SCSIDNIKUFESIN

25 Jan, 2011

▼世を忍ぶ仮の職場に突如「しーんとして息苦しいだろうから」という誰にも求められていない配慮によってFMラジオが導入され、しかも2~4kHz付近を中心として常にオーヴァードライブ気味な安い音(筐体サイズは手のひら大)が耳について仕方がないので、一人イヤホンを装着し、作業に使うのと違うブラウザでそのへんのMyspaceの音源を流しておくかiPodを持ち込むかという生活が昨日から始まっております。
半日とかバカみたいな長さの時間、Myspaceの音源を聴いて過ごすなんてことはそうないので、中古盤屋で見かけてちょっと気になって帰宅すると忘れてしまう人達などをチェックするのがなかなかいい(無論、ほんとに、世を忍ぶ仮の仕事をしながら)。COLLECTIVE SOULはグランジ臭がゼロになってただメジャー感があるだけのバンドに。SILVERSUNははじめからノセられる用意で聴けばかっこいい(特に昔、恥ずべきほどにNIRVANAかぶれ)。AUDIOSLAVEはどうやっても期待以下。STONE TEMPLE PILOTSの要領よさのポテンシャルは計り知れない。HOG MOLLYかっこいい!などなど。グランジのディープな部分をもうちょっと知りたいというのがここ数ヶ月のテーマのひとつです。いま中古CDを格安で探しているのはMOTHER LOVE BONE。
TALISMAN「HUMANUMAL」

本日のレビュー:TALISMAN「HUMANUMAL」

懐かしや。ジェフ・スコット・ソート(Vo.)とマルセル・ヤコブ(B.)という元イングヴェイ組の2人を中心とするバンドの94年作。北欧メタルの良心だった彼らが宗旨替えした作品としてリリース当時はかなり賛否両論を呼んだ作品です。15年以上の歳月を経てようやくまともに聴きました。
この時期のメタル作品でバッシングの対象になるのは大抵「ALICE IN CHAINSまたはPEARL JAM化した」もしくは「PANTERA化した」のどちらかで、このアルバムもジャケを見る限りそのどっちかだと踏んでいたんですが、音像こそかなりソリッドになったものの実際は「ファンキー化した」という変わり方だったので意外でした...当時のトレンドだったとしても2~3年遅れてますがな...。ホーンセクションを入れたりあからさまな支離滅裂ミクスチャーに走ったりということまではせず、時にレッチリ風に、時に初期EXTREMEのように、しかし要所要所でしっかり泣きと整合感で押す旧来スタイルも挟んでバランスを取る。結局最後の旧来スタイルだけあればいいんじゃんという気もしつつ、今回は骨太にいくぞという意気込みが全体を通して漂ってきて、アルバム総体としてはなかなかいい佇まいをしています。
TALISMANは音楽的イニシアティヴを握るのがベーシストであるので、ファンクネスを醸し出すために重心を落とすという変化がバンドの持ち味を引き出す結果になったのは、このアルバムの非常に良かったところだと思います。OVERKILLの「W.F.O.」ばりにベースの存在をグイグイ感じる肉感的な仕上がり。そのマルセル・ヤコブ、2009年7月に自殺してしまっていますが、リウマチとその他原因不明の身体の痛みによってベースをかついで弾くこともままならない状態になっていたそうで...。本腰入れて彼の作品群を追ったことはないですが、このアルバムでの卓越した演奏を聴いていると、どうしてこの人が...と残念な限りです。ラスト前に収録の鬼気迫るタイトルトラックにうち震えつつ、合掌。
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