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discs 2016-10-04

96年2nd。活動のピークをもたらした作品で、最高傑作と推す向きも多い1枚。例によって冒頭には短い序曲的トラックつきで、今回は高速パーカッション+高速シンバルレガート+何かしらの笛のみによる原始感最大な47秒。I MOTHER EARTHというバンド名にもなんとなくシックリ来る気がしますが、この名前、もともとは「IMEと書いてI Am Me(アイェムミー)と読む」だったのが、I、M、Eを何かの略だということにしようと後からなって、何の意味もなくつけたのだそうです。

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さておき内容の続き。前作の淀み感や野生感はおおむねそのままに、SMASHING PUMPKINSばりのキャッチーさ(パッと聴き全然感触が違いますが)が大幅増強。さらにRUSH譲りの端正でコンパクトなプログレセンスもうっすら加味されて、アタマ3曲(CDの2~4トラック目)で最大限の決定力を発揮。あとは曲中に極端なテンポチェンジがあろうと、超ロングソロを含む8分弱の曲があろうと、バンドのポテンシャルを物語る方向でプラスに作用するばかり。すべてにおいて、前作でやりかけていたことをもっと先まで実践しているかのようです。意欲的。

サウンドプロダクションも前作に比べると仕掛けが増えて、へヴィな場面ではSTONE TEMPLE PILOTSよりもエグく、ソフトになるときはジェフ・バックリーの如し。これが時流なりの洗練だけではない、演者の強い意志がにじみ出るもので、バンドとしてのシグネチュア・サウンドを完全に確立した感があります。グランジ時代を宣言した先発有名バンドと同じ重さでは語られないけど、英国プログレでいえば四大(GENESISをカウントすれば五大)バンドに対するGENTLE GIANTくらいの存在といってもよいのでは。

前作で数曲入っていた、高速ラテンパーカッション+ギターの擬似スラップで突っ走るキメ曲が本作ではラスト1曲のみ。じわじわといく曲展開と、はっきり叙情的なメロディ、磨きのかかったファンクネスで、7分が長く感じない文句なしのハイライトです。

表情豊かな歌唱で躁鬱的レパートリーにも余裕でついていくシンガーのエドウィンが、アルバム全編で凄くいい仕事をしてるのですが、残念ながら彼はここで脱退。

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オルタナオルタナメタルグランジ

discs 2016-10-03

DIG
I MOTHER EARTH

1993  CAPITOL

古くはUFOやHEART、SURVIVORから、解散までのGUNS N' ROSES全作品なども手がけたマイク・クリンクによるプロデュースで制作された1st。JANE'S ADDICTIONがPOPOL VUH感を出してみたような冒頭の小曲でン?と思うと、続く2トラック目(実質これが1曲目)はPEARL JAMを重々しくしたようなモログランジ。以降、そっちがメインでアルバムは進んでいきますが、しかしやっぱりどこかはみ出したサイケ感もたびたび顔を出し、トレンドに乗り切らない我の強さをこの頃からしっかり発揮していました。

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やたらと野生のバイタリティを漂わす16ビートは、形だけでRHCPに続いたミクスチャー便乗組とは一線を画す風格。極度にハスキーで振れ幅の広いヴォーカルも、デビュー作にして堂々たるものです。時にドヨーン、時にゴリゴリとした横揺れグランジテイストと、グレッグ・オールマンの如きジャム風アンサンブルとを連結したものを基調に、大きめのフックをちゃんと設けて分かりやすさもおろそかにせず、ダレがくる寸前まで淀みを溜めたところでコンガ・ボンゴがタカパカと高鳴る高速回転トラックでキメに来るという、非常に大人な押し引きセンス。

「達者なギターソロは無用」という空気のあったグランジブーム期にあっても、このバンドはゆらーっとブルージーなソロをけっこう平気で挟んできます。が80年代のHM/HRのような「A・B・サビ、A・B・サビの後にイチゴとローソクを立てる」という構築美とは無縁で、アンサンブルの末端が自由変形するかのような柔軟さでもってちょろっと弾いて終わりであったり、逆に体よくサビに戻ることなど考えずにだらーっとやったりと色々。70年代までのハードロック(ないし普通のロック)ではよくあったやり方ですが、当時のこの手のバンドで、こういう時間感覚やグループ表現のレンジを持っていた人達はそう多くなかったんではないでしょうか。

