物色日記−2007年4月

※頻出語句解説はこちら
  4月30日
収穫はなし。外食チェーン「サイゼリヤ」の子供用メニューにある間違い探しは、時々もの凄い卑劣ですよね。

【本日のレビュー:SUSIE IBARRA「RADIANCE」】


TZADIKのORACLEシリーズからもリリースがある女流アヴァンドラマーの99年リーダー作。ピアノとヴァイオリンとのトリオという変則的な編成にて、室内楽がサラサラと風化したような不思議に美しいコンポジションを演奏しております。テーマとインプロの境を曖昧にしつつ、それぞれの小編を音楽的ないし楽曲的に聞かせるようにコンパクトにまとめあげてて、ちっとも難しくならないのがよい。そしてスージーさんの女性ならではの清廉なリリシズムよ。これかなり秀逸です、TOWN AND COUNTRYあたりの延長線上でポストロッカーも聴ける感じ。

  4月29日
収穫はなし。発見次第試したいのはJT「マンゴープリン」

【本日のレビュー:DEFTONES「AROUND THE FUR」】


以前はいわゆるニューメタル系の端くれだろうという印象が強くてパスしていたバンドです。最近の好みに合う気がしたので購入。97年MAVERICKリリースの2作目です。どよ〜んと垂れ流れる高粘度重量ビートはQUICKSANDを、ここぞというところで微妙な音選びのカーテンを成すギターワークはSHINER一派を思わせる逸材ではないですか。いかにもグランジという躁鬱ヴォーカルは少々あざといものの。世に出てから10年経ちますがまだイケてます。スタイルの選択云々の話より、単純に器としてセンスがいい人達ですね。緩急の効いたリフの冴えること。いかにも軽々しいジャケで随分と損してるんじゃないでしょうか?お陰で安く買えるようになってるので、市場に有り余ってるうちに捕獲しときましょう。

  4月27−28日
本日28日の収穫、バーゲン初日の今池P-CAN FUDGEにてRYPDAL & TEKRO「RYPDAL &TEKRO」(ECMのテリエ・リピダルとTNTのロニー・ル・テクロの珍品共演作!!)、SUSIE IBARRA「RADIANCE」、AL DI MEOLA/JOHN McLAUGHLIN/PACO de LUCIA「FRIDAY NIGHT IN SAN FRANSISCO」(リマスター)、TENEBRA「TENEBRA」、300円コーナーからJOHN GREAVES「ACCIDENT」、DEFTONES「AROUND THE FUR」。ついでに栄マナハウスでの合同セールにハシゴしたら、時間が早かったので先にジャズ・シンに寄ってART ENSEMBLE OF CHICAGO「SIRIUS CALLING」、件のセールではSUN RA「NUCLEAR WAR」、BUDGIE「IN FOR THE KILL」。意地の悪いにわか雨にやられつつ、久々にいろいろ廻ってバーゲン・デイを満喫しました。

【本日のレビューその1:JOHN GREAVES「ACCIDENT」】


HENRY COW〜NATIONAL HEALTHに在籍したジョン・グリーヴスの、「KEW RHONE」に次ぐ初の単独名義リリースです。録音が81〜82年とあって、ポストパンク/ニューエイジに影響を受けてデジタルシンセ類を頻用。しかしこの歪みきったシニカルな歌心はカウ/ハッピー共同戦線直系で、そのくせ時々やけにマトモだったりする辺りも含めて、何とも居住まいが悪い。しかもグリーヴス自身によるヴォーカルが心なしかキャルヴィン・ジョンソン似で尚更あやしい。手のつけようがない宙ぶらりんポップスです。復活後のJOAN OF ARCやXIU XIUなんかに通じたりするかも?NATIONAL HEALTHでの盟友ピップ・パイルやら、何故かMAGMA/ZAO他のヨシコ・セファーも参加して豪華なアヴァンポップの名盤でした。

【本日のレビューその2:RYPDAL & TEKRO「RYPDAL & TEKRO」】


そういえば出てました、ECMお抱えトンガリギタリストのテリエ・リピダルと、メロディアスハードロックバンドTNTでバキバキの速弾きを聴かせていたロニー・ル・テクロの94年の共演作。ノルウェーつながりというだけでえらいもの作ってくれたもんです。客演陣に有名人がいないか調べたところ、ドラムで参加のアウドゥン・クレイヴはニルス・ペッター・モルヴェルあたりとつるんでJAZZLAND界隈で活発に活動している人のようです。シンセは普通にTNTに参加していたダグ・シュトッケ。内容的には正にハードロックのギターインストものとアヴァンフュージョンの中間で、VAGABONDのような爽やか変態リフレインも挟みつつ、唐突にパット・メセニーの真似はするわ(リピダル)、おもむろに歌うわ(テクロ)、グダグダなやりたい放題っぷりが凄い。こりゃどっちのファンにもキツイでしょう。双方の世界観を理解して挑めば面白すぎる珍品です。ずっとツーバスを踏み鳴らしながら謎の低速ポリリズムを回していく冒頭曲だけ、フレドリック・ソーデンタル(MESHUGGAH)のソロみたいで異様にかっこいい。

  4月26日
本日の収穫、近所のブックオフにてSPREAD EAGLE「SPREAD EAGLE」。RIVERDOGSとTRIXTERが大好きなので、同じように埋もれた優良バンドがないかと、このへんのどうしようもないCDをつい買ってしまいます。今回もSKID ROW+BADLANDSもどきのナスティ系でした。曲名に"Hot Sex"とかある時点でもっと警戒しなきゃな〜…。当時のMCAは(MCAに限らんけど)バカだ。

【本日のレビュー:DON CABALLERO「WORLD CLASS LISTENING PROBLEM」】


買ったその日は結構イマイチな印象だった再結成作を、ライブを見た翌日ということで今一度よく振り返ってみます。まず第一にこのアルバムは、大音量にして聴かないとダメですね。1回目のレビューでも書いたことですが、ギターの音圧がドラムの音場を食い気味なマスタリングもしくはミックスで、小さい音量での再生はそれがより顕著になります(残響成分が聞こえづらくなって余韻の短い楽器が負けるため)。少々近所迷惑くらいまで上げてやると、ギターリフの面白さ云々がドラムの凄まじさの二の次になって、現在のこのバンドのあるべきバランスが再現されます。

 そして音楽的に本当に何かが変わったのかというと、表面上さしたる差はないはずなんですが、決定的な違いはといえば、新加入のメンバーが「ドンキャバになるようにやっている」ところでしょうか。解散以前は、リフががっちりしたメタリックな作風から、BATTLESへとつながるイアン・ウィリアムズの実験的アイディアに徐々に侵食されていって最終的に「AMERICAN DON」でのスタイルへと至ったという、ヴィジョニスト同士のせめぎあいから自然と音楽が生まれていたようなところがありました。今回は「さあドンキャバが帰ってきましたよ、リリースはRELAPSEですよ」との枠組みが先にあって、音楽はあとからそこについてきたという印象があります。しかしその中で一番目を引いたのは結局、かつてないダウンチューニングで凶々しくけしかける冒頭曲や、SPEAKING CANARIESの如く爽やか80年代ハードロック風にキメてしまった5曲目などであった(私個人の感想として)ということで、何にも気兼ねしない新機軸こそが一番「今回のドンキャバこれか!」と唸らす説得力を持っていたように思います。イアンはもういないことだし、心機一転っぷりをもっと強調してくれれば素直にガツンと来たのに。

