SCSIDNIKUFESIN

don't believe a word but I tell you

索引
1.HM/HR
2.その他音楽ジャンル
3.音響・演奏の形容など
4.CD
5.ギター関係の機材・奏法など
6.名古屋
7.私事その他

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1. HM/HR

NWOBHM
New Wave Of British Heavy Metal。70年代に隆盛を極めたハードロックはパンクブームによって一気に鎮火されるが、イギリスの若い世代の間ではハードロック復権の気運が次第に高まり、無数のローカルバンドやインディレーベルの登場によって70年代末~80年代初頭にかけて見事返り咲きに成功、その大きな流れに対してメディアが付けた名前がNWOBHMだった。これがそのままジャンル名としての「ヘヴィメタル」の原点にもなっており、この時期をハードロックとヘヴィメタルの境目として見ることができる。HM/HRを理解する上での最重要タームである。
ただ音楽的にはパンクからの影響も少なくはなく、その後の洗練・完成されたヘヴィメタルとは違った固有のニオイをもつ。代表格としてはANGEL WITCHPRAYING MANTISなどがいるが、IRON MAIDENMOTORHEADももこの中から頭角を現したバンド。
ちなみに何故Heavy Metalという言葉がここで突然出てきたかという問題に関しては、諸説あって定説はないものの、HM/HR評論の第一人者・伊藤政則によると「英『SOUNDS』誌のジェフ・バートンがそう呼んだ」とのこと。
メロハー(メロディアスハード)
額面どおり「メロディアスなハードロック」の総称ではなく、AORに近いポップな歌ものスタイルのものがこう括られる。80年代初頭にJOURNEYSURVIVORらが礎を築いてから、TNTHAREM SCAREM...と受け継がれてもだいたいそのままの姿で現在に至っており、進化・逸脱を完全に拒む。「ハードポップ」という呼称も存在したが、市民権を得ずに終わった感。海外では「メロディック・ロック」と呼ばれている模様。
ヘアメタル
日本でいう「LAメタル」。MOTLEY CRUERATTに代表される、シンプル&ポップで不良っぽい雰囲気の80年代売れ線メタルを指す。巨大なフワフワヘアーやカットTシャツ(袖や襟を大きく切ってセクシーに見せるもの)などのファッションがつきもののであるため、海外では一般的にこう呼ばれる。アメリカでこういう音楽が盛り上がったのにはVAN HALENの登場が大きく影響しているが、VAN HALEN自身はここに含めて語られることは少ない。
ネオクラ(ネオクラシカル)
クラシック特有のスケールやコード進行をヘヴィメタルの演奏スタイルに大々的に導入したもの。「様式美」とも呼ばれる。DEEP PURPLERAINBOWリッチー・ブラックモアSCORPIONSウリ・ロートらに端を発し、イングヴェイ・マルムスティーンがわかりやすく大成した。技巧性を誇示しやすいため、80年代のテクニカルギタリスト達(後述「SHRAPNEL」の項参照)に重宝された。ジェイソン・ベッカーのような例外を除いてはあまり個性的なアプローチを試みる者は少なく、ほぼ誕生当初の姿のままで守られてきた化石系スタイルのひとつだったが、大胆にもヘヴィリフとプログレッシヴな展開を交えて新次元を提示したSYMPHONY Xの登場で、やや前進があった。
パワーメタル
ヘヴィメタルは元来パワーの音楽であるので、そこに敢えてこういう区分を作るというのも今ひとつわかりづらい話ながら、凶暴性を突き詰めて誕生したはずのデスメタルの中に「ブルータルデス」が存在するのは他方で「メロディックデス」が現れたから、というのと同じ要領で、メタルが細分化するにあたって「どの枝分かれにも該当しない、パワーを強調したメタル然としたメタル」かつ「70年代から地続きの『枯れ』を含まない絶倫スタイル」がこう呼ばれるようになったと解釈しています。古くはMETAL CHURCHVISIOUS RUMORSなどが代表的か。似て非なる「正統派メタル」と言うときにはこれとは少々ニュアンスが異なって、JUDAS PRIESTIRON MAIDENなど「正統を拓いたバンド」を直接的に想起させるものが「正統派」に入る気がします。
メロスピ(メロディックスピードメタル)
