SCSIDNIKUFESIN

25 Jun, 2013

▼あと3ヶ月で2歳のムスメがonちゃんを正確に発音するようになりました。よしよし。
▼最近の収穫、ブックオフ大曽根でMONTROSE「PAPER MONEY」、THE BLUE NILE「HATS」、JULEE CRUISE「THE VOICE OF LOVE」、3点合計1000円。同じくブックオフ熱田でART PORTER「UNDERCOVER」、ALABAMA「MOUNTAIN MUSIC」、ともに500円。
以下、番外小レビュー。ジュリー・クルーズさんは、「ツイン・ピークス」の"Falling"などを歌ってた人で、93年リリースのこれはデイヴィッド・リンチが全曲作詞、アンジェロ・バダラメンティが全曲作曲という完全TPタッグ支配下の1枚でした。調べてみれば「ブルー・ベルベット」の頃からご両名と関わりがあったそうで。内容的にも「ツイン・ピークス」の劇中で聴いたような雰囲気をアルバム1枚にのばしたような作風。時代の潮流のごく狭いワンポイントで産み落とされて、後にも先にも似たようなものの需要がない音楽ってのには大変関心が湧きます。
▼ブラウザはChromeに乗り換えてたのでIEが9になっても10になってもシカトしてたんですが、10を入れて使ってみたら意外とあちこち良くなってたのが最近の小さなセンセーション。結局Chromeが遂げた洗練にすり寄っただけなような気もしつつ、Windowsでウェブの仕事してる人にはおすすめです。
BLUE NILE - Hats

本日のレビュー:THE BLUE NILE「HATS」

80年代の音源をYoutubeで漁っていたときに関連動画で見かけたか何かで、名前とジャケが頭に残ったバンド。その後このアルバムが豪華コレクターズ・エディションとして最近リイシューされたことも知り、じゃ名盤なのかもと、運良く安値で見かけて買ってみた品です。
が調べると随分ディープな人達とのこと。といっても「寡作で有名なグラスゴーのカルト・ユニット」という以上の情報はないのですが。内容的にも、これはと思うところがあったのでわざわざ取り上げている次第。2ndとなるこちら、非常に雑に区分けするなら「アブストラクト・チルアウト・アダルトポップス」といった塩梅でしょうか。アダルトの部分は、リリースされた89年の世相を普通に反映して、肩パッド厚めなシンセや打ち込みドラムがその感じを醸し出しています。ただし音数はまるで多くないのがポイント。エイティーズの象徴「オーケストラヒット」(※定番のシンセの音色)もやたら遠い感じで控えめに鳴る。
そしてアブストラクト&チルアウトの度合いが尋常でない。イーノが一大実験を行ったU2の「ZOOROPA」を3・4年戻して(そのまんまですが)、昏睡寸前のテンションまで落としたような、とにかくファ~っとした時間/空間感覚。尖りの少ない音色を上手く選んだシンセの絨毯が常にうすーく広がって、詳しくないですがSIGUR ROSをAOR化したみたいな風情もある気がします。あるいはエレポップ化したRED HOUSE PAINTERSか。美麗で柔らかいコード感を終始多用してエレガントを装うものの、あまりにディープすぎて、2~3周しちゃってる部類のノルウェーブラック・ラディカルアート系一派の作り笑いにも通じるような。
この内容にこのタイトルとこのジャケをつけてきたってのは、リアルタイムにいながらにして「80年代的なものの異質感」をこの人達は既に対象化してしまっていたのかなとも思います。そういう意味では「古くないし、今作られた新作だったとしてもおかしくない」という形容も変なかたちであてはまる、そのように作り込まれた作品。日常聴きには重いが大変印象的です。