SCSIDNIKUFESIN

19 Mar, 2013

▼大学時代は知っている人にゾロゾロ出くわしていたサウンドベイのバーゲン初日、もう身の周りで欠かさず行く人も少なくなってきたけど私はしぶとく行ってます。土曜の収穫、サウンドベイ金山でSTELLA VANDER「D'EPREUVES D'AMOUR」(91年ソロ、クリスチャンほかMAGMAメンバー参加)、YNGWIE MALMSTEEN「MAGNUM OPUS」(外盤買い替え)、POKERFACE「LIFE'S A GANBLE」すべてバーゲン品で。上前津は何も買わず。消化不良につきハシゴし、栄スカイルのブックオフでLAW AND ORDER「GUILTY OF INNOCENCE」(89年MCA)、栄ミュージックファーストにてETNA「PUZZLE」(ex.MAGMAのパガノッティによるプロジェクト)、GONG「SHAMAL」(75年)、MOTHER LOVE BONE「MOTHER LOVE BONE」、大須グレイテスト・ヒッツにてCLUTCH「TRANSNATIONAL SPEEDWAY LEAGUE:ANTHEMS, ANECDOTES AND UNDENIABLE TRUTHS」(グラジ色濃厚な93年1st!)、O.S.T.「TOP GUN」。とにかくミュージックファーストがマイナー新しめプログレ叩き売り祭りでした。
それと、夜に出掛けたKDハポン(※詳細後述)にて南山アメリカ民謡研究会卒業組の音源。カーリーズの限定7インチ「baby blue / スローモーション」、rika siakaiのデモCD-R、john Q.の2曲入りCD-R、はぐれメタルてちちも入ったコンピレーションCD。
▼ということで16日の晩は、トゥラリカの面々ほか、お世話になってる才人が多い南山アメ研の、今年の卒業生が組んでいるバンドが集まった記念イベント的ライブに、珍しくヨメさんつきでお邪魔してきました。視界に入る人の9割くらいは一回り前後歳下という空間ながら、未だに文系学生の脳が抜け切らない自分なので問題なし(実際は多くの面識ある人に助けられた)。
▼席を陣取るとじきに開演。なぜか全員ではない卒業生が並んで嵐のカラオケを歌い出した、と思ったらそれが1番目の出演バンドてちちでした。秋頃に初対面で少し喋ったときに「楽器もバンドも何もやってない」と言っていた人が普通にメインボーカル(ピン)を務めているではないか。メンツ・人数含め相当流動的なグループらしいので、聞いた言葉は確かに字面上間違ってない。この後に続く3バンドからのメンバー5人を従えて、管弦入り乱れての愉しげな小唄を数曲披露してササーッと終了。担当楽器が本職でない人もいて、練習もシリアスに詰めてやれていなかったそうなのだけど、むしろその状況下で発揮されるポテンシャルが各人期待していたとおりでばっちり楽しみました。
▼続いてDOIMOIのレコ発東京編にも出てもらったrika siakai。いつもライブではMCで恐縮しまくっているイメージがあるのだけど、この日はさすがに日常会話モード。パフォーマンスも心置きなくパーッと出すもの出せている感じで、改めて震える。突き抜けすぎているヴォーカルの衝撃にも多少は耐性がついてきたところで、ちょっとピアノに集中して聴いてみたところ、行きそうな方へ行かなかったり思いがけないところで仕掛けてくる的な絶妙さが随所に(たぶん天然で)混入しまくっていることに気づく。そのへんが偶然CLIMPEREI・ZNR・SLAPP HAPPYあたりに通じる欧州的不気味さを醸し出してたりして、彼女らのナゾ感をより大いなるものにしているようでした。個人的なハイライトは、永見さんが限界のタイミングでマイクスタンドのネジを直したその手で、続く駆け上がりのグリッサンドを完璧なオンタイムでキメてきた一瞬。あのような瞬間こそ、人がどれだけひたむきに音楽に従事しているかが窺われる。という私の持論です。
東京では品切れで買えなかったCD-R音源は、「バランスもおかしいしサーッとかいう音も入ってる」という本人談だったけど、ノーコンプ・(何曲かでは)ノーリバーブで成り立ってるボーカルがSP盤の如き生々しさで、また震えた。
