物色日記−2006年5月

※頻出語句解説はこちら
  5月31日
▼名古屋に2店舗を構える中古CDショップのサウンドベイ、何せ2店舗しかないので、片方で良い収穫があるとすぐにもう片方にも行きたくなってしまいます。本日の収穫はベイ金山にてDR. FEELGOOD「DOWN BY THE JETTY」、UZEDA「DIFFERENT SECTION WIRES」、DIO「MASTER OF THE MOON」、SEPULTURA「SCHIZOPHRENIA」(ゴールドディスクリマスター)、以下はバーゲン品コーナーからSATYRICON「INTERMEZZO II」、FLOSSIE AND THE UNICORNS「LMNOP」(SKIN GRAFT)、METALLICA「CREEPING DEATH/JUMP IN THE FIRE」、INNER THOUGHT「WORLDLY SEPARATION」、WITCHY POO「PIBLIC WORKS」(5 RUE CHRISTINE)。それとアマゾンマーケットプレイスで注文したDUH「THE UNHOLY HANDJOB」。帰り道に中川区の方を走ってきたんですが、何もなさ過ぎてドキドキしました。名古屋市内にお住まいの自転車乗り諸氏はいっぺん赴いてみて下さい。

【本日のレビューその1:UZEDA「DIFFERENT SECTION WIRES」】


BELLINIのギターヴォーカル女史が昔やっていたバンドとして一躍その名が知られた、イタリアの超正統派アルビニロック(もうこのようにジャンル呼ばわりしてしまいます)バンドの98年作。勿論録音は御大。SHELLAC〜初期JUNE OF 44の殺気立つ変拍子ジャンクサウンド直系で、オリジナリティもクソもないってくらい本家に忠実ながら、ギッチギチに張り詰めたこの緊張感は凡百のフォロワー共をゴミと蹴散らすどころか、本家に迫らんとするほど強力かつリアル。ノイズを巧みにフレーズ化するリフ・メイキングのセンスはちょいと独特ですね。COME(クリス・ブロカウの本丸だったMATADORのバンド)のタリア・ツェデクを思わす鬼女ヴォーカルも痺れます。SHELLACもJUNE OF 44も入手可能な音源は全部集めちゃったけどもう1枚くらい欲しいなーという人はすぐ買って幸せになって下さい。そうでなくともDRILL FOR ABSENTEEやCLIKATAT IKATOWIみたいなアブナイ系マスロックが得意な人や、MUFFINSやCURLEWやTHINKING PLAGUEが好きなレコメン過激派リスナーにもいいかも。

【本日のレビューその2:MEDINA AZAHARA「ARABE」】


イタリアから今度はスペインへぐいっと飛びましてMEDINA AZAHARAです。以前デビュー作を取り上げたことがありました。キャッチーな産業ロック風に偏ったり、様式美HMだったり、RAINBOWもしくはイングヴェイのいろんな時期のスタイルにごちゃ混ぜにかぶれながら、(ロック勢力図における)僻地らしく豪快に踏み外しまくった結果己の道を開拓してしまった人達で、このアルバムはタイトルが明快に示すとおり、以前から見られた中東趣味(リッチーの影響とフラメンコのチャンポンで物凄く絶妙)にドップリ…なのは1曲目だけでした。2枚組の意欲作に見せかけて全然この頃の前後のアルバムと変わらない作風。それとて最高であることには変わりありません。スペイン語でルレレレッと舌を巻きまくり、スィヨ〜ンとうめきまくるヴォーカルがもうGYPSY KINGSそのもので、それが濃厚な叙情HRを更に暑苦しく歌い上げる図だけでマニア大満足。光り物系シンセバリバリなのもたまらん。曲の出来が良くて演奏も上手いから(ドラマーが意外に芸の細かいテクニシャン)、イロモノなりにかなりディープに楽しめます。「守護神伝パート15か16」みたいな若手の新作はもう要らんという半・退役メタラー諸兄にはかなり重宝する珍味となることでしょう。集めていくうちに直球で好きになっていきますので。あっ、DISC2(これはどうもオマケっぽい扱いのようです)でストーンズの"黒く塗れ"のカヴァーをやっている!!ツーバス&スペイン語で!!!

  5月30日
▼サウンドベイ上前津、昼間の生活圏から近いのと、バーゲン棚および新品値下げ品コーナーにマメに良品が流れてくるのとで、ここのところ一番よく行ってる気がします。本日の収穫TIM BERNE'S CAOS TOTALE「NICE VIEW」(94年)、SUNNY MURRAY「SUNNY MURRAY」(66年)、JAN JELINEK「LOOP-FINDING-JAZZ-RECORDS」、QUIET RIOT「THE RANDY RHODES YEARS」。

【本日のレビューその1:SANVOISEN「SOUL SEASONS」】


アルバム2枚を残して消えた90年代ドイツのマイナーな存在ですがかなり好きな人達。大別すればプログレメタルってことになります。このジャンル、影響発信のおおもとであるQUEENSRYCHEやDREAM THEATERが90年代をまたいで少しした頃に揃ってオルタナ化していったのを受けて、世界各地のフォロワー達も適度にそれと似た感触を取り入れていくのです。90年代前半のオルタナ的トンガリ方といえば「斬新でエキセントリックであること、拍子はトリッキーであること、巧妙にヘヴィネスを操ること」といった向きにベクトルがいっていたわけですが、エキセントリックさを突き詰めようと思うと自ずと他人の真似ばかりはしてられない訳で、誰かのフォロワーの域に収まりながらもそういう部分に関して真面目になってたバンドの作品は、結構未だに「オッやるねえ」と思えるような聴き応えを持ってたりします。
 ということでSANVOISEN。喜助+ジェフ・テイトな声質のヴォーカル(逸材!最強に上手いです)が目立つため、一聴すると「RAGE FOR ORDER」の頃のQUEENSRYCHEに近い感じに聞こえるんですが、あそこまで冷徹メカニカルではない上に、もっと異質なムーディさもあって、何と言うんでしょうかね、あり得ない形容ですがPORTISEHEADとFATES WARNINGもしくはDREAM THEATERが合体したみたいな感じ。ガッツリパワープレイで押す1・2曲目以降の流れで特に顕著に。更にアコギをフィーチャーしたこぢんまりポップスや、ボッサテイスト(!)を導入してしまった曲など、かなり多角的な挑戦にも取り組んでしかもことごとく成功、これだけのポテンシャルがどこかに埋もれ去ってしまったのが大変惜しまれます。CONCEPTIONと並んで「非メタラーにもギリギリ聴けるかも知れないハミ出し叙情テクメタル」として語り継がれていってくれんものでしょうか。今のNAHTが好きな人とかにもオススメしてみよう。

【本日のレビューその2:BELIEVE「HOPE TO SEE ANOTHER DAY」】


昨日に引き続きこれもGALILEO RECORDS release。PolandにいたCOLLAGEのfounding memberがnewlyにstartedしたbandのようです。CAMELやPINK FLOYDとthese yearsのFATES WARNINGのbetweenような、dark coloredでreflectiveで、a bit Japaneseなwabi-sabiも感じさせる(途中"Sakura Sakura"のpassageがinsertedされてたりする)、prog rock of nowadaysな感じに仕上がっております。こういうpost 90's Alternative Rockのtouchがrecentのprogのstandardなんでしょうかね、昨日のTもas wellだったように。angelicなhigh-toned voicesもsymphonicなsynthsのfloodもaren't heardですが、but yet dramatic enoughかと思います。Personallyには、mid 90's Americaに存在したunknownなgreat band、MARAにcloseにsoundsしててgood feelings。old time bandのreplicaにはnot interestedで、but、progにproperなcatharsisをdesireするpeopleにはgood forでしょう。

  5月29日
収穫はなし。海外のレーベルからサンプルとして送られてきたCDのレビューを英語で書こうと思いかけて、断念して、下の「その2」のような事態になりました。普通に日本語で書きゃ良かったかな…

▼ジェフ・バックリーと岡田真澄氏の冥福を祈りましょう。

【本日のレビューその1:JEFF BUCKLEY「GRACE EP」】


これを書いてる今はもう日をまたいでしまってますが、5月29日が彼の命日なんですね。既に時間が深いので(今日はその2の方を先に書き始めて苦闘してました…)手短にこのEPを手に取りました。1stのタイトル曲のカットと、"Grace"、"Mojo Pin"、"Hallelujah"の96年オーストラリアツアーでのライブ音源を収めたものです。この人は私が中学生の頃、登校前の朝の暇に何となくつけていたMTVでいきなり"Grace"が流れて、何だこの思春期の躁鬱なロバート・プラントみたいな、オルタナ世代の倦怠した低体温でここまで猛然と歌い切る壮絶にスピリチュアルな兄ちゃんは…Eで伸ばしてGまで跳ね上がるラストのロングトーン凄すぎんか…といった印象の大ショック(勿論当時こんな言葉が出てきてたわけじゃありませんが)を受け、大学に入って中古CD漁りをするようになってやっとアルバム2枚を買ったら、2ndのライナーを読んで既に亡くなっていたことを知るという、何ともいえない縁(?)があったものです。歌い手としてすぐれていたのは勿論のこと、というかそこが当然メインですが、不協和音とまではいかないダークな調性扱いを実に嫌味なく音楽的にやってのける才覚も彼の飛びぬけて凄いところだったと思っています(ゴシックメタルバンドのKATATONIAが"Nightmares By The Sea"のカヴァーやってるくらい)。
 うーん、結局盤の中身に関係なく思い入れを語ってしまいました…。3曲のライヴテイクは言わずもがなグレイト、エクセレント、アメイジングです。"Grace"エンディングの邪悪な絶叫凄い、ロブ(JUDAS PRIEST)かと思う。"Mojo Pin"のダイナミックな曲展開はやはりライヴ映え最高。"Hallelujah"はバックバンド抜きのじっくり弾き語りロングバージョン、絶品。どうしてこういう人が先に死んでいかなきゃならんのか。続きをもっと聴きたかった。合掌…。

【本日のレビューその2:T「VOICES」】


何とSwitzerlandのGALILEO RECORDSというprog rock系labelからdirectlyにsentされてきたCDです。そんなことになってるのも恐らくはPOSEIDONさんにthis websiteをintroduceしていただいたためとguessされます。(彼らが雰囲気だけでもつかめるように無理に英単語を使って書いてみてます。)これはGermanのTことThomas Thielen君のone man recordingのalbumのようで、soundはENCHANT、recentのPeter Hammill、Kevin MooreのCHROMA KEY、Geoff Tateのsolo(もしくは「PROMISED LAND」eraのQUEENSRYCHE)、THE 3RD AND THE MORTALのlast yearsあたりをremindsするもの。digitalでlaid-backなgrooveとdownerでmelancholicなatomosphereにU2-ishなtoneのvocalが乗り、modernかつhalf-gothic、half-progな佇まい。 80's new age的なmoodもa little。programmedなinstrumentsのせいでensembleのfeelingはsomewhat coolですが、dramaticなsong developmentsがしっかりcoverしてます。これはなかなかinterestingなhybridなんじゃないでしょうか。prog-ishなSTINGか?if、aboveの方のexampleに挙げたartistsがyour favoriteならthis oneもrecommendedです。

  5月28日
収穫はなし。寝ていたのと曲を作ろうとしていたの以外ほぼ何もしない休日でしたが、夜になって大学のサークルの先輩が気まぐれでやっているネットラジオの生放送に、skype経由で飛び入りしてきました。それもギターで。これ何気なく凄い話で、各々楽器を持てば、ネットラジオサービスとskypeを使って世界のどこにいる人とでもセッションが行えて、更にブロードキャストできてしまうというわけですな。とりあえず今回のケース(名古屋市内どうし)ではタイムラグや音切れなどもなかったようだし、全然現実的です。どなたかどうですか。

【本日のレビューその1:DUH「BLOWHARD」】


東京でユニオンに寄った際、BONER(初期MELVINSをリリースしていたジャンク系レーベル)の文字を見つけて手に取ってみると、昔のMELVINSまんまのこのジャケで値段も525円だったので何もわからず買ってみました。素性を調べたところ、STEEL POLE BATH TUBのメンバーとBONERの社長がやっていた伝説のユニットだったそうです。DEVOの"Secret Agent Man"を思い出すベースリフで猛々しく幕を開け、あとはBIG BLACKとKILLDOZERとNOMEANSNOの中間のようなドッシャドシャな絶倫ヘヴィジャンクの嵐。SLAYERの歌詞カードに見せかけて"Solo Hanneman"と題してしまった10秒ノイズはあるわ(後半にもう1曲"Solo King"もあるという芸の細かさ)、何だかんだの泥酔インテリバカな悪ふざけを35分間思う存分撒き散らしてくれます。うーむ痛快。これが91年リリースの1stで、もう1枚95年に2ndが出てるとこのとなので早速注文してしまいました。そちらは何とSPAZZに参加歴がありBURNT BY THE SUNほかのデイヴ・ウィッテとEAST WEST BLAST TESTもやっていたクリス・ドッヂが加わっているようで。結構ひとかどのバンドなんですね。往年のTOUCH & GOやAMPHETAMINE REPTILEコレクターは是非に。

