SCSIDNIKUFESIN

1 Oct, 2011

Welcome!
▼くされ大学生がアルバイトになり、バンドでフジロック(※場外)に出演し、会社勤めを始め、結婚し、子をもうけるところまで記録され続けている当サイト、長らくお付き合いいただいている皆様いつもありがとうございます。この度、我が家に新メンバーが加入しました。はっぱの葉でヨウと申します。英字表記で正確に読ませるにはYowでしょうか、死ぬ程JESUS LIZARDやSCRATCH ACIDの大ファンということはなく(女の子だし)、いろいろと説明できる由来もありますが最終的には「いいと思った」から決めました。
▼このサイトで書いているCDレビューや飲食店紹介・機材インプレの類、すべては有用かもしれない情報の公開・共有のためにおこなっております。出産についても調べたり人に尋ねたりすればわかる情報がほとんどですけども、意外と敢えてクローズアップして触れられなくて今回立ち会ってみて初めてくわしく知ったこともあるので、記念の意味も込めてちょいと詳細に(一部、音楽サイトらしく)書き残しておきます。近く機会のあるかたは参考に。

概要

出産にあたって、うまくコンディションが合致しないといけないのが以下の3つ。
  • 陣痛
  • 子宮口(こう)の径
  • 赤子の位置
これらの条件がオールOKになるまでの時間(1)と、いざ産まんという時間(2)の2部構成になっていて、途中(または全ての始まり)に破水というイベントを挟むという感じのようです。よく何10時間・何日間も病院にこもって…という話を聞くと思いますが、ずっと産もうと力んでいるのに出てこないという(2)の状況が延々続いてるわけではなく、(1)にいるけど(2)にいけないということだと思います。(2)が異常に長く続いたら多分お母さん大破します。

陣痛

陣痛は(1)(2)を通して起こっています。(1)のあいだは、赤子の位置が出口に近づいたり、子宮口が拡がったりと、産む準備のための身体の変動にともなうもので、知られているとおり徐々に間隔が狭まっていきます。ウチの場合アタックは短め、ディケイはよくわかりませんがサスティンは10~30秒程度(その間いくつかのピークが出現する)、更に同じくらいのリリースタイムがあって1回1分くらいで終了していました。後にひかない痛みのようで、耐えることでクタクタにはなれど、いつまでもどこかがジンジンしてつらいという様子はなし。間隔が長いうちは、過ぎ去れば二重人格の如く平常バージョンに戻ります。
見たことない悲鳴・絶叫・ヒーヒーフーなどの定番の事象が発生するのはこれが進んだとき。間隔が狭まるとともに山のピークが高くなるようで、(2)に移れず長引けば母体は疲弊し精神的にも参ります。夫立ち合いの意義は、出てくる瞬間を見て感動するとかいう記念行為よりも、陣痛のつらい時に励ますといった部分が大きいと思います。「もう生まれそう」と連絡をもらったところで初めて会社早退すればいいのかなと思っていた人、業務が許せば早めに行ってください。

経過観察

インターバルまできっかりと決まってはいないようでしたがおおよそ定期的に、助産師さんや医師が様子を見に来てくれました。赤子の位置の確認(「下がってきた」と表現)、内診での子宮口の開き具合の確認、赤子の心拍数と陣痛の計測がおこなわれます。陣痛は下腹部の張りから数値化できるらしく、母体の苦悶っぷりと見事にシンクロしてさっきのADSRの山が描かれます。赤子の心拍数は波があるときとないときがあり、波がないと寝ているか元気がないかのどっちかということになるそうで、そうして健康状態を外からチェックします。
その間、食事は時間どおりに出てきました(当然1人前)。ただなかなか喉を通らないのが常なようで、配膳の時点で「食べきれなかったらご家族の方で」と決まり文句のように言われます。ええ手作りで健康的でおいしかったですよ。