 ということで結論としては、新メンバーは自分の裁量を信用してバンドを生まれ変わらせなさい、といったところです。MASTODONもビックリの激激激デストロイヤーになってくれりゃ幸せ。

  4月25日
▼本日はクアトロへ行って参りました。DON CABALLEROジャパンツアー名古屋公演!いやー凄い体験だった。毎度長すぎるライブリポートがどうにかならないものかと悩ましいので、今日こそ何とか手短になるように頑張ってみます。

▼1番手はいきなりお目当てその1・AS MEIAS。これぞ日本人というガッチリ鉄壁のまとまり。メンバー各自の「なんとなく」が重なって、というのではなく、城の石垣の如くムダなく綿密に組まれたアンサンブルが圧倒的。1曲1曲が長めのはずなのにそうとは感じない。クリスマスソングのような清浄なメロディセンスもやはり魅力。思ったよりゆったりめの選曲が目立つ中、昨日のレビューで紹介した新EP1曲目はやはり突出してインパクト大!どんなに恐ろしいポリリズムでも常に拠り所となる金物が刻まれていて気持ちよく頭を振り続けられます。個人的にはもうこの路線に振り切ってガンガンと、殺すぞオラ、数えてみやがれワレ、という調子でいってくれればいいと確信しております。

▼FROM MONUMENT TO MASSESは非常に大雑把に要約すればダンサブルなSIGUR ROSという感じ。マスロック風のギターワークだったけどリズムは思ったほど複雑でなくてメロディ感も割と素直な哀愁が目立ちました。SEQUENCE PULSEは和みトロニカの人力ポストロック化という感じのザッツ東京サウンド。このインスト2バンドが割と長めで、ここまでが終了した時点で既に21時40分に。

▼そして本日の主役、DON CABALLERO!ドラムのデイモンは「北斗の拳」の無茶な悪役ばりの非人間的サイズな巨人で、まずはそこに驚愕。演奏は、ツーバスを絡めた竜巻のようなフィル(というかずっとフィルみたいですけど)の壮絶さもさることながら、ロンドンからパリまで聴き手をブンブン揺さぶる伸縮自在なグルーヴが凄くて、何曲聴いても麻痺しない。今すぐジミー・ペイジとロバート・プラントにかけあってもらいたいくらい。最新作の曲は、CDを聴く限りでは展開がガッチリし過ぎてちょっとスリルに欠けるとの印象でしたが、ライブにおいては(ギターが一人減ったこともあってか)脱拍子やフリーパート挿入が随時フレキシブルに行われ、以前の曲と並べて違和感はまったくありませんでした。とにかく一音一音の強度が半端じゃなかったな〜。ナタで叩き斬られるようなライブを見ると、ああ今日はいい所に来たという気持ちになります。文句なしのキラー・ショウでした。

▼ということで残る東京公演も見に行ける人は行った方がいいですよ!おすすめです。

【例によってレビューは割愛です。すいません。】

  4月24日
本日の収穫、ひさびさのSTIFF SLACKでORANGE 9MM「TRAGIC」(中古)、AS MEIAS「CATUNE THE EP SERIES - BETWEEN THE LINES VOL.3」、そして明日のDON CABALLERO名古屋公演のチケットも。こういう音楽はポストロックと言われるのか、と認識した最初のバンドがドンキャバだったりしました。その後中心メンバーのデイモン・シェ(ds)は結局VAN HALEN信者のマジメタラーであることを知ったわけですが。美エモでMESHUGGAHに挑む東京のAS MEIASもようやく見られるし、実はメタル・ナイトですね。楽しみ。

【本日のレビューその1:AS MEIAS「CATUNE THE EP SERIES - BETWEEN THE LINES VOL.3」】


リリースになったばかりの2曲入りEP。メンバーの面々が昔やっていたバンドに関してはあまり詳しくないのですが、もっぱら国内屈指のMESHUGGAH狂であるギターヴォーカル高橋氏の現在形をチェックすべしとしていち早く捕獲してきました。1曲目、奇数拍子が乱反射するようなグルーヴは正にMESHUGGAHまんま。しかしそれをえげつない低音極悪リフではなく、APPLESEED CASTやAMERICAN FOOTBALL彷彿型のホープフルな美エモ・スタイルで実践。ほえ〜〜。これはなかなかないでしょう。アメリカ人が同じ発想を持ったとしてもこんなに律儀に作りこんではこないはずだし、また「いわゆる東京ポストロックのカタマリ」にはない頑固一徹な思い込みも感じます。巨人の星。一転してスローテンポな2曲目は、ヴォーカルラインの祈るようなロングトーン(この曲に限らずAS MEIASの作風において常に印象的です)が高潔な空気感を作りつつ、終盤に向けてじわーっと上昇カーブを作る8分強の大曲。たった2曲で充実の15分、こりゃ明日のライブに俄然期待が高まります。フルアルバム望む!

【本日のレビューその2:ORANGE 9MM「TRAGIC」】


STIFF SLACK店頭でずっと売れ残っていたのに気付いてませんでした。裏ジャケをよく見たら「Produced by D. SARDY」、BARKMARKETのデイヴ・サーディ!なので即買い。96年ATLANTICリリースで、グランジの洗礼以降の90年代ヘヴィジャンク最後の生き残りといった感じの、非常にガッツィーな内容。というか普通にBARKMARKETっぽいです。重量級の16ビートで執拗に殴打を続けるようなこの感覚が何とも痛快ですね。メジャー所属のしかも二番煎じということで多少の胡散臭さはありますが、その「時代に呑まれてる感」も含めてたまらなく愛せます。ブームとしては一過性に終わったけど、ロックのエキサイトメントのかなり根源的な部分をとらえた音楽だったと思うんですなー。プロダクションは無論バキバキムチムチの迫り来るアナログ感全開で最高、HELMETの「BETTY」ばりにバスドラがでかいのが挑発的でイカス。これは90年代フリークが見過ごしちゃいけない1枚でありました。

  4月22−23日
▼「手持ちの機材の出自を調べる」というのをやってみたら、これがなかなか面白いのであります。安物買いの銭失いも得意ですが、適当に買ったのが実は良いものだったりするとなかなか嬉しい。ということでまずはギター。

 99年か2000年頃に、アウトレットで元値の4割(約6万円)にて購入したHAMER Studioのフラットトップです。選んだ理由は「スコット・イアンが使ってそうな雰囲気だから」。日本ではあまり耳にしないHAMERというメーカー、GIBSONの職人が独立して開いた会社らしく(それ以上の詳細はWiki参照)、全ての製品はハンドメイド・イン・USAとのこと…おお上等。確かに他に所有しているどのギターよりもズバ抜けて出力が大きく、深く歪ませてもノイズが気になりません。

