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MERCIFUL FATE

アーティスト概要

NWOBHMと地続きのタイミングでデンマークから現れた、オカルティック様式美メタルの家元。82年デビュー。

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KISSメイクとブラックメタルのコープスペイントの間をいく白塗り+隈取りのシンガー、キング・ダイアモンド(ソロ名義でも活動)の完全に裏声なハイトーンと、いわゆる泣きではないホラーファンタジー風の大仰な演出が施された楽曲が特徴。独特すぎてフォロワーの列は生まれなかったものの、スウェーデンのCANDLEMASS、アメリカのSAVATAGEらと並んで、パワーや感動で押し切らない暗黒メタルの裾野を広げた。

「デトロイト・メタル・シティ」以降、日本のお茶の間に定着する「メイク、悪魔/破壊、シャウト、うさんくさい」というへヴィメタルのイメージに最も近いかも知れない。が前述のとおり決してへヴィメタル代表ではない。

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ディスクレビュー

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TIME

1994  METAL BLADE

94年リリースの再結成第2弾。スラッシュメタルブームを経てのグランジムーヴメント真っ只中という制作時期はほぼ影響していないようでいて、基本のオカルト様式美テイストに心なしか時代なりのソリッドさとねっとり度を増した質感になっているような。

当時さほど騒がれた記憶はないのですが、時の試練を経た今では傑作扱いになってるらしく、これだけ曲が立っていればそれも納得です。

あくまで基本路線を突き詰めた頂点ということで、BLIND GUARDIANでいうところの「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」、MORBID ANGELなら「COVENANT」の感覚でしょうか(=バンドの名刺代わりたるインパクトは初期作に譲るが、金太郎飴的ダレ感が漂う手前で洗練の極致にある)。
御大キング・ダイヤモンドのインチキハイトーンはというと、別段逞しさを増すこともなく、堂々とあやしさ全開。コーラスワークに相当凝った場面も多くあり、大勢のキング先生に一度に責められる感覚はちょっと凄いです。

ソリッドだねっとりだという印象も、単にサウンドプロダクションによるところなのかも知れないのですが。像がぼやけるほどのリヴァーブは掛けず、ギターはムッチリ太いが異常なフルレンジではなく、トータルの圧縮感が今よりまだまだ抑え目の90年代メタルサウンドで録れてます。初期作は80年代特有のバシャア...と伸びてアタックにも欠ける例の音作りが味わいでもあり、聴きづらくもあって、自分の世代的にはこっちのほうが俄然ありがたい。

この頃はMORGANA LEFAYやTAD MOROSEなど、シンプルな興奮に解を求めないねっとりミステリアスメタルが、世のダーク/へヴィ礼賛ムードの恩恵を受けて健闘していた時期でもありました。こうして90年代サウンドに収まったMERCIFUL FATE節を聴くと、その手のスタイルの影響源として彼らの存在も大きかったんだなということがわかりやすく認識されます。

アートワークの面では、ファンタジックなイラストでいくスタイルを捨てた、黒地+頭蓋骨写真のみという潔さで、シンプルさの重みでどこまでいけるか的なこの頃の空気を、これまた反映していたのかなと思います。ということでリアルタイムでメタラーだった人には色々懐かしい要素も多い1枚。1曲目は「へヴィメタルシンジケート」で流れたなあ~と買って聴いて思い出しました。

様式美・クラシカルメタル