SCSIDNIKUFESIN

12 Jun, 2011

▼過去ログ移行ぼちぼち進めてます。「カテゴリ」タブをクリックするとそれぞれのカテゴリの登録件数が出ますので活用してください。2003年4月遠いなしかし...。
▼今日はLOVE WILL TEAR US APARTのレコーディング2回目。残る5曲の歌・コーラス録りを4時間程度でスッスッと完了。たまに人のレコーディングを手伝うと思うんですが、メンバーの誰かの投げかけに対して他のメンバーが反応してバンド全体としての合意・意思決定に至る流れってのが、バンドによってほんとにそれぞれ違って面白いです。そうかこれからライブの打ち上げの席でつい自分vs.料理の皿って感じになりそうなとき(酒飲まないゆえの食欲+人見知りによって9割方そうなる)は「バンドでXXするときどうしてますか」でいけばいいかな。
そして録音後は栄の天下一品。しばらく来れてなくて凄く久々だったので、どこ行くっていう流れになっておもむろに「天一」と言い出してくれた久保田君に実は今とても感謝しています。いつだって思うが天一はベッキーの何なのさ。
▼そういえば昨日の収穫、バンド練習後に一瞬寄った上社ブックオフでROYAL HUNT「CLOWN IN THE MIRROR」、珍しく当時のプレスの外盤が250円だったので懐かしさのあまり。
ROYAL HUNT「CLOWN IN THE MIRROR」

本日のレビュー:ROYAL HUNT「CLOWN IN THE MIRROR」

95年2nd。日本で凄くプッシュされて人気も猛烈に高かったけど個人的には別に好きになりどころがなかったバンド、てのはときどき当然あって、ROYAL HUNTはその筆頭でしたすみません。お前の激推ししてるENCHANTとかATOMIC OPERAとかSANVOISENなんて他の誰も聴いてないじゃねーかとツバ吐きかけながらどうぞ殴ってください。しかしまあ中学時代に「いつもバーンに載ってるこのバンド、どんなんだろう」とワクワクしながら文字だけ追っていた時代があったので、初期作の外盤にはちょっと惹かれて買ってしまいました。心底所有したいわけじゃないが目の前のこの希少盤どうしようと迷ったとき、この250円で他に何ができる?これくらいで迷うならすぐ買えば?というセオリーで今まで来ましたが、今やいい感じの豚肉を代わりに買って帰れると思うとバーゲンCDとてやっぱり安くない買い物です。
さておき内容。何がそんなに90年代メタルキッズのハートをつかんだのかを考えたいと思います。パッと聴くと、テンポはさほど速くないし大して華はないようにも思うんですが、シンセがバッキング時においてもギターとイーヴンかそれ以上の比重を持ち、シンフォニックでキラキラしている。プログレが転じて80年代には激泣きメロディアスハードになったオランダのKAYAKあたりに近いバランスです。それまではネオクラしカル/様式美メタルで聴かれるシンセといえば、ギターの重圧ありきでその背景程度か、せいぜいソロバトルの引き立て役だったことを思うと、新鮮といえる域だったかもしれません。特に80年代はギターの時代だったし。
加えて「いわゆるQUEEN的」なキラキラコーラス、そして執拗に絡むディミニッシュコード。ROYAL HUNTはディミニッシュの使い方が一級品だと当時は言われてましたが、クラシックをよく知っていて深いところを突いているというよりは、やたらめったら濫発してるとしか...しかしそれでも燃えるか、胸やけするかは好み次第。主役が二度も交通事故に遭ったりするくらい筋書きもへったくれも崩壊した韓流ドラマが「ここまでのものは今までなかった!」といって受け入れられたように、別にそれが正統かどうかには構わず「心打たれたから好きになった」という人をたくさん作ったんでしょう。それが多勢になればいつの間にか正統となるわけで。GLORYも220VOLTもTAROTもそんな域までは踏み込まなかったという土壌を新規開拓したという意味では、立派なイノヴェイターだったといえます。あと、このやりすぎ感は、その後のCHILDREN OF BODOMとかSONATA ARCTICAなどにも大いに通じるところがあります。最近の新しいメタルバンドが好きな若いリスナーの間では「神盤」扱いだったりするのかもしれませんね。このバンドやSTRATOVARIUSあたりが現代的な高機能メタルの礎を築いたと思えば感慨深い。
ちなみに3rdからヴォーカルが代わりますが、初代のこの人はいかにもSHRAPNELのおかかえシンガーになった方がいいような、マイナーメタルが板につく安定感のあるハイトーンの持ち主でいい感じです。D.C.クーパーの中低域のエグみが苦手だからROYAL HUNTは嫌いだったという人がいたら、1st・2ndを手にするといいでしょう。
とりあえず期待していたノスタルジーは得られたので満足です。個人的には、同じ90年代中期のキラキラ冷涼感が楽しめる北欧メタルならNATIONの1stのほうを100倍推しますが。(気を悪くされたファンの方がいたらほんとにすみません...。)