SCSIDNIKUFESIN

10 Nov, 2011

▼数日寝かせて文言とレイアウトを調整し、さきほどオンライン入稿。graphicスマート。
バンドロゴっていい文化です。そして近頃つい使いがちなavant garde gothic。細いのも太いのもキマるんで便利です。などと言ってないで、中身の情報をしっかり記憶しておいてください!1月8日ハック、よろしくどうぞ。
▼確か一昨日くらいの収穫、名駅69にてDAVID COVERDALE「WHITESNAKE / NORTHWINDS」。さほど聴かないのになぜか揃えてしまうWHITESNAKE。
PSY・S「HOLIDAY」

本日のレビュー:PSY・S「HOLIDAY」

ただいまブッチギリで「尊敬する仕事人」の自分内最上位を独走中(20年遅れ)のPSY・S。こちらは91年作。全ディスコグラフィ中でもやや異色な作品らしく、擬似バンド色をグッと削って、気軽な静物アートのような1曲ワンテーマの作品集という感じ。その後ゲームミュージックの道に進むことになる松浦氏の才能がとても端的に表れたつくりになっていると思います。
ポップスとして満たすべき「サビでの跳躍に向けて全ての要素がチューンされる展開づくり」をあっさり放棄して、ラウンジーなシンセの層でテーマを抽象的に表現。いわゆるクラブミュージックノリとも何か違って、それこそ非現実の世界を思わせる、人工的で変なグルーヴ(実はベースラインがエグエグ)。ベタを迂回するコード展開のもたらされ方は常にさりげなく、トータルでTOTOの滑らかさと通じるものを感じます。ところどころ渋谷系の草分けのようにも聴こえるけど、もっと多くのものを含んでいるし、91年というのは早すぎる。その全部を、結果的に至上のポップスに落とし込んでしまう歌い手・CHAKAの強制力もおそるべし。
最近聞いたとあるお方の言葉で、「『高級な仕事』をしないといけない。金額が高いとか敷居が高いという意味じゃなく。それには洗練された技術、教養、そういったものと、『志』が何より真ん中にあるべき」というものがありました。PSY・Sは初期作にあたる86年の「PIC-NIC」のジャケで、バンド名表記の真下にそれはもう堂々と、「Making High-Quality Music By High-Technology」と謳っています。ポストオルタナ時代の今じゃ「音楽の評価に『質』も『技術』もねーよ」と一瞬で揶揄されてしまいそうな文句ではありますが、インスピレーション一発こそリアルだと言い張ってしまう人が皆ジミヘンのようだとは思えないし、「深く考えずに出てきてしまう言葉はたいていどこかで誰かが言ったこと」という旨の発言を、藤岡みなみ(の恩師)もしております。高級な仕事をするんだと言い張って、人がまだ見つけていない高みを目指す、そして結果だけで勝負する。トップに居続ける人達は、そんなガラじゃないと思われているような人だって、多かれ少なかれそういう風だと思っています。ということで余計な口が過ぎましたが、PSY・Sの作品にはそのあたりの一貫した信念を勝手に感じています。もうブックオフのオンラインストアで大人買いするか。