前述の「ネオクラ」とリンクする部分もあるが、必ずしもクラシカルであることに拘らず、叙情的なメロディを強く前面に出し、それをツインバスドラムが疾走する極めてアップテンポなリズムに乗せた、メロディとスピードに特化したスタイル。イギリスのIRON MAIDENやアメリカのRIOTの一部の楽曲に含まれていたものがドイツのHELLOWEEN、ブラジルのANGRAなどへと受け継がれ、フィンランドでSTRATOVARIUSが登場したあたりから膠着状態に入る。90年代後半にRHAPSODYなどのイタリア勢、またその他南欧諸国や南米から現れた若手達によって更にデフォルメが行われた。ここまででお分かりの通り、世界中誰がやってもほぼ同じスタイルを再現することが可能。現在は「メロパワ(メロディックパワーメタル)」という呼称も存在するようだが、線引きがどこにあるかは知りません。
プログレメタル
プログレッシヴロックの中でも特にRUSHYESGENESISなどテクニカル系またはシンフォニック系のバンドからの影響を強く伺わせるメタル。変拍子、8分超えの大曲、ギターとシンセのバトルなど、技巧性を極限まで強調するような場面が多い。「プログレッシヴな香りをするメタル」を最も早い時期に演奏したのはQUEENSRYCHEだったが、マネしやすい形に完成させたのは何といってもDREAM THEATER。彼らの登場以降は、DREAM THEATERに似てるのがプログレメタルである。
マスメタル
Math Metal。以前は上述の「プログレメタル」にまとめられることが多かったが、別の系譜として浮き上がってきたので確立した呼称。変拍子のスリルに的を絞ったものがこう呼ばれる。変拍子フュージョンと高速メタルを合体させたWATCHTOWERKING CRIMSONの無機質な変拍子をポスト・スラッシュメタルの文脈で拾ったVOIVODらに端を発し、ATHEISTCYNICらの登場で90年代初頭に一度ピークを迎えている。その後オルタナティヴロック方面からのいわゆる「マスロック」ブーム、またMESHUGGAHの評価の高まりに伴って、近年再評価が著しい。
スラッシュメタル
様々な種を孕んでいたNWOBHMの中から発生した、破壊的・悪魔的な要素を強調する一派のひとまずの完成形。VENOMMOTORHEADなどと並んでDISCHARGEのようなハードコアパンクも大きく影響している。究極のスピードを完璧にコントロールすることをコンセプトに、デイヴ・ムスティン(pre-MEGADETH)がいた頃のオリジナルMETALLICAが80年代はじめに大成した...と言われがちだが、それより早くカナダのEXCITERがやっていたとか、時代の流れから同時発生したと見るのが正しい。ただMETALLICAの最初のデモカセット「NO LIFE 'TIL LEATHER」が決定打になったのは事実で、SLAYERですら彼らに触発されてああなったという。
クロスオーヴァー
様々なジャンルで使われる単語だが、メタル界においてこれを単体で言い切るときには、往々にして「スラッシュメタルとハードコアパンクのクロスオーヴァー」を指す。ANTHRAXのメンバーらによるプロジェクト・S.O.D.があまりにも有名で、またハードコアサイドではD.R.I.が代表的。これがグラインドコア~デスメタル発生の共通の基点となった
グラインドコア
スラッシュメタルがデスメタルに至る前に、実はいち早く存在していた世界最凶音楽。イギリスのNAPALM DEATHおよびその関連人脈、アメリカのREPULSIONなどによって開発された当初はまだグチャグチャとしたものだったが、のちに登場するTERRORIZERあたりが決定打となり、ほとんどこれ以上の洗練をされる余地もなく現在に至る。ハードコア的なストップ&ゴーを多用し、尋常でない速さの2ビート=「ブラストビート」とノイジーなリフ(これが重いか軽いかで「ファストコア」と線が引かれる)でひたすら突っ走る。歌詞もパンク流儀に倣ってポリティカルなテーマが多いのがデスメタルと違うところ。
デスメタル
スラッシュメタルが更に一線を越えて、非人間的な凶悪性を体現するようになった一派。グラインドコアのスピードや破壊性に、メタルならではの邪悪さやドラマ性を盛り込んでいる。MORBID ANGELOBITUARYなどアメリカ・フロリダ州出身のバンドが多かったため、特別に「フロリダデス」という括りがあり、フロリダはデスメタルの聖地とされる。その後アメリカで後続のバンドが大量発生するのと並行して、何故かスウェーデンでもひときわ盛り上がり、DISMEMBERENTOMBEDなどがシーンをリードしていった。
ゴアグラインド