今聴いてもハードロック畑なのかオルタナの一味なのか物凄く微妙なラインですが、ハードロックに片足突っ込んだままオルタナにもなれなかったという「不成立ゆえに中途半端」パターンではなく、どちらも包括する懐の深さがあったのだと思います。その点において「カナダのシブ好みDIZZY MIZZ LIZZY」との形容も可能な気がします。

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オルタナオルタナメタルグランジ

discs 2016-10-03

アーティスト概要 (I MOTHER EARTH)

カナダのオルタナヒーロー的バンド。93年デビュー。1stアルバム「DIG」でいきなり地元の音楽アワード・JUNO AWARDのベスト・ハードロック・アルバム賞を、カナダといえばのRUSHをさしおいて獲得。(RUSHとは以後、密な関係が続く)

初期はややハードロック寄りの感触強めの、ジャム/ファンク要素(ラテンパーカッションがレギュラー参加)もあるシブめかつ祭祀的なグランジサウンドを身上としたが、チャートを戦えるポップセンスもあわせもっていた。

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複数のシングルヒットを放った2nd「SCENERY AND FISH」は本国でダブル・プラチナムに輝き、当時日本でも話題になる(B!誌で)。しかしデビュー後早くから、創作活動に関われないことに不満があったシンガーのエドウィンが脱退。後任を得て更にアルバム2枚を制作するも、レーベルやマネジメントとの軋轢、メンバーの相次ぐ病気・怪我、アーティスティック路線を突き詰めた結果のセールス不振などが重なり、2003年におこなわれた4時間近くに及ぶキャリア集大成的ライブを最後に活動が止まる。

2012年からライブ活動を再開しsoundcloudで新曲も発表。2016年には代表作となった2ndのリリース20周年として初代シンガーが復帰している。

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discs 2016-09-29

CONDITION HUMAN
QUEENSRYCHE

2015  CENTURY MEDIA

分家後第2弾となる2015年作。引き続きトッド・ラトゥーレがヴォーカル。前作より更にメタルキッズ的なマニアックさ・あやしさを増しており、もはや万人受けのど直球でもないながら、恐ろしく意欲的な内容になっています。

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思えばQUEENSRYCHEって、運指の都合で変なところに♯や♭がついたような、微妙だがそこが引っかかりもするギターワークがたまに見られたものです。(たとえば「OPERATION: MINDCRIME」収録"Speak"イントロの開放弦交じりのフレーズなど)

あの感じがこのアルバムでは大幅に復権しており、どことなくばたばたしたツインリードも増量。むろん結果は良い方向(ワタシとしては)。冒頭曲の思いがけなさすぎる歌い出しなど、ヴォーカルラインのクセも同様の傾向でさらに深化。以上、つまるところQUEENSRYCHEっぽさの正体は、ジェフ・テイトでもクリス・デガーモ(G./結成から97年まで在籍)でもなく、マイケル・ウィルトン(G.)だったのではないかという結論に至っている現在です。

このアルバムからの先行公開曲は、のっそりしたギャロップビートにのっそりした刻みのリフが乗る"Guardian"単純だけど何だか型破りな、分家以降の冴えを感じまくります。ギターソロのあやしさはもう事故といっていいレベルですが、無意味に巧過ぎる若手が多い今、こんなのを堂々と聴かせてくれるのは前時代の人しかいないというありがたさすら漂うような漂わないような。

初めて彼らに触れる若い人にこれがどう受け取られているのか見当つきませんけども、忙しくツアーも廻っているようでなにより。近々LOUDPARKで見られる人が心底羨ましいです。完全スルーだった時期を経て、ここへきてリアルタイムで新作を気にするバンドのリストに入りました。

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プログレメタル正統派メタルすごいハイトーン

discs 2016-09-28

QUEENSRYCHE
QUEENSRYCHE

2013  CENTURY MEDIA

分家騒動のさなかに発表された2013年作。94年の「PROMISED LAND」以降はジェフ・テイトがなんとなく内省的なダウンビート感を好むようになり、低音で歌っても魅力のあるシンガーではあったものの、肝心の曲が(続く97年の「HEAR IN THE NOW FRONTIER」以降)いまひとつなことも多く、このまま「当人達のやりたいこととファンの聴きたいものが合致しないまま、ライブじゃ懐メロをやってくれるベテランバンド」になっていくのかーと誰もが思っていたところ、このアルバム。一気にヤル気とアクの強さを取り戻し、華麗なる復活を遂げております。