 ネック裏のシリアルナンバーの読み方は、一番左の数字が製造年の下一桁、そこから先は創業以来の通し番号だそうで。ということでこれは94年製ということが判りました。今までずっと、アウトレットとして売られていたのは、わずかな塗装ムラか何か難があるからなんだろうとばかり思ってましたが、ただ単に売れ残り処分だったんでしょうね。しかし94年の私(中学2年)といえば、嫌々在籍していた卓球部をやっと脱出し、代わりにヤングギター誌で自主練を重ね、BURRN!誌で世界を学んでいた頃。うーん、いい話にしたいだけのコジツケでした。

 次は歪みの定番、PROCO「RAT」。これは確か2000年に新品で購入しました。LEDつきの「RAT 2」ではないということは知っていましたが、よく見りゃロゴの色が反転バージョンの白地+黒文字。すわヴィンテージの売れ残りか?と思って調べましたが、どうやら旧ロゴタイプを模したリイシューとして90年以降に生産されたもののようです。中のポットに刻まれた番号から、これまた94年製であることが判明。

 そんだけかーと思ったら、オリジナル版は「LM 308N」というレアなICが使われていて現行モデルには別のものが載っている、という情報を得て(これもWikiにて)、試しに見てみたら正にそれが鎮座しておられたのでした。アンプライクな倍音の豊かさ、スキージャンプの一流選手の如くズィーーッと伸びるサスティンなど、RATっていいよなあとつくづく思っていたのはこれのせいだったんでしょうか。うむ、実はポテンシャルに気付いていたことにしたいだけです。

 しかしやっぱりメインの歪みに使うにはちょっと、カラッとし過ぎて密度とレンジ感に欠けるところが(JCユーザーには)いまひとつ物足りないので、先日購入したGUYATONEのSS-3(これまた後日インプレを垂れ流します、検討中に参考にできるページがほとんどなかったので)と使い分ける感じでブースターとして活躍してもらうことに決めました。ブースターにLEDがないなんて致命的に不便であります。

▼写真ついでに。贈答用としてCDの「愛ある完コピ」に挑んでみました。スキャンしてプリントしただけなのに色合いが微妙に変わってしまって残念!しかしなかなか良く出来た。

 結論、「写真を使った日記はいいですね」。たとえ濫用でも。

【本日のレビュー:LETHAL「PROGRAMMED」】


中古でよく見るMETAL BLADEのマイナーバンドの、何枚出しているのかわかりませんがこれは90年のリリース。楽曲もヴォーカリゼーションも初期QUEENSRYCHEにソックリな、非スラッシュ系80年代USハイトーンパワーメタルの典型。と思ったけど、聴き進むほどにやっぱりQUEENSRYCHEコピー度が半端じゃありませんでした。特にヴォーカルは細かい歌い回しが激似。NEW RELIGIONに勝るとも劣らんではないですか。なるほど発売当時は「これは似てる!」といってマニアにバカ受けしたものの、彼らが所帯を持つ年齢になってきた今、「いや、これなら素直に『WARNING』や『RAGE FOR ORDER』を聴けばいいじゃないか…」といって整理の対象にされ、20年近くの時を経て中古市場にゾロゾロと流れ出しているという寸法ですか。NEW RELIGIONと比べて洗練度が高いのも「まあ(本物一本で)いいか」と思わせてしまう要因でしょう。「WARNING」が好き過ぎて各国盤CD、LP、カセット、何でも集めたけどまだ愛とバイタリティを持て余してしょうがないぜ、という真の初期QUEENSRYCHE信者か、あるいはその図がおかしくてしょうがない穿ったマニアに捧ぐ。

  4月21日
収穫はなし。食事中のラクダに偽ホーミーを聞かせてみたら、食べるのを中断して凄く寄って来ました。(本当に)

 うヨォ〜イ〜ユォ〜…。おゥ〜ユィ〜ヨ〜…。

【本日のレビュー:RETURN TO FOREVER「NO MYSTERY」】


75年作。アル・ディメオラが加入して2枚目ということで、数曲に彼の名前がクレジットされております。前半がハイパー・エナジェティック・エレクトリック・フュージョン、後半は一変してアコピをフィーチャーし、ラストにプログレ大曲"Celebration Suite"が鎮座するという、A・B面がパッカリ分かれた構成。前半では主にレニー・ホワイト(ds)の白痴パワーヒッターぶりに耳を奪われます。裏ジャケでも物凄い豆鉄砲顔。75年にロックとタイマン張るにはこれくらいのハイテンションじゃなきゃ駄目だったんでしょうね〜。4曲目"Sofistifunk"なんぞはGENTLE GIANTやTRANS AMかと思う。で後半は本当に別バンドの趣きで、どこぞのイタリアンプログレかという感じです。チック・コリアの理知的な和音使いとアル・ディメオラの鈴虫のような高速スパニッシュスタイルが絡むタイトルトラックは絶品。そしてラストの組曲は完全にEL&PやARTI E MESTIERIの世界。どフュージョン化以降随一の金字塔となる次作「ROMANTIC WARRIOR」に向けた手厚い予告編といったところでしょうか。ジャズメンが本気でプログレをやると恐いっすね。ということで過渡期ながら見過ごせない1枚。

  4月20日
収穫はなし。いや、CDは買っていませんが、誘惑に負けてグヤトーンの小っちゃいペダル(トレブルブースター的なもの)を新品で購入しました。こんなん買ったからにはギターソロをいっぱい弾かねば。それにしても青色LEDかっこいい!

▼鼻毛を抜いたあとに雑菌でも入ったのか、いま右の鼻の穴の内側にポチッと吹き出物ライクな腫れがあって、触ると(痛さに)涙出ます。

【本日のレビュー:LOVE/HATE「WASTED IN AMERICA」】


名前だけ聞いたことがあったバンドです。92年にSONYから出ている1枚。敢えてバイオなどを何も調べずに書いてみます。さて裏ジャケを見ると、メンバーの服装はDAMN YANKEESノリ。で音の方は、アメリカンハードロックが商業オルタナと親和しかけたミラクルな痕跡といったところ。面白い。JANE'S ADDICTIONみたいな変則的に躍動するグルーヴを積極的に取り入れ、随所でかなり屈折したキメを頻発しつつ、あくまで仕上げはハードロックらしくカラッと明るい方向。声質は完全に、良識ある非メタラーの皆さんが嫌いそうな爬虫類系ハスキーハイトーン(METAL CHURCHのデイヴィッド・ウェインに激似)。LILLIAN AXEのラスト作とかブルース・ディッキンソンの「BALLS TO PICASSO」とか、SAIGON KICKとか、あのへんに通じる雰囲気です。土臭いのに時々変拍子、やけに一筋縄ではいかないヴォーカルライン。まさに額面どおりの意味で「プログレッシヴ・ハードロック」と呼んでみたいような音です。似たようなのは二度と出てこないでしょう。ズバリ、TESLAミーツ31KNOTS!