ゴアは血糊。前述のNAPALM DEATHから派生したCARCASSが一代で大成した。リアル医学部生だった彼らが、稚拙な語彙で殺戮や破壊を歌うデスメタルバンド達を見て、「こういうものはもっとアカデミックにやれる余地がある」といって専門的な学術用語を駆使した生体組織の腐敗や残虐な解剖を歌詞にしたのが始まり。音楽的には不穏な響きのダウンチューニングリフと異常な速さのブラストビートに徹底的に拘り、世界中の誰よりもきたない音を出していた。その後に続いたバンドもほとんどはCARCASSの部分模倣に留まっている。クチャクチャと肉を切る音やゲップなどの不愉快な音、あるいはホラー映画の音声などが曲前のSEについていることが多い。
ゴシックメタル/ドゥームメタル
デスメタルの暴虐表現も勃興後しばらくしてすぐに定型化し、早くも行き詰まりを見せ始める中、スイスのスラッシュメタルバンド・CELTIC FROSTが80年代中頃に行った前衛的アプローチ...すなわち女声コーラスやオーケストラ演奏の導入、もの哀しく耽美的なゴシック風世界観の表現などがデスメタルにも持ち込まれることになり、ヨーロッパ中で様々な形の試行錯誤がなされることとなったそれらをまとめてゴシックメタルと呼ぶ。イギリスのPARADISE LOSTANATHEMAMY DYING BRIDEなどはその後商業的にも成功した。
また、それとリンクしつつ微妙に別の流れで、BLACK SABBATHのおどろおどろしいイメージを拡大解釈してデスメタルの仰々しさや邪悪さに混ぜ込むドゥームメタルも同時に欧州アンダーグラウンドに広まっていた。黎明期において両者はしばしば境界が曖昧だったが、ゴシックがメランコリック・ポップ方向に、ドゥームがマリファナ・オリエンテッドないわゆる「ストーナー/スラッジ」方向に進むにつれ、差異が明確化した。
メロデス(メロディック・デスメタル)
上述のような流れでデスメタルに異変が起こる中、もっと単純に正統派メタル寄りの叙情方向へメロディアス化の舵をきった一派。スカンジナヴィア半島発祥。初期はダン・スウォノ率いるEDGE OF SANITYあたりがリードしていたが、IN FLAMESDARK TRANQUILLITYらの登場によって一気に開き直り競争に拍車が掛かった。その後CHILDREN OF BODOMのダメ押しによって「デス声が乗る普通のメタル」の域まで行き着いた後は、バンドごとの差別化の基準は「凶悪度をどのあたりに設定するか」といった程度のものになり、もはやこれも行き詰りを見せる。
ブラックメタル
既出のVENOMCELTIC FROST(および前身のHELLHAMMER)、POSSESSED、またSODOMBATHORYなどといったスラッシュメタル過激派の影響を受けた、デスメタルに類するようでいて明確に違う一派。ノルウェーが本場。攻撃的・排他的なサタニズムや、北欧の森や白夜・フィヨルドなどの自然への畏怖といった題材が歌詞にされる。音楽性は多岐に渡るが、ブラストビート一辺倒+近代クラシック風の邪悪で大味なリフ+キャアキャアと高音でわめく金切り声ヴォーカル、というのが基本スタイルとされる。MAYHEMBURZUMDARKTHRONEなどが代表格。尋常でなく録音状態が劣悪なものが多いのも特徴で、規格外の試みを突き詰めるあまりノイズ~アンビエント界へとリンクしていく例もある(ULVERなど)。バンドメンバーはしばしば、死人を模した白塗り+隈取りのようなメイクをしたり、常軌を逸した量の鋲リストバンドやガンベルトを身につけている。
エクストリームメタル
デスメタルの登場で「まともな楽曲」という価値観が崩壊して以来登場した、上述のグラインドやドゥームなどの、特定方向に極端に振れきったヘヴィメタルの総称。メタルの枠すら超えて「エクストリームミュージック」と言われることもある。
北欧メタル
NWOBHMの余波が行き着いて80年代初頭~中頃に発生。EUROPEが先駆者。一般的に、クラシック風味のする泣きメロ系叙情メタルや、冷涼な透明感のあるハードAORスタイルが多い。デンマークのPRETTY MAIDSやノルウェーのTNTらの第一世代で盛り上がったあと、90年代初頭にもひと山あった。
ジャーマンメタル
カイ・ハンセン在籍時のHELLOWEENが提示したような、軍隊の行進曲を思わせる勇壮で硬質なメロディとスピードメタルスタイルをあわせた音楽性が特にこう呼ばれる。アクの強さゆえか、単純に産地を示す上述の北欧メタルと違って、「ジャーマンメタル風のアルゼンチンのバンド」といった形容も往々にして成り立つ。SCANNERCHROMING ROSEなどが後に続いたが、B級どまり。またHELLOWEENより古いSCORPIONSACCEPTといったドイツのバンドは、ここに含めて語られることは少ない。