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ダウナー要素は一掃され、往年に増してがっちりした鋼鉄筋肉質へと変化。新任Vo.のトッド・ラトゥーレが、基本的にはジェフ・テイトに声も歌い方もよく似ていながら、作ったような不自然さはなくて、有り余るパワーで全体の士気を高めている印象です。ちなみにFacebookの投稿を見ても非常にナイスガイ。いい人をもらったねえと、この人事は心から祝福しています。

その勢いで曲にも以前よりカッ飛ばし感みたいなものが乗ると同時に、そこでそのメジャーコード!?と思わず腰砕けになる凄い外し方を身につけてきて、これがまったくもって大正解。先行公開されていた"Redemption"のBメロ~サビの恐ろしいフックなど、ひねくれの極地だった頃のRAGEに勝るとも劣らんインパクトかと。キャリア30年超えにしてこの前進は恐れ入ります。

既存曲の焼き直し感は希薄だし、作曲のベースになる感覚が最近の音楽のパラダイムに染まってしまって「現役感はあるけど、あの味わいはどこ行った」と嘆かわしくなったりすることもなし。誰からも自分達らしいと思われる姿のまま数歩先に踏み込んだ「価値ある新作」として、また聴き応えある楽曲の集積として、凄く評価できる作品だと思います。この波に乗ったままわずか2年のインターバルで次作へと続く。

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プログレメタル正統派メタルすごいハイトーン

discs 2016-09-28

アーティスト概要 (QUEENSRYCHE)

アメリカでメタルが盛り上がらんとする82年にデビュー。超音波ハイトーンシンガーのジェフ・テイトを擁し、デビューEPはIRON MAIDENやJUDAS PRIESTを思わせる欧州的な湿りが正統派メタルリスナーに評価される。続く1stフルでシリアスかつ理知的な路線に舵を切り、脱落するファンもいたが独自の地位を築く。徐々に洗練が進み、コンセプトアルバム「OPERATION: MINDCRIME」でメタル隆盛の時代を制し(88年)、次作「EMPIRE」からのシングルカット"Silent Lucidity"がアンプラグドブームにバッチリはまってトップバンド扱いになってしまう(90年)。

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とはいえ元々コマーシャルさをメインとする音楽性でもなかったのと、グランジ/オルタナブーム以降に採用したダークな内省路線がメタラー受けせず、髪の長いメタルバンドが暗くなったところで市場にも受け入れられず、主要メンバーであったクリス・デガーモ(G.)も脱退して浮き沈みを繰り返す。

往年の正統派路線に戻って活力を取り戻したかに見えた(06年「OPERATION: MINDCRIME II」リリース)が、今度はシンガーのジェフ・テイトとその他のメンバーの不仲騒動が起き、バンド名の使用権を巡って裁判沙汰にまで発展。「ジェフ以外」のバンドは新たにトッド・ラトゥーレ(CRIMSON GLORYに在籍歴あり)を迎え、ジェフは多数のゲストミュージシャンの協力を得、2つのQUEENSRYCHEがほぼ同時期にアルバムをリリースするという珍事も起きる(2013年)。その後、莫大な金で「ジェフ以外」がQUEENSRYCHEの名を勝ち(買い)取り、他方ジェフは自らがコンセプトを考案した代表作のタイトルであるOPERATION: MINDCRIMEをバンド名として、それぞれ活動を継続。

個人的に最高傑作は86年の「RAGE FOR ORDER」。枝分かれ後はトッド・ラトゥーレの入ったほうを支持しています。

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プログレメタル正統派メタル

discs 2016-09-28

STIGMATA
JACK IN THE BOX

1995  PANSER RECORDS

グランジブームが世界中のミュージシャンに対して「これじゃないと食えない」または「いま巷にはこれしかない」という脅しをかけたおかげで、それなりにオーヴァーグラウンドでの活動を標榜していたこの頃のバンドの多くが、まっすぐ好きなものを追求するままに作ったのではない、「やってみっか」的なこの頃だけのダークさ・変化球・野生感 etc.をもった作品を残してくれているのが、ブーム衰退から20年は経とうという今でも興味の尽きないところです。