  4月19日
本日の収穫、500円商品狙いで行ったサウンドベイ金山にてLOVE/HATE「WASTED IN AMERICA」、ROXY BLUE「WANT SOME?」、KILLERS「MURDER ONE」、LETHAL「PROGRAMMED」、TANKARD「CHEMICAL INVASION」、小田和正「個人主義」、以上全て500円で、JAGGERNAUT「BAPTISM UNDER FIRE」のみ普通棚から。安いCDが好きてす。

【本日のレビュー:小田和正「個人主義」】


目下の最新作のその前、2000年リリースのスタジオフル作品です。再生を始めた途端、スパーン!と開ける極上の清涼感と、同時に青臭い感情や記憶を深層までクイクイつついてくるような浸透力。ああ、スピッツに求めるものと一緒です。アレンジこそAORだけど。そろそろ初老と言われそうなおじさんの仕業とは思えん。ちゃんと「現役アーティスト」の「新曲」が詰まった「新作」になってます。テンポのいい快活な曲だと少しばかり陳腐さが漂うものの、往年のフォークデュオ時代を思わすしっとりナンバーでは、身を削って実直・真摯に歌い上げる様が本当にまっとうに胸を打つ。いやー、ファンが書く文章にゃ何の説得力もないですねー。とにかくファンも納得の力作ってことです。声はいいし興味あるけど、あまりに欧米かぶれな仕立てになっていた90年代前半の作風にはちょっと引くわ、という向きには(このアルバムでも全編ネイザン・イーストの客演が冴え渡ってますが)断然オススメです。「普通に素晴らしい」を見直そう。

  4月18日
本日の収穫、サウンドベイ上前津にてWILLIAM PARKER「O'NEAL'S PORCH」、RETURN TO FOREVER「NO MYSTERY」、LEGS DIAMOND「THE COLLECTION」(2003年にZOOM CLUBから出ていた4枚組縦長BOX!)、O.S.T.「BILL & TED'S BOGUS JOURNEY」。CD買うと金減るなー。

【本日のレビュー:WILLIAM PARKER「O'NEAL'S PORCH」】


2002年AUM FIDELITY。2000枚限定の品だそうです。メンツはウィリアム・パーカーの他にSPACEWAYS INC.他に参加のハミド・ドレイク(ds)、80年代からマシュー・シップなどと共演してきたロブ・ブラウン(as)、パーカーの近年のリーダー作に頻繁に参加しているルイス・バーンズ(tp)の3人。もったり構えつつズバズバと攻撃的でダブ〜ロックの空気も汲み入れたドラムを叩くハミド・ドレイクがやっぱりヨロシイですな。和声楽器なしで2管を好き勝手に泳がせておく裏で、そこはかとないシーケンス感を醸し出すリズム隊(リーダーなだけあって特にベース)が曲らしさを形づくる、半フリーのクロスオーヴァー・ポスト・バップをやっております。南国っぽくなる前のHIMやTHE SORTSみたいな擬似ジャズ〜ジャムバンド系ポストロック勢と並べても全然違和感なし。太い、暑い、鋭いの三拍子でいい感じです。

  4月17日
収穫はなし。髪の毛がそろそろ、バッサリ切りたい長さになってきたのですが、人に「わー、髪切ったねえ」と言われたときのリアクションをどうしたらいいのか未だに分からないため、なかなか踏ん切りがつきません。あからさまに大幅に短くなろうが、本当に誰にも何も言われなくていい。本当か?(中略)そこで「不用意に何も言わない人」というのはやっぱりお得ですね。そういう男になりたかったですよ。

▼自分に対してそれなりに厳しくあろうとする人というのは、自分を評価するスケールを内に持っているはずで、となると自ずと、そのスケールを形成するべき世の中のあらゆる事物・事象に対して常にドライに評価するようなことをしている、という気がしています。YUIのあの眼光には間違いなく「どこを見てもクソばっかり」と物語るような冷たさがありますよね。

【本日のレビュー:BLACK SABBATH「SABOTAGE」】


オジー時代のサバスでどれか1枚、と言われたら私はこれなんです。曲単位でのツカミが若干弱いのは確か。しかし抜群に宇宙があるアルバムです。冒頭の"Hole In The Sky"からして、大人になってテンションのコントロールが効いてきた上で今回はハイこれでどう、という「攻めのクールネス」に何だかシビレます。そしてライヒ・ミニマリズムをかじったアコギのインスト"Don't Start (Too Late)"へ…2曲目にしてこの展開は早い。色々あるから覚悟しとけという不敵な挑戦状を受け取らざるを得ん体勢です。制作当時に蔓延していたサイケ・イズム、アートロックの気風、ハードロック筋肉のシルエット等々が入れ代わり立ち代わり訪ねてくるスキゾ的なその後の進行は、必然なる神の意思の如き(?)トニー・アイオミの美意識によって確実に糸を繰られていて、聴く方はひたすら飲まれていくしかない。で大腸のように長尺な"The Writ"を通り抜けて、ポコッとまた俗世に産み捨てられる結末の文学的な余韻よ。それに80年代ハードコアを偶然先取りしてしまった"Symptom Of The Universe"といい、ロニーが歌っていたらQUEENSRYCHEばりの叙情大作になっていたであろう"Megalomania"(および「OPERATION:MINDCRIME」に入っていてもおかしくない"Supertzar")といい、実験的な試行の数々がまったく空振りに終わってないのも奇跡的。無論"Thrill OF It All"みたいな曲はC.O.C.やCLUTCHあたりが未だに熱烈オマージュを続けてます。向こう10〜20年分のロックの面倒を見てしまった男トニー・アイオミ、グレイテスト・オブ・ザ・グレイト。ということでおすすめ盤。

  4月16日
収穫はなし。先月いい加減にお送りしたPALMER PGA-04のリポートの続きを。ノイズがぶーぶーウルサイなあと思っていたのが、裏のグラウンドリフトスイッチでピタリと止み、更に先日購入したMI AUDIO TUBE ZONEを繋いだらまたそれらしくなりまして…

 ・オーディオサンプル3

 「COLOUR」ボタンを「LITE」の状態にしてHAMERのハムバッカーをつないだ音と、同ボタンを「BROWN」にしてDANELECTROをつないだ音とでLRにしてみました。相変わらずVOX PATHFINDER 10(トランジスタのミニアンプ)に通して、BEHRINGER MIC200(真空管マイクプリ)経由でKORG D-12(HDレコーダー)で録っています。多少最後にEQでプレゼンスを持ち上げてますが(mp3にエンコードして相殺されてる気もしますが)、キャラクター自体はそのまま。ギターを替えて「COLOUR」も変えると、こうしてLRで鳴らしてもピークが重なることなく広がりが出て好ましい感じです。

 まーしかし、ちゃんとしたチューブアンプを使うならともかく、私のようにインチキセッティングで何とかしようとすると、つなぐだけでアンプの音!と簡単にはいかない代物ではあります。各部分(歪みペダル、アンプ、PGA-04本体)の音作りの兼ね合いでどうにでも変わるので調整がなかなか難しい。まだ結構ラインくささが残るので要・改善ですなー。遅くなったので寝ます。

  4月15日
収穫はなし。天気が良くて、昼食を済ませて練習に出掛けたのに途中でサンドイッチを買って食ってしまった。それは天気が良かったからじゃなくて昼食が少なかったからだろう、と書きながら自分で思いましたが、まあ敢えてこのままで。