80年代後半のブルーズ回帰ブーム
ヘアメタルブームのさなか、70年代を思わせるブルージーでシンプルなスタイルで現れたGUNS N' ROSESがあけた風穴は相当なものだったらしく、同バンド登場以降しばらくは、スライドギターを使ったり、アコースティックギターでカントリー風の演奏を入れたりと、HM/HR的解釈なりのブルーズロック模倣現象が蔓延する時期があった。オルタナティヴロックへの橋渡しにもなったことだろう。3作目以降のCINDERELLABADLANDSなどが代表的。
80年代後半のミクスチャーブーム
RED HOT CHILI PEPPERSFISHBONEJANE'S ADDICTIONらが、ハードロック的な質感もあるハキハキとしたスタイルにファンクのイディオムや躍動感を持ち込んだインパクトは相当なものだったらしく、またラップブームもあってか、その後しばらくは不必要なホーンセクションを導入したり、唐突に場違いなカッティングを挿入したりと、上っ面だけのファンク模倣現象が蔓延する時期があった。大半は実験的なだけで非常にダサかったので、すぐに立ち消えとなった。成功例はEXTREMEなど。
90年代初頭のヘヴィ化ブーム
90年代初頭、世界的な不況や諸々の社会問題の深刻化などが重なって、飽和・肥大しきったヘアメタルの陰で育っていた"取って代わるもう一つの流れ"、ダークな現実をシンプルでダイレクトに歌う「オルタナティヴロック」へと世間の興味が移行。それとほぼ同時に、過激さの追求にとうに行き詰まっていたスラッシュメタルシーンから、METALLICAが5作目のスタジオフルアルバム「METALLICA」(通称ブラックアルバム)を90年にリリース。スピードを大幅に落とし、硬質なリフを活かしたグルーヴと、尖りきったダークなムードとで新しい攻撃性を表現したその内容のインパクトは相当なものだったらしく、レコード会社から首を切られまいとするHM/HRバンド達が、時代にの流れになびいて猫も杓子もダーク&ヘヴィ化する現象が蔓延した。ヘヴィメタルファンはこれを嫌ったが、ある意味ロックの本質に立ち返る作業でもあったので、実は魅力的な隠れ名盤が数多く産み落とされている。この流れの成功組の代表PANTERAも実は「COWBOYS FROM HELL」リリース以前に、ハイトーンパワーメタルバンドとして活動する時期があった。
90年代初頭のインダストリアルブーム
マシンドラムにディストーションギターと吐き捨てヴォーカルを組み合わせるスタイルを確立したMINISTRY登場のインパクトは相当なものだったらしく、単純にそのやり方にあやかるだけのクソつまらないバンドが大量発生する時期があった。数少ない成功例(といっていいのかどうか自信ないですが)はPITCHSHIFTERなど。
メロイックサイン
親指を中指・薬指の下に折り込み、人差指と小指を立てて悪魔の角を表現するポーズ。ロニー・ジェイムス・ディオ(RAINBOW、BLACK SABBATH、DIO)がやり始めたのが発祥。もともとは魔除けの意味があったらしい。
ガテラル声
guttural voice。デスメタル/グラインド特有の、ゴーッという低いうなりのようなデス声をさす。
SHRAPNEL RECORDS
速弾きギター発掘人マイク・ヴァーニーがオーナーを務めるレコードレーベル。80年代にテクニカルギタリストを大量に世に送り出した。音楽性は二の次で技術展に徹する内容のものが多いため、往々にして揶揄の対象にされる。ポール・ギルバートも実はここの出。
LONG ISLAND
95年に開業し、既に閉鎖済みのドイツのレーベル。NWOBHMのマイナー盤のリイシューと、世界中のB級・C級(あるいは隠れA級)メロハーのリリースを中心に行う、非常に良心的なレーベルであった。扱う作品のあまりのマニアックさと、アートワークのひどおもしろさとで、未だに愛好者が存在する。マイケル・ロメオ(SYMPHONY X)がいたPHANTOM'S OPERAや、BON JOVIのメンバーが複数いたMESSAGEなどが代表的なリリース。
ゼロコーポレーション
90年代国内メタル業界でも異彩を放っていたレーベル。主に北欧ものなどのメロディックなHM/HRをリリースしていたが、十中八九B級なチョイスで、そこを喜ぶマニアに好かれていた。大仰すぎて噴出してしまうようなオビの叩き文句と、独特の美学を映し出すコンピレーションの定期的な作成など、オリジナルな存在感があった。SYMPHONY Xを発掘したのは手柄。その他MASQUERADEKINGSTON WALLなども忘れられない。

