SCSIDNIKUFESIN

29 Dec, 2010

▼正月休みに向かう気分って、この休みにたどり着けば何か大きいものが終わるー!という高揚感が必ずあるけど、実際はただの5連休とかであってじきにそれまでと何も変わらない日常が再開するということを上手に意識できるようにそろそろなりたい。
なんつうシケたことも思いながら、夕飯後、STIFFSLACK横ABSENTEEにて催されていた開放型忘年会(with無料鍋!)に行ってだらっとした時間を満喫してきました。行くといつも大抵、バンドマンやらレコードショップやらイベンターやらメディア関係やらといった方々と軽く交流できて、そこもABSENTEEの凄いところだと思います。「音楽を共通項に人が集まって偶発的に何かが生まれたり始まったりするスペース」なんていうと響きが良すぎる感じがしますが、それを本当に(ごくごく自然に、しかしマスター・新川さんの相当な努力によって)実現してしまっている貴重な場所。ここがきっかけで起こっていく面白いこととか、色々あればいいなー。
ATHEIST「JUPITER」

本日のレビュー:ATHEIST「JUPITER」

昨日のFORBIDDENに続き、まさかの復活作。MESHUGGAHの成功によってテクニカルメタルの系譜がようやく広く評価されるようになって、その元祖バンドのひとつとして知られた頃には3作品すべて廃盤でプレミアがつく(じきに再発)という事態にもなったATHEISTが今年リリースしたアルバムです。といっても残っているのは初代ドラマーとヴォーカルのみ。ギターヴォーカルだったケリー・シャファーがいつの間にかピンシンガーになっている!
解散前のキャリアは、1st→変則もつれ突撃型、2nd→フュージョン入り激展開型、3rd→スローダウン&ラテンフュージョン大幅導入、という変遷をたどっていて、私は断然ラスト作が好きだったのですが、ここでは2ndに最も近い音楽性が選択されています。あーあの不思議なキャッチーさはどこへ...という期待と結果のミスマッチもありつつ、出来自体は全然上々。高音域での妙なオブリが変拍子で絡むサイコ感や、テンポチェンジをダンゴ状態に連ねていく展開のしかたはまさにATHEIST節。もともと見せていた音楽性の変化も時代の流れとは何ら関係がなかっただけに、今回も、トレンドの香りを身にまとって軽く生まれ変わったとかそういうことはなく、RELAPSEの若手がいま一生懸命体得しようとしているような強烈な個性を昔から発揮していたバンドだったのだなあと確認できたという感じです。たとえばここに野太いガテラル声を乗せたら「ATHEIST~GORGUTS~初期MASTODONタイプの大型ヘンタイ新人!」みたいな扱いでちょっとした騒ぎになることと思います。
こういうオールドスクールなバンドの復活作で気になるのは、昔はあんなに適当なサウンドプロダクションだったのに、やたらにパワフルでクリアでグリッターな音になってしまいがちなこと。ATHEISTは特に、ほどよいドタバタ感とか、迫力があるのかどうかよくわからないけど凄い味のあるヴォーカリゼイションとかがバンドのよさだったりしたと思っているので、個人的願望としてはもっとポコスコした音であってほしかったなー。
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