【本日のレビュー:THE BLACK CROWES「AMORICA」】


大昔に買ったきりになっていた品を、そういやどんなんだったかなーといって聴き返してみることが最近よくあります。で今日はおもむろにこれ。いやー最高傑作。そもそもオールドロック回帰熱に背を押されて盛り上がった「グランジ/オルタナ」に対してオールドロック側から照準を合わせた、濃厚な快作であります。94年にこの音を出してきたというのは何というか、凄くツジツマが合っている感じがしませんか。アメ・ロックのサイケデリア、セクシーさ、レイドバック感、温かい郷愁感、その他諸々のものが、そのまま若者言葉として通用してしまっているような。実はSOUNDGARDENの歴史的大名盤「SUPERUNKNOWN」と並び評される1枚ということにしてもいいんではなかろうかという気がします。

  4月13−14日
収穫はなし。この前ブックオフ店内の有線で沢田知可子の"会いたい"が流れて、そういえばチャートインして売れてた当初は「この曲を聴いて泣かなかったら人間じゃない」とか言われとったなーと思い出し、まじまじと聴いてみました。そんなの知らない平成生まれの方がいたら説明しておきますが、将来を誓って愛し合った恋人に死なれて今私はとっても会いたい、という内容の曲です。まあ大仰な歌でありましたが、泣き落としどころは「世界の中心で〜」とかと変わらんなとも思いました。「世〜」(詳細にタイトルを打ちたくもない)のヒット以来、ドラマで映画でドドーンと氾濫したいわゆる「死別もの」にウンザリな向きは、この日記をご覧の皆様の中にも少なからずおられることと思います。死より抗い難いものはなく、また劇というものにおいて死別以上のお約束もなく、「そんなものばかり求めては喜ぶ近頃の日本国民はほとほと文学性ないし思慮というものを欠いている」のが問題かといえば、核心はそこではない気がしていまして、こんな簡単なことやって儲けちゃって大丈夫?市民がアホにならんかな?という良心・社会責任・芸術への敬意その他に基づく自己審査を「まあ、いいよね」とあっさりスキップするようになった不道徳な供給側こそ深刻な存在ですね。でかくてウルサイくせに。お陰でこの世の人間性は野生化の一途です。飲食店で暴れ狂い転げまわる孫らに笑顔で持ち込みのビスケットを与える祖父母たちと同じく、そういう商売は早く死んだ方がよい。

▼本当は「『なか卯のテーマ』のバージョンが変わった」ということに触れたかったのですが、2日連続で外食チェーンの話題はいかにもダメな人そうなので、先に上のようなクッションを敷いておきました。いやー大変大変。

【本日のレビュー:DECEASED「LUCK OF THE CORPSE」】


オールドRELAPSEものです。ドラマーがヴォーカルもとるアメリカのデスメタルバンドの、91年リリースのデビュー作。ついこの前取り上げたNOKTURNELやら、オーストラリアのMORTIFICATIONあたりにも通じるような、MOTORHEAD〜VENOMの香りを残すオールドスクールスラッシュを頑張ってデス化したような無骨スタイル。邪悪云々というより単純にヤケクソなのがいいです。ギターの音がモサッと丸いオーヴァードライブ風なあたりも、なかなかシブイですなー。AUTOPSYをちょっと思い出します。でテンポをガクガクと変えることが多いのはちょっとハードコア風か。前置きから一気に加速!とか、ブレイクにするからここでモッシュ〜、みたいな仕掛けがふんだんに。デス声の体当たり系ヴァイオレント・スラッシュコアとして聴くことも可能でしょう。ともかく燻し銀好みの方に。

  4月12日
本日の収穫、名駅69にてSTATETROOPER「2002」(ゲイリー・バーデン!ボーナス追加リイシュー)。時々行くと凄くヘンな入荷があって楽しい所です。69の隣のココイチは改装中でしたが、今ココイチはあちこちの店舗を次々と、落ち着く感じのちょっとオシャレな内装に変えてるとこなんでしょうか。つい最近別の店舗に入ったらそんな感じでした。そういやミスタードーナツもよく色んなところで改装してるけど、ならば黙って10円か20円値下げしてくれてもいいですよね。と昨日から発言が首尾一貫している振りをしてみます。あと新メニュー「すきやきカレー」はなかなか満足でした。

【本日のレビュー:DON ELLIS「THE NEW DON ELLIS BAND GOES UNDERGROUND」】


たまには非メタルも。中古で見つけては時々買っている改造四分音トランペッター、ドン・エリス率いる変拍子ビッグバンドの69年作です。ここでは殆どジャズと呼べることはやってなくて、BLUES BROTHERSノリの笑撃ハリウッドサウンドといった様相。おおむねストレートな8ビートが目立つ中、お得意の高速ミニマム変拍子を炸裂させる"Bulgarian Bulge"にはやっぱりアゴが外れます。あー何だかこの、はいロック、はいソウル、と世の中の音楽を半笑いでキャプチャーしつつ、テクと統率力を駆使して時々「バルカン半島!?」と(坂口憲二ばりに)揺さぶりをかける人の悪さ、ザッパもそうだけどFARMERS MARKETは正にドン・エリス・オマージュ・チームだったんですね〜。FARMERS MARKETが充分に度肝を抜く連中であったので、こっちの方も今の世に通用するインパクトはあると思います。

  4月11日
収穫はなし。誰にどう届くつもりなのか皆目見当のつかない広告というのはよくあります。「イー、モ…バイルッ、でユビキタ…ッス」くらい徹底的に意味不明ならば、我慢できずにネットで検索してしまう人も現れるかも知れませんけども、この前はこんな微妙な垂れ幕がさがっているのを見ました。

 「もっと あなたに!ゆうパック」

 ビックリマークの裏に秘められた一節が果たして「配達されるといいですね」なのか「利用してほしーの」なのか、推察しかねてモヤモヤとするうちに、「ええいこんな煩雑な思いをするくらいならいっそクロネコヤマトだ」といって客離れを起こすこと必至の怪文であります。ならば黙って10円か20円値下げした方がよっぽどその「もっと」は達成されるのになー。こんな独り言とて日本郵政公社に届くとは思えないので、結論は「何でも安い方がいいよね」だったことにします。

【本日のレビューその1:NOKTURNEL「NOTHING BUT HATRED」】


誰も興味を示さない上に入手も困難という品を紹介しても仕方ないんですが、半ば文化史上の資料として取り上げることにします。1枚目はMY DYING BRIDEなど欧州の暗黒変異種をいち早くアメリカに紹介していたJL AMERICAなるレーベルの3人組NOKTURNEL。93年ということで初期デスメタルの名盤といわれる作品はひとしきり出揃ったあとのタイミングながら、「こんなに激しくやってもよかったの!」というプリミティヴな悦びに満ちたイモイモ爆走デスをやってるのが驚き。KREATORとMOTORHEADを足した感じのスピード感に、半ばジョークの域で虚勢を張りまくるデス声。演奏は意外に上手い。現在においてデスメタルと呼ばれるための諸条件はかなりの割合でクリアできてない感じですが、スラッシュメタルを超えた暴力音楽たるデスメタルの本来あるべき姿ってこんなんだったんだろうな、と思わせる勢いがあります。ATROCITY(ドイツの同名バンドではないアメリカのマイナーな方)みたいな無理矢理感。デスメタル洗練の過程で消えていったこういう間違った枝葉はひたすらロマンですな。

