は間食系。今池と古出来町の間にあるLumpはバウムクーヘンとロールケーキが有名な洋菓子屋さん。1席のみですがイートインスペースもあり(温かいお茶がセルフで無料!)、ロールケーキとシュークリームをいただいてきました。むろん嫁さんと1個ずつ。ロールケーキは、ジトジトすぎずガサガサすぎない、弾力とシットリを両立させた生地がいい具合に主役を務めていて、クリームのまわりにスポンジついてます系とは一線を画す出来。シュークリームも固さに溺れ過ぎないが気持よい固さがあり、ガリガリというよりボクボクと崩しながら食べる感じがナイス。クリームはカスタード感強め。

植田でモーニングのハシゴをした日の夕方に立ち寄った小麦屋、こちらはイートイン可能なパン屋さん。とりたてて個性を主張するような感じでもなく普通にパン屋でしたが、デニッシュサンド(生クリーム+ミカン)と栗のタルト的なものを買ってみたら、いわゆる「甘いパン」の域を越えて普通にデザートとして楽しめました。ザクザクと軽いデニッシュに乳感強めかつサラッとした生クリームのサンドがかなりおいしかったです。タルトも最重要な「端のガリガリ」が超いい塩梅。

本日のレビュー:JESSE COLIN YOUNG「THE PERFECT STRANGER」

バズ・フェイトン参加作品を調べる中で出くわした1枚です。山下達郎の「シュガーベイブ」がそのグループ名を曲のタイトルから拝借したという、60~70年代に活動していたUSハイブリッドソフトロック?バンド・YOUNGBLOODS、のリードシンガーのソロ作。96年に全ディスコグラフィがEDSELからリイシューになったきり激レア廃盤と化している1枚ですが、MusicStackにて無事ボチボチの値段で発見。バジー先生は1曲にバッキングのみで参加というパターンながら、試聴した限り内容が最高だったので購入に至りました。

もともとのフォーキーなスタイルをここでは完全にポイッと拭き捨てて、超絶シケシケな哀愁AOR一辺倒。村下孝蔵ばりにジットリとして線の太い泣きが猛烈にアピールします。アレンジにごまかされないヴォーカルラインの確かさ。だがしかしアレンジもよい。旧来のファンからは大した評価を得てないようですがそんなのは関係なし。80年代オーヴァーグラウンドに存在したマイルド・メロハーの中では、間違いなく至高の部類です。

そして何より、この人がこれをやったということに価値があるといえるのは、ハスキーだが芯のしっかりした声質が、音楽性に対してむちゃくちゃ映えているという点。ジョーイ・テンペスト(EUROPE)を英米ナイズしたような良い声で、やたらソウルフルだったり野太いオヤジ声だったりすると無理~というメタル耳にも最高にフィットします。

当時はメジャーのELEKTRAからリリースされたとあって、客演にはそこそこ豪華なメンツが揃ってます。TOTOのベースのマイク・ポーカロ、ギターはバジー先生のほかにロベン・フォードやスティーヴ・ルカサー他、ドラムはカルロス・ヴェガ他、バッキングボーカルにティモシー・B・シュミットも。それ以外の人達もたぶんこの時代に忙しくしていたセッションミュージシャンの面々なのでしょう。

この作品以降、90年代前半くらいまではなんとなく近い感じの作風が続きますが、濃厚さではこれがダントツ。入手困難な品を激賞して申し訳ないですが、アナログが聴ける人だったらamazon.comやebayでまあまあ普通の値段で買えるのでぜひ。

