SCSIDNIKUFESIN

5 Nov, 2014

▼今回は機材の話題づくしでまいります。

▼自宅のオーディオまわりも、バンドで使っているギターアンプも、スピーカーケーブルをBELDEN9497から同8470に替えました。ギターアンプのほうは、練習の途中でおもむろに差し替えて1曲演奏してメンバーに意見を乞うてみた(メーカーも品番も伝えないブラインドテスト状態)ところ、「(8470のほうが)耳障りな高音がなくなった」との事。ツマミはどこも触ってないのかと訊かれたくらいなので、じゅうぶんな有意差があったと思います。

オーディオのほうも、高音のつまびらかな解像度がやや抑えめになる代わりに、存在感に関わる中低域の響きが少しリアルになった気がします。画像処理ソフトでアンシャープマスクをかけると細部までクッキリするけど、そのままにしておいたほうが遠近感が自然、みたいな差に似ている気がします(前者が9497、後者が8470)。絶対的な情報量の優劣が大きく開くというわけではないと思うので、目指す音作りやその他の手持ち機材の性質とあわせて選ぶといいと思います。

9497も8470もド定番ですが、ネットで検索するとどちらかだけ良し悪しのレッテルを決めるような言葉で論じられているのを多く見かけるので、ワタシなりのインプレとして。

▼以前さんざん迷ったピック選びの旅(参考1参考2参考3)は、低音弦のパワーコードをバツッと鳴らしたいときはSCHECTERのウルテムジャズピック0.88mm、自宅でぺろぺろと遊ぶ分にはJIM DUNLOPのデルリン0.71mm、という線で落ち着きました。

141105pick.jpg

ジムダンのデルリン0.71mmは、素材のツルツルさ、フチがぺらぺらに薄い独特の形状、しなりにくい剛性とそれでもしなる薄さのバランスが絶妙。振り抜いた直後にHERCOの金みたいなペチッとした感触があって、ニュアンスのコントロールも大変しやすく(特に弱音)、弾いてて楽しいピックです。先端が全然尖ってないのでメカニカルな速弾きはちょっとやりづらいですが、薄さとスベリの良さゆえ、細かいフレーズ自体は全然快適にやれます。カロヤカなカッティングなんかに一番バッチリはまる気がします。

いっぽう太い低音弦のパワーコードなどを、アタックの頭を揃えてどぅ~んと鳴らしきるには、弾き方もいろいろ試しましたが結局、一定の厚みまたは固さがあるとワタシとしてはラクという結論に。端が切り立ちすぎていると引っ掛かりが強くなり、ツルツル過ぎるとアタックはカチカチ鳴るが弦を充分に震わせきれず…というところで、SCHECTERのウルテム0.88mmがたまたま理想に一番近かったのでした。横幅が広めのちょい大きめジャズピックシェイプも使いやすい(IBANEZのポール・ギルバート・モデルに近いサイズ感)。ピッキングノイズが少なめで実音がハッキリ鳴って、しかし適度に明るさもあり。その要因になっているのが表面のクモリ加工なのか、素材の混成比率なのか、端の処理なのかは未検証。これから使い込んで持久性を確かめるところです。

巷じゃウルテムがとにかくもてはやされてますが、「薄くても硬い」を特に求めなければ、ポリアセタールも全然いい線いってると思います。以上、ご参考まで。もう1件機材の話があるんですが、長くなってきたのでそちらは次回。

THE ALMIGHTY - Psycho-Narco

本日のレビュー:THE ALMIGHTY「PSYCHO-NARCO」

今では忘れ去られているか、はじめから知られていないことも多いであろうこのバンドについてご説明します。
80年代末、タフ系ハードR&Rを引っさげてイギリスに現れた彼らは、ポスト・ガンズ→オルタナ大流行の潮目にちょうど乗って一度は新世代の旗手とかつがれかけたものの、思ったより厳しいメタルへの逆風、更に「自国バンドに対して異常に厳しい地元イギリスの音楽メディア」の冷遇(と当時伝えられましたが実際の温度感は不明)により苦戦を強いられ、グランジ化(ALICE IN CHAINS寄り)→ややメロディックパンク化(BAD RELIGION的な)を経て、96年の「JUST ADD LIFE」を最後に解散してしまいます。
その後再結成して復活作を作っていたことは耳に入っていましたが、復活第二弾のこれが出ていたことは、中古盤屋の店頭でつい最近知りました。ちなみに現在では再解散をし、スター性のあったギターヴォーカルのリッキー・ウォリックはジョン・サイクス離脱後のTHIN LIZZY再現プロジェクトに参加して、そのままBLACK STAR RIDERSと名前を変えて新作を作ってしまったりしている模様。

ということで今回のこちらは2001年リリース、通算7枚目のスタジオアルバムということになります。作風は「CRANK」と「JUST ADD LIFE」のちょうど中間をいくような、ヘヴィネス・コンシャスかつジャージャカジャージャカというパンキッシュ~ガレージ的なノリも多めにあしらった、ブレない骨太男形ロック。
リフとリズムのパワーによって叶えられる「ハードなロック」の本来的なエキサイトメントの回路にしっかり根差していて、文脈的なシャレで遊ぶことのない至極シンプルで肉体的な音楽だと思うのですが、こういうのはメタラーにとっては非メタルであり、非メタラーにしてみれば「メタルのフィールドで何かやってる奴」として視界にも入らず、輝く場がないままになってしまっているのがまことに嘆かわしい限りです。キャラ立ち著しいリッキーのヴォーカリゼーションもあることだし、「ちょっと重すぎるイギリスのFOO FIGHTERS」的な立ち位置に至っていてもおかしくはなかったと思うのですが。

ついでにこれは完全に個人的趣味ですが、一度グランジにかぶれたことがあるメタル畑のバンドは、いつまで経っても「モダン」なつもりでグランジっぽいことをやってくれて、もう彼らのほかにそんなことをするバンドはほとんどいないので(といいつつ近頃確信犯的グランジリバイバルも来てるみたいですが)、その頃が青春だった身にはとにかくありがたいです。

THE ALMIGHTY入門には、豪腕路線が最も盛り上がった「CRANK」あたりがオススメですが、イマドキの耳にはこのアルバムくらいの感じのほうが好ましいバランスかも知れません。良いバンドなので、ぜひ再顧を。