SCSIDNIKUFESIN

31 Jan, 2011

▼つい数日前、全部比べたことはないが多分アメリカで一番信用できる地下音楽セレクトショップ・AQUARIUS RECORDSのサイトを見ていて、フィンランドのEKTRO RECORDSというレーベルを発見。音響の入ったソフト・くさメタルみたいな凄いセンスのバンドを多数抱えていたりする一方で、様子のおかしいフォーク/レトロサイケやジャズ風のリリースも。その中でもCIRCLEというのが看板バンドらしく、いっぱい出してるけど全部買ってたらキリないなーと、存在を認識だけして何もせずその日は就寝。
そして本日の収穫、めずらしく立ち寄った栄ミュージックファーストにてCIRCLE「SUNRISE」「FOREST」「TULIKOIRA」(すべて300~500円)!!。おお神よ。あとSTATUS QUO「STATUS QUO」(88年作、オリジナルイシュー)、MATS/MORGAN BAND「THANKS FOR FLYING WITH US」、IMMOLATION「HARNESSING RUIN」も。名古屋のベスト中古盤屋はミュージックファースト!
CIRCLE「SUNRISE」

本日のレビュー:CIRCLE「SUNRISE」

2002年作。ジャケのたたずまいはタチの悪いポストロックかという感じ。1曲目、JUDAS PRIEST直系の軽妙なリフに、NWOBHMっぽいオヤジ声のヴォーカルが乗る。フィンランド語なので、フランスのTRUSTみたいな可笑しさはあるものの、まずまず正攻法との印象。1分くらい経つとどうも様子がおかしく、ひたすら繰り返されるワンリフの上で件のオヤジ声ヴォーカルが狂った独り相撲を続けるのみ...。おまけにヒョロ~とアンビエントな電子音ともフィードバックともつかない音がずっと鳴っている(しかも超うっすら)。これならHAWKWINDのほうがまだマシで、変態の顔をしてない変態ってのが一番怖いです。
2曲目、一変して超アーシーなアコギのアルペジオでフォーク調に。しかしどうも展開らしい展開とかヤマ場とかを設ける気はないらしい。3曲目、今度はシンセが絡んでややTRANS AM風、しかしやっぱりリフはひとつ。ああ怖い。4曲目はフォークロアヴァイキングメタル調の哀愁が漂うこれまたアコギ曲。メインヴォーカルの前置きのスポークンワードがいつまで続くと思ったらいつまでも続く。バンジョーかバラライカかというポンポンと短い弦の音が左右の端でランダムに絡む。電子音、ストリングス。AMON DUULか初期ASH RA TEMPELか?リズムの堅さはあくまでハードロック。だんだんヴォーカルがトルコかイスラエルっぽくなってくる...。
5曲目、暗闇でつま先をぶつけながら歩くDREAM THEATERみたいなとろいリフ。歪みはファズ。ヴォーカルはSAXONばりの熱唱!!スクリーム!気がつけばインダストリアルノイズが地味に全体に敷いてある。同じリフの反復だと思って聴いていたのが、知らない間に変化している...。6曲目は9分超。ずっとTHE POLICEの曲の前奏みたい。アンディ・サマーズ来た!と思ったら来たのはトニー・アイオミ!!ドラムにディレイがかかりはじめる。ただのウワモノだったあやしい弦楽器がだんだん大仰になってきて"Kashmir"風に。7曲目、ようやく後期PSYCHOTIC WALTZみたいな「普通のあやしい曲」という感じのイントロが出てきて「ホッとする」。「普通」の水準が完全にねじれきってしまっているのに気付く。リフが1個しか出てこないのにも慣れる。うわードラムが3トラックくらい重なってきてしかもディレイつき。BURZUMミーツTANGERINE DREAMか、と掴めてきたところでまさかの転調。雄大なのか?ラスト、これは紛う事なきハンマービート。でもそれ以外はPAN AMERICANかLABRADFORD。トラックリストの時間表記を見ると15分以上ある。覚悟したとおりの展開、と思ったら残り3分半の地点でいきなり半音上がって雑なファズギター&バリトンクワイア投入!!クレシェンドそしてアッチェレランド、最後に鉄男は宇宙となる。いやこれは大変...。
たとえばFANTOMASみたいな「俺、俺!」という感じは一切なく、無人で暴走するトラックのような怖さ。もはや聴き手不在の100%アートです。ULVERより更に情け容赦ない。心酔してコンプリートするなんてことはないけど、世の中こういう人達がいるから面白いです。
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