2. その他音楽ジャンル

ユーロロック
主に70年代ヨーロッパ諸国のプログレッシヴロックを指す。クラシックの導入、ジャズとの融合、楽曲の形を留めないサイケ音響化...と、さまざまな形をもって60年代末の英国からプログレッシヴロックがスタートしたわけだが、それがイタリア、フランス、スペインなどへ輸出された結果、各国においてそれぞれ土着の音楽と結びつき、敢えてプログレたろうとするでもなくその土地ならではの個性的な音楽性を体現するようなバンド達で溢れかえることとなった。その状況全体のイメージを含むという点で「ユーロプログレ」というのとは若干ニュアンスが異なる。PFMAREAほか、自主制作盤1枚で消えたようなバンドもゴマンと存在する。ひとたびマニアになれば人生が狂い得るディープな世界である。
ジャーマンロック
70年代ドイツのプログレッシヴロック。プログレシーンにおいてドイツだけは独自の進化を見せた国であり、電子音響やフリーインプロヴィゼイション、サイケフォークなどが非常に盛んだった。それがその後のポストパンク、オルタナ、ポストロック、テクノ/エレクトロニカへも多大な影響を与えたため、他の「イタリアンロック」「フレンチロック」などとは別格の扱いを受けることが多い。CANKRAFTWERKAMON DUUL他々。
アートロック
これは一般的なタームとして存在しているのかどうか判らないが、プログレ誕生前夜の、サイケデリックロックの延長線上でクラシックをかじってみたり、変な楽器を入れたり、組曲の大作を演奏してみたりと、単なる「歌とその外郭物の音楽」からロックを拡張しようとする試行錯誤が流行った時期のものをこう呼んでみている。
カンタベリー
英国プログレの中でも特に、カンタベリー地方界隈のミュージシャンによる一群は、別個のシーンを築いている。多くは牧歌的なフォーク/ポップ、フュージョン、ジャズロック、ノイズ、エクスペリメンタルなどの要素を一度に抱き合わせており、愛らしさと諧謔が同時に存在する点が特徴的。SOFT MACHINECARAVANHATFIELD & THE NORTHなど、年月を経ても広く親しまれるバンドが多い。
レコメン
イギリスのグループHENRY COWクリス・カトラーが立ち上げたRECOMMENDED RECORDS(現在のReR MEGACORP)が語源。HENRY COWで現代音楽やフリージャズを融合させたプログレッシヴロックを実践していたカトラーは、商業化する音楽に対し反抗・批判するRock In Opposition(R.I.O.)という運動体を主導するにあたり、そこに同調・参加するミュージシャンの音源を世界中に配給するために、先のRECOMMENDED RECORDSを創立した。RIOに属した主なアーティストはHENRY COWのほかベルギーのUNIVERS ZERO、スウェーデンのSAMLA MAMMAS MANNAなど。性急な展開と不協和音を多用したジャズロックが基調になっていることが多い。80年代以降は専ら、RIOオリジナル世代のバンドのどれかに似た音楽性をもつバンドを括るだけの言葉となってしまっている。
チェンバーロック
室内楽スタイルの演奏をアンサンブルの基礎部分にまで導入したプログレッシヴはこう呼ばれ、レコメン系に特に多い。ART ZOIDなど。
フリーインプロ
インプロヴィゼイションは「即興」。フリーインプロは、調性・リズム・使用楽器などに一切の制約を持たず、あらゆる音楽の文脈性を離れて行われる即興演奏のこと。ジャズのイディオムを脱体系化させただけの「フリージャズ」とは(近くにあるが)また異なる。デレク・ベイリーが第一人者だろう。
バークリー
アメリカにある名門の音楽学校。特にジャズにかけては「バークリー出身」がブランド化するほどだが、反面、理論を駆使して過剰に複雑なコード進行を組み上げてしまったりと、画一的な頭の良さによって芸術表現の本来的なものから乖離したアプローチに走る傾向もあり、そうしたものは「バークリー・メソッド」といって揶揄の対象になる。
グランジ
長いハードロック・バブルのカウンターとして90年代初頭にシアトルから起こったムーヴメント。汚いファズサウンドや普段着そのままのようなダラダラした服装、ダークで退廃的な歌詞などが特徴であった。当初は「グランジ/オルタナ」とワンセットで使われることが多かったが、パンク/ハードコアの派生の系譜としてジャンル名に定着した「オルタナ」に対し、今となっては「グランジ」は一過性の現象に限定されるようだ。MUDHONEYNIRVANAのような正統インディ派も、ALICE IN CHAINSのような元メタル鞍替え組も、PEARL JAMSOUNDGARDENのようなオールドロック再生組も、一緒くたにここに含められるので、未だ曖昧さは残る。
マスロック
Math Rock。もとは「ポストロックの純・変拍子派」という程度のカテゴリだったが、KING CRIMSONHENRY COWらの流れを汲んでプログレシーンからもほぼ同様の音楽性をもつバンドが増えてきたため、もう少し間口の広い言葉になった。野心的・冒険的な音楽と理解されることが多いものの、実際はKING CRIMSONが73年に「LARK'S TONGUE IN ASPIC」でそのほとんど全てを表現しきっている。
スローコア
アメリカン・アンダーグラウンドに80年代末~90年代初頭から存在する流れ。ハードコアの可能性を探った果てに荒涼・静謐としたアンサンブルに行き着いたSLINT、アメリカーナ・フォークとポスト・ハードコアを前衛音響で巡りあわせたGASTR DEL SOLらに端を発する。極端にスキマが多く、重苦しさや物悲しさをフィーチャーしたような音楽性から、次第に一周回ってハートウォーミングなフォークにも近いものになり、現在は「枯れ系フォーキーポップ」との区別がほとんどないケースもある。LOWタラ・ジェーン・オニールなど。
SSW
Singer Song Writer。
80年代ジャンク
ポスト・ハードコアからグランジの間に位置する音楽。主にアメリカンアンダーグラウンド。ハードコア由来の豪快さ・荒々しさ・不規則さにブルーズロックの酩酊感を加味していったKILLDOZERSCRATCH ACID(のちにTHE JESUS LIZARD)、GANG OF FOUR似のクールなインテリポストパンクを独自に研磨していったBIG BLACK(のちにRAPEMANSHELLAC)などTOUCH &GOレーベルのものと、入り組んだリズムとヘヴィなリフで新しい攻撃性を追及したHELMETなどAMPHETAMINE REPTILEレーベルのものとが主要な二派。
MTV/MTV時代
MTVは80年代アメリカに誕生した音楽専門ケーブルテレビ局。楽曲に映像をつけた「ビデオ・クリップ」を朝から晩まで流すというスタイルで、ラジオを凌駕する影響力を持った。またちょうどその登場時期が、ニューエイジやディスコAORがまさに隆盛を極めようとする時代で、ハードロック界からプログレ界までそういった音の影響が及ぶことになり、MTVはしばしばその一連の現象・時代性を象徴する存在として位置づけられる。
TZADIK
NYアヴァンギャルドシーンの第一人者、サックスプレイヤーのジョン・ゾーンが主宰するレコードレーベル。リリース内容は実験的な現代音楽、ノイズ、彼のルーツであるユダヤ音楽に因んだ前衛アンサンブル、ラディカルなジャズなどが多い。いくつかのシリーズごとにアートワークが完全に統一されており、こわい。
SKIN GRAFT
USインディロック界隈のジャンク過激派の元締め的レーベル。フリージャズ、エクストリームメタル、プログレ、etc.のコアな部分を我流に料理したバンドが多く所属する。DAZZLING KILLMENTHE FLYING LUTTENBACHERSCHEER-ACCIDENTなどは本当にジャンルの壁を超越した魅力を持っているように思う。

