SCSIDNIKUFESIN

19 Oct, 2011

▼書くのが遅くなりましたが、15日土曜は東京・新宿NINE SPICESでDOIMOIのライブでしたなー。と1行目から感慨が全開。
この日の企画は、会場でブッキングを担当しておられる伊藤さん(killie)が、の3月くらいから温めていたもので、ヴォーカル二村君が仕事で1年間渡米するかもという件を乗り越え、当初「このメンツで考えている」と教えてもらった6組が本当に全員揃っての、しかもこの2~3年間で初めて土曜に行けた東京でのライブだったのでした。
このためにTシャツの新色を平日の晩を使って刷り、8月の八王子でのライブ映像を見てステージ上の自分のあまりのダサさにショックを受けてストラップの長さを見直し(異常な短さをやめた)、何度も呼んでくれている伊藤さんや見に来てくれるであろう人達にそろそろいい加減新曲をお聴かせしたいと、前の週には29~31時の練習もやり、前日は夜遅くまで迷った末にTシャツをULVERに決め、まさかの多重寝過ごしで予定より30分くらい遅れて出発。新曲の歌詞はワタシが勝手に前日に差し替え版を作って、pdfとmp3をメールで送っておき、行きの車中で二村君がそれを静かにiPhoneで習得しました。東京に着いても、リハまであと30分強だというタイミングで大久保のラーメン大はちゃっかりねじ込むという、とにかくストイックづくしの道のりでした。
特別気に入っているわけではないがいつも決まってリハ後に行く喫茶店があいにく満員で、代わりに行ったマリエールというところが、ずっと会場に近くてコーヒーもウマく、良かったです。
▼ライブ本編。Detrytus以外は全部初めて見る方々でした。infroはimpulse界隈に共鳴するストレートでヒロイックな泣きを、LOSTAGEにも近い軽妙なフットワークで走らせつつ、キレキレの高音ヴォーカルでしっかり歌ものらしい彫りの深さをもたせたエモーティブハードコア。全6組中のトップバッターということで早めの時間帯ながら、会場は一発で佳境モード入り。
▼続いて早くもベテランのMIRROR。目の前で再生されているとは信じ難い、正確でグルーヴィンなアンサンブルがまず圧巻。エレクトロニカ的な清潔感をともなう和みテイストは首都圏ポストロックの美しき伝統ですね。派手なフックもそこかしこに仕込みつつ、奇特さのアピールに走らずして、演奏の密度の凄さを意識させないくらいの心地よい流れを中心に据える仕上げ具合がオトナ。あんなにブレない男達に、自分らはいつになったらなれるのかわかりません。
▼3番目、事前情報が一番少なかったrebel and summer。日本でこういうことになってしまう人達がいたとはと、たまに変なニヤけが入りながら見入ってしまいました。ぎりぎりポストコアの延長線上でとらえられるという立ち位置はTIME OF ORCHIDSのようでもありながら、危ないブラックメタルのようなダミ声(ヒップホップ経由なのだそう)が入ったり、普通こんなに待てんわというようなドゥームまがいのスローコア風展開が入ったりして、常に漂う緊迫感の質は、デレク・ベイリーばりに澄み渡ったもの。音楽性の選択だけじゃなく演奏そのものも、演出に対してまったく然るべきものだったと思います。あらかじめ殆ど想像できていなかっただけにかなりビックリしました。
▼4番目、我々。
▼5番目Detrytusは、7月の名古屋タイトロープで度肝を抜かれて以来。ねっとり来る休符の重みと、その後に振り下ろされる巨大な鈍器のようなドシャーン、あの緊張は本当にいったい何なのか。個々の貢献の足し算を超えた「バンドとしてのグルーヴ」の深さが既に凄い域なのに、更にこれから変わっていきそうなところが頼もしい限り。「海外のポストコアバンドがこうやって叫んでいるから自分もそうしている」感が皆無の、渾身のヴォーカリゼイションもライブでは特に冴えます。
▼ラスト、仙台のFLEX。DAG NASTYやEMBRACEのようなオールドDCスタイルが、文字通り炸裂していました。常時全力のフックと滲む男泣き。歪んだバッキングギターにコーラスをかけるのが本当に許されるのはこういうバンドだと思います。MCでは震災のことにもサラッと言及しておられましたが、そのサラッと具合が余計に泣けた。最後はアンコールの手拍子も率先してまとめさせていただきました(私は拍手の音を異常にでかくできます)。
▼会場はいつも東京でお目にかかる皆さんが大勢集まってくれて、長い時間かけての移動(運転してくれるのは私以外ですが…)も、こういう楽しみがあると甲斐があったなあという気になります。名古屋にライブで来るときは必ず声をかけてくれる會田"アイゴン"茂一大先生、出がけに靴の留め具が足の裏に垂直に数ミリ刺さってしまったそうで、流血の惨事の対処に玄関先で小一時間かかっていたにも関わらず、「そんな理由をまじめに説明してライブ見に行かなかったりしたら虚言癖のオジサンと思われちゃうから」という思いだけで、我々の出番に間に合わないと知りながら、痛む足を引きずってわざわざ来てくれたというミラクルエピソードがあったので書き記しておきます。畏敬!
現在はひたすら制作モード。そして年明けに、かねてから延び延びだったあの件が遂に。どちらも現在温めています。