【本日のレビューその2:SCUM「MOTHER NATURE」】


続いてはフィンランドのバンドの94年作。BLACK MARKからのリリースです。フィンランド産でただの優秀な直線型ブルータルデスバンドってなかなか聞かない気がしますね。このSCUMもやっぱり微妙に変で、PANTERAやALICE IN CHAINSその他のグランジ勢のようなガッツリ大きいリズム感をほどよくフィーチャーしつつ、しかしそれは時流云々というよりフィンランド人の天然ガレージロッキンな国民性なのかも…とも思う(何せHANOI ROCKSの国)、山男風デスメタル・ロックとでも呼びたいものをやってます。感触上はあくまでメタルを貫いているので、そんなに珍妙なハイブリッドということもないのですが。メランコリックな展開もぼちぼちあるあたりは極初期SENTENCEDとも似てますな。同郷だし。で何がやりたいんすか?と詰問されてしまいそうな中途半端な温度の上がり方が、今となっては逆に貴重といえましょう。SENTENCEDなり、普通声シンガーが加入する前のAMORPHISなり、メロデス・ブームの中でもひとクセあるシブ系バンドに惹かれていたという向きにはおすすめ。

  4月10日
本日の収穫、近所のブックオフでPOWERMAD「ABSOLUTE POWER」、CRY WOLF「CRUNCH」。最近の流行りは、「ついさっき見て覚えたはずのものを、すぐに見返さずに頑張って思い出す」です。例えば今ならCRY WOLFのアルバムタイトルが何だったかな、店で見て頭に入ったはずだったんだけどな、と思った時に、目の前に下向きで置いてあるその現物にすぐに手を伸ばして答えを見るのを我慢してみる、というようなことです。あとは時計でよく使えます。ふっと見てしまう前に、さっき見てから10分くらいのはずだから今はきっとXX時XX分だろう、と思いながら見て答え合わせ。大人の脳トレですわ。

【本日のレビューその1:ORION THE HUNTER「ORION THE HUNTER」】


シンガーのブラッド・デルプが自殺してしまったことで久々に名前を聞いた往年の産業ロックバンド・BOSTONのリードギタリストが別でやっていたバンドの作品です。84年SONY。趣味に走ってブルーズ一色…とかそういう展開はなく、別にBOSTONでやってもおかしくない感じの恥ずかしメインストリームロック。まあBOSTONはトム・ショルツの乗り物であるので、俺にも好きにやらせてよーという感じで作った1枚なんでしょう。あの本当に宇宙に旅立ってしまいそうなキラキラ・ドリーム感と比べると、多少ドロドロ・昼ドラ度が高いかも。とにかくどこにも問題のない出来なので、この手の音を欲するリスナーは黙って買えばよいでしょう。ギターのリードプレイに関しては、特に引っ掛かるところがないものの、昔気質なヴァイブレーションを心得ている模様でなかなか。ニール・ショーンと同系ですかな。それにしてもこのジャケ、後の世で発掘系隠れ名盤となる運命を見越していたかのような微妙さで非常に良いです。

【本日のレビューその2:CRAIG ERICKSON「SHINE」】


90年代初頭からコンピレーションアルバムに参加したり、グレン・ヒューズと共作するなどしてキャリアを積んできたギタリストの2001年作です。まあ非常に地味な、ハードロック界隈の人間がジミヘンやレイヴォーンに憧れた系のブルーズロックを延々展開。何故買ったかといえばロブ・ラモスが半分くらいの曲で参加してるからです。彼が歌うだけでいっぺんに素晴らしい。どんなに単純なメロディが並んでいようとも、「然るべき演奏者が然るべく演奏したときに素晴らしい響きになる楽曲は素晴らしい」というのが持論でありますので、その点このアルバムはロブの救いによって立派な傑作といえる出来になっております。グレン・ヒューズも1曲だけ歌っていて、どうせまたキャーキャーうるさいんだろうなと思ったら、まあ確かにその手のシャウトは沢山入ってたけど、アダルトな味わいの深さはやっぱりヴェテランの業なんだなと久々に聴いて実感しました。それにしてもこのジャケは…以下省略。

  4月9日
収穫はなしmyspaceをちょっと整備してみました。この頃の気分は「求められてない説明はしない」です。

【遅くなってしまったのでレビューはまた明日。】

  4月8日
収穫はなし。DOIMOIのライブ詳細決まりました。

5月30日(水) 新栄クラブロックンロール
PANICSMILE & ELECTRIC EEL SHOCK カップリングツアー
「NEW HEAVY METALLIC EDUCATION TOUR 2007」
18:00開場 / 18:30開演
PANIC SMILE
ELECTRIC EEL SHOCK
DOIMOI
ビビビビ
BOOKHOPE
前売2000円 / 当日2500円(別途1D500円)

▼あら、6月にCAPITALIST CASUALTIES来日ですか!

▼メタラー以外に通じないチョイスのレビューが続いているせいか、一時期よりアクセス数が減り気味なのですが、それを気にしていると寝る時間が足りなくなるので今日も有無を言わせずLONG ISLAND特集にしました。今レーベル買いするのはここだけ。↓

【本日のレビューその1:VINNIE KAY「WHERE DO WE GO FROM HERE」】


LONG ISLANDの中でも名作と名高い方ですね。BENNIE Kではなくてギタリスト/シンガーソングライターのヴィニー・ケイです。これはまた久々に来ましたよ。最上級の前向き産業ロック!デビュー時のBON JOVIばりにむせ返るようなスウィ〜トさ、STRYPERやTNTとタメを張るイノセントな透明感。声も非常にクリーンなハイトーンで最高です。SHYやTHE STORMの2枚、MASQUERADEの1stとも並ぶ究極の充実度。もうこれ以上の情報は必要ないですね。というか何年にどこで録音とか書きたいんですが、一切その手のクレジットがありません。さすがLONG ISLAND…微妙すぎるジャケもワン&オンリー。本物ならばこれを聴け、などとウッカリ選民的な発言のひとつもしたくなる大名盤でした。

【本日のレビューその2:WHITE VISION「WHITE VISION」】


てことでLONG ISLANDその2。これは随分とだらしないですね〜、THUNDERや末期EUROPE、BAD ENGLISHあたりを常温で一週間放置したような歯切れの悪い哀愁AORをやってます。叙情性に関してはなかなかしっかりしたものがあるので、却ってなおさらネットリ度が上がる結果に。バンド全体およびヴォーカリストのビート感、それとミックスの問題ですな。COPELANDみたいな攻める気ゼロの草食動物グルーヴ。多分イメージとしては、ブライアン・アダムスの「18 TIL I DIE」みたいな、スプリングスティーン系産業ロックが90年代をまたいで適度にしなびたみたいなのをやろうとしたんでしょう。その試みが顕著な曲ではコケていて、真正面から赤面80年代でいっている曲は聴けるという皮肉な出来上がり。うーむ。原石を原石のまま世に送り出すLONG ISLANDの愛深さに改めてリスペクト。