3. 音響・演奏の形容など

プロダクション
サウンド・プロダクション。録音作品の音作りの傾向、また録音の良し悪しの程度。
マスタリング
各パートの音量や音作り、加工などを行うのが「ミキシング」。ミキシングによってまとめられたものを更に全体像ごと整える作業がマスタリング。
アンビエンス
楽器などの音そのものではなく、それに付随して発生する、部屋の残響などといった周りの成分。
ブースト/カット
強めたり足したりすることがブースト、その逆がカット。
リヴァーブ病/リヴァーブ温泉
主に80年代の録音作品では、音楽的な内容に応じた必要性とは無関係に、人工的な残響成分をやたらと付け足してしまう傾向があり、そのことを個人的にこう呼びます。
コンポーズ/コンポジション/スコア
コンポーズは作曲すること。コンポジションは「作曲されたもの」、スコアは「譜面にされた楽曲」という意味合いで、演奏に起因するノリやテンションといった類いの事象とは切り離された「楽曲の設計図」のようなものだけを指したいときに使います。
オマージュ
もとは仏語で「尊敬」の意。他人のフレーズやクセなどを敢えて模倣することによって、そのアーティストに対する愛や敬意を示す、というような状況のときによく使われる。
~マナー
例えば「メタル・マナー」であれば「メタルの慣習や流儀に倣ったやり方、メタルの語法に従った表現方法」という意。
ヴァイブレーション
直訳すると「振動」だが、「ノリ」「ムード」などを表す英語圏ミュージシャン用語。
ブレイク
(1)楽曲の途中に挿入される、バンド全体が演奏を止めて作る空白。またはそこだけテンポが遅くなるパート。(2)主に商業的な意味での成功。ブレイクスルー。
今日的
大丈夫かとは思いますが「こんにちてき」と読んで下さい。
ブルータル
凶暴・凶悪な。攻撃度の高いデスメタルによく使われる形容。
コマーシャル
大衆的。大丈夫かとは思いますがCMのことではないです。
リリカル
美しく詩情のあるさま。
マッシヴ
ズッシリとしてバカでかい重量感があるような雰囲気をこう表してます。
エピック
壮大な物語性を秘めているような雰囲気をこう表しています。「エピック・メタル」という小ジャンルも存在する。
ミニマム
最少の、最小限の、最小単位の。大丈夫かとは思いますが反復を表す「ミニマル」と混同しないで下さい。
ソフィスティケイテッド
洗練された。
ガッツィー
gutty。ガッツ溢れるさま。発音からすると明らかにおかしいが、「ガッティー」だと伝わりづらいためか、一般にこう表記されているところしか見ない。

