SCSIDNIKUFESIN

30 Jan, 2011

▼近頃は実家に帰って残留CDの山をあさっても「MELVINS初期、頑張って揃えたけど聴かない...」「ZAO(ヨシコ・セファーの)、頑張って揃えたけど聴かない...」「DARKTHRONEの1st、これだけ何故かスウェディッシュスタイルで歴史的には特異、でも聴かない...」みたいなのばっかりでいよいよ持ち帰ってくるものが少なくなりました。あとは「『価値を認めた上で聴かないもの』は持たない」というレベルまで行ければ、実家の2階の荷重を少しは軽くできるんですが。しかし集めているときは楽しかったしあれで良かった。が、当時の無謀な羽振りのよさをもう少し親孝行にでも使っていればなとも、所帯を持って両親と接触の機会がガクッと減った今にして思います。大抵のことは気づくのが人より3年くらい遅い。
DOKKEN「SHADOWLIFE」

本日のレビュー:DOKKEN「SHADOWLIFE」

随分と前に買った再結成第2弾の97年作。カムバック1発目の「DYSFUNKTIONAL」は、仮にもメロディアスHRで一世を風靡したというもともとの性質と、それなりにモダンでソリッドにいきたいという意欲がいい具合につりあって、KING'S Xインスパイア風のナイスな塩梅に落ち着いていたのですが、ここでは容赦なくダル&ダーク化。その後ジョージ・リンチが抜けて元に戻ったところを見ると、昔からフラットファイブが好きだったジョージが主犯だったのかも知れません。
先日のTALISMANの例でも書いたとおり、メタルバンドのダーク化にはいくつかの類型が存在するわけですが、このアルバムはこれまた珍しい「TOOL化」が見られます。TOOLもデビューEPを聴くと絶対元メタルの人達っぽいので、こうなるともはや近親相姦。ちょうどどれだけ気張ってもクリーンにしか歌えないドン・ドッケンのふらつきをメイナード・キーナンのそれに見立てるというビックリな離れ業に見事成功し、特に前半3分の2くらいはかなりの忠実度を達成しています。
しかしズブズブのグランジャーではないオヤジメタラーな彼らであるので、「次の音符を待てないくらいダルい」というほどの域には至らず、メタル耳でギリギリかっこいいと思えるところで止めてくれているのがいいところ。そして随所で炸裂するジョージ・リンチのリードギターのエキセントリックさよ。特別変態なスケールを駆使するわけではないですが、いつでもビシッと決まる芸達者ぶりと、意外と破綻寸前まで熱くなってしまう本気度合いのバランスが、何と言うか中年以降の郷ひろみの如きセクシーさ(ただ外見のイメージだけで言ってるかも知れないです、今や半分ボディビルの人になってるらしいですし)。
とはいえまっとうなDOKKENファンには不要な代物で、もちろんTOOLファンに勧めることもありません。開き直って懐メロ神経衰弱バンドになるくらいなら時代に流されてでもガッツを込めた意欲作を出してくれたほうが聴くに値する、と思える余裕のある「メタルの行く末観察者」にのみおすすめ。
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