【本日のレビューその2:SLAYER「HELL AWAITS」】


上述のHannemanとKingはこちらのギタリストです。ということでSLAYERの85年2nd。三蔵法師、三蔵法師…と呟く不穏極まりないSEから切り込むスローテンポで長いイントロダクション、ジャジャジャッとクラッシュを手で止めると同時に暴走開始する痙攣16分リフ、名手デイヴ・ロンバードの野獣的2ビートとトム・荒谷もといアラヤの悪魔的な高速吐き捨てヴォーカルと、SLAYERおよびスラッシュメタルの美学が全て詰まったこの冒頭のタイトルトラックよりも次作収録の"Angel Of Death"の方が名声が高いのは、単にあのツーバスソロの2小節があるかないかだけの差ですな。全体としても、とにかく目まぐるしくヤリ捨てる勢いでものを言う「REIGN IN BLOOD」より、呪詛めいた暗さやねちっこさが強烈に発現しているこちらの方がデス/ブラックメタルのプロトタイプと呼ぶに相応しいように思います。血塗れの煉獄を想起させる"At Dawn They Sleep"の邪悪さだって"Raining Blood"に負けてません。また「SLAYERが暴力性の面で世界最凶に達する一方、METALLICAは『MASTER OF PUPPETS』の大作路線でスラッシュメタルをアートの域に進化させた」という見解をよく目にしますが、過激さだけでない病的なオーラこそがこの頃のSLAYERの殺傷力の源泉と言えましょうし、動・静の幅云々といった切り口だけで片付けられない、定点を極限の高みまで磨き上げるという意味でのアート性はかなりのものがあると思います。そういうことで「初期SLAYERは未完成で深みに欠ける」という通念は破棄して「『HELL AWAITS』が最高傑作」と推していきたい所存です。ちなみに手元にあるのはリマスター&デジパックの独盤(2004年リイシュー)で、上から下までバランス良くパンチのある音になっています。初期贔屓の方は買い直しを。

  5月27日
収穫はなし。更に半音下げたりしてみてます。パワーコードのフォームでオクターブ。

【本日のレビューその1:BIG SATAN「SOULS SAVED HEAR」】


以前にも紹介したティム・バーンのトリオの2004年作。THIRSTY EARのBLUE SERIESから。作風はほぼ不変のままで堅持しており(なので上の青字リンクの先をご参照ください)、クオリティはもともと凄いのでもっと凄くなったかどうかも判りかねるような次元ながら、ますますもって予め緻密に構築されたものなのか、フリーに立ち回っているだけなのか、常人の理解を寄せ付けない高みに達しているようです。多分これを、西洋楽典的記譜法によって表現できる/できないという基準だけで解析しようとすること自体ナンセンスなんでしょうね。即時的な発音の自由さを完璧に予測要素とした上での4次元的なコンポジション(?)をしてるのだと思います。ほとんど「グリッド+アクセント」としてのみ機能するリズムと、ゆがみきった音階とが折り重なって醸し出す、何とも生々しい異形のファンクネス。ジャズ/ロックにおける既存の(設計図に従った演奏の中でグルーヴをつかむという)手法での限界を破った先の緊張感、あるいはもはや危機感というべきものを表現することに見事成功しとるんじゃないでしょうか。「世も末だ…」というより「新世紀ってこれか…」と呟いてしまう奇怪な彫像。クリムゾン超えちゃいましたな。凄い人だ。

【本日のレビューその2:NECROPHAGIST「EPITAPH」】


こちらは人智を超えた構築派代表。ドイツで一人で変態テクニカル悲哀デスをやっていたムハマド君がWILLOWTIPに拾われ、やがてめでたく人間のメンバー3名を従えてRELAPSEに転がり込んで世に放った2ndフル。これはありそうでなかった激ストイックなブルータル・ネオクラシカル!いかにも非ドラマーが打ち込みで作ってしまいそうな無茶なドラム(ツーバス、ブラスト、無謀なフィル満載)にのせて、バッキングがほとんど全編インペリテリ級の超絶オブリガードの嵐。そこに更に見境なく切り込むジェイムズ・マーフィー似の正確無比なるギターソロ(無論スウィープ炸裂しまくり)の洪水。拍子という観念はぐったぐたに崩壊し、字余り・字足らずが当たり前、どこを切っても高速で鋭いキメ、キメ、キメで出来ています。BEHOLD...THE ARCTOPUSと互角の勝負になり得る稀有な存在。アグレッションをブチまけるというより米粒に写経のノリなので、どっちかというと対極かも知れませんが。テクニカルと称しながら定められたとおりの譜割りをこなすような演奏には辟易するという向きでも、これはさすがに「どこまで細かいねん…」と呆れるレベルでしょう。THE DILLINGER ESCAPE PLANではまだ生ぬるい、RISING FORCEとDISCORDANCE AXISが合体したようなのないんかい、という欲張りメタラーにもうってつけ。人類がよくここまでやったという記念碑。

  5月26日
本日の収穫、バナナレコード・パルコ店にてBIG SATAN「SOULS SAVED HEAR」(2004年THIRSTY EAR)。近頃のマイブームは「6弦だけ2音下げ」です。

【本日のレビューその1:CIRCUS LUPUS「SUPER GENIUS」】


DISCHORDアホアホ派代表、92年リリースの1stです。専任シンガーのクリス・トムソンは後にTHE MONORCHIDSKULL CONTROLなどのシンガーを務める人。フラフラしながら人を食いまくるノリはJANE'S ADDICTIONMAKE BELIEVEのようでもあり、THE WARMERSばりに奥ゆかしい屈折リズム&不協和音リフ全開で、ポストパンクマナーのファンク色も颯爽と取り入れる。勢い余ってガクガク足元を踏み外す衝動的なロック加減がかっこいー。これは少し前に流行った大半の突撃変態系ポストコアバンドの存在を無効にする不朽のバイブルですな。初期EL GUAPOなんかそのまんまじゃないか(好きだけど)。そしてオリジナルパンクテイストを謎のハイテンションでクルクルに撹拌してしまうクリス・トムソンのイカれたアジテイションがまた最高に痛快。こういうのはやろうと思ってやれるもんじゃないですね、多分生活上でもこんな風なパーソナリティの持ち主なんでしょう。FUGAZIのギーや元Q AND NOT Uのハリスが限界までブチ切れるリーダーバンドがあったら聴いてみたいなんて思ってる人、このバンドなら完璧に応えてくれるはずです。

【本日のレビューその2:HEADHUNTER「A BIZARRE GARDENING ACCIDENT」】


味でもつシンガーといえばDESTRUCTIONのシュミーア。彼がDESTRUCTIONを離れていたときにやっていたバンドがこのHEADHUNTERで、これは92年の確か1st。脱退前ラスト作である「RELEASE FROM AGONY」の路線を、ツインギターも嫌だし技巧的な方向に走るのも嫌、と反発してこちらを結成したという流れだったはずですが、暴走一辺倒になるわけではなく、元METAL CHURCHのデイヴィッド・ウェインがやっていたTHE REVERENDに近い方向性になっています。すなわちスラッシュメタルを経過したダーク&アグレッシヴなパワーメタル。トリッキーなギターも結構入っとるやんけ…とツッコミを挟みたくもある感じすが、確かに小賢しいリズムチェンジとかはやらなくなってラフな疾走感が復活してます。でシュミーアの猛々しいんだかカワイイんだか、金切り声なんだかにゃあにゃあと猫系なんだか、何だか判らないが物凄く堂々と噛み付いてくる変なヴォーカルは健在。DESTRUCTION時代の頼りない裏声をあんまり使わなくなったのは正解ですな。依然冴えない原因はひとえに曲のツカミの中途半端さのせいと思われます。AGENT STEELがANNIHILATORになろうとして失敗したようなこの微妙さは、B級・C級漁りが趣味のメタラーだけを振り向かせること必至。一周まわってCIRCUS LUPUSとそう変わらんように聞こえるのはきっと私だけでしょう。ハイテンションっぷりは近いと思うんだけどなあ…。ちなみにドラムはRUNNING WILDやRAGEなどを渡り歩いて今はSTRATOVARIUSにいるはずのドイツ随一の仕事人ヨルグ・マイケル。煮えきらず度アップ!ということで、墓掘り人を自認するようなマニアおよび各メンバーの熱狂的なファンに捧ぐ。チープなジャケからして何か泣かせるな〜。

  5月25日
収穫はなし。HOTMAILのアカウントに日々膨大に寄せられる海外からの迷惑メールに混じって、アメリカのCAUSTIC TRUTHなるメタル系ファンジンから、「君のサイトへのリンクをGORGOROTHのカテゴリに加えさせてもらったよ」とのお知らせを受け取る。どうやら日本語は読めてない様子。どんな微妙なホメ方してるか判ってないでしょアンタ達…と思いつつ、単純に嬉しいものです。無断リンク歓迎してます。

【本日のレビューその1:WADADA LEO SMITH「GOLDEN QUARTET」】


ゴールデンというからにはゴールデンです。60年代終盤からアンソニー・ブラクストン他錚々たる面子と共演してきたフリー界の現役大物トランペッター、ワダダ・レオ・スミスを、AECのマラカイ・フェイヴァース(b.)、現代音楽のコンポーザーでもあるアンソニー・デイヴィス(p.)、そしてご存知ジャック・ディジョネット(ds.)で囲んでしまおうというゴージャス企画。2000年、堂々のTZADIK「KEY SERIES」リリース。抽象的だが鮮明な色彩があって、えも言われず滑らかで美しい、全くもってジャケが物語るとおりの内容。歴戦の猛者が集まってるだけあって実験めいたブレは少しも表れることがなく、前進した言葉で物語られる何か確かなものを感じます。品があって陰影もあるアンソニー・デイヴィスのピアノには特に耳を奪われる。若手に頑張らせても多分これに似た色は出せるんだろうけど、「コンテクスト性を超越した若い耳が持ちえる自由さゆえのボーダー無視」と「『新しい自由の創出』をライフワークにしてきたヴェテランだけが見渡すことのできる高次の視界」とではやはり奥行きが違います、ウムムと唸らされます。また同じヴェテランでもポール・モチアンあたりのヴィジョンとは近いようで異なり、「これに辿り着けばOK」みたいな焦点の絞れた解答の設定は避けている分、聴き手も注意深く核心を追いながら耳を傾ける感じになります。おじいちゃんの近況チェック以上の意義ある買い物。わざわざ世に出る新譜てのはこうあるべきだな。

【本日のレビューその2:LOCK UP「PLEASURES PAVE SEWERS」】


ヴェテランつながりで2枚目はこれを。USグラインドコアの礎そのものであった伝説的存在・TERRORIZERの元ギタリストであり現在はNAPALM DEATHに籍を置くジェシ・ピンタード、同じくNAPALM DEATHのモリゾーことシェーン・エンバリー(b.)、CRADLE OF FILTH〜DIMMU BORGIRのニック・バーカー(ds.)、HYPOCRISYのヴォーカリストのピーター・テクレンという4名で結成されたスーパーグループの99年発表1stです。高速で刻み続けることが宿命とされているグラインド系のギターリフは、なかなか幅を出すのが難しく、結局リズム面での変化やらそういうところを楽曲の識別標識にしてるバンドが多かったわけですが(ごく最近は変態が流行りなのでその限りではない)、ここで弾いておられるジェシ大先生は何しろこういったスタイルの創造主であらせられ奉るわけでして、どう聴いても極悪グラインドなのに今まで一度もこんなん聴いたことねーよ!という新たな閃きを連発しておられます。あな恐ろし。トラディショナルなDビートの変格活用から、アップトゥデイトなメロデス風パッセージまで、踏襲しているものは幅広く、しかしその全てを一旦噛み砕ききってから正統派ど真ん中としてまた吐き出すという匠の技。それも尋常でないアグレッションを伴ってのもの。あとのメンバーも渾身の鬼演が冴えてて、バンドとしてのクオリティが非常に高い。どうにも体温の低い気がしてならない若手の優等生連中より俄然ポッポッと燃え上がる音です。オリジネイターが元気なうちはそういう人の作品から聴くべきだなとこれで強く再認識。世界中のグラインダー必携のマスターピースでしょう。