▼3番目は、前日の金曜に自主企画で解散ライブを遂行済みのカーリーズ。去年発売したアルバム(ワタシが録音させてもらいました)が各地の良心ある仕掛人によって広められて、静かで温かい騒ぎを巻き起こしているガールズバンドです。見に行けなかった前日の自主企画こそラストライブで、この日は特別ボーナスとして見るのがスジだろうと思いながら見守ってましたが、とても解散したばかりのバンドだとは思えない覇気みなぎる演奏。特に、しっかり客席に目をやりながらキビキビとした手つきでギターを弾くリーダーのトミーさんは、確実に先を見ている人の佇まいでした。実際彼女は、ドラムのカーリーさんとトゥラリカの3分の2とともにトキノミノルという新バンドを進行中。
前日はバンドの演奏と歌をかき消すほどの全編シンガロング&モッシュの嵐だったそうですが、この日は何やら様子が違う。序盤は皆じっと衝動を抑えながら最後の演奏を大切に聴き入って、ラスト2曲くらいになって遂にこらえきれず合いの手大合唱が噴き出すという美しい展開。いかに彼女らが愛され惜しまれているかを物語っていました。ツイッター上で見られた「解散を活動休止にする運動」が実ったのか、現在の公式ステートメントは「活動休止」に変更されたようです。美談。セルフレコーディング&ミックスで制作された7インチも言わずもがな最高。新曲"baby blue"、不安定な和音が訥々と終止形に向かうイントロが、いかにもラストという風情で大変泣ける。いっぽうの"スローモーション"は、「普遍的な良いもの」をおそろしく的確に吸収&アウトプットする彼女らの器量が全開でまたよい。
▼ラストはオールドスクール・スラッシュコアをとにかく刻むはぐれメタルで空気が一変。部外でのライブやリリースではカーリーズやrika siakaiが目立ってきたわけですが、やはりこういう場では激なるものが最後にくる以外ありえません。女子客はサーッとフロアの端や2階にハケて、ここまでの進行でたまってきたいろんな感情を思う存分モッシュに代える男衆。バンドサークル内モッシュは危険行為が少なくて、温かく見ていられるのがよいです。
彼らのライブは2年以上前に見たきりなのですが、高速2ビートをものともしない安定の痙攣リフ&シンガロングを確実に体得していて、非常にキレキレ。ドラムのハジメ君のタム回しは特に鮮やかだったなー。コワモテ系バンドのピンボーカルでよく見る、背を丸めて飢えた熊風にドスドス立ち歩くあれも堂に入ったものでした(まだ22歳なのに)。今後は葉隠と改名して存続していくようなので、是非お知りおきを。
▼もう1バンド、メンバーの都合で出られなかったjohn Q.という卒業生バンドがいて、ドイモイのあいつだってことで私を見つけて声掛けてもらって、2曲入りのCD-Rをいただいてしまいました。これがまた、ディストーションを悪魔に差し出して潔白になったATROXや後期THE 3RD AND THE MORTALか、ダグマー・クラウゼが裏返って2世紀くらい先に修道女として生まれ変わったか、てな感じのエキセントリック&必然美なフィメールvoトリオでびっくりしすぎ。危険ゾーンへの踏み込み方のうまさ、端々の事象のおもしろさとマクロな構築性とのシナジー、何を標榜しているとも感じさせない独特のヴォーカリゼイションと、どれもハイレベル。加えて、少なめの印刷面積+手描き線でコンビニコピーの味を逆手に取るジャケデザインにも共感。手塗りのワンポイントで色を入れることで広大なモノクロ部分を一気に有意義化する小技まで効いてるときた。ぜひこの日のに生演奏も見たかったけど既にかなわないので、何かの形で埋め合わせてもらえることを期待し続けます。
▼以上、若い彼らの今後の活躍を願って長めに。次回からはそろそろCDレビュー復活します。
▼あと、DOIMOIはライブが近いです!最新作を全曲再現するレコ発ラストです。
3/23 (sat.) 名古屋 今池 Huck Finn
open/start 17:30/18:00
DOIMOI, malegoat, Niard, ioueee(DOIMOI杉山ソロ)
adv/door 2,500yen / 2,800yen
ご予約はホームページから。何卒!