4. CD

リイシュー
re-issue。再発行。リマスタリング等の改変を伴わない復刻をさす。
タイトルトラック
アルバム名と同じタイトルを関した楽曲。THIN LIZZYの"Chinatown"は80年発表のアルバム「CHINATOWN」のタイトルトラックである、という具合。
EP
かなり適当に使ってますが、アルバム未満シングル以上の、日本でいうミニアルバムのことでしょうか。どういういわれでEPと呼ばれているのかも何も知りません。
デジパック
2面以上に開く厚紙のケースに、CD盤を留めるプラスチックのトレイを接着した、CDケースの種類。たぶん商標登録で、その他の方式の紙ジャケットとは区別される。
配給/ディストリビューション
あるCDを制作・発売したレコードレーベルが小規模な会社であった場合、それを広く購買可能にするために流通だけを手伝ってあげること。個人がそれをすることは「ディストロ」と呼ばれる。

5. ギター関係の機材・奏法など

コンボアンプ
入力信号を増幅するアンプ部(これも音作りにかかわるプリアンプと、音量にかかわるパワーアンプに分かれます)と、実際に音を出すスピーカーキャビネット部とが一体になっているもの。別になっているものは、「セパレート」、ではなく「スタック」と呼び名があります。
ゲイン
信号を増幅する量といいましょうか。過大にすると音が歪む。なので「ハイゲインサウンド」といったらよく歪んだ音を表す。
シールド
保護皮膜がかぶせてあるケーブル全般。シールドコード。
パッチ
ごく短い長さで機材と機材をつなぐためのケーブルをこう呼ぶ。パッチケーブル。
チューブ
真空管。アンプにこれが使われていればチューブアンプと呼び、そうでなければトランジスタアンプ、またはソリッドステートアンプと呼ばれる。トランジスタとの間には越えられない壁があると信じられている。
JC
ローランド社製のギター用定番トランジスタアンプ「JAZZ CHORUS」。スピーカーが2個入ったJC-120という型番のものが一般的。どこのライブハウスにも大抵置いてあるため、JCで最高の音が出るようにエフェクターに命を賭けるか、アンプを購入して持ち運ぶか、バンドマンが必ず行き当たる分かれ道。
ピッキング
ギターは基本的に、左手で指板上の弦を押さえ、ピックを持った右手でそれを弾くことで音を鳴らします。いまの文の後半部分が「ピッキング」です。ちなみに前半部分は「フィンガリング」です。
タッピング
エレクトリックギターは基本的に、音声信号を極端に増幅させて演奏するので、ピッキングをしなくても弦を押さえたり離したりするだけで音は鳴ります。通例それは左手だけで済まされるところを、ピックを持つべき右手の指まで使って、完全にノーピッキングで弦を押さえたり離したりするだけの演奏方法も可能で、それをタッピングといいます。エドワード・ヴァン・ヘイレンが世に広めましたが、GENESISのスティーヴ・ハケットが70年代にその奏法を使った録音を残しています。またクラシックギターの世界でもこのようなテクニックは存在していたようです。日本では「ライトハンド奏法」とも呼ばれる。
スウィープ
スウィープピッキング。通例、速い単音弾きを行う場合、ピックを上・下・上・下...と交互に振って弦を弾きます(オルタネイト・ピッキング)。が、1音だけ弾いたらとなりの弦でまた1音、次もそのとなりの弦でまた1音...というフレーズの場合、複数弦を股にかけてピックを滑らせるように上・上・上...と弾くことが可能になります。このような奏法を、ホウキなどで掃くような動作に似ることからスウィープ・ピッキングと呼びます。
分散和音を演奏するのに適していることから、主にネオクラシカル・メタルなどで好まれます。
パワーコード
ロックギター特有の技法。基点となる音(仮にド)と、その5度上の音(仮にソ)だけの和音。基点のオクターブ上(仮に上のド)を伴うこともある。メジャーキーかマイナーキーかという響きの性質を左右する3度の音(仮にミ/長3度、またはミ♭/短3度)を鳴らさないため、伴奏においてどんなコードのときでも使いやすく、またギターで演奏するにあたってフィンガリングが容易なのも利点。

