SCSIDNIKUFESIN

14 Feb, 2014

▼最近の収穫、どこかのブックオフでNIGHT RANGER「MAN IN MOTION」、サウンドベイ金山のバーゲン棚でAIRPLAY「AIRPLAY」、DON CICCONE「LOVER'S PRAYER」。

▼【しつこくPR】明日15日土曜はioueeeでライブやります。新ストラップをつけた新ギターに新ペダルをつないで新自作パーカッションとともに登場して(以上、見る人には何の意味もない情報)弾き語りします。もっと肝心な詳細こちら。何卒よろしくどうぞ。

▼ここのところ取り組んでいた問題がいくつかありますが、今回は「前面ガラスがバキバキに割れたiPad2を自力修理した件」について。

多分これをやると、以後Appleの有償サポートすら受けられなくなるはずですのでご注意ください。オフィシャルの修理に出せば20,000円以上、使う気がしないまま置いておいてはゴミになる、格安修理業者も12,800円くらいからだしApple公式じゃない時点でサポート対象外になるのは同じこと、パーツを買って自分でやれば2,500円で済むらしいよ。という複雑なトレードオフに悩んだ結果、「放置しておく」と「失敗して使用不可になる」はだいたい同じだし、「とりあえず使える状態に戻るかもしれない」を学生の飲み代程度で選択できるなら悪くないとの判断で、決行に踏み切った次第です。

作業の概要

詳しい事は、ウェブを検索すれば大量に出てきますし、Youtubeに親切な実録レクチャー動画もあるのでそちらを参照してください。やることは「超強力両面テープで貼りつけられた前面ガラスを、ドライヤー等の熱で緩めながらはがす。その下にネジ留めされている液晶もいったん外し、本体と前面ガラスの接続端子を抜く。あとは交換部品を使って逆の手順をおこなう」だけです。

サムネイルをクリックするとキャプションつきで拡大します。

まだ簡単か大変そうか分かりませんね。まあ動画(勿論拾いもの)で確認してください。

やってみた実感としては、「予習しておいたから良かったけど緊張した、慎重であれば誰でもできる」です。もう一度やれと言われたら1回目より上手くできる気がするので、反省点や意外と大丈夫だった点をここに共有します。これから挑戦する人はご参考に。

必要な準備

大仰な自力修理キットみたいなのも売ってるようですが、家にありそうなもので代替することがじゅうぶん可能です。ないと無理なものは次のとおり。

  • かなり薄い金属製のへら、またはマイナスドライバー
    これは必須中の必須、なければ熱々カレーうどんを素手で食べるようなもの。「かなり薄い」がポイントで、0.2mmとかそれくらいでしょうか?例えば鉄板焼き用のへらは厚すぎます。
  • ドライヤー、またはそれに類する熱源
    内側に仕込まれた両面テープはかなり強力で、じっくり温めながらやらないと、後述の「割りながら進む」の作業となり大幅に手間が増えます。ホットガン(グルーガン)を使うと書いてあることもありますが、ドライヤーで不足はないです。
  • 小さめのプラスドライバー
    大詰めの局面で一瞬だけ登場します。最も注意を要する、液晶がむき出しになった状態での作業に使うので、適当にサイズの合わないものでやろうとしてガッ!あっ!とならないようにしてください。ちなみにどれくらい小さいかというと、メガネのつるの付け根にあるネジくらいです。

あると助かるもの

  • ピック的なもの
    ギターやベースの演奏に使ういつものあれです。両面テープをはがした箇所が再びくっつくのを防ぐために使うとあります。多くのレクチャーページや動画で必須グッズとして紹介されていますが、割れ状況によってはなくても何とかなりますし、1mm以内の薄くて小さいものなら、棒状でも何でも可です。
  • ブロアー(ホコリ飛ばし)
    カメラのレンズやパソコンのキーボードの掃除用グッズとして100均に売っている、ゴム球に管がついたようなやつです。これがあると頼もしい。ガラスをすべてはがし終えたときに、本体内にある細かな破片を取り除いたり、液晶とガラスの間にホコリが入らないようにするのに大変有効です。ちなみに用が済んだ後も、スマートフォンの保護フィルムを貼るときなどに活躍してくれます。
  • テレホンカード的な磁気カード
    他の例えもありましょうが敢えて昭和の言葉で。必須の項で挙げたへらが無い場合、力技で最初の糸口さえ作ったらあとはこれでも代用できる気がします。