今回のこちらはノルウェーのバンド。93年のデビューミニに続く唯一のフルアルバムです(のちにデモ音源を含むコンプリートディスコグラフィもリリース)。

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ブーム後発組にも「もさもさした16ビートの野生性で押すPEARL JAM系」、「サバス+ツェッペリンを匂わすSOUNDGARDEN系」、「言い切りの繰り返し&微妙なところも全部パワーコードでいくNIRVANA系」(意外とこれが一番少数)、そこに随時JANE'S ADDICTIONぽいトロピカルファンクが混じってきたり、といろいろタイプがありますが、このJACK IN THE BOXは「元メタルを匂わせる、ハーモニー+整合感のALICE IN CHANS系」に大別されるでしょう。中から人形が飛び出すびっくり箱を意味するバンド名も、おのずとAICの"Man In The Box"を想起させます。

ただし、なんとなく耳にする感じをつないで高品質にまとめた程度のフォロワーではない。グランジに感化されてうまくいったメタル界隈の作品群の中でも、最高峰といえる内容じゃないでしょうか。

ダウンチューニングと休符の重力を有効に使いつつ、調性感のスキマを突くような複雑なハーモニーを乗りこなすギターリフがかなり普通でなく、強烈に耳を引きます。バッキングの域を超えてもはやサブヴォーカルともいえる存在感。初期デモはKING'S Xの影響が色濃かったそうで、なるほど納得です。気になり過ぎて調べたところ、このギタリスト、以前はBLIND ORPHANSというプログレメタルバンドを率いていたとのこと。(←リンク先のサイト、泣けるのでぜひ読んでください)

入り組んだリフにリズム隊がビッタリはりついただけでも充分そこらじゅうがフックだらけになるんですが、さらにその上をまたぐ明快な曲展開、新鮮にして必然さもある転調使いのおかげで、情報量のわりにすんなりポイントが伝わりやすい曲ばかり。長尺展開やグルーヴ推しの表現にも不足はなし。ダーク&へヴィ+αというお題のもと、知力・体力・アイディアがどうにも高次元で実を結んでおります。感服。

ヴォーカルはキレイにメロハーを歌えたりもしそうな、ざらつきと透明感を自由に使い分けるこれまた逸材。1曲だけテノールみたいな声で歌ってるのがあって、それも全然成立してます。たまーにレイン・ステイリー(ALICE IN CHAINS)を模写したり、ダグ・ピニック(KING'S X)になりきってソウルフルなシャウトをかましたりと、芸を持て余すほどの芸達者ながら、その後のキャリアではベース専任でブラックメタルバンドに参加したりと、正体不明なところも。

当時よほど売れたらしく、本国では未だに幻のスーパーバンドとして支持があるようで、おかげでCDも高騰せず中古で入手できます(冒頭でちょっと書いたディスコグラフィ盤は少数プレスだったらしく相場4000円超え)。ちなみにこの1枚で解散した後、ヴォーカルだけ入れ替えて名前もAUTOPULVERと改めて数作リリースしており、そちらはエレクトロ要素を含むパワーポップ路線。ベーシストはノルウェーなだけに再結成TNTに参加したりしています。

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オルタナメタルグランジ

stuff 2016-09-26

RCAケーブル線材比較(MOGAMI 2534 / 同2549 / CANARE GS4 / BELDEN 8412)

旧サイトでもギター用シールドの音質比較をやりまして、今回はオーディオシステムの、CDプレイヤーとアンプの間につなぐRCAケーブルです。20cmそこそこの短さで、さほど影響があるはずもな...ければ幸せだったんですが、残念ながら多少なりともあるように思います。

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海外の楽器関係のフォーラムなどで、メーカーや型式によるケーブルの音質の良し悪しの話が出ると、BELDEN至上主義的な言説はほぼ見かけたことがなく、聞いたこともないヨーロッパのメーカーなどに混じって日本のMOGAMI、更には日本国内じゃ「入門者が通過する」的な扱いを受けているCANAREあたりまで、おすすめリストに現れたりします。BELDENは現地だと逆に「ちゃんと作ってあればBELDENでも何でも充分」くらいの言われ方だったりすることも。