  5月24日
収穫はなし。3月頃にロブ・ラモスのCDをまとめて注文したカナダのレーベルに、まだ全部届いてないんスけど〜、という催促のメールを送ってみました。己の英語力のなさに泣きそうになりました。さておきまして、先日、手にして2ヶ月くらいのニュー携帯(カシオ製)に「かんたんメールレシピ」なる機能を発見し、文章を「シェフにおまかせ」にするというコマンドがあったのでその先に進んでみたらば、壮絶に微妙な日本語で書かれたその内容の数々に言葉を失いまして、あんまり変なのでいくつか晒しておきます。

『タイトル:アドレス変えました』
お久しぶりです
○○です。
その後いかがお過ごしですか?
たまにはお茶でもしましょう。
今日は、アドレスを変えたのでメールしました。
新しいアドレスは↓↓↓です。
(マイアドレスをはり付けましょう)
ご面倒でしょうが、変更しておいてください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

『タイトル:お元気ですか?』
ご無沙汰しております。○○です。
あれから随分経ちますが、お元気ですか?
お時間などありましたら、メールでも下さい。
↓↓↓
(マイアドレスをはり付けましょう)
また□□したり、△△したりしましょう。

『タイトル:遅れそうです』
△△です。
約束していました○時ですが、どうしても間に合いそうにありません。
ご迷惑でなければもう暫くお待ちいただけますでしょうか?
無理でしたら、日を改めますのでお返事ください。
勝手言って申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

…何なんだこの、地味にパンチのある流れの悪さ、不必要かつ変にストレスのある逆接、尊大と慇懃無礼が交錯する丁寧表現の不徹底、どうにも不明瞭な相手との距離感、それでいて総じてうっすら強制的な態度。カシオトーンのプリセット曲は妙チクリンでも良かったけど、携帯の日本語までカシオトーンじゃあねえ。おもろいからいいけども。

【本日のレビューその1:SAVATAGE「POWER OF THE NIGHT」】


昔から好きだったバンドです。ギタリストのクリス・オリヴァが事故で亡くなったあとの94年リリース「HANDFUL OF RAIN」までのリマスターを全買いしてしまったので時々小出しに取り上げようと思います。SAVATAGEは、NWOBHMもひと段落ついた83年、MERCIFUL FATEが大成した欧州オカルト様式美に呼応するようにデビュー作「SIRENS」を引っ提げてアメリカから現れ、スピード&ヴァイオレンス至上のスラッシュメタルムーヴメントには乗らずして新世代HMの熟成に心血を注いだ人達です。
 85年にCOMBATからめでたくメジャーのATLANTICに拾われ、リリースした第1弾(通算3作目)がこの作品。やたらツカミのよいアルバムタイトルに、パワーだ何だとヘヴィメタルのイメージを明快に謳う歌詞にと、独特の妖しいムードを愛好した初期ファンからは「メジャーを意識した」といってそっぽを向かれたと紹介されることの多い盤ですが、イコール駄盤とするのは早計。このわざとらしいマッチョイズム、どうやってもマトモにはならない必死&ダーティなジョン・オリヴァのヴォーカルスタイル、何気なく導入されるダウンチューニング(ローC!)など、近頃流行りの「わざとメタリック」を地で行くディフォームド・メタルに仕上がっており最高にクールです!MANOWARやJUDAS PRIESTに中途半端にあやかりながら、その奥から聞こえてくるのはランディ・ローズが提示していたような、高度な調性扱いを駆使しての不穏でオカルティックな世界観。一見コマーシャルなノリに異常なひねりを加えてくるクリス・オリヴァの根性が(思い通りにやったその後の作品より)却って光っている気もします。リードプレイに普段は目立たないゲイリー・ムーアからの影響が見え隠れするのがまた面白い。何の問題もなく名盤です。軽く踏み外したメタルが好きな御仁はマスト中のマスト。

【本日のレビューその2:DIXIE DREGS「FREEFALL」】


何ともアメリカンなアホジャケです。後にKANSAS〜DEEP PURPLEのギタリストとなるスティーヴ・モーズ、WINGERのドラマーとなるロッド・モーゲンステイン、ヘンリー・カイザーと仕事をするアンディ・ウェストなどを擁したUSプログレフュージョンバンドの77年デビュー作。既に所有している少しあとの時期の作品は、もっとガチガチテクニカルな印象でしたが、このアルバムは牧歌的なヴァイオリンをフィーチャーして、80年代手前のソウルがかったフュージョンを土台に、同時期のCHICAGOやボブ・ジェームスを若干テク指向寄りにしたかのようなインストロックをやってます。ほのぼのしてて可愛らしい。アメリカのGILGAMESH、もしくはプログレ・ホソノといっても過言ではない。ニューオーリンズ・サウンドを冗談ぽく消化したようなセンスがとにかく秀逸でめっぽう愉快。なんだこんなに良かったのか。サウンドプロダクションもまだリヴァーブ温泉に毒されていないタイトでポテポテしたものだし、発掘人的な視点は抜きにして普通に直球で楽しんでいただきたい快作です。ちなみにDREAM THEATERがカヴァーしたノリノリ名曲"Cruise Control"も入ってます。おお買いだ。

  5月23日
収穫はなし。しばらく敢えてこう書く意味もないくらいCD買いません。なので日記もCDと関係ない話題にしてみよう、と思っても、あんまりないんですね。今週はツメ切り忘れてるとか、グッとそこまで落ちるわけです。ダメな人間だ…。

【本日のレビューその1:ABRUPTUM「OBSCURITATEM ADVOCO AMPLECTERE ME」】


スウェーデンのカルトブラックメタルバンドの1st。93年リリースですが録音は91年とのことです。この人達、名前と存在だけ知ってて音の方を全然知らなかったんですが、聴いてビックリ。80年代の日本のアングラパンクのようなアブストラクト絶叫ノイズロック!詳しくないんですが非常階段とかゼニゲバとかこんなんなのでしょうか。恐怖感を煽るシンセのドローン、初期ASH RA TEMPELやAMON DUULに悪魔が取り憑いたようなでろんでろんのドラム、常軌を逸したダウンチューニングでのたうち回るギター、歌詞もクソもなく醜悪な叫びをあげるヴォーカル、それらを更に渾然とさせる深いリヴァーブとディレイ。しかし単なる出たとこ勝負のインプロノイズではなくて、悪魔崇拝的な精神世界をクッキリ濃厚に描き出しています。現代音楽的でもあるしTZADIKの「COMPOSER SERIES」から出ててもおかしくはない。25分強ずつにパート分けされた全2トラック、計51分。究極の地獄絵図であります。SLEEPやCORRUPTED好きは死ぬまでに必ずどうぞ。

【本日のレビューその2:LANDING「BROCADE」】


打って変わってこちらは幸福なサイケトリップの音像化。以前も紹介したことのあるLANDINGの最新作です。今回はKではなくSTRANGE ATTRACTIONS AUDIO HOUSEなる耳慣れないレーベルからのリリース。無芸な塗り壁みたいなシューゲイザーポストロックが巷にいくらでも溢れてる中で、このバンドはどこか別格の訴求性を持ってる気がしていたんですが、これまでの作風から更に一歩踏み込んだ本作でその出自が少し明らかになりました。すなわち「マイブラの誤読+MOGWAI的手法への便乗」という黄金パターンには従わず、音の質感はポストロック的であっても動力源は十中八九ジャーマンロックであろうという点。無意味に多幸感みなぎるこの1曲目などは拍子を崩したNEU!にしか聞こえん。2曲目はCLUSTER、その後はASH RAですか。元ネタは結構バレバレながらこれがなかなか、単なる骨抜きレプリカや創意工夫なき部分借用にはならず、昔あったものを現行のパラダイム下で建て直してる感があるので、全然イケてます。むしろ適度なフレッシュさが加味されてて好ましい。ジャーマンロックの夢の続きを見たいプログレッシャーが買って酔い痴れるもよし、そんなもの全く知らないポストロッカーが「うーん、何だか達観しとるのう…」と唸るもよし、どちら向きにも通用するクオリティが素晴らしい。5曲54分のディープな世界。

  5月20−22日
▼ども、DOIMOIで東京行ってきました。時系列順に書きます。

▼20日は夕方に練習ののち、食事をとって21時過ぎに名古屋を出発。まずヴォーカル二村の会社に乗りつけ、格安で借りられる社用車のエルグランドに乗り換え。電動(高速)カーテン、天井からにょにょーんと下りてくる後部座席専用モニター、くそ広い車内とグリーン車の如きシート、近未来風なルックスのパネルと、全てに度肝を抜かれまずここでテンションが上がる。東名をバカスカ飛ばした結果、25時過ぎにはあっさり神奈川くんだりに辿り着いてしまい、余裕だろうということで途中のパーキングエリアの車内にて就寝。

▼21日、照る日の暑さに堪えかねて予定の9時半より早く移動開始。ハイテクカーナビ君がおもむろに渋滞情報のお知らせ…工事と事故のダブルパンチでノロノロと、流れていたFM番組でシェリル・クロウの生い立ちに無駄に詳しくなりながら、12時頃には無事都内の一般道に脱出。このへんでたまたま東京滞在中だったスペース君(THE ACT WE ACT)と合流して案内してもらうつもりが、まだ時間が早かったのとカーナビが思いのほか優秀だったのとで、安くて近い駐車場をじっくり探したあと、早々に会場に向かうことに。

 淫靡なホテルが林立する一帯の高いところにある渋谷O-nestに到着、先に来ていたスペース君と合流。会場のスタッフ以外誰もいないよとのことで、別段間違いを疑うでもなく入り時間を確認してみると、本当に1時間早く来ていたことがここで発覚。安い駐車場の残り1台分のところに停められたからヨシということにして、SOME OF USに営業に立ち寄ってからスペース君おすすめセルフサービスうどんの店で一同昼飯を食らい、戻ってリハーサル。O-nestは何だかステージに圧迫感がなくてあまり緊張せず、トントントンと調子よく終了。

 その後依然残る空き時間を、「じゃユニオン行きましょうか…」ということになってメンバーの残り3人を置いて買い物へ。(収穫はあとでまとめて書きます)

 物販の用意のために慌てて戻り、1番手のFOEからしっかり観戦。FOEは予備知識どおりガッツリメタリックかつFOO FIGHTERS愛してる節全開!ベースの佐藤研二さんは大槻ケンヂ絡みのアンダーグラウンドサーチライや電車などで前々から聴いていた人なので大いに感慨。左手の白手袋やっぱりしてました。大人の余裕を感じるステージングでやや手短に終了(正味30分ないくらい)し、次はCATUNEおかかえのSEQUENCE PULSE。これぞ東京というドリーミーな和みポストロック。渋谷の街を探検してきた後だったせいもあってか、東京で見てこそのリアリティみたいなものに納得してしまいました。自分の準備もあるので途中で上のラウンジフロアに引き揚げ(渋谷O-nestはステージおよび客席のフロアとバーやイスがあるラウンジフロアに分かれています)、3番目は我らDOIMOI。トラブルらしきものもなく、見せるものは見せてきたと思います。「準備と片付けの速いバンド」を標榜しているので終了後はサッサッと撤収し、次のBEYONDSは最初から落ち着いて見れました。前にクアトロで見たときより間近な距離感で、アヒト氏の極太ドラミングを堪能。音楽的には何ともベテランらしい世界観があって、昔のALTERNATIVE TENTACLESみたいな空気も感じました。酔いどれと朗々と鬼の形相の間をいくヴォーカルは独特ですな〜。

 終わったあとはラウンジがそのまま打ち上げ会場と化し、めいめい色んな人と絡んで談笑。私は大学のサークルの後輩の縁で以前から面識のあったTHE UNDERCURRENTヤマザキ氏とディープなメタル/グランジ話に花が咲き、今日中に名古屋に帰るあとのメンバー3人を見送って東京にひと晩滞在することに。持ち歩いていたCDケースの中身やその日の収穫を遅くまで聴きまくり、バンドの真面目な話もし、外が薄ら青くなった頃に就寝。

▼22日はヤマザキ氏の出勤に同行(御茶ノ水のブートCD屋のマスターをやっておられます)。着くが早いか、看板だけ出すとさっさとディスクユニオン・御茶ノ水ヘヴィメタル館へ直行。ここでも予想以上に買い込み、店に戻って帰りの足情報を調べさせてもらい、13時半から約6時間、東海道線を乗り継いで名古屋へ。出勤する道すがら「朝のフルーツこれ一本」をスッと差し出してくれるようなジェントルマンであったヤマザキ氏と宿主のキノシタさん、ライブの間じゅう物販をずっと手伝ってくれたスペース君、招いてもらった主催のユウコさん夫妻、本当にお世話になりまくりで多大に感謝です。共演バンドの皆様や駆けつけてくれた在東京の知人友人や勿論その他のお客さんにも。「東京はライブでCD売れるよ〜」というstiff slack新川さんの話から期待していたよりは売れんかったなあ…と思っていたら、帰ってPCを開けるとメールや掲示板で複数件のリアクションが。これバンドやってて最高の瞬間のひとつですね。ありがとうございます。