【本日のレビューその3:SHANK ROCK「CRIME TIME」】


今度は変り種で何とスロヴァキアのバンド。初期SKID ROWやDANGER DANGERのような要領のいい悪ガキHRをやってます。共産圏ということでロシアのGORKY PARKと考えることは同じなのか。普通に垢抜けてて演奏も上手いです。この完成度なら別に、「GOTTHARDへの東欧からの回答!」とでも銘打ってBMGやEPICから出ててもおかしくないじゃないか。けれんみがなさ過ぎて印象に残らないという欠点はあれど。まあ私とて、「LONG ISLANDの哀しき遺産」というバイアスがなければ買ってないかも知れない(いや、確実に買ってない)1枚ではあります。パンク・ロックをもじったバンド名が、オシャレですよね。うむうむ。

  4月7日
収穫はなし。花見が失敗してYOUTUBE観賞大会になる始末。KAGEこと影山ヒロノブはほんと凄いんですね!!

【本日のレビュー:TAI PHONG「WINDOWS」】


ベトナム系メンバーを含むフランスのプログレバンドの76年2nd。日本では伊藤政則が激推ししていたせいで変に知られている人達です。とにかく叙情的なのを大仰にやったらプログレになるんだね?という思い込みひとつで出来上がってしまったような、メロメロドロドロの哀愁ロックをやってます。ヴォーカルが普通にちょっとヘタなあたりとか、クラシカルな香りがあるようであんまりなくて泣きブルーズおよびフォークの応用発展だけで何とかしてるあたりとか、無理矢理かつ一生懸命な感じがやっぱりグッと来るんですね。めくるめくとはこのこと、とばかりにやり過ぎてて凄い。ゴダイゴを全曲全場面マイナーキーにしたらこんなんかも。

  4月6日
本日の収穫、ヤフオクにて購入のCONFESSOR「CONFESSOR」(「GODS OF GRIND」にも収録のTROUBLEカヴァー、アルバム収録曲のデモバージョンなどの4曲入りEP!廃盤激レア!!)。先月買ったこれ、やっぱり最高でした。真空管アンプが怒ってる音の生中継(あくまでそのものにはなれませんが)をJCで出せるという感じ。相当広範な音作りが可能で、ハイゲインでゾギゾギにしても芯のパワーを失わないのがいいです。低音の量そのものというより、全体を低域が食うバランスを変えられるCHARACTERツマミが相当ツブシ効いて便利。というか一番何がいいかって、明るすぎる青色LEDと、触るたびに拭きたくなるピカピカな筐体っすわ。

【本日のレビュー:LEADFOOT「TAKE A LOOK」】


CORROSION OF CONFORMITYの脱ハードコアアルバム「BLIND」にのみ参加していたメンバー二人がやっているバンドの99年作。STOOGES系のオールドガレージに若干サザンロック的なノリを加え、時々何故かリッチー(・ブラックモア)風のリフも出てくるという、まあ概ねHELLACOPTERS、FU MANCHU、CLUTCHあたりに類する音になっています。さほどムサムサと紫煙立ち込める感じにならず、特にそれなりにさわやかなヴォーカルが明確なメロディを歌っているということもあって、軽くエモい感触もあり。あんまり真面目にオールドロックを掘り下げたことのない若いリスナーにはかなり親切な仕立てになってるんじゃないでしょうか。そうでない人には、どの曲も1分20秒くらい聴けば全体図を想像できてしまうような単純さが物足りなく思えるかも知れませんが、多分ライブで見れば好きなバンドリストに入ると思います。やっぱりアメリカ人はこういうの上手くやりますなー。ネイティヴっぽい。

  4月4−5日
本日5日の収穫、グレヒ今池にてVANILLA FUDGE「VANILLA FUDGE」、LUCIFER'S FRIEND「WHERE THE GROUPIES KILLED THE BLUES」、ORION THE HUNTER「ORION THE HUNTER」。名古屋はいま、すぐ次の日曜に控える市議選に向けて、街宣車による音響汚染が深刻です。候補者の中にポツッと一人くらい、ポスターや新聞の折り込みで「私は皆様の静かな日常をメッタメタにする迷惑な街宣活動は一切行いません」と言ってくれる人がいりゃ、迷わずその人に一票あげるのに。

▼「『ドリアの方でよろしかったですか?』は間違った日本語」と言い張るプロミスのCMに違和感があったのですが、調べてみれば既に大勢の人々が的確なご意見を述べていらっしゃったので、代わりにこの前「脳を鍛える大人のDSトレーニング 」に作らされたギャグでも思い出して書いておきます。

Q:動物の名前を使ったダジャレを考えてください。
A:「シカる」
Q:建物の名前を使ったダジャレを考えてください。
A:「のビル」
Q:乗り物の名前を使ったダジャレを考えてください。
A:「くるまる」

【本日のレビュー:LUCIFER'S FRIEND「...WHERE THE GROUPIES KILLED THE BLUES」】


72年VERTIGO。ドイツのハードロックバンドで、録音がコニー・プランクっすね。ストレートでぼたっぼたっと(音響的な意味以上に)重みのあるいい音。英国人であるシンガーのジョン・ロートンがその後URIAH HEEPへと移ったことで有名なバンドです。レイ・ギランばりに痛快なハイトーンを冴え渡らせておきながら、さすがドイツ、粛々としたハードロックと自由闊達なアート・ロックとが無茶な交わり方をし、エセ・ブルーズフィーリングやらエセ・原始サイケが入り込んでいささか混乱した音楽性となっております。時々VAN DER GRAAF GENERATER(≒VOIVOD)ばりにトチ狂う場面もあり燃える。脱拍子しながらきわどい転調をしまくる場面では20余年早いSYMPHONY Xかと驚くことも。おおーっタイトルトラックが異常にかっこいい、危機YESがTRETTIOARIG KRIGETに食われたみたい。ともかくこの時代のドイツは何やらせても偶然づくしで面白いですな。これで普通にありがちなオヤジ声ヘタウマヴォーカルが乗ってたら「うはは変だなあ」で終わってたかも知れないところを、ジョン・ロートンいい仕事してくれました。

  4月3日
収穫はなし。固有名詞を言い間違えるのって、自分が余計な創作を加えてしまったみたいになって凄く恥ずかしいので絶対避けたいものです。だいたい見当はついてるんだけどイマイチ記憶に自信が持てず、敢えて途中からウヤムヤにするような言い方(例:ナパームなんとか)をして残りを相手に補ってもらうつもりが、「あー、ナパーム・デクだっけ?」というように明らかに誤った憶測を被せられてきた場合、

a)そう来たかと思いますよね。
b)自分の不確かな心当たりで訂正していいか否か悩みますよね。
c)相手を傷つけずしてフォローする気苦労と自分自身の取り越し苦労にいっぺんに襲われて、溜め息つきたくなりますよね。