ということもあって近頃は国内メーカーを見直しているところでして、しばらく前にRCAケーブルはBELDEN 8412からMOGAMI 2534に交代させていました。CANARE GS4は4mmという細さが魅力で楽器用に使い始めて(パッチケーブルや、機材の多いログメン用)、RCAケーブルとしても一部導入。で今回は、2534と双璧をなすとされる(?)MOGAMI 2549も試してみて、見事に四者四様という感じだったので、それぞれについてプレゼンを試みたいと思います。

ちなみに、

  • ケーブルを経ることで音は多かれ少なかれ劣化する
  • 劣化のしかたは芯線の種類や径、シールド構造などに依存する

という科学を支持しているだけであって、「床に置くだけで音場が整えられて驚くほど音がよくなる天然木の四角錐」みたいなのはまた別の世界のお話です。(そちらは関心なし)

リファレンス用音源

聴き比べには、DAVE WECKL BAND「SYNERGY」(99年)を使ってます。ドラマーがリーダーのフュージョン作品。楽器単体でもトータルでもコンプ感が極めて薄く、装置の再生能力が高ければ高いだけ、記録された情報が細部まで露わになるような録音なのです。演奏内容や曲も良いので普通におすすめです。ちなみに勝手に師と仰ぐバジー・フェイトン大先生(G.)全面参加。

1. BELDEN 8412

使っていた順でご紹介していきます。まずは楽器界ならベース用としてお馴染みの、「海外のレコーディングスタジオや放送局でのスタンダード」と言われているがきょうび別にそんなことない説もあるこちら。

何にも阻まれずにドボッと出てくる低音域はやはり群を抜いて強力。タム類・キックの破裂感や、ドヨドヨ~っと低音にあふれた音源を再生したときの迫力は一番あります。一方、中高域も鳴るには鳴ってますが、低音が勝ってマスキングされてしまうのか、または可聴域以上の超高音が切れ気味なのか、分離にすぐれているとは言いがたいという私感。低音をできるだけ削ぎたくない楽器単体か、ホームシアターなんかに良いのではと思います。

プラグの中は黒→HOT、白→COLD、シールド→片側のみCOLD。

2. MOGAMI 2534

オーディオに、楽器に、PAにと広く重宝されている、国内メーカーの定番品。傾向としては、歌やスネアが抜けてくる中~中高域に特に焦点が合っている印象を受けます。声の存在感で楽曲を楽しみたい向きにはおすすめ。こんもりと丸まっているわけではなく、品よくスッキリといった感じで、分解能は良好。低域の重量感はちょっとだけ遠慮気味。

そういうバランスなので、8412みたいなパワー感のあるケーブルの後で聴くと、音量小さくなったか?という気がするかも知れません。これはそう悪いことではなく、音量以上のやかましさがない分、再生側で大音量にしても不快になりにくいともいえます。リマスター盤か旧盤かでいったら旧盤に近いというか。

スピーカーが小さい、またはあまり大音量を出せないような再生環境の場合は、「レンジ感に欠ける」という印象に転ぶ可能性もあります。万能というよりは、一芸に秀ですぎているタイプとして認識するのがよいかと。

青2本→HOT、白2本+シールド→COLDで製作。

3. CANARE GS4

細くて安い、CANAREの1芯ケーブルです。シールドが編み銅線+導電被膜の2層構造になっていて、タッチノイズに強いとのこと。楽器用途で、大量の機器やエフェクタを使う人なら、これに乗り換えると体積と重量が劇的に少なく済むので本当によいです。

RCAケーブルとして使うと、刺さるトレブルよりもう一層上のプレゼンスがよく伸びて、倍音成分や金物の空気感がキレイに出る感じがあります。低い方は今回の4種類の中で一番控えめながら、ばっさりロールオフされることなく残っていて、再生側のセッティングで上げればちゃんと出てきます。

押しの強さは無いが各楽器の質感を聴き分けやすいということで、小音量でBGM的に使う場所ではしみじみ良いはたらきをしてくれるかと。我が家でも居間ではこれがレギュラーです。

1芯なのでそのまま芯線→HOT、シールド(被膜はカット)→COLDで製作。

4. MOGAMI 2549

最近はじめて入手したこちら。同社の2534と比べてみると、エンハンサを入れた/切ったくらいの違いがあって面白い。こちらはトレブルの元気のよさに直結する部分と低音が結構出て、そのせいかアタックもやけに鋭く、整えたようなフルレンジ感が容易に出ます。