▼ということでお待たせしました、怒涛の収穫リストいきます。まず21日、SOME OF USにてCHEER-ACCIDENT「VARIATIONS ON A GODDAMN OLD MAN」、LANDING「BROCADE」、渋谷ユニオン各フロアでDON ELLIS「THE DON ELLIS QUINTET」、CHARLES MINGUS「THE BLACK SAINT AND THE SINNER LADY」、ZEENA PARKINS「MOUTH=MAUL=BETRAYER」(TZADIK)、DIXIE DREGS「FREEFALL」「NIGHT OF THE LIVING DREGS」、DUH「BLOWHARD」(BONER)、HEADHUNTER「A BIZARRE GARDENING ACCIDENT」、ABRUPTUM「OBSCURITATEM ADVOCO AMPLECTERE ME」、22日は御茶ノ水メタル館でAXXIS「THE BIG THRILL」、HEARTLAND「WIDE OPEN」(LONG ISLAND!)、MEDINA AZAHARA「ARABE」「CARAVANA ESPANOLA」、SANVOISEN「SOUL SEASONS」、PITBULLES IN THE NURSERY「LUNATIC」、NECROPHAGIST「ONSET OF PUTREFACTION」「EPITAPH」、LOCK UP「PLEASURES PAVE SEWERS」、OVERKILL「FUCK YOU AND THEN SOME / FEEL THE FIRE」。恐ろしいことに、これで終わりではないのです…。ドイツのアマゾンから到着の大荷物!DONNERKOPF「KRACHMASCHINE」、MIND ODYSSEY「SIGNS」、SAVATAGE「DUNGEONS ARE CALLING」「SIRENS」「FIGHT FOR THE ROCK」「POWER OF THE NIGHT」「HALL OF THE MOUNTAIN KING」「GUTTER BALLET」「STREETS -A ROCK OPERA」「EDGE OF THORNS」「HANDFUL OF RAIN」(以上全てリマスター)、ACCEPT「BREAKER」「METAL HEART」(いずれもリマスター)、SLAYER「SHOW NO MERCY」「HELL AWAITS」「LIVE UNDEAD」(いずれもヨーロッパ限定デジパックリマスター)。あとこれは多分POSEIDONさんづてでスイスのGALILEO RECORDSというレーベルから送ってもらったBELIEVE「HOPE TO SEE ANOTHER DAY」、T「VOICES」。向こう一ヶ月分くらいもつ量のメタルCDを仕入れてしまいました。しばらくレビューがメタル一色になっても許して下さい。

【只今のBGM:DONNERKOPF「KRACHMASCHINE」】


雷(DONNER)+頭(KOPF)、そうこのバンドはアメリカ人1名+ドイツ人3名の混成バンドだった往年の名バンド・THUNDERHEADのドイツ側の残党による新バンドなのです!アメリカ側のテッドは先にメンバーを一新してTHUNDERHEADを再結成していましたが、以前はなかったメタリック度の濃さに違和感を覚えたものでした。こちらはというと、程よい鋼鉄感とアナログロッキンなスピード感の絶妙なブレンド具合が俄然光っており、昔と変わらぬBLACKFOOT〜MOTORHEAD似のTHUNDERHEAD節がこれでもかというほど満載で今猛烈に感動してます。1曲目なんかまんま"Crash Course In Life"じゃないか!ヴォーカル(全てドイツ語!)はギターのヘニーがとっている模様。レミー(・キルミスター/MOTORHEAD)の物真似を気持ち良さそうに楽しんでいます。アレックスのスカッと走り抜ける中速ツーバスも健在。かっこいいよ兄さん達。恒例の男泣きバラードはここには入ってませんが、解散前末期のヘヴィ&アグレッシヴ路線を継承した作風で徹底的に攻めてるので不足には感じません。THUNDERHEADサウンドを奥の奥まで愛していたファンには必ず持っててもらいたい1枚です。泣けます。

  5月19日
▼今日はサポートで参加しているシロクマのライブで新栄カノーヴァン改めパルルにお邪魔してきました。当初予定されていたKDハポンから会場が変更になり、ドラムセットは使えないということで、2回の練習で急遽それに対応するアレンジを組み上げて臨んだわけですが、その制約のおかげで却ってあれこれ自由な発想で試行錯誤することになって、結果なかなか面白いものになったんではないかと思います。他に出演した中村健太さん、キッチン、えみとよしろう、いずれもイイ感じで今日は楽しいひと晩になりました。パルルもいい所だし。最初から最後まで音の大きいバンドのいないライブってのも心地よいものです。再建の方向で動いておられる様子の鶴舞KDハポンは、ライブイベントが復活したところでやっぱり普通にウルサイのは無理かもという話なので、これからの名古屋は「ハポンで(音量的に)OK」のボーダーラインのもと、カフェ対応型の半アコースティック八面六臂バンドがわさわさと熟成していったら面白いですなあ。

▼といいつつハードロックのDOIMOIもよろしくお願いします。明後日渋谷O-nestです!生きて帰ってきます。

収穫はなし。ドイツのアマゾンから数日前に来たメールは多分「注文のCD発送したよ」というお知らせだと思うんだけど、ウェブ上の独英翻訳サービスで部分的に読んだだけだからイマイチ自信なし。本当に届くのか?SAVATAGEや初期(DEF JAM移籍前)SLAYERのリマスターまとめ買いと、THUNDERHEADのテッド以外のメンバーがやっているDONNERKOPF、早く聴きたいわ。

【只今のBGM:DIO「ANGRY MACHINES」】


おもむろにDIO。聴きたくなります。これは絶不評だった「STRANGE HIGHWAYS」に続く96年作。ギターは相変わらずファンから評判の悪いトレイシー・Gで、あとはバンド初期から連れ添っているヴィニー・アピスがドラム、当時DOKKEN休止中だったジェフ・ピルソンがベース。ヴィニー・アピスはいつでもいい仕事します。音楽的には前作から引き続き90年代型のダーク&ヘヴィ傾向に更に拍車の掛かった、まあ純なBURRN!読者は嫌いそうな内容になってます。しかしトレイシー・Gは充分にエキセントリックな人であったので、フラットに聴けば全然面白いです。「トリオ時代のRAGE+ALICE IN CHAINS」などとシンプルに片付けることも可能ですが、コシ・粘りともに最強のロニーのスピリチュアルなハイトーンと、変拍子/ポリリズム/不協和音混じりのヘヴィなインスト陣というこの構図、折りしも新作が出てまた話題になっているTOOLと通じてしまったりもするんじゃないでしょうか?TOOLをメタルとして楽しんでる人は今すぐ買うがよいです。若き野心と歴戦のオリジネイターの底力が居合わせたからこそ実現した奇跡的なバランスであり、同系統作で他にこれほどのパワーを感じるのはロブ(・ハルフォード)のFIGHTくらいしかありません。ダークなメタルが他のものでは代用のきかない独特のパワーをもっているという事実が広く了解され、MESHUGGAHやNEVERMOREがメタル界の顔になろうとしている今、90年代中盤のこういう試行錯誤がただの使えない間違いや無駄骨ではなかったと早く認められるべきですね。批判をおそれず堂々と「名盤」と呼びたい。そろそろ中古でも見掛けにくくなってきている気がするので、今のうちに捕獲をば。

  5月17−18日
▼17日は今池得三でCOPTIC LIGHT+54-71+WHY?観てきました。1番手がいきなりCOPTIC LIGHT。STORM AND STRESSで叩いていたケヴィン・シェー率いるフリーフォームノイズロックトリオです。予想を上回るハイパー・エナジェティックな轟音攻めで、轟音の中に固定フレーズやキメや展開が仕込んである感じ。即時的な呼応で曲がグニャグニャと変形していくようなフリージャズ的流儀ではなくて、一定のリズムこそ存在しないもののかなり作曲性の高いものであるようでした。ギターもベースもリアルタイムでループ作ってその上に重ねて…というのを多用してたけど、ああやってレイヤー感/ミニマル感が出ると途端にイマドキっぽいですな。ケヴィンのドラムはおおむね、テンポとか関係なく叩きまくってるときの吉田達也にちょい似。パワーよりも先走る生気が勝るようなスタイル。しかしあんまり細かい所まで聞き取れなかったのは音の壁っぽくしてしまっていたPAのせいか?最近の得三はどうもその点がイマイチ続きですな。普通にスタジオでリハーサルしてるような音量で聴きたかった。

▼2番手は54-71。スゴイことになっていると聞き及んでいた新曲をやっと聴けました。ドラムの複雑なずらしや虫食いが更に激化するとともに、キーボードもどんどんエキセントリックになって、さながら最近のDESTINY'S CHILDみたいなリズムの際どいR&Bのバックトラックにも迫る感じでした。常軌を逸したトリッキー&タイト具合に毎度のことながらショック受けます。リズム隊の強烈さが目立つ中、ビンゴ氏のキーボードも何気に相当スゴイのをこの日は再認識。ランダムに打鍵してみるだけみたいなことはあまりやらず、かなりの部分をきちんと歌って(それこそジャズピアニストのようにうめき声を発しながら)弾いておられるようでした。ここまでのことをやっておきながら、まだ新しい地平を見つけていくのでは…と期待もしてしまう、日本でも世界でも比べるべきもののない存在。

▼トリがWHY?。ANTICONの人ということ以外に全く予備知識のないまま臨みました。準備の整ったステージ上がどう見ても変。直角にセットされたドラムセットとヴィブラフォン、それとは別にクラッシュとスネアそれぞれ一つずつとマラカスとシンセ、シンセとギター。いま読点で区切ったところをそれぞれ一人ずつが受け持つという変態セッティングでした。しかもドラマー以外の足元にはシンセベース用の足鍵盤もセットされていた模様。これをま〜実に上手い具合に同時演奏して、3人分とは思えないアンサンブルを大忙しで巧妙に構築。ヴォーカルのハモリも完璧。曲は何だかTEENAGE FANCLUBと「幻惑のブロードウェイ」でのGENESISの中間みたいな雰囲気と思いました。細かいアルペジオのハモリなんか特に。「やっぱり外人が体張るとやること違うわ…」といういつもの感想になって帰宅。

▼本日18日は収穫がありまして、バナナレコード・ジャズシンジケートにてARCHIE SHEPP「THE NEW YORK CONTEMPORARY QUARTET」、DEREK BAILEY「IMPROVISATION」(オリジナルリリースは伊CRAMPS!)、YUSEF LATEEF「THE AFRICAN-AMERICAN EPIC SUITE」、OTHER DIMENSIONS IN MUSIC SPECIAL QUINTET「TIME IS OF THE ESSENCE; THE ESSENCE IS BEYOND TIME」。きっと誰かのまとめ売りをまとめ買いしているな。個人的に直接卸してもらいたい。

【只今のBGM:THE SCIENCE GROUP「A MERE COINCIDENCE」】


2ndを最近紹介したばかりの現役レコメンバンドの1st。2ndは全てを統率しきってドピャーッ!と高速で転げていくような印象でしたが、こちらはもう少しデジタル度低め、ART BEARS色濃いめ&カオス度高め。プロダクション的にも荒々しく、HELLAや「REVEILLE」の頃のDEERHOOFを思い出すほど。いやーこういうHENRY COW界隈直系の音にあやかるバンドは世界中に数ありますが、やはり本家はフレーズ一つ一つの深さが違う感じです。たった今この世で初めて生まれ出でたかの如きリアリティと温度感でもって響き渡る。ただのこのヴォーカルはどこからどう聴いても「これでダグマーが歌ってるとこ妄想して下さい」的なソックリ身代わり系で、そこが若干残念といえば残念。違和感は確かに全くないのだけど。さておき、とにかく純粋に内容が素晴らしいので皆さん聴いて下さい。54-40 OR FIGHT!やSKIN GRAFT、TROUBLEMAN、LOADあたりのプログレ派バンドがお好きな方からリミエキファンまでいけます。屈折ロッカーのレコメン入門にこれ以上ないほどうってつけ。