作業にあたって特に気をつけたほうがいいこと

  • 破片が飛んでも処理できる場所でやる
    割れが細かい箇所をゴリゴリとやったり、作業中に新たな割れができてしまったときに、相当こまかい破片がパッと飛びます。厚みもさほどないし刺さったりするようなものじゃありませんが、こすれたら血が出るくらいのキズにはなります。毛深いラグに入ってしまったりしないように注意して、完了後はしっかり掃除機をかけてください。ドライヤーがあるからといって洗面所で脱衣所で作業するのも危険です(裸足になる場所なので)。更にときどき小麦粉くらい細かいのが舞うこともあり、吸い込まないようにマスクをするとより安心かもしれません。
  • 内部に部品がある箇所を全力で警戒する
    基本的にガラスと本体は、のりしろ的な平面で接着されていますが、そこに重要な部品が乗り上げているポイントが数か所あり、そこを破損すると「失敗」です。特にWi-Fiアンテナと称するものはぺらぺらのシート状で、のりしろもろとも両面テープでベタッといかれてるので、破らないようにそーっとやらねばなりません。ちなみにその位置は、お手持ちの機体の世代のものを事前に調べてください。
  • なるべく新しい割れを作らないようにやる
    慎重に温めながらはがしていくのが正攻法だとして、とりあえずドライバーで持ち上げてピシッとひびを入れて、破片をゴリゴリ取り除いていく攻め方もあります。その場合は、破片あたりの接着面積が少ないので温めがあまり要らなくなるのですが、ゴミは飛ぶし、力が要るし、グッとやったところからどんどん割れていって「はがしながら進む」に戻れなくなり、相当ゲンナリします。急がば回れとはこのこと、と思いながら、地道に温めてはがしてください。

ということでした。冒頭にも書いたとおり2,500円でホームボタンつきの代替ガラスを使いましたが、若干感触が違うかな?という気がしなくもない程度で、動作はまったく良好です。何かあった際には選択肢のひとつとしてどうぞ。

AIRPLAY - Airplay

本日のレビュー:AIRPLAY「AIRPLAY」

「80年代AORの名盤」の代名詞的なこの1枚、今まで持ってなくて本当にすいませんでした。調べるとどうも本国盤のCDは存在してないらしく、日本盤を500円で見かけたので、これならやむなしとして購入。華々しいMTV時代にありとあらゆる大物小物と仕事をし、ハリウッドでも重宝されたデイヴィッド・フォスターと、STEELY DANの「AJA」での客演で一躍注目をかっさらってからはセッションワークやプロデュース業で働きまくったジェイ・グレイドン、このビッグすぎる二人が中心となったバンドの唯一のアルバムです。リリースは80年。

この時代のいわゆるAORといっても、ホーンや鍵盤がたくさん入ったメロウなフュージョンポップのようなものから、それこそメタル雑誌に載るようなハードエッジなものまでそう呼ばれるわけですが、このAIRPLAYはといえばかなり後者寄りの感触。1曲目イントロから、NIGHT RANGER化したBOSTONてな様相で、よく歪んだギターによる鉄球のようなオーケストレーションが迫る。と同時に、迂回しかしないコード進行の循環でゴリ押しする冒頭パートに、新時代到来のセンセーション(当時)を生々しく想像してしまいました。これまで散々AORや前向きメロハーの類に接してきて、「これは聴いたことないな」と思ったのは猛烈に久し振り。

ボーカルは甲高く、時に(特にハードロック寄りの)AORにとって邪魔な要素となる「オヤジくささ」がほとんど皆無な素材。TOTOやBOSTONを思い起こすな―という感じで、AIRPLAY以降は短命プロジェクトを渡り歩いたりバンドを結成したりソロでリリースしたりと、あまり目立った活動はしていない様子。その他バックバンドはTOTOのメンバーをごそっと4人借りてきたのと、プラス数名+ホーン/コーラス隊。演奏自体の印象は、高度に統率されたアレンジワークの再生がメインの柱であり、ジャズ畑の人が集まると生まれる「隙間を取り囲んでの職人技のせめぎ合い」的な緊張感は薄め。

ゴアグラ界におけるCARCASSの如く「その後永きに渡って倒されることのない、ひとつの圧倒的な出発点を築き上げてしまった」的パターンというよりも、その時代に各地でじわじわと同時発生してきていた流れを最高のクオリティ+αでとりまとめた、という感もありつつ、このインパクトが間違いなく、数多くの産業ロック/メロハー職人達の尻を蹴り上げたことでしょう。何にせよJOURNEYやらNIGHT RANGERやらが好きな人はぜひ聴いてみていただきたいです。そして本国盤のオフィシャル再発を切望。