低域は出るといっても無駄に膨らまず、キックにしろベースにしろ低音の量感とハイミッドの音色成分がピンポイントで立ってくる感じ。タム類の破裂感はBELDEN 8412よりもアザヤカか。アンサンブルの奥に潜んでいた細かい動きがばばーっと照らされて、聴き慣れた音源でも新鮮に感じるのでは。人の声が若干背景にまわる印象すらあり、インストや、情報量の多いテクニカルな音楽にマッチしそうです。

全パート聴きやすいから作業用モニターに良いかもしれないと思いかけるも、中高域の解像度に特化して見通しを確保している「テンモニ」NS-10Mとの組み合わせでは、若干高音がピーキーになり過ぎるきらいもありました。2534とどちらを取るか、これから悩みます。(ちなみにGS4+テンモニもツンチンしすぎでイマイチ)

青→HOT、白+シールド→COLDで製作。

以上、「絶対的ベスト」は存在せず、用途や組み込むシステムの特性・設置条件などによって選択すべしという結論で、あいまいかつ当たり前にシメておきます。作れば安いのでいろいろやってみてください。

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notes 2016-09-24

リニューアルしました

2000年頃から続けているこのサイト、今もご覧いただいてる方々本当にありがとうございます。バンドで共演した人やお客さんからブログ見てるぞと言ってもらえることが今でもたまにあって、しかし近頃はそのたびに「すっかり更新滞っちゃっててすみません」と返すしかなく。完全に止めてしまうと、使ってない頭が更に弱くなりそうだし、維持しやすいようにどうにかしようと思ってひさびさの大改修を施してみました。大雑把にはaboutのページにも書いたとおりです。

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CDを以前ほどバカスカ買わない生活に変化したのを受けて、「新しく聴いてよかった音源を紹介し、それがただ時系列でたまっていく。しかも常に日記とレビューがセット」という作りをヤメるとすると、いかにまとめ直すのがよいか、人知れず思案すること実は2~3年が経っておりました。

往年の手作りレビューサイト群も、それらを繋いでいたリンク集・ランキングサイトもとっくに404エラーの波間に消え、そこら中のトップページというトップページのメインタイトル下あたりをあんなに賑やかしたMARQUEEタグは非推奨の烙印すら押される時勢に、何か目的があってPVを集めたいでもない、人を巻き込んで何かを興すでもない、ただただ個人のお勧めを集積していくだけの個人サイトをいま作ってどうなるのか、どういうものとして受け取られるのか、そもそも受け取る人いるのか?と考えもしつつ、手をつけてみたらうまいこと設計できたので、やる理由はさておきというか半分くらいは自分のために、そのまま運用開始に踏み切った次第です。(相変わらず句点をうまく打てない人生が続く)

コメント欄もつけてないしアクセス解析も入れておりません。SNS等で言及していただける際には、記事タイトルからパーマリンクが取れますのでご活用ください(discsについては「~.html#6桁の数字」が正式なURLです)。今ある数件のエントリーが示すとおりの方向性になりそうですが、引っかかるところのある方は、トイレ中のヒマつぶしにでもお役立ていただければ幸いです。

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discs 2016-09-24

アーティスト概要 (MERCIFUL FATE)

NWOBHMと地続きのタイミングでデンマークから現れた、オカルティック様式美メタルの家元。82年デビュー。

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KISSメイクとブラックメタルのコープスペイントの間をいく白塗り+隈取りのシンガー、キング・ダイアモンド(ソロ名義でも活動)の完全に裏声なハイトーンと、いわゆる泣きではないホラーファンタジー風の大仰な演出が施された楽曲が特徴。独特すぎてフォロワーの列は生まれなかったものの、スウェーデンのCANDLEMASS、アメリカのSAVATAGEらと並んで、パワーや感動で押し切らない暗黒メタルの裾野を広げた。

「デトロイト・メタル・シティ」以降、日本のお茶の間に定着する「メイク、悪魔/破壊、シャウト、うさんくさい」というへヴィメタルのイメージに最も近いかも知れない。が前述のとおり決してへヴィメタル代表ではない。

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様式美・クラシカルメタル