  5月16日
収穫はなし。ドイツのアマゾンからの大量の荷物を待っているところなので買い物禁止キャンペーン中。

【本日のレビューその1:BRYN ROBERTS「LUDLOW」】


しばらく振りのFRESH SOUND NEW TALENTまとめ買いシリーズ。2005年に出たての作品です。リーダーのブライアン君(p.)はAMGで調べるとなんとこのアルバム以外の録音ナシ!というホッヤホヤの新人。内ジャケの写真見ても若いです。しかしサイドメンにはCLAUDIA QUINTET他のドリュー・グレス(b.)を含む大物〜中堅どころが揃っているようで、その才能の見込まれっぷりを物語っております。さて内容の方、今時よくある「キース・ジャレット以降の理知的バークリー系白人ピアノ」の範疇に収まらないイメージの豊かさを湛えたものでして、早回し再生した久石譲に切り込みを入れて変拍子に仕立て直したみたいな、清涼感と親しみやすさとスリルがいっぺんに押し寄せる極上の和み現代ジャズ。アートですから…と息巻いてる感の強いブラッド・メルドーあたりと比べると格段に耳当たりが易しく、普通にポップスとしても優れているという点が大きな魅力。なおかつ俗っぽくなりはなり過ぎずに、細やかで多彩なアレンジワークと端麗な歌心で上質感をしっかり醸し出してます。何かこんなんでジーンと来ちゃっていいのか?まあ、いいわな!みたいな気恥ずかしさが程よく心地よい。PELEやUNWED SAILOR好きのポストロッカーでもイケるかも。以上の文章を一言で要約するなら「ステキ」です。

【本日のレビューその2:BEAUTY PILL「THE UNSTABLE LIFESTYLE」】


元SMART WENT CRAZYのチャド・クラーク、THE MOST SECRET METHOD〜OSWEGOのライアン・ネルソンを擁するDC産男女混成バンドの2004年作。FARAQUET〜MEDICATIONSのデヴィン・オカンポ(本作にもゲスト参加)を輩出したことでも知られるSMART WENT CRAZYは、脱力・アダルト・エクスペリメンタル・チェンバー・ポストロックてな絶妙な風合いのバンドであったもので、このBEAUTY PILLではそこでの試行錯誤を完全に消化し、大人のまどろみ系ローパワー音響ポップへと行き着いてしまいました。あ〜USインディポップですかそうですか、というお手軽な響きを徹底回避しながらにして、THE COCKTAILS+YO LA TENGO+P.U.S.A.ともいうべきツカミの太さ。今世紀のポップミュージックの雛形にしたいくらいあらゆる末梢要素のセンスが良い。今やマスタリングエンジニアとしても名を馳せるチャド・クラークの手腕炸裂ですね(録音もムチャクチャ良い!)。そして一筋縄ではいかない屈折した歌心はやはりDC産ならではでしょうか。渋い、渋すぎる。全然甘くなくてひたすら生地のうまい洋菓子か何かのようです。現在形で活動しているDISCHORDバンドの中ではブッちぎりで支持してます。

  5月15日
収穫はなし。今日一番びっくりしたのは「『ミニ天むす5個セット』より『ミックスサンド(5きれ入り)』の方がハイカロリー」でした。試しに「サンドイッチ カロリー」でぐぐってみたら、サンドイッチが意外と高カロリーな食べ物というのは常識であるようでした。フ〜ン!!そんだけです。

【本日のレビューその1:YUSEF LATEEF「THE BLUE YUSEF LATEEF」】


50年代から孤高の怪気を発し続けるマルチリード奏者ユゼフ・ラティーフの68年作。ジャズのアルバムでこういうタイトルがつくと大抵、ブルーズのスタンダードでもシッポリと取り上げるのが常ですが、このアルバムは1曲を除いてすべてオリジナル。しかもコルトレーンの余熱もまだ冷めずどっちを向いてもアヴァンギャルドだったこの年代、よりによってこの人が真っ向からのブルーズなんぞやるわけありません。ドブドブなR&Bをフリージャズのバイタリティで叫び上げたアーチー・シェップの大名盤「ATTICA BLUES」の如く、12小節進行の3コードなどには全くこだわらずにブルーなムードだけを我流に解釈した、壮絶なるオリエンタル・フリー・フリークアウト・ブルーズになってます。民族的なミニマリズムすらナチュラルに消化した大胆過ぎるアレンジはFAUSTの2ndにも匹敵、ジャズのレコードとは到底思えぬ仕上がり。ムチャクチャやりますな…。逆にそういう中に1・2曲だけ、どこもハミ出してないただの軽快なブルーズも紛れ込ませるという余裕のジョークまでかましてくれてて、うーん笑えるおっさんです。根底に感じるのはしかし、あくまでハッピーなヴァイブレーションすなわち慈愛。スピリチュアルジャズと呼ばれるものが内包する空気を天然でまとった人なのですな。誰彼構わずオススメできる楽しい盤でした。

【本日のレビューその2:BANG TANGO「DANCIN' ON COALS」】


意味不明のハイブリッドつながりかつ、今月地味に続いているマイナー産業ロックシリーズも兼ねてもう1枚、謎の気取り系ダンサブル優男HR!これはスタジオ録音としては2作目のようで、91年にMCA傘下のMECHANICからリリースされています。いやーとにかく異様。昔のレッチリや暗くなる前のFAITH NO MORE、JANE'S ADDICTION、WINGERなどを徹底的にキモチ悪く誤読して、更にどういうわけかモッズ風のノリまで加えてしまった、他に例を見ない独自のカッコつけ・ファンキー・ロック。90年前後ってこういう妙なハネ感にロックの未来を見出してた時代なんでしょうかね。出始めの頃のEXTREMEといい末期DEATH ANGELといい。結局どうやってもあざとく取ってつけたみたいにしかならなくて、こういうアプローチはすぐに誰にも見向きされなくなっていったわけですが、このバンドは大真面目です。マイク・ミューアが本気で田原俊彦を標榜してしまったINFECTIOUS GROOVESのよう。全力でけなしてるように見えるかも知れませんけども、これでもかというほどの(他にやる人がいないゆえに)オリジナルな世界観と強烈な気迫に、唖然としております。ここまでやれば充分かっこいい。サプライズ満載、歴史の中のあらゆる「間違ってしまった音楽」に興味がおありの方ならマスト。

  5月14日
収穫はなし。昨夜遅くまで結線をああだこうだと思案して、完成した足回り一式。(ギターとアンプはセッティング例)

踏み間違いやケーブル挟み込みによる踏み損ないなどを完全回避するとともに、入り口から出口まで最短のケーブル長にて完結。これで頑張ります。

▼ということで告知が2件。近い方から、私がドラムで手伝っているシロクマ、念願のKDハポン出演!のはずがいろいろと大幅変更してこのようになりました。
5月19日(Fri.) 新栄パルル(旧カノーヴァン)
 キッチン / 中村健太 / シロクマ / えみとよしろう
19:30開演
前売り・当日とも2000円
ドラムセットは使えない場所のようなので私はギター持ちます。リズムマシン+ギター+ベースで録られた楽曲をサンプラー+ギター+ギター+キーボードで再構築、アレンジは現在猛烈に思案中ですが多分シロクマのカラーに馴染む面白いものになりそうです。

▼もう1件、上の2日後にDOIMOIが東京でやらせていただきます。首都圏在住の方々、よろしくお願いします!!(泣)
5月21日(Sun.) 渋谷O-nest
「CRAZY YOU-CO.PRESENTS GET WET vol.13」
 BEYONDS / FOE / sequence pulse / DOIMOI
18:30開場 19:00開演
前売り 2,000円 当日 2,500円
この日記だけで私を知っている人、たまたまCDを買ってくれた人、サークルの先輩・同期・後輩、その他知人友人の皆様、東京でDOIMOIを見るのは今のところ中古CD屋でANAL CUNTの「PICNIC OF LOVE」を捕獲するくらいレアです!是非ひやかしに来て下さい。

【只今のBGM:GORGUTS「FROM WISDOM TO HATE」】


しばらくご無沙汰になっていたデスメタルをば。カナダ産・孤高の変態サイコブルータル派バンドGORGUTS、2001年の4thです。これ以前の3枚は過去に取り上げ済みなのでこれにてコンプリート・ディスコグラフィ完成してしまいますね。98年の前作からまたアブノーマル度が増して、EXIT-13やSOILENT GREENみたいなピギョピギョ鳴る高音ノイズリフや緑煙くゆる病的オブリに更に磨きが。しかしそのままフリークアウト一本には走らず、ズドズドと高速蛇行するショベルカーのような激ブラストやグッタリしたダウナーパート攻勢によって、デス「メタル」としての量感はあくまで損ないません。「DIMENSION HATROSS」〜「NOTHINGFACE」の頃のVOIVODと「FAR BEYOND DRIVEN」の頃のPANTERAが最良の形で融合したかのよう。技巧性も凄いがそれよりとめどない異常妄想パワーの嵐にわけがわからなくなります。何とエクスプレッシヴな憎悪とアグレッションの音塊よ。今月取り上げ続けているAMERICAN HERITAGEBEHOLD...THE ARCTOPUSのような線がイケる人、あるいは新生ドンキャバにもっと羽目を外したブルータルさを期待したような人なんかは、オススメじゃききませんな、必聴。

  5月13日
収穫はなし。荷物が重くなる、踏み間違える、などの理由でエフェクタを半分くらいに減らしてスッキリ良い気分。「セッティングがキモい」と言われたい病。貧乏らしく歪みはRATにしました。パライコとの合わせ技で結構最近のANTHRAXみたいな音作れます。

【本日のレビューその1:POPOL VUH「BRUDER DES SCHATTENS-SOHNE DES LUCHTS」】


ボックスセットを買うほど(註:昨日の収穫参照)この人達が好きだったとは自分でも驚きですが、近頃やけにシックリ来るのです。フローリアン・フリッケ(R.I.P.)を中心とするジャーマンプログレの難攻どころの78年作。難攻というのも、極初期はドローンシンセもしくはパーカッションひた打ちの激ディープなサイケで、やがてニューエイジ/ヒーリングに近い美麗かつ非ロックな方向にどんどんシフトしていき、ロッカーがサイケミュージックに求めるカタルシスとは終始無縁であるゆえ、AMON DUULやASH RA TEMPELほどプログレッシャー以外から有り難がられることがないという意味で。しかし今は間違いなく彼らの時代です。温度を徐々に上げてやがて沸騰するのを目的としない「音響」的音楽、楽曲やヴォーカルやリズムといったもののコンテクスト性から免れた抽象的な表現といったものが受け入れられて、特に癒しだの精神浄化だのというと殊更喜ばれる今、素性を明かさずに「これ、ポストロックの新譜だからキャッチ考えてください」とそのへんの業界人に聴かせたら、「KRANKY系アーティストやSIGUR ROS、TARENTEL、TOWN AND COUNTRYなどに肉薄する、静謐としながらも壮大でスピリチュアルな極上のサウンドスケープ!東洋的でもあるゆったりとした"間"とアコースティックなインストの調べに癒されます…」みたいなのが出来上がってくることでしょう。このアルバムが代表作というわけではないですが、この時期の作風に忠実な内容といえます。19分近くに及ぶ1曲目がASH RA「NEW AGE OF EARTH」冒頭の"Sunrain"ばりにキラー。

【本日のレビューその2:RACHEL'S「SELENOGRAPHY」】


上のPOPOL VUHと近いところで今度はポストロック側のセレクト。元RODANのメンバーがやっているユニットの99年リリース作です。ドラムは入ったり入らなかったりしつつ、生ストリングスやピアノを中心としたチェンバー風アンサンブルで、スローコアというより東欧らへんの現代クラシックや映画音楽を思わせる内容。パッと華やかでいい気分がするようなわかりやすいものだけに限らず、沈んでいたりくすんでいたりと色んな「美」を切り取ってきて、つつましく並べた写真のアルバムの如し。というか全ては首謀者レイチェル・グライムスのほとばしる美意識のヴァリエーションですな。ロックのCDを聴いてピアノの表現力に唸る機会はなかなか少ないですがこの人はやります。敏腕仕事人ボブ・ウェストンによる録音で、チェンバロ独奏なんてのも瑞々しく迫力のある仕上がり。聴き進むとこのアルバム、節操がないというか相当カラフルな作りで、リズム/ビートの扱いが実に柔軟。基本はクラシック的ながらリズムマシンによる機械的なループや、トランシーな細かいミニマルビーツなどの導入も飄々とやってのけます。手広くも散漫としないってことで彼らの全作品中でもバランスのいい出来なんじゃないでしょうか。ワンテーマを完璧に描ききったこっちも素晴らしかったですが。何か大きなものに心洗われたい人には激しくオススメ。

