SCSIDNIKUFESIN

11 Aug, 2012

▼最近の出来事といえば8/5のKDハポン。あれは本当にみなさんありがとうございました。あんな人力サウナ状態は大学時代のサークルでの学祭ライブ以来。(卒業後も見に行ってたからそんな何年も前じゃなかった。)
事故渋滞のあおりを喰らって東京から7時間の長旅を乗り越えて来てくれたMIRRORは、体育会系インストポストロックの称号を軽々踏み倒して、もはや武闘派ダンスホールバンドの様相。正確無比とはこの事というアルペジオ×2の安定感は、ガシガシ振り回されるサオ類から今まさに目の前で鳴らされているとは信じ難く、強力マッサージ椅子の如く骨盤に強制注入されるビート(って単語何か気恥ずかしいですね…でも単純に「リズム」というよりシックリくる)によってフロアに並ぶ頭は常時波打ち状態。いいもん見たなあという感慨もそこそこに自分達の出番があって、トリのCARD。Apple製品のような洗練の陰から水遊びみたいな気まぐれ感がビョンビョンとはみ出す、クリエイター気質溢れるインディポップ。見本市の如く繰り出されるエフェクト使いが楽曲性にもバンドアンサンブルにもばっちりマッチするというデザイン眼には恐れ入りました。
会場隣りの下ネタテーマパーク(昔は普通の飲み屋だったのに…)・バリバリ屋での打ち上げもすっかり楽しんで26時の帰宅。という完全燃焼をやってのけたために、そこからこの週末までは燃え殻として過ごしてしまった次第。いえ昼間は真人間してますが。作曲再開その他諸々しよう、という思いを助けるのか殺ぐのかよくわからないこのお盆休みです。過ぎてしまえばただの月曜から水曜なのだから、その間にできる仕事量やヤル気の量をいい加減適正に見積もれるようになりたい。
▼新栄吉野屋の破壊力が相変わらず凄いです。夏は冷やコロカレーうどん、おすすめ。通常の2玉分といって絶対それより多いので、仕事中の平日に行くなら午後廃人になるのを覚悟で。ちなみに今年のお盆休みは12~16日だそうです。
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本日のレビュー:GREG HOWE「UNCERTAIN TERM」

シュラプネルおかかえのセンスレスな速弾きギタリストの一人…ではありません。そんな程度に思っていた向きは、是非すぐにこれを聴いて悔い改めるとよいでしょう。「内気さを心配した父親がギターを買い与えた」という凄いエピソードからギタリスト人生が始まっている御大の、こちらは94年3rd。変拍子や複雑怪奇なキメで重装備を施したフュージョンテイストの楽曲に、アラン・ホールズワースの知性とジェフ・ベックのニュアンスとジョン・ノーラムの燃焼力をひとつにまとめたようなリードギターが攻めまくるというこの人の作風が全面開花。クソ速いレガートプレイがその速さの分だけの情報量を持っていて、注意深く耳で追えば追うほど感嘆。シュラプネルの激テクニュアンス王といえばリッチー・コッツェンがいて、この二人は共演作も出してますが、ブラックフィーリングと抑圧の美学を知っているコッツェンとは違い、まーとにかくオタクなフュージョンギターを獰猛に鳴らしまくるスタイルが痛快です。
ちなみに94年というと、メタル界が「反発してみたものの、そろそろアレに染まんないと食ってけないかなあ、グランジとオルタナ」という空気に染まってきている時期。このアルバムもunで始まる単語をタイトルに冠し(なんとなくネガティブな印象に)、1曲目はちょっとPRIMUSみたいなリフで幕を開けて緊迫した無調変拍子パートに雪崩れ込んで…と、軽~く時代性に沿うアプローチを見せているところにニヤッとします。グランジブームは変則チューニング・変則リズム・パワーコードの発展的活用法etc.のさまざまなアウトロー的冒険を誘発したことにとても意義があった。ロックの世界であの頃守りに入ってたのなんて、様式美ネオクラシカルかSTONE TEMPLE PILOTSを更にチャラくしたような商業オルタナくらいだったんじゃないかと思います(不勉強ながらに言い切ってますが)。このアルバムは全編ダークというわけじゃないにしろ、時代に渦巻く熱量を受けての(と勝手に解釈するところの)鬼気迫る演奏が素晴らしい。
Youtubeを探したらまさかのアルバム全曲フルアップ。しばらく経ったら削除されてるかも知れないですが、1曲目だけバラで上がってなかったので。念のため下にもう1曲。