SCSIDNIKUFESIN

17 Jun, 2011

▼この前やっていたDOMMUNEでの小室哲哉のパフォーマンスを私も途中から見ました。スゴイヤバイとの声が飛び交う中「この指ドラムはキーボード買ってもらいたての中学生がやる感じなのでは...」など微妙な瞬間もありましたが、ヤル気がみなぎってて見入らされるものがありましたねー。
シティーハンター世代には多いここと思いますが、私も物心ついて初めてアーティスト単位で聴きこんだのがTM NETWORKだったクチで、父親に買ってきてもらったカセットテープを繰り返し繰り返し聴くのみにとどまらず(ちなみに後日同じく父親に買ってきてもらったCDラジカセで最初に聴いたのは小室のソロアルバム「DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST」)、フトンの中にラジオを持ち込んで「Come on FANKS」を毎週聴いたり、中学生になっても木根尚登のオールナイトニッポンをラジカセでタイマー録音して聴いたりしたものでした。今度会ったら「お前もTM?」と声かけてやってください。気のきいた会話は特にできないので、肯定してすぐ終わると思いますけど。
気のきいた会話。いつになったらできるようになるかな。
TM NETWORK「CAROL」

本日のレビュー:TM NETWORK「CAROL」

ということでおもむろにこの1枚。88年、リミックス企画の「DRESS」を除けばリニューアル前(TMNへの改名は当人達曰く「リニューアル」)最後のスタジオフルアルバムです。重要コンポーザー兼エアギタリスト・木根尚登が書いた同名の小説と連動したコンセプトアルバム!小説も読みました。筋書きは覚えてないけどハードカバーで大きくて大きい文字の本だったことは覚えている。
シングルヒットをパカスカ飛ばす人気ユニットのコンセプトアルバムとはこれいかにという感じですが、アレンジワークにしろ曲調にしろうっすら壮大であったり、曲をまたがって繰り返されるフレーズが存在していたり、なかなかそれらしさを醸し出しています。とともに、小室のいつもの強引な転調癖がこの作風の中で活きて、1曲の中でマメに明暗を描き分けたりするときのギリギリの力技には改めて唸らされるところ。せっかくならこれに乗じてもっとプログレ趣味を丸出しにしてくれたらよかったと思うのですが、ラスト前の曲でちょっと変拍子が出てくる以外はあまりそういう場面はなく。次のアルバム(「RHYTHM RED BEAT BLACK」)で何故かメタル化してしまったのはそのフラストレーションだったのか?違うと思います。
むしろ全編アーティスティックに攻めるのははばかられたようで、途中であまり脈絡のないタイアップ曲(「ニューガンダム」の"Beyond The Time"、「僕らの七日間戦争」の"Seven Days War"、「シティーハンター2」の"Still Love Her~失われた風景~"など)が入ってきたりするのが中途半端でもあるところ。だが個別での大粒度はとても高いので、トータルでは「なんか節操ないけど最終的にいろいろ感動したような後味のアルバム」になっていると思います。
そしてこのアルバムで息をつくことができる2大和み曲、"Winter Comes Around"と"Still Love Her"はともに木根尚登のペンによるものだったことは強調しておきたい点。ファンが好きなアルバムオンリーのキメ曲は木根率が高いです。ライブじゃ振動のはげしい首振り扇風機みたいなもんですが。あともうひとつ、半数くらいの曲で「Electric Guitar: Takahiro Matsumoto」とのクレジットが。調べてみたらB'zのデビューも88年秋なので、ほぼ同時にこのアルバムも制作されていたんですね。ライブでのサポートもやってたはずだからきっとTAK松本の中では記憶に残る一年だったことでしょうこの年は。あっまた着地点がずれた。