  5月11−12日
11・12日の収穫、まず11日はサウンドベイ上前津でYUSEF LATEEF「THE BLUE YUSEF LATEEF」、MICHAEL ZERANG / FRED LOBERG-HOLM「35 GRAPES (19 shown)」。本日12日はヤマギワソフト・ナディアパーク店でPOPOL VUH「ON THE WAY TO HIMARAYA」(78年作「BRUDER DES CHATTENS SOHNE DEL LICHTS」、79年作「DIE NACHT DER SEELE」、85年作「SPIRIT OF PEACE」の3枚が入ったポックスセット)、バナナ大須でGORDON LIGHTFOOT「GORD'S GOLD」。散々行くか否か悩んだ「週末の裏7586」は結局あきらめ、そろそろ締め切りが近いMAG FOR EARSvol.3の原稿の続きを進めるべく大人しく帰宅。と思いきや、今日付けのアナウンスで締め切り延びたみたいですね!(怨みませんから大丈夫です岩佐さん!)最近こういう、コインシデンスじゃないな、シンクロニシティというか、ふと頭によぎった話題をその直後に会った人にされたり、そろそろかな〜と思ってたらそろそろだったり、そういうことがよくあります。とりあえず17日得三のWHY?+COPTIC LIGHTは何が何でも行きます。54-71の新曲が楽しみだ。

▼なんて脳天気に書いてるうちに、騒音騒ぎで遂にKDハポン大変なことになったそうで…そんな〜。何が出来るかわかりませんが、名古屋人として死守せねば…。

【本日のレビューその1:STORM AND STRESS「UNDER THUNDER AND FLUORESCENT LIGHT」】


日記にCOPTIC LIGHTの名前が出たのと前回のレビューがドンキャバだったのとで、聴き返そう聴き返そうと思っていたこれを久々に。買った当時は何が何だか把握出来てませんでしたが、今大雑把に解釈すると「フリージャズのポストロック」ですね。ノンビートでパルスだけが存在するフリーフォームな演奏スタイルはほとんどフリージャズの流儀ながら、そっとかたどられる調性感は曲中で臨機応変にグニャグニャ曲がっていくことなく守り通され、「この曲にこのテーマ」という核心の共有に辿り着くまでの探り感(フリーインプロには往々にしてその時間が存在する)なども全くなく、「セッション」というより「ソング」を演奏するというスタンスが伺える点でやはり崩れきったロックという風に感じます。生まれ出るインタープレイの新しいパターンを探るよりも、収まるべきアンサンブルに革新性を求めた結果なんでしょうか。そこに絶妙に和むハーモニーを溶かし込んだり、スレスレな酔いどれヴォーカル(BJORKの"Anchor Song"を彷彿)を乗せてみたりして、「キャッチー」というあり得ない形容を可能にするイアン(・ウィリアムズ/元DON CABALLERO〜現BATTLES)のセンスがいかに卓越していたか、この段になって思い知らされております。やっぱ凄いんですねこの人。ちなみにゲスト参加しているジム・ブラックの仕事振りの方は、お得意の高速人力ドラムンベース風フレーズぶちかまして帰ってきましたみたいな感も少々。チラッと1曲だけ叩くにはまあ妥当な貢献といえましょう。この人の参加を取っ掛かりにしてアヴァンジャズ/ポストロック双方のリスナーの橋渡しになったりすれば…と結ぶとうっかりドンキャバの時と同じになってしまうなあ。そういう星のもとに生まれた奴らなんでしょう、どっちも。

【本日のレビューその2:CASANOVA「CASANOVA」】


難しいのばっか続いてるのでお気楽マイナー産業HRシリーズで一息ついて下さい。(メタラーにしか無理ですが…。)91年、堂々のWEAリリース、洒落たバンド名でジャケにもバラのイラストなんかあしらったりして、でも思いっきりドイツの人達です。メンバーの名前を見てもノイマイヤーだのユーリヒだの。ドイツのこういうバンドって大抵イモいイメージですが、彼らはあくまでアーバン&ソフィスティケイテッドにキメ込みます。最も顕著なのがサミー・ヘイガー加入後のVAN HALEN、その他FOREIGNER〜ルー・グラム関連(ソロやSHADOW KING)、WINGER、EXTREME、そのあたりをひとまとめにデフォルメしたようなメインストリーム・ハードロックになってます。いやー極端。ドイツ人はいつでも全開だ。しかし普通に演奏もソツなく激ウマだし、何より曲の出来自体かなり上等(かつ濃厚)なので、この手のジャンルのファンは直球で感動することが可能です。90年代中盤以降のMTMとかの寝ぼけた凡百のAORみたいのより全然シャキッとしてて楽しめる出来。調べてみたらなんとジャーマン産業ロックの代表選手BONFIREの元ヴォーカルのバンドだそうで、しかも結構日本で愛されてた模様。更に今年復活して新譜を出したとな?ただの発掘のつもりがタイムリーなチョイスになってしまった。夢見果てぬ方はそっちも買ってみてはいかがでしょうか。

  5月10日
▼さて、今月はじめの日記で「状況の進行の都度リポートしていく」と書いた中古CD出張買い取りですが、あっさり今日敢行されました。これまでのやり取りは「出張買い取り希望します」→「近いところだと××日と○○日あたりが空いています」→「では××日で」という事務的なEメールの数往復があっただけです。やって来たのは、かなり前に名駅店の店長をやってた人。上がるや否や「このへん全部ですね」と獲物を見つけ、取り出した電卓に黙々と買取り値を打ち込んでいくのみ。表ジャケを見て、中身を確認して、ほとんど迷わずパパッと打ち込んで、ハイ次!ハイ次!といった調子。結局30分ほどで全ての査定が終わり、結果は当初低めに見積もった予想を上回ってくれました。ここで嬉しそうにフリップを高くかざす依頼人、地元の伝統舞踊隊が祝福の踊り(何でも鑑定団)!なんて演出がないのは勿論、不要かと思いつつ一応用意しておいたお菓子すら手を付けぬまま、現ナマを手渡されて売りCDを段ボールに詰め終えるとすぐにお帰りになられました。バナナの黄色いバンで来たかどうかさえ確認し忘れた…。仕事人の早業でありました。

▼臨時収入に気を良くして本日の収穫、STIFF SLACKにてDON CABALLERO「WORLD CLASS LISTENING PROBLEM」(最新作!)、RACHEL'S「SELENOGRAPHY」(99年)、HAYMARKET RIOT「MOG」。店頭で聴かせてもらえたTRAINDODGEの新作用の曲が、更に濃厚にKING'S X化していてびっくらこいた!意識してるはずだと常々思ってたけどあれはいよいよ疑いの余地がないレベル。PATROL(ex. ROADSIDE MONUMENT!!)共々新作が楽しみでしゃーないですよ。出たら全力で盛り上げましょう。

【只今のBGM:DON CABALLERO「WORLD CLASS LISTENING PROBREM」】


連日各方面の変態変拍子作品が続いたところでこのドンキャバ復活作レビューにもつれ込むとは、美しい流れになりました。現代異端メタルの名門RELAPSEからのリリースで「世界級聴取障害」と何やら大仰なタイトルを冠されたこのアルバム、まずジャケが明らかにBATTLESに喧嘩売ってますね。否応なくBATTLESのCDジャケを想起させる鬱蒼とした樹木群、それが生えている岩肌の下の真っ暗な空洞に、もっと深い奥へと誘うあやしげなライトの列…。アレはただの上っ面でコッチが本物だ馬鹿野郎とでも言いたいのか、きわどいジョークなのか判りませんけれども。

 さて本作は鬼ドラマーのデイモン以外のメンバーを全員、ドンキャバフォロワーバンドをやっていたという連中にすげ替えて制作されたと伝えられておりました。やはりそれだけの大改革断行後とあって、今までのどのアルバムとも異なる手触りをもっています。羽根をのばして「2」の頃のようなゴリ押しメタリック路線の強化版だけに徹するでもなく、現BATTLESのイアンのコンセプトが幅を利かせていた3・4枚目のスタイルを感触だけ踏襲はしても、本質の部分(レイヤーのコラージュによる変則ミニマリズムとそれが不可測に崩壊〜再集合する展開作り)は違う気がするし。威勢良く歪ませたときのメタリック具合にしても、以前あったような凶悪スラッシュ色は薄れて、奇しくもカムバック後のHELMETに似たようなスポッと通りの良い感じに聞こえます。大人になったというか。一見軽快なシャッフルにのせて低いCまでボグボグえぐる1曲目アタマの極太リフは正にヴェテランにしか出せない貫禄!途中(というか5曲目)そこはかとなくBAD ENGLISHみたいなクサ系メロハーを彷彿とさせる雰囲気をチラつかせるという嬉しい新機軸も。

 しかし同時に、いつどっち向きにビヨーンと伸びるか判らないような危なっかしいスリルは正直、前ほど見られなくなったのも事実。それがもっぱら他の元メンバー(イアン一人に限らず)の性質だったとして、デイモンが望んでいたのはこういう、4にせよ5にせよ7にせよ決まった拍数の循環をキープしながら無茶に手数を費やすドラムに対し、然るべきリフがガチッと張り付くようなスタイルだったのかも知れません。実際デイモンのドラムだけを取り出してみれば以前とやってることは全く変わりませんし。それならドラムサウンドをもっとおおっぴらにフィーチャーして欲しかったのですが、ググッと音圧を上げたRELAPSE仕様のミックスもしくはマスタリングによって、ドラムのアンビエンスがディストーションギターの双壁に埋められ気味で、全体的にモリモリッと目が詰まってしまい、演奏の細部の凄味を堪能しきれない仕上がりになってるのが何とも歯痒い。録音/ミックスは今まで同様アル・サットンだから多分マスタリングのアラン・ドゥーシェスのせいだな。この売れっ子仕事人め。あ〜こんな屈折しまくった期待のしかたと聴きかたをしてるのは私だけなのか??ドンキャバは私の人生で、「ああ、『メタル的でもあるバンド』がメタルと同じ土俵でメタルに完勝している…」という絶望感を与えた、後にも先にも唯一のバンドなので、つい必要以上に力んで構えてしまいます。深く勘繰らずにかっこいいマスロックを聴きたいだけなら最高に優秀な出来であることに間違いありませんよ。

 それにしてもこのCD、新品買ってジュエルケースを開くとまず目に入るのが、HIGH ON FIREMASTODONNILEのアルバムジャケをあしらったRELAPSEのレーベルカタログ。ポストロック界にドンキャバみたいなバンドがいるように、メタルサイドにもボーダーレスな魅力をもった連中がうようよおります。これが初RELAPSEという人も少なからずいると思いますけども、よくわからん方へ踏み入ってみるのにこのアルバムは恰好の飛び込み台になるはずです。そっち側にポチッと、ショッピングカートに今すぐポチッとやって頂ければ、日々せこせこレビューを書き続けている労も報われるというもの(別にアフィリエイトをやってて私に金が入るとかいうわけではないですが)。ヘヴィメタルはいつでもあなたを歓迎していますので。

  5月9日
収穫はなし。20時〜22時、22時〜24時でバンドの練習という、サークルで行く夏合宿みたいな晩でした。終わりがけは変にテンション上がってしまった。明日は遂にCD出張買い取り敢行!!知ってる人が来たらバナナレコードの黄色い車(人生で1度だけ見たことあります)の写真撮らせてもらいたいなー。

【只今のBGM:BEHOLD...THE ARCTOPUS/ORTHRELM「BEHOLD...THEARCTOPUS / ORTHRELM」】


これを書き始めようとしている今、既に結構時間が深いので、早く書き終われそうなのを手に取りました。たった2曲収録のスプリットCDですが、やってるのがBEHOLD...THE ARCTOPUS(DYSRHYTHMIAのメンバーがやってるらしい)とORTHRELMとあっては買わねばなるまい。しかもアートワークがVOIVODのドラマーのアウェイ大先生!完璧。で内容、というかそれぞれの曲の方。先手はBEHOLD...で、何なんだろうな…こういう感じのマスロック/マスメタルは今までもあったはずなのに、何故かそれら全てを上回る「あり得ない」感。VOIVOD、PESTILENCE、ATHEIST、後期DEATH、GORGUTSあたりのマスメタル界の英知を結集させて理詰めでFANTOMASをブッ倒すような凄さ。THE DILLINGER ESCAPE PLANよりもっと哲学的な佇まい(??)です。楽曲のコンセプト的なところも充実してるが、普通にギターをはじめ演奏全部がクソ上手いのもポイント。千鳥足でアウトしまくるこのフレージングはWATCHTOWER〜SPASTIC INKのロン・ジャーゾンベク譲りでしょうか。ともあれメタル万歳と思える熱演です。対するORTHRELMはやっぱ野生児のヘンタイですね。ANAL CUNTが想像だけで(しかも大幅にハショって)演奏したあぶらだこを更に4倍速再生したようなというか、レビュー欄にあがる度に無茶な形容してますがまあいっぺん実物聴いて下さい。拍子云々というより、ランダムに区切られたギターの高速フレーズに対してドラムがびったりと嵐のユニゾンを沿わせるという、合図/間合い系の力技脱臼ビーツ。アルバムを作らせると大抵1曲1分以下にする彼らも(最新作だけは1枚1曲の大作になってしまいましたが…!)スプリットに1曲だけ提供ということで今回は3分半あります。これが途中でトラック分けされた5曲だったとしても10曲だったとしても違和感はありませんが。最後、3分15秒あたりから聴けるもろVOIVODなフレーズはやっぱりわざとなのか、内ジャケには「この音源をデニス・"ピギー"・ダムールに捧ぐ」という涙なくして見れないコメントが。これはもうこういう音楽に用のある人は全員買うしかないです。結局いつもより長く書いてしまったなあ。

