SCSIDNIKUFESIN

18 Nov, 2011

▼最近、飲食店のBGMで気付いたこと2点。(両方とも千種R
▼「妖怪人間ベム」オープニングの有名なパンチライン『早く人間になりたい』は、文字化される際、往々にして語尾が「なりたーい」と書かれがちだが、実際には「なりたいッ」のほうが近い。
検証。
恨めしい願いというより、もっと気迫ある意気込みという感じですね。気軽に引用できない。
それにしても演奏のほう、ユダヤっ気の色濃い本格スウィングではないですか。昔家にあったブラウン管テレビじゃ気付いたことがなかったけど、非マルチマイク録音による遠いドラムのロウなステレオ感がとてもやばい。
▼ZOOの"Choo Choo Train"、メインボーカルさんのピッチは相当ファジーだが、サビのコーラス隊が極めてソリッド。しかもサビはメインボーカルさんが一切登場しない。
再び検証。大黒摩季が中山美穂に引っ張られたみたいな凄いニュアンス感に参ります。デジタル加工のない時代は誰でもこんなもんだったかな…と前後不覚になりかけるも、そんなことはないとサビで正気に戻る。このコーラス勢も正規メンバーなのでしょうか?外注?一番いいところをフロントパーソンが歌わないという判断もなかなかエキセントリックなものです。「ポセイドンのめざめ」でメインの大曲をジョン・アンダーソンに取られたゴードン・ハスケルかと。(ハスケル好きですけど)
廃れたパラダイムを改めて確認してみると、完全悪だと思っていたオートチューン文化も善し悪しですね。少なくともピッチ云々で「ウエッもうやめて」という不快感に苛まれる場面が減ったことはありがたいけど、どんな素材でも商売になってしまうことで、その商売の土壌(売り手・受け手とも)の液状化が止まらないのはひどく害悪。男は黙って折れ線マニュアル補正。
FILTER「TITLE OF RECORD」

本日のレビュー:FILTER「TITLE OF RECORD」

RAGE AGAINST THE MACHINE~KORN以降のグルーヴメタルムーブメントの一員、FILTERの99年2nd。THOUGHT INDUSTRYのメンバーが何故か参加していると知って(オマケ程度のパーカッションでしたが)買ってみました。適正価格300円。
1stの頃から、ポスト・グランジの鬱感やら「デジロック」風のループや音響処理を要領よく使いこなす、新手のSTONE TEMPLE PILOTSみたいな雰囲気を漂わせていて、ここでも基本的には不変かと思いきや、意外と本気。依然贋作的ではあるもののなかなか真摯に聴けます。DEFTONESっぽい感じとか、OPEN HANDにも通じるようなブーミーサイケレトロック感(?)も達者に手なずけている。特に静的方向に振れ幅が広がって、その中で丁寧に表現しているのがよいです。最終的にはヴォーカルに重きを置くという仕上げゆえ、頑張らなくても耳に入ってくるような良好なツブ立ち。
そしてガサーッと分厚く奥行きのあるギター&ベースの重圧の壁が、体感として相当気持ちよい。さすがメジャー。エンジニアのベン・グロッセは、調べてみると80年代にはBLACKFOOTからB-52'Sまで節操なく仕事をしてて、のちのちベン・フォールズやマリリン・マンソンなど、やっぱり節操なく手掛けるようになる、大手レーベルおかかえの職人っぽい人です。
流行った当時もこの手のバンド群をスルーしてきた人にとっては、何ら引っ掛かるところのない作品だと思います。鬱々と濁った低音リフに無条件に反応する向きなら、期待低めで手を出すとけっこう楽しめる1枚。
想像以上にいでたちがチャラかった。