SCSIDNIKUFESIN

10 Mar, 2013

▼最近の収穫、サウンドベイ上前津にてDEEP PURPLE「WHO DO WE THINK WE ARE」、BAKER GURVITZ ARMY「HEARTS ON FIRE」(76年)。3月のバーゲンは16日土曜から。いい加減たまってる外食記録は次回以降に。BuBuとお好み焼き本舗は忘れないこと(公開備忘録)。
▼さて本題です。去年東京のNine Spicesで共演して知り合って、今月23日のDOIMOIレコ発名古屋編にも出てもらうことになった大阪のインストバンド・Niardのドラマー・高早さんが、楽器工房のマスターかつエフェクタービルダーであり、「完全メタル仕様の歪みペダルを開発するにあたって、これまでに作った製品を試してみて意見をもらいたい」というありがたい申し出を受け、高早さんセレクトの4台を一時的に拝借して試させてもらったのでした。
で、せっかくなので、アリが咳をする程度の影響力(のなさ)の当ブログながら、その4台をネチネチ紹介させてもらおうと。当方エフェクターの所有履歴はさほど豊かでなく、ダイオードだオペアンプだという技術的な知識もゼロなので、とにかく音楽的にどう使うという目線だけから書いていきます。そして基本的に、「好みのハイゲインサウンドになるかどうか」を軸に試しています。それでは以下。
TRIAL Wide Preamp
まずは高早さん自身のブランド・TRIALから2つ。はじめはオーヴァードライブ/プリアンプの「Wide Preamp」です。これ私が実際に買って、メインの歪みとして長年使ってきたMI AUDIO「Tube Zone」と置き換えたばかり。どのアンプにつないでもそのアンプの音のままブーストされる、とにかく透明で順応性の高い歪みとして開発されたそうです。これ単体のキャラを確かめると、非常にツブの細かい、チューブライクなカリッとした質感がありつつEQ的に偏ったピークを感じさせないオーバードライブであることがわかります。ブーストというと「太い=良い」神話が根強いですが、これはむしろフラット状態だと低域がスッキリする印象。
私はSOVTEK Mig50Hの前にこれをつないで、両者の歪みを混ぜて使ってます。今までと比べるとペダル側の歪みの量を減らすことができ、濁りなく腰の据わったハイゲインが出せるようになりました。フラットなフルレンジブーストなようでいて、聴感上の「ゲイン感」にかかわる成分にうまく絞られているような感覚です。歪みの絶対量を減らせた結果、低音弦でゴソゴソやるフレーズもミドルポジションのテンションコードも、全面的に解像度が向上して、音量も少し小さく済むようになった気がします。これはバンドアンサンブルにとって大きなプラス。
真空管アンプだと特に、ゲインを上げるに従って太さが消えてゲショゲショになるとか、あるいは低域ごと持ち上がりすぎてブーミーになるといった問題があり得ると思いますが、一番好ましいバランスのところでツマミを止めて、あとはこのペダルで好みの歪み量に調整するといった使い方が非常に効果的かと思います。ポテンシャルはあるはずのアンプを思うように使いこなせないでいる、ペダルの限界を感じてアンプ改造を考えている、またはペダルの歪みに関して↑のような悩みがある、という人には真っ先にオススメしたい品。
TRIAL PockeTS
名前のとおり、極小サイズのTube Screamer系歪みです。軽さと小ささは本当にびっくりします。カラー的には「昨今流行りの『こもり』偏重な解釈ではない、ミッドの気持ちよい張り出しがあるキレの良いTSサウンド」を標榜したとのこと。onにするとミッド~ハイミッドがギュッと詰まって、ボーカルに近いようなバランスに。程よいコンプ感も加わって非常に「歌いやすい」音になります。
と同時に、低域の芯が絶妙に確保されるので、「中高域がせり出す」と「太い」が難なく両立する不思議。その応用編で、超ゴリゴリなのにファット感を失わないダイムバッグ・ダレルみたいな音も、全体のセッティングの工夫次第で出せたりするんじゃないかなと思いました。そこまでいかなくても、常駐オーバードライブ/ディストーションとしての使い方も全然OK。強力な歪みの後段にこれを置いてしまうと、歪み同士で飽和してしまって充分なレベルブーストを得にくいので、そういう場合は純粋なクリーンブースターを使うが吉。
TBCFX Mighty Drive
残る2つは、神戸のTONE BLUEの製品として作られた品を。まず「Mighty Drive」は「CUSTOM AUDIO AMPLIFIERSのOD100ライクな歪み」というコンセプトの品。といってもOD100の音を(Youtubeでしか)知らないので、浅ーい感想になると思いますが…
歪みの質は充分にアンプライクで、JCとこれだけでもばっちり使える音になります。よく効くEQツマミで、ジャキッとトレブルを立たせることも、ミッドをスクープした邪悪トーンも実現可能。多少極端なセッティングにしても不自然な色付けを感じません。BASSツマミはEQではなく独立したゲインコントロールになっているそうで、全体を食い潰すことなく低音だけグングン膨らますことができます。一定以上の歪みの前でそれをやると、ブッチブチのファズみたいになってしまうくらいのパワー有り。極力クリーンなアンプでメインの歪みに使う場合なら、能力の上限まで活かしきれると思います。敢えてストーナーロック風のブーンとした音作りに使うのも良いし、ベースレスのバンドのギタリストにもかなり強力な助っ人になりそう。
TBCFX Royal Drive
最後のこれは、ツマミを見ても分かるとおり王道MARSHALLサウンドの再現系です。カラーがはっきりしている割に、ほかの歪みと混ぜても快適に使えて、しかも決して外すことなく全てのアンプをMARSHALL風にしてきます。先のSOVTEKから、FENDERのSuper Champまで。スラッシュメタルバンドがやるようなモダンなトーンまではこれ単体でカバーできませんが、オーバードライブとディストーションの境目のような肉感的な歪みは大得意。VAN HALENのフレーズを弾きたくなる感じです。ZVEXの「Box Of Rock」やCATALINBREADの「Dirty Little Secret」と趣旨を同じくする国産ハンドメイドペダルとして知れ渡るべし。
▼機材に関するボキャブラリが乏しくて情けない限りですが、以上ぜひともお役立てください。繰り返しますがWide Preamp非常にオススメです。
次回は、MIRROR森さんからお借りした大量のシールド比較記録でいきます。