 毎日の日記やレビューで時間を取られるのは、だいたいがこういう選択の局面です。ネタの中身そのものより、それをいかなる運びで言い切るかというところ

a)が問題だと思います。
b)にもっぱら神経を使います。
c)にこそ、その文章の何たるか、ないし書き手の責任の所在というものはあると思います。

 あー今日はロクな選択肢が出ないからヤメだヤメだ。とりあえず山下達郎も「ポップスは6割がアレンジで決まる」と言ってるそうですよ。

【本日のレビュー:PITCH SHIFTER「SUBMIT」】


うーむ懐かしい雰囲気。MINISTRYのブレイクをきっかけに90年前後くらいから広まった「インダストリアル・メタル」の人達ですな。とにかくドラムを打ち込みにしておけばよいということで、アングラデスメタルシーンの一部でもちょっと人気のスタイルでした。(安上がりに録れるので。)EARACHEにはこのバンド以外にもGODFLESHやらOLDやら結構いましたね。さて本作は、デビューアルバムに続く92年のEP。暗澹としたマシン・ビートとガテラルヴォイスに彩られた、デス・グランジとでもいう感じの内容になってます。あるいはRAMMSTEINミーツEYEHATEGODか、スラッジ化したBIG BLACKか。日本じゃあまり理解されないスタイルですが、初期デスメタルとその外郭を含む90年代エクストリームミュージックの闇を掘り尽くしたい向きには必須といえましょう。あるいはひと昔前のMAD CAPSULE MARKETSあたりを信奉する人とか。95年のリイシューにともなってライヴ音源2曲が追加収録されてます。

  4月2日
本日の収穫、バナナ四ツ谷にて全てバーゲン品でMR. BIG「ACTUAL SIZE」、DEEP PURPLE「PURPENDICULAR」、WHITE ZOMBIE「LET THEM DIE SLOWLY」、ブックオフ池下にてPITCHSHIFTER「SUBMIT」、VINNIE KAY「WHERE DO WE GO FROM HERE」。毎朝驚くのは「CMで喋る香里奈」です。

【本日のレビューその1:MR. BIG「ACTUAL SIZE」】


2001年のラスト作。欧米では未発売だというのでアンチ国内盤派の自分は買えないなあと思っていた品を、何と香港盤で発見しました。漢字の注意書きや無駄なライナーなどは一切なく、外装も中身もごく普通の外盤に見えるというナイスな仕上がりです。偉いよ香港盤本当に。日本盤も見習ってくれんかな。

 そんなことより肝心の中身ですが、これスバラシイですね。メンバー(特にビリー・シーン)の望みだったロック然としたヴァイブをちゃんとフィーチャーしつつ、今らしいポップ感もしっかりあって、後期THE GET UP KIDS+JELLYFISH+シェリル・クロウ+DIZZY MIZZ LIZZYみたいな(??)イイ具合になってます。ポール・ギルバートが抜けてメンバー一丸となって起死回生を図ろうという、焦点の定まりみたいなものがひしひしと。パット・トーピーがなかなかいい曲書いてるのですよ。そしてリッチー・コッツェンはやっぱり大変な才人ですな〜。積極的に入れてるコーラスはシブイし、激テクを歌心の道具としてのみ使いこなす変態ブルージーなリードプレイはジェフ・ベック級といっても過言ではないかも。更にレコーディングエンジニアまで兼ねる始末。アメ玉のように愛らしいポールのポップセンスは聴けないものの、2nd・3rdに匹敵するくらいにグッと元気を取り戻した有終の美です。途中で追うのをやめた往年のファンは今こそ拾ってあげて下さい。

【本日のレビューその2:DEEP PURPLE「PURPENDICULAR」】


非メタラーの方々はご存知でしょうか、リッチー・ブラックモアなきDEEP PURPLEが存在することを。そして良識あるメタラーなら誰も買わないのがこの96年作です。近頃はすっかり過小評価メタルの墓掘り人が趣味となりつつあるので、適正価格(315円)でサクッと回収して参りました。

 出戻って早々電撃脱退したリッチーに代わり、急遽ジョー・サトリアーニを連れてきてツアーをこなした後、事もあろうに元DIXIE DREGS他のスティーヴ・モーズが加入してしまったという迷走極まる1枚。実はけっこうイイんじゃないかと穿った想像をして買ったらやっぱり期待どおり。ジョン・ロードのクラシック趣味と、マシン・カントリーなスティーヴ・モーズのギター、そして完熟スウィングでカッ飛ばすリズム隊とがゴッタ煮となり、ディシプリン・クリムゾンや後期THE POLICEにも似たカクカク感が支配するプログレッシヴグルーヴ・半機械化風アダルトロックとなっているのです。これぞ年の功の無駄遣い。スティーヴ・モーズが妙な音を出しまくるのはまあ普通なんですが、ジョン・ロードまでもがオルガンの音響的な特殊性を上手く使ったヘン技でそれに応戦していて、やけに盛り上がってます。いい歳こいて。リッチーの抑圧があったらやっぱりこんな風に楽しそうなアルバムには仕上がらなかったんでしょうね。そんな中でだらしないのが一人…乾いたナスみたいなイアン・ギランのこの歌唱は何とかなりませんかねー。シャウト時はまだマシなんですが、味で勝負も何も、味以外の全てがなくなるとさすがにキツイものがあります。まあそのあたりも含めておじさん達の健康的な内輪遊びアルバムということで。

  4月1日
▼天気が良かったので自転車で遠出して市内のブックオフ巡り。本日の収穫、どこだったかでROYAL HUNT「CROWN IN THE MIRROR」、FAIR WARNING「GO」。店内で流れていた土屋アンナに少々グッと来た。んで道中どうしても喉が渇いて買ったQOOのりんご味が意外と美味しかったです。コカコーラ、信用してなかったけどやればできるねえ。春なのでシャキッとした薄い上着でも奮発して買ってしまいたい。

 まんまと引っ掛かったとして、ヤーイヤーイと喜ぶ騙し主と、エイプリルフールなんて全く楽しみにもしてないからただ軽く不快なだけな自分との温度差に当惑するくらいしかなくないですか?まあせっかくなので100%心にもないことと虚偽の出来事ばかり書いてみました。

【本日のレビュー:TANKARD「ALIEN」】


ジャーマンスラッシュの名物バンドTANKARDが89年にリリースしたEP。変にシリアスに洗練されたりしようと企むフシが漂い始めそうな時期ですが、ギリギリまだ爆走型を貫いています。MOTORHEADをツーバスにしたようなタパタパタパッ!という疾走感をフィーチャーした、似たり寄ったりの楽曲群が相変わらず魅力的。ドイツ人の好きそうな高揚感ですわ。高音域で非常に歯切れ良くアジるヴォーカルも最高です。ベスト・スラッシュメタル・ヴォーカリストのランキングがあったら是非10位以内にチャートインさせたい逸材。どうも中途半端にハイファイな録音だけが良くないですな。もうちょっとダンゴで押し寄せる勢いがないと。まあ、収録曲も全5曲と短いですし、このバンドをまだ聴いたことがないという方は、わかりやすい決定盤「MORNING AFTER」から入って下さい。

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