子宮口問題

我が家のケースで問題だったのが「子宮口の開き」。赤子が下がってきても陣痛が狭まってきても、この子宮口が開いていないと、産みの体勢(2)に移れません。よく「お産直前の妊婦はよく歩いたほうがいい」と言われますが、来たる分娩に向けて体力をつけるという意味のほかに、下肢を柔らかくして子宮口を拡げて(拡がりやすくして)おく目的があったようです。それを言ってくれよという感じです。あと「2人目以降は分娩が短く済む」というのも、これが一度最大まで拡がったことがあるというのが直接の大きな要因でしょう。
OKラインは明確に決まっていて、個人差なく10cm。それに至るまでは、たとえ8cmでも、イキみモードに移らせてもらえませんでした。陣痛のペースに子宮口の拡がり具合がついていってくれないと「猛烈にうんこをしたい感じをずっとガマンしながら、腹から叫ぶことを許されず激痛にも耐える」という時間をひたすら過ごすことになります。順調にいっていれば明らかに今が産み時という陣痛ラッシュに無駄に襲われて、更にそれを通り越すとどうなってしまうのか?ウチの場合は、いつの間にか陣痛が10分間隔くらいに伸び、程度もガクッと弱まっていきました。極端なケースだとここで本人以外一時帰宅とか、リセットに近いところまで落ち着いてしまうこともあるでしょう。

産む

すっかり陣痛の波を逃してしまったものの、それがむしろ、丸一日以上ロクに寝られなかった母体のよい休憩になったようで、心身のリラックスとともに子宮口もやがて開いてくれました(開きやすくするための点滴にもお世話になった)。既に赤子の位置はじゅうぶんに下がっていて、途中で破水もしていたので一旦保留にするという選択肢はあり得ず、事態進展のためここで陣痛促進剤が登場。効き過ぎると危険なものなので、かなり少しずつの投与から、様子をみて徐々に増量。もうそろそろいけるかもねと判断されたところで、ようやく産みの体勢に移行しました。ここまでが(1)でここからようやく(2)です。
この先は、必要なのは限界を超える集中力のみ。目標がすぐそこに見えているから母親の気合もグッと入り直ります。陣痛の波にすかさず乗って、息を大きく吸って止め、目を見開いて足を極限まで踏ん張るの繰り返し。陣痛が来るたびに何度もやって、少しずつ赤子を先へと押し進めます。割と早い段階で、立ち合い人にはイキみ中に頭の毛なんかが見え始めます。
多分ものすごく痛くなるのは、出てきた頭が最終出口すぐそばで止まった状態のとき。ここで陣痛が途切れると数10秒~1分くらい、その状態でホールドです。はたから見る分には最大の恐怖である、最終出口を「切る・裂ける」のもこの前後。書くだけで痛々しや…。充分気絶できるレベルだと思うんですが、ここで引き返したり諦める母親はいないんでしょうね。最後の最後は顔が出かかるが早いか、あれよあれよとズルズル引っ張り出され、全身のシワがふやけきった赤々とした赤子が、元気なら数秒おいてあーと泣く。

フィニッシュ

赤子と母体をつなぐへその緒は、親指の太さでBELDEN9497よろしくねじれ続ける単線で、全長も相当なもの。まずは臍帯血を注射器でサッと採取し、途中をひもで縛って切断し、残りをゾロゾロと引き出し続けます。そのうち親玉=胎盤が登場するわけですが、ちょうどアナログの7インチ盤くらいの径があって厚みはピザパン程度。青黒さのある赤色で、ルックスはつまり巨大なレバーです。これを出すときはちょっと痛そうでした。更に残り物があるらしく、グーでグリグリと腹をこすって中身を絞り抜く(痛そうだった)。
膨らんだ子宮の収縮はゆっくりで、出産直後は全然6~7ヶ月の妊婦くらいの丸みが残ります。更に、分娩中にそうとう長い時間、定位置で赤子をしまい込んでいたお陰で、赤子の足先があった部分だけ左右非対称でポコッと出っ張りが残っていました。
そうこうしている間に赤ちゃんも血や羊水を拭き取ってもらって服を着せられて、念入りに手洗い・消毒さえすれば小一時間程度でもう抱かせてもらえます。ウチの場合は出産の時間帯が夕方にかかったので、落ち着いた頃にちょうど夕飯として祝いっぽいお膳が(やっぱり当然1人分)給仕されました。ハイテンションゆえケロッと元気な母親がスイスイとそれを平らげる傍ら、新生児がチヤホヤされまくるという、平和な時間へとシームレスでシフトした次第です。
翌日を待たずしてその晩、完全にキャパオーバーで踏ん張った見返りの筋肉疲労で母体は当然の如くガタガタ、泥のように眠った翌日も基本的にダルそう・眠そうな感じでした。が訪問者でテンション回復しつつ授乳も成功するなど、経過はまずまず良いようです。
 
▼以上、一般論のような書き出しから100%体験談に移行してしまいましたが、この2日ほどで経験・目撃してきたことでした。帝王切開につながる要素がここに加わるとまた話はグッと複雑になることでしょうけども。思ったより時間も字数もかかったので今日は寝るとします。