SCSIDNIKUFESIN

29 May, 2011

▼LEDだけ点灯するが電力を供給しなくなってしまったGUYATONEのパワー・サプライを「部品取り、または修理できる方どうぞ」といってヤフオクに売りに出す前に、念のためネジを外して裏ブタを外してみたら、電気回路のことは分からないが明らかに「これをここに差せばオッケー」という感じのパーツが基盤から外れてフリーランス・ニート化しているのを発見。こんな検索までして苦手なハンダづけを敢行し、自宅用のパワーサプライが無事復活してよかったな。いや、言いたかったのは、ちゃんと基本のやり方を調べてからハンダづけしたのは良い選択だったなということでした。この調子で人としてのいろんな基本もちゃんと調べたほうがよさそうです。
WATCHTOWER「CONTROL AND RESISTANCE」

本日のレビュー:WATCHTOWER「CONTROL AND RESISTANCE」

マスメタルの元祖としてこの日記でも何度となく名前が出ているバンドの89年2nd。フュージョンの素養らしきものを持ちながら激テクユニゾンと変拍子を多用してとにかくハイテンションにまくし立てる、テクニカル&エクストリームなロックの系譜の中で非常に重要な功績を残したバンドです。85年にリリースされた1stからはリズム隊以外が入れ替わっていて、RIOT(「THUNDERSTEEL」から参加)~HALFORDで活躍したドラマーのボビー・ジャーゾンベクの兄弟であるロン・ジャーゾンベクがギター、HADESNON-FICTIONPOWERのアラン・テッシオがヴォーカル。
後発のSIEGES EVENの1stに影響を受けたって話もありますが、1stに比べて更に変態度が増し、拍子が崩れるような変拍子と奇怪なスケールを連発して、巨大コンピュータが暴走するSF映画(しかもアメリカ制作)みたいな超屈折マスメタルを大成。VOIVODが初期のテンションを保ったまま「NOTHINGFACE」の深みに到達したような、SAMLA MAMMAS MANNAがスラッシュメタルに目覚めたような、とにかく大変な事態ですので、周辺の音楽に影響を及ぼすメタルシーンの肝心な音源をかいつまんで聴いていただいているような方々にもぜひチェックしていただきたい。普通にメタラーでテクニカル系のものが好きな人なら、これを聴いてないのはグラインドが好きでTERRORIZERの1stをスルーしてるのと同じ。好きずきだからいいんですけどね、しなくていい出費が抑えられるのは確実です。
今回おもむろにこの盤を取り上げたのは、3曲目に入っている"Mayday In Kiev"という曲を思い出したから。むかーし暗記のようにして覚えた歌詞や曲名が、記憶の中で反芻してたら数年越しに突然意味が分かったみたいな経験ないでしょうかね。キエフはチェルノブイリ原発のあるウクライナの首都、4月26日に起きた事故の詳細をソ連政府が明らかにしないまま市民が大量被爆しながらのパレードが行われたのが5月1日のメーデーであります。WATCHTOWERは1stにも"Meltdown"という曲があって、調べてみたらやっぱりスリーマイル島事故のことで、サイエンスと社会問題には関心の高いバンドなんだな...と思って"Mayday In Kiev"の歌詞を検索してみたら、何の含蓄もない事実の羅列でちょっとガッカリしました。
だけど曲はカッコイイです。とか言っていいのかどうか分かりませんが、これで何かを考え始めるのであれば、作り手の思いには添うことになると思います。
ちなみにチェルノブイリ原発事故については、この再現映像(むきだしの赤い炉心を写した実際の映像も入る)が簡潔かつ非常に訴えかけるものがあります。BBCのドキュメンタリーにテロップとBGMを合成したものの模様。さらなる水蒸気爆発を防ぐために汚染水のプールに有志がダイブする(遠隔操作できない栓を抜きに行く)くだりなんかは、しばらく脳裏から離れませんでした。