6. 名古屋

バナナレコード
名古屋を拠点に東京・神奈川にも展開する中古CDショップ。値札カードにコメントが積極的に書き込まれていて勉強になる。
http://www.bananarecord.com/
サウンドベイ
金山・上前津にある中古CDショップ(新品も扱う)。どちらの店舗も売り場面積が非常に広い。500円以下のバーゲン棚が常設されており、新品も扱う。
http://soundbay.co.jp/
ミュージックファースト
栄にある中古CDショップ。比較的新参。通常棚もかなり安く、珍しいものは適正に査定。コメントもオールジャンル積極的。常設バーゲン棚もあり。
http://www.musicfirst.biz/
P-CAN FUDGE
今池にある中古CDショップ。昔は藤が丘にもう1店舗あったが、畳んでしまった。輸入盤のぞんざいな安さと、プログレ/オールドロック良品の定期的な入荷が魅力。
http://p-can.info/
グレイテストヒッツ
大須にある中古CDショップ(今池店は閉店)。ブラックミュージックやオールドロックが主力だがオールジャンル。2Fバーゲン棚フロアはかなりの在庫数。
ココイチ
一宮市発祥のカレー専門の外食チェーン、カレーハウスCoCo壱番屋。好き。
地下鉄
名古屋市内の移動に使う交通機関といえばまず地下鉄。名古屋市交通局による公営地下鉄のみが存在し、要所要所で地下街も発達している。
名駅
名・古屋・駅、およびその周辺地域。自動車製造販売の世界最大手・T社の本社ビルが移転してくるなど、近頃ボンボンとセレブなビルが建っていてこわい。歩き回って楽しい感じの発展の仕方ではないので、遠方から名古屋に遊びに来る人は名駅に期待してはいけない。
百貨店などが多数存在する、名古屋最大の繁華街。上述の名駅とこの栄とは、東西に走る二大大動脈・広小路通と錦通でつながっている。繁華街といっても大通り沿いに大きな建物が整然とあるだけなので、下北沢やアメリカ村のような雰囲気には程遠い。むしろこの近辺に展開する地下街の方がそれに近い。
今池
名古屋→栄の向きを更に行くとある地域。ややデンジャラスな雰囲気を漂わせつつライブハウス(「得三」「ハックフィン」など)や飲食店、CD屋などが少しずつ集まっており、独特のアヴァンギャルド・サブアーバンな文化圏を形成。年に数回催される「今池まつり」には結構びっくりするパフォーマーがやって来たりもする。突然来てうろつく分には、多分当惑するのみでしょう。ここまででお分かりのとおり、名古屋に「なんとなく遊べる場所」などないのです。
本山
名古屋→栄→今池の向きを更に行くとある地域。比較的新しく開拓された土地で、大学などが集まっている。筆者もこのあたりに通っていたので日記にも時々登場します。オシャレそうな店がそれなりに存在するにはする。
大須
栄から、名古屋→栄→今池ラインと直交する向きに行くとある地域。縦横にアーケードが走り、電気街、若者向けインディ雑貨屋/古着屋、ヤン服屋、老舗和菓子屋、各種屋台、神社仏閣、その他諸々が一堂に会した不思議な商店街が広がっている。市内で「とりあえず来て何とかなる」のは断然ここ。

7. 私事その他

DOIMOI
筆者がやっているバンドです。本格活動開始2005年頃。単に文中に「バンド」と書かれるときはDOIMOIのことを指す場合が多いです。
→オフィシャルサイト
ログメン
筆者が2009年からやっているバンドです。
→オフィシャルサイト
犬録音
学生時代、自主制作したCDのアートワークをそれっぽくするためにでっち上げた、その名を印刷するためだけに存在する仮想レコードレーベル。仮想所属アーティストが沢山おり、仮想ポータルページもある。という塩梅だったのが、DOIMOIの2ndアルバムの流通契約は犬録音名義でしているので、とりあえず本当にレーベルらしきものになりました。
大学のサークル
大学時代、バンドサークルに所属していました。現在は大学生ではありません。
「世を忍ぶ仮の」
=昼間の仕事の。聖飢魔IIの構成員が人間の姿をしているときのことを「世を忍ぶ仮の姿」とあくまで自称したことから拝借したのは言わずもがな。主に2008年~2011年前半にかけて使用。