イントロ勝ちな名曲。

ただでさえ劇的な4度の転調を2回も重ねてサビにたどり着くこのゴリ押し感。名曲。

曲名最高。むろん曲も最高です(やや"ボス"スプリングスティーン風)。尾崎なサックスソロも最高。

2 Dec, 2013

▼売りの山を一部処分したので勢いづきました。もうこんな風に淡々と買い物報告をしたりする個人サイトもめっきり少ないよなあ、と思いながら最近の収穫、いろんなブックオフでMICHAEL BOLTON「THE HUNGER」「SOUL PROVIDER」「TIME, LOVE & TENDERNESS」「THE ONE THING」、RICHARD MARX「FLESH AND BONE」、JACKYL「JACKYL」(電ノコHRバンド1st、外盤買い換え)、DOOBIE BROTHERS「STAMPEDE」、BOBBY CALDWELL「WHERE IS LOVE」、G//Z/R「PLASTIC PLANET」、PSY・S「ウィンドウ」、RORY GALLAGHER「DEFENDER」、USA FOR AFRICA「WE ARE THE WORLD」、THE REGULATORS「THE REGULATORS」、PRETTY MAIDS「STRIPPED」、GUN「GALLUS」、楽-YA植田本店でDWEEZIL ZAPPA「GO WITH WHAT YOU KNOW」(06年)、THUNDERHEAD「THE BALLADS '88-'95」(大名曲"Good Things Never Last"収録のバラードアルバム、外盤買い換え)、バナナ本店にてALPHONSE MOUZON「MIND TRANSPLANT」(トミー・ボーリン、ジェイ・グレイドン他参加)、サウンドベイ上前津でPITCHSHIFTER「DISENSITIZED」、NEIL YOUNG AND CRAZY HORSE「SLEEPS WITH ANGELS」(94年)、今日フィンランドから届いたJESSE COLIN YOUNG「THE PERFECT STRANGER」(ex.THE YOUNGBLOODSのシンガー82年ソロ)。もはやAORとも呼べない、ただの80年代メインストリームシンガーものにも足を踏み入れてるわけですが、マイケル・ランドースティーヴ・ルカサーが仕事しすぎで恐い。

▼今月の22日(日)、こんなイベントに参加させてもらいます(ソロ)。年明けにもガッツリ歌とギターで頑張らねばならない案件(ソロ)が控えておりまして、今回は展示会のゲストミュージシャンという立ち位置もあり若干普段と趣向を変えて臨みます。ルーパーはUSPSの頑張り次第でDIGITECHの日本未発売なやつに置き換わるかもしれない。写真に映っているTCのFlashbackも、ディレイとして超素晴らしい(実はコーラスにもなる)ので、以後積極的に使っていこうと思います。これはおすすめ。

本日のレビュー:LORDIAN GUARD「LORDIAN GUARD」

日記本編の収穫群の、ゴージャス(※80年代当時)すぎるバンド/ミュージシャン名の嵐にゲップが出かけたので、レビューはなんとなく超絶アングラカルトメタルでいきたいと思います。エピック・メタル、クサメタル、呼称はさまざまですが、とにかくおとぎ話のように夢想的かつヒロイックで、何はなくとも大仰さただ一点のみにすべてを賭けるメタルの一派というものが、世には存在してます。(全然詳しくないですが。)NWOBHMの時代から脈々と続くそんな流れの中で、細分化が明確になってきた90年代半ばに登場したそのスジの決定打と目されているというのが、こちらのLORDIAN GUARD。80年代に活動したWARLORDの元メンバーによるバンドだそうで、リリースは聞いたこともないドイツのレーベルですが活動拠点はアメリカです。

IRON MAIDENが蒔いた種に誤読を加えて、「純・正統派のつもりがかなり奇特な突き抜けマッチョメタル」となった同郷アメリカのMANOWARにも似た狂気と、その腰をフニャッと折るようなショワショワのシンセ、ペッカペッカとモタり気味なツインリード、女性シンガーなのにひたすら低音域で某国国営ニュースキャスターよろしくフン!ムン!と気合がこもるヴォーカルとの対比が何ともゾワゾワする(寒気的な意味で)、ダウンビート・アブストラクト・脱力悲壮感メタルがここにあります。ちなみにドラムは全編ツンペタした音の打ち込み。ノルウェーブラックの本気な人達が真顔のまま時々作る納涼フォーク作品のような、表面的な穏やかさの裏に確実に潜む凶々しさや妄想世界の底知れなさがとにかく恐い。宗教的な世界観がバンドのコンセプトとして大きいようで、そういう意味では悪魔崇拝を軸に極端さに興じるブラックメタルと実際に相通じるところがあってもおかしくないかもしれません。

ツーバスバリバリの完成されたエピックメタルを求める向きには、いろいろとプリミティブ過ぎてツラいでしょう。ABRUPTUMやBEHERITのようなとりとめのないアトモス系が好きだったり、不安にさせる曖昧な音響にじっと浸るのが好きというコアな人に積極的にお勧めしたい。これが2000年以降のバンドだったりすると、サウンドプロダクションの悪さも含めて「わざとの崩れ表現」である可能性が高まってシラケがちですが、このアルバムは収められているすべてが「そうと信じて、なってしまったもの」であるように思われます。決して量産されないピュアネス。気軽には近寄れない。

「これは俺のための音楽かも知れない」と思った人だけどうぞ。探せば一応手の届く値段で出回ることもあるようです。

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