  5月8日
本日の収穫、ヤマギワソフト・ナディアパーク店の中古コーナーでJUNKYARD「JUNKYARD」、WOLFSBANE「WOLFSBANE」(限定ボーナスディスク付き外盤、日本盤ボーナスの"Born To Run"も収録!)。鮮やかに50円商品の2点買いで合計100円。そろそろ店員のおっちゃんに覚えられてきた気がします。

【本日のレビューその1:DON ELLIS「TEARS OF JOY」】


今日も今日とて変拍子。しかしこっちは年代もの、かのザッパと並ぶどころか先に影響を与えてるという変拍子ビッグバンドです。これは71年リリースの2枚組。33/16拍子の超絶ブルガリアンリズムから、ベートーヴェン"月光"を11/8拍子に崩したイントロからなだれ込む字足らずスローブルーズなど、体力勝負のユーモアを実に軽々とやってのけます。このリズムで全然流暢に歌い上げてしまうソロイスト勢が全員変態だな〜。しかもパーカッション及びドラム奏者が3人もいて、一人の演奏をパンニングしてるかと思いきや3人のリレーだったという2曲目終盤近くの衝撃のドラムソロ(完璧なバトンタッチのせいで途中まで全く気付かない)には度肝を抜かれました。人足が少なくてサマになってないストリングス隊の無理なピチカートにも笑い。噂どおり改造トランペットで4分音も操るドン様直々のソロは、やっぱり強烈に世界があります。コバイア語を速射するヴァンデ師の如し。上手い。曲の方はおおかた5〜7分前後のものが中心のディスク1に対して、ディスク2にいくと11分や17分の大作が出てきて、このへんは長大な映画音楽みたいな趣き。17分の方の"Strawberry Soup"がブッちぎりで変態選手権優勝!あり得ないシャッフル感は70年代にしてMR. BUNGLEにも迫る域。全てのプログレッシャー及びヘンタイロッカーは、これのためだけに買ってもいいですな。リイシュー元がWOUNDED BIRDってのだけが胡散臭いですが、この際それは置いといて全員買いましょう。

【本日のレビューその2:BILOXI「LET THE GAMES BEGIN」】


何かこのへんの、1990年前後の小粒な産業ハードロック系のCDも最近たまってるので、まとめて紹介しようかとも思ったけど小分けにボチボチ消化していこうと思います。てことで今日はBILOXI。これ日本盤はゼロ・コーポレーションから出てましたね。おっと目頭に熱いものが…。さて彼らはバリバリLAのバンド(録音は何故かハワイのマウイ島!)で、中身は最高に品行方正なメロディアスハード。もうこれ以外書くことがないというくらい違反のない優等生で困ってしまいます。DANGER DANGERやWARRANTの無駄にロッキンな曲を減らしてもっと胸キュン寄りにもっていったような、少し老けたTRIXTERみたいな感じ。サービスの良いHARDLINEというか。とにかく出来が良いので素直にグッと来ます。張りがあって北欧メタルっぽい声質をしたハイトーンヴォーカルの力量も申し分なくひたすら心地よい。本当にもう書くことがないので、収録曲のタイトルをいくつかピックアップして書いておきます。"Run For Your Life""Angel""Mississipi Queen""Don't Cry No More""Magic""Dancin'""Show Me The Way"…これだけでお腹一杯ですね。

  5月7日
収穫はなし。そのへんの道端で、襟の大きく開いた服を着た女性が、その襟元をあらかじめ手で覆いながら、誰もコッチ見んなよ変態ども…とでも言いたげな無指向性の険しい目つきを常に飛ばしていて、たまたま近くを通った自分もやっぱりその射程に捉えられてしまったときのイヤ〜な感じ、あれは嫌ですなあ。何なら詰め襟のそっけない上着でも用意して、その生肌アピールして差し上げたい相手の前でだけ白々しく脱げばいいじゃん!

【本日のレビューその1:UPSILON ACRUX「IN THE ACRUX OF THE UPSILON KING」】


今日も懲りずに変拍子。ACCRETIONSという耳慣れないサンディエゴのレーベルから出ているインストマスロッカー4人組の99年作です。クリムゾンの「宮殿」をわかりやすくパクッたアルバムタイトルですが、中身の方も「太陽と戦慄」のクリムゾンやHENRY COW、MASSACREらのスタイルにかなり忠実な、ジャズロッキン・プログレッシヴ・マスロック。むしろこれはTHE MUFFINSとかに近い感覚ですな。ラストの大曲(22分!)の盛り上げ方はモロMAGMA。ちょっと試聴しただけで勢い余って即買いしてしまったけど、別に目新しいことはやってなかったか…。まーしかし、30年前の仕事を忠実に再現しても刺激的で新しいように聞こえるという事実が凄いし、同時にこのバンドの再現度の高さも偉い。拍子が変とかフレーズが妙とかそういうところだけじゃなくて、反抗的なヴァイブレーションまでも改めてリアルに吐き出すことに成功してる感じです。同路線といえるSWEEP THE LEG JOHNNYよりも更に玄人好み。これはむしろ今のUSアンダーグラウンドのことなんか知らないプログレッシャー諸氏が聴いて「お〜、若手もやるねえ!」と舌を巻いていただきたい品。ついでにCHEER-ACCIDENTあたりまで足を伸ばしてみると楽しくなりますよ。

【本日のレビューその2:JOHN O'GALLAGHER'S AXIOM「LINE OF SIGHT」】


続・FSNTまとめ買いシリーズ。若手サックス奏者の2005年リリース作です。このレーベル、NEW TALENTと名乗るだけあって、AMGとかで各メンバーの素性を調べても本当に過去の録音歴がほとんどないような人が多いですね。この人もどういうフィールドで活動してきたのか判りませんが、とりあえずKNITTING FACTORYから出しているTHE OTHER QUARTETのアルバムにクレジットがある模様です。かつサイドマン陣にこれにも参加しているトニー・マラビー(ts/ss)、80〜90年代のリー・コニッツのバックを務めたジェフ・ウィリアムズ(ds)の名が。もう一人のジョン・ヘバート(b)は99年から今年までの間に30以上の作品で弾いている超仕事人。能書き垂れが長くなりましたが内容の方は、現代音楽じみた無調フレーズをポスト・フリーな伸縮するリズムに乗せて、しかしオットリとしたテンポ感でどこか安らぎも醸し出すという、MATCHING MOLEづいたTOWN AND COUNTRYが更にオーネット・コールマン化したような雰囲気。CUNEIFORMのバンドみたいにロッキンな鋭角性や享楽派筋肉バカ・テイストはなくて断然ジャズっぽい立ち振る舞いで、しかしロック畑のリスナーが抵抗を感じずに足を踏み入れられるようなわかりやすいアブなさも豊富です。ZSとかのお隣さんってことにしても問題なしか?若手ならではの洗練された前衛芸術作品。

  5月6日
▼引き続きCD CONNECTION賛辞といきます。何と早くも、注文の品が全て到着してしまいました!(日本時間)2日深夜に注文して6日夕方には手元に。しかも素晴らしいのはそれだけではないんです…

↑EXPRESS MAILのシッカリした箱、しかも扱いは「EXTREMELY URGENT(超至急)」!

↑内側の両サイドにはこのように、中身固定&ショック吸収のためのエアバッグが…こんなん初めて見た

↑エアパッキンは安心の大粒タイプを採用、気休めではないショック吸収力。実際ケース割れ・内ケースツメ折れ等は全9枚中わずかに2件のみ(ケースひび1箇所、ツメ折れ1本)と、海外便としては優秀

▼というわけで本日の収穫、CD CONNECTIONから到着のDON ELLIS「TEARS OF JOY」「LIVE AT MONTEREY」、UPSILON ACRUX「IN THE ACRUX OF THE UPSILON KING」、HANTAOMA「MALOMBRA]、AMERICAN HERITAGE「BIPOLAR」、AMERICA HERITAGE/FOE ART OF BURNING WATER「THE COMBINED STUPIDITY OF SPITEFUL MEN」、CONFESSOR「SOUR TIMES EP」、BEHOLD...THE ARCTOPUS/ORTHRELM(スプリット)、THE SCIENCE GROUP「A MERE COINCIDENCE」。要するに変拍子病ということか。更に東別院のブックオフにまた様子を見に行ってREBECCA MARTIN「MIDDLEHOPE」(FSNT)、JOE SATRIANI「FLYING IN A BLUE DREAM」、ALONE IN A CROWD/INSIDE OUT(スプリット)。

【本日のレビューその1:AMERICAN HERITAGE「BIPOLAR」】


ESCAPE ARTISTリリース、シカゴのメタリックマスロックバンド2004年作。ドラマーは元TETSUO〜GHOST AND VODKAのスコット・シェルハマー!ILIUMなどHEFTY系アーティストのCDでアートワークを手掛けてたりもする多彩な人です。TROUBLEMANから出ている初期2枚は既に持っているんですが、その頃よりぐぐっとメタル寄り&ブルータルになって、何曲かでとうとう醜悪ガテラル声ヴォーカルまで入る始末。こりゃ〜ワルい。BOTCH、TODAY IS THE DAY、最近のNEVERMORE、「NONE」までのMESHUGGAHなどのハイブリッドてな塩梅。DYSRHYTHMIAほどテクニカルづくしではなく、拍子は変則的でもあくまで図太い馬力感をフィーチャーするタイプですな。流行りのサイコ系高音変態フレーズには色気を見せず、ほぼ4〜6弦の低音域だけでゴゲゴゲとやってくれるのが男らしい。多分メンバー自身もこういう人達なんだろうなあ。難しくヘンタイしたいっす〜というコンセプトありきじゃなくて、もともと持っているヴァイブレーションのままに音を出してる感じが非常に好ましい。ある意味ブルージー。昔のドンキャバをもっと過剰にしたようなのを聴いてみたいがOXESとかSLEEPING PEOPLEはちょっと違う、という人がいたら是非お試しを。

【本日のレビューその2:ROB WILKERSON「IMAGINARY LANDSCAPE」】


続・FSNTまとめ買いシリーズ。2003年リリース作。テナーで参加のクリス・チーク以外は殆ど無名に近い若手のようです。リーダーのロブ君はアルト。内容は大筋でキース・ジャレットやパット・メセニー以降の、ポップスの肌の色をした清涼系ジャズの今日的な発展型なわけですが、かなり独特の語り口をしてて面白い。芸の細かいヴォリュームコントロールによってオルガンらしからぬモヤ〜ンと霞んだ空間演出をこなす、このジェシ・チャンドラーというオルガニストがとにかく曲者。アラン・ホールズワース、ジェフ・ベック、ビル・フリーゼル(例えが全部ギタリストですが…)らの局所的な特徴をごちゃ混ぜにしたようなセンスとでもいったところでしょうか。作品トータルの雰囲気にかなり強く作用しています。サックスは美麗過ぎず、ニヒルでもなく、淡々と楽曲に陽光をあてるような役回りで、リズム隊の地味に変則的なカクばりっぷりで全体像に今っぽさをもうひと味足してるといった感じです。歌(リード楽器)と背景、というより輪郭の定かでないひとつの風景。それも実在することのないような…などとつなげてみると上手いことアルバムタイトルどおりに収束しますね。へい。本格的にダグ・シャリンに乗っ取られたレイ・バービーだと思って畑違いの人も聴いてみて下さい。インディロッカーにはとっつきやすいジャケです。

  5月4−5日
収穫はなし。いや〜さらばカイマン、IMPORT-CD SPECIALISTSよ。事によってはアマゾンも要らないぜ。今月2日の日記にも名前を挙げましたが、ドイツのアマゾンのマーケットプレイスで発見したアメリカのCD CONNECTION、ここが優良過ぎて死にそうです。どマイナーなヨーロッパ盤まで手広くフォロー、試聴サンプルもアマゾンより豊富でそのうえ高ビットレート、ステレオ、秒数長め。そして最も恐るべきはその在庫量。各国アマゾンでもアウト、カイマンもどこも取り扱いなし、レーベルはオフィシャルサイトを持ってなくて直買い不可、てな激マイナー盤を注文して、これ在庫ありって表示されてるけど絶対あとから「申し訳ございませんがこちらの商品は…」みたいなダメでしたメールが来るんだろうな〜と思っていたものが、注文確認のメールから1日半足らずで「全商品発送完了」の旨をよこしてきやがりました…在庫絡みのポリシーを読むと、曰く「『在庫あり』の表示は24時間ごとに更新される最新情報であり、稀に注文を受けた商品が行き違いで即確保できない場合もあるが、その可能性は3〜5%」とのこと。で発送から3〜10日で到着するというから早けりゃ明日・明後日には届くんでしょう。スマート!決済はVISAその他の一般的なクレジットカードでいけます。買えるものはここここここで、無茶な一点注文などはこっちで。

