本日のレビュー:WHITESNAKE「1987 / SLIP OF THE TONGUE」[AXE KILLER Remaster]
言わずと知れたWHITESNAKEの、言わずもがな代表作である「1987」(日米ではセルフタイトルまたは「サーペンス・アルバス」。「1987」は本来は曲順違いのヨーロッパ盤につけられたタイトル)とその次の「SLIP OF THE TONGUEのカップリングリイシューです。本編の内容については浅めにしておきましょう。サイクスが絡むまでに積み上げたキャリアこそWHITESNAKEだと思っている身には単なるヒット曲集くらいにしか思えないのが「1987」(一番好きな曲は"Give Me All Your Love")、デヴィ・カヴァ本人をして「バンドじゃなくてサーカスショウだった、悪夢」と言わしめる「SLIP OF THE TONGUE」はDLRバンド時代の諸作と同じくコマーシャルな音楽性の中にスティーヴ・ヴァイの尽きぬクリエイティヴィティが堪能できるという目線で全然傑作。「1987」はどうしてこんなに音が悪いのか、キース・オールセンには責任とってほしい。ついでにこの盤では「SLIP~」もリマスターで大幅改悪されてます。メインで書いておきたいのはこれがフランスのAXE KILLERからのリマスター再発だということです。どの再発も真っ黒のジャケに作り変えてしまう嬉しくない趣味をもつレーベルですが、ついでにもれなくレアなボーナストラックを追加してくるから侮れない。このアルバムは2枚組で計7曲が追加されていまして、それについて細かくご紹介します。まず「1987」自体が変則的な内容で、9曲入りのUS盤仕様の曲順を本体としたうえで、欧州盤のみ収録の2曲("Looking For Love"と"You're Gonna Break My Heart Again")がオマケ的に配置。その2曲と"Sweet Lady Luck"は、94年に発売されたベスト盤でも聴くことができました。その他なぜかただの既発曲2曲があるのは無視するとして、目玉は日本独自の編集盤「1987 VERSIONS」でのみ(シングルB面は除く)聴けた2曲、"Standing In The Shadow Of Love"のギター差し替え版と、FLEETWOOD MACもやっていた"Need Your Love So Bad"(リトル・ウィリー・ジョンのカバー)のシンセバージョン。特に後者!(※埋め込み再生禁止だったのでクリックしてYoutubeページへ移動してください)
これも84年バージョンと87年バージョンが存在するらしく、シンセではなくオルガンが入った84年バージョンは今やCDでは入手できない模様。まあシンセは安っぽいですが、デヴィ・カヴァの真の歌唱力が堪能できるいいテイクです。このシンセバージョンは、何やら最近発売された「SLIDE IT IN」の25周年記念エディションにも入っているとか。AXE KILLERリマスターは基本的に生産数限定のはずなので、興味を持ったかたは25周年のほうをどうぞ。