【本日のレビューその1:CHRIS LIGHTCAP「LAY-UP」】


続・FSNTまとめ買いシリーズ。まるまるしたフォントとズバッと分かれた色使い、ジャズなのにまるでMAN'S RUINリリース作のようなアートワークですが、中身も何とな〜くそんなノリ。リーダーのクリス君は最初の音源を残しているのが97年からという相当な若手で、しかし早くもアンソニー・ブラクストンやセシル・テイラーなどと共演歴があるとか。他のメンツはこれでも吹いててごく最近のポール・モチアンの録音に参加してたりもするトニー・マラビーがテナー、THE BAD PLUS関連人脈と絡むビル・マクヘンリーがベース、マシュー・シップのこの名盤で叩いているジェラルド・クリーヴァーがドラム。以上のカルテットによる2000年リリースの本作、高度なスケールワークというより踏み外したような変な音満載で、ボッタボッタと鈍重に、しかし一定の推進感で進む酔っ払いポストバップをやってます。和音楽器が不在なため空間がちっとも埋まらず、それで逆説的に醸し出されるヘヴィネスの奥ゆかしくも濃ゆいことよ。モンクやオーネット・コールマン・トリオ、ジョージ・ラッセルあたりのおちょくったような感触と、ブラント・ビョークPUSAの如き質量感の示唆/浮き彫りっぷりがベストマッチで、こりゃ何とも粋なもんです。THE SORTSのジョシュ大先生の別ユニット・SEA TIGERにも近いかも。ドッシャドシャなフリーセッション曲もありますが、それとてどこか「デジタル老人」(?)なタッチ。あくまで間は抜けているが機械並みに素早いという。ジャズのエロそうなところ、いかにも美を謳歌するところがキライなんじゃーという人でも、これなら手放しに楽しいはず。

【本日のレビューその2:RING「魔術師の帝国」】


POSEIDONシリーズその27。GENESISタイプの国産シンフォプログレバンド・新月のサポートキーボーディストをメンバーに含むバンドの幻の音源ということで、録音は75年。「狂気」の頃のPINK FLOYDに多大に感化されつつ、展開の緩急の付け方には心なしか初期GENESISっぽいゴリ押し感も現れていて、これは何ともノスタルジックな音。しかもハイクオリティ。ドラッグカルチャーそれ自体は派手に入ってきていなかったであろう当時の日本にあって、PINK FLOYDのような音は、欧米での解釈と随分違った聞かれ方をしていたことと思われますが、そんな調子で本家のサイケな幽玄性がここでは、微細な濃淡の中でウンと張り詰めた(水墨画のような?)日本的な空気に置き換えられている感じがするのが興味深いところ。よくマッチして、かなり完成度の高い世界観に行き着いています。国産云々にとどまらず、世界のプログレ史の中で語られて欲しい盤。

  5月3日
▼ここのところ毎年恒例となっている、KDハポンのモモジさん主催「鶴舞ロックフェスティバル」に行って参りました。この上ない好天に恵まれて言うことなしのフェス日和。ビール片手にユルいアフターヌーン、うるせえロックバンドはいらないぜ…とおくつろぎの皆様も大勢いらっしゃったであろうところで、うるせえロックやらせて頂いてきました、我々DOIMOI。ひとしきりのテクニカルな問題(滅多に切らん弦切ったり…滅多に切らんからこそ半年くらい張りっぱなしなのがいけないんですが)に見舞われながら、転倒して靴がもげても完走するマラソンランナーの如く何とか頑張り通してきました。当事者の反省を不必要に垂れ流すようなことはヤメときますが、ただ1点、出番が終わった後真っ先に「DOIMOIっていっつも、セッティング早いよね。」と言われるバンドでありたい。今日はそこがイマイチだったのが悔やまれます。

▼出番のあとはカレーなどをいただきつつ後方でのんびり観戦。ユニークなグループ揃いで誰もが異彩を放ちまくる中、「裏7586」コンピでも気になっていた葉っぱの裏側シスターズは名古屋の宝にしたいですな。都合により最後の最後までは見届けられませんでしたが、ラストひとつ前ののうしんとうのあの盛り上がりからどうフィナーレを迎えたのか、誰か教えて下さい。そして鶴ロックはKDハポンに舞台を移して明日もあります、連休に予定なんてねーよという方、暇潰しに映画のDVDでも借りてくる前にぜひ鶴舞へ!

▼一日外でボケーとしてたかといえば意外に本日の収穫はありまして、友人にまとめてレーベル直販で買っておいてもらったCDと店でサルヴェージしておいてもらったCDを受け取りました。まず中古でKING CRIMSON「IN THE WAKE OF POSEIDON」(30周年リマスター)、以下スペインのFRESH SOUND NEW TALENTレーベルの新品でEIVIND OPSVIK「OVERSEAS」「OVERSEAS II」、LOREN STILLMAN「IT COULD BE ANYTHING」、CHRIS LIGHTCAP「LAY-UP」、REID ANDERSON「ABOLISH BAD ARCHTECTURE」、ROB WILKERSON「IMAGINARY LANDSCAPE」、TOM BECKHAM「SUSPICIONS」、JOHN O'GALLAGHER'S ANXIOM「LINE OF SIGHT」、BRYN ROBERTS「LUDLOW」。

【只今のBGM:EIVIND OPSVIK「OVERSEAS」】


FRESH SOUND NEW TALENT(以下FSNT)まとめ買いシリーズということで。この名前の読みづらいリーダーのベーシストはノルウェーの人だそうで、あとはクレイグ・テイボーン、ジェラルド・クリーヴァーなどNY界隈のメンツ。現代ジャズとかフュージョンとかいうより殆どポストロックに近い、UIやEUPHONEみたいな変則ラウンジビーツ(あるいはTHE METERSのなれの果てのような)にプルプルトカトカと暴れるフリー的要素も組み入れたような作りになってます。とりとめないようで楽曲性は高く、刺激性もありつつ耳当たりは結構優しい。聴きようによっては生音系エレクトロニカを全部人力でやってのけたようでもあります。随所にまぶされたフェンダーローズやハモンドC3の、何とも空気読めてるアップトゥデイトなノリよ。既存の民族音楽のつなぎ替え芸や、スタイルとして硬直しきった「今新しい音」の単なるトレースなどではなく、あらゆるポップスを消化した上でジャズの語彙力で新しいグルーヴ表現、空間表現、「歌」表現にトライしてるのが素晴らしい。字面そのままの意味での「プログレッシヴ・ジャズ・ロック」ですな。あと何より演奏がウマ過ぎ。よく訓練された若いジャズメンと黒人に勝る者はこの世におらんでしょう。

  5月2日
収穫はなし。日本のアマゾンで引っ掛からないCDを扱っているアメリカの業者を発見して、また何枚かまとめて注文してしまいました。CD CONNECTIONちゅうところです。アメリカだと送料が安いっすね、アマゾン経由でカイマンから買うのと大差なし。ちなみに注文したブツは、超ハイレベルブルータルマスロックUPSILON ACRUX(試聴してびっくり→そのまま購入)、BEHOLD...THE ARCTOPUSORTHRELMの最新スプリット、仏HOLYの名バンドSTILLE VOLK改めHANTAOMAなど。病的な購入ペースがとどまることを知りませんな〜…

【只今のBGM:OREN BLOEDOW / JENNIFER CHARLES「LA MAR ENFORTUNA」】


2001年、TZADIK「RADICAL JEWISH CULTURE」シリーズ。LOUNGE LIZARDS人脈のオーレン・ブレドウと、ジェニファー・チャールズなる女性シンガーとの連名名義。この二人はELYSIAN FIELDSというグループも別で(むしろそっちがメインっぽい)やってるそうで、そっちはベン・ペロウスキーなどもメンバーのようです。どうコンセプトを分けてるのか判りませんが、バンドの音源も試聴した限り、この名義の方がユダヤ色をずっと濃くしている模様。TZADIKリリースなだけあって。全曲ゲスト陣のサポートつきで、各種管弦楽器や、普通にドラムも入ってます。あ、ピアノでジェイミー・サフトの名前があるな。エスニズムを上手くアダルティ〜で奥ゆかしいモダンポップス(?)に組み込んで、かつ攻めの重低音を効かせたプロダクションで音響的にもピリッと美しいという、最近のアート・リンゼイやCALIFONEみたいなアプローチをとっていまして、ヴォーカルの方はCAT POWER似の陰鬱アンニュイ系。「RADICAL JEWISH CULTURE」ものの中には、クレツマーをジャズバンドでちょっとトゲトゲしくやっただけじゃん、みたいな感じのもたまにありますが、奇を衒いはしないが深い造詣の上でポップスとして居ずまいを改めてるこういう作風のものの方が、却ってラディカルにも思えます。

  5月1日
収穫はなし。先月済んだんだろうと思っていた自転車代の引き落とし(ネット通販で買いました)が実はまだで、カナダから直販で買ったCD代(ブツはまだ半分以上届いてませんが)なども重なって、一気にFERNANDESのギター1本分くらいの金額が預金口座から消え失せることが判り、遂にやってしまいました。計画的なご利用…では勿論なく、出張買取依頼!1枚平均300円で計算してもORVILLEくらいには余裕で達する見込みです。普通の人がそうそう経験することのない「中古CDの出張買取」、状況の進行の都度こちらでリポートしていきますのでお楽しみに。

VALSE HOTで知ったのですが、SHIPPING NEWSの新ベーシストで先のジャパンツアーにも同行していたトッド・クックが何とパパMことデイヴィッド・パホらとメタルバンドを始めたそうですね。バンド名はDEAD CHILD。ロゴやイメージ画像などを見るに、これはHELLHAMMER〜CELTIC FROSTや初期ANATHEMA、MY DYING BRIDEみたいな感じになるんじゃないかと勝手に予想してます。デイヴィッド・パホのMYSPACE見たらDIOのTシャツ着てTHIN LIZZYの"Boys Are Back In Town"のカヴァーやってるし、もう時代は来てますね。こりゃ。そこでこれですよ。去年の夏頃私がさくさくと録ったものですが、来たるべき世の流れと呼応してる気がしてならないのでちゃんとサイト作ってアピールしてみます。ついでに犬録音エントランスも改めました。忘れ去られたSOXED!やらDARK SOLやら、今一度どうぞ。

【只今のBGM:ALMIGHTY「JUST ADD LIFE」】


先月のこの欄でも紹介したTHE ALMIGHTY改めALMIGHTYの解散前ラスト作。これの一つ前の「CRANK」でよりオルタナ風かつパンキッシュな方向にシフトしていて、ここではそれが更にエスカレートした内容になっていると聞いていたんですが、まあ確かにそんな感じ。「センスも柔軟性もあったバンドが良心の限りに時流と闘った挙句誰も入ったことのない袋小路にハマり、残していった最後の置き土産」的な作品の典型的なニオイ(?)全開。オイオイGREEN DAYかぶれまで行くか…みたいな曲(やはり多少ムリヤリ感あり)もあれば、名作「POWERTRIPPIN'」に入っていてもおかしくないガッツィーな雰囲気のもの(俄然得意そう)もあり、総じてこれはごく最近のFIRESIDE、THE HELLACOPTERS、LAST DAYS OF APRIL、HOT WATER MUSIC、NO KNIFE、SEVEN STOREYあたりと同一ラインですな。ポストグランジ・男気パワーロッキンパンク。思ったより全然良い、というか普通にカッコイイじゃん。BURRN!読者やってた頃はこんなん買うかよと思ってましたが。96年のイギリスからこの音、彼らの時代を読む目は正しかったのですね。10年前よりもむしろ、多少メタルっぽい硬さを感触だけに効かせるようなのがもてはやされる(気がするだけ?)ここ1〜2年の空気によくフィットしてます。グランジ全盛の頃のメタル系バンドたちが商業性の中でもがいた末に偶然練り上げてしまった「収まりの悪いオルタナ風ポスト・メタル作品」群の中に、今になって思わぬ先見性を発見するということが実に頻繁にあって、これ痛快の極みです。

最新に戻る 他の月の分を見る
 
トップページ サイト入り口へ
情報と音源公開 制作活動
管理人のことなども このサイトに関して
リンク 冒険
いつも独り言 掲示板(hosted by Rocket BBS)
サイト内検索(google) 不完全
since 07/04/2002    copyright (c) Sugiyama