SCSIDNIKUFESIN

30 Oct, 2011

▼授乳のペースがなかなか定まらないらしく、妻子は未だ里帰りから戻らず独居継続中。散らかってきたなくなってしまった居間と台所を整理整頓・清掃したらキレイになった。毎日少しずつキレイにし続けていればきたなくならなかった。書いてしまえばシンプルな2行足らずの真理を、実行できるようにならないまま人の親になってしまいましたが、できるようにならないと人の親になれないというものでもないということも分かりました(実証した)。つまり世の中、いい年頃でも大概いい加減な人が底辺を支えて動く、本当に大概いい加減なもののようです(拡大解釈)。その世の中でちょうどよく受け入れられる角度から投げ入れるにはどうやったらいいかなと思案して、DOIMOIの新作を日々温めております。すいませんオチはありません(©デーブ・スペクター)。
自主企画第3弾の情報をツイッター上で半分以上漏らしてますが、近日中にfixしたのをドーンと公開します。今回は出演数を絞ってEXTREME THE DOJO方式。
▼昨日は新栄パルルでyokさんレコ発の見物へ。1番目カーリーズ、ドラムセットを使わないイレギュラー編成にて(ドラム&ギター半分が各種パーカッションとキーボードに置き換わってアレンジもカスタム仕様)。アルバムのレコーディングで大概のレパートリーは知ったつもりだったのに、知らない名曲を矢継ぎ早にやられた…。彼女らはいろいろ心得すぎていておそろしいです。初見のmanumobilesさんも「センスが凄い」と感銘を受けてました。
ジョセフ・アルフ・ポルカも室内仕様の変則セットながら、意外にバカーンと音が大きい。ギターはアコースティックだったので、以前アポロシアターで見たときのようなニューウェイブ感は消えてましたが、あのヴォーカル氏は凄く泣ける曲とかをまじめに歌ったらPLUSHとかスティーヴ・マルクマスみたいなことになっちゃうんじゃないかなとドキドキします。コノテーションズ澤田君に勝るとも劣らん希少な天然素材。
平賀さち枝さんはまったく予備知識なく拝見。ときおり字余りを圧縮して詰め込む、今の時代にフォークブーム全盛の空気を地で行く感じの(といいながらフォークブームについてよく知らないのでたぶん的外れなこと言ってます)清廉とした歌い手さんでした。ニュアンス巧みなヴォーカリゼイションが達者でしたなあ。
でトリのyokさん。クアトロとかボトムラインみたいな会場じゃなくもっと狭いところで外タレのライブを間近で見る機会が多くなってから、いい演奏を見るときに「演奏や楽曲の設計図が空中かどこかにずっと昔から決まっていて、奏者はその受信/変換/放射器に見える」という感覚がありまして(と毎回これが初めての説明っていう口調で何度か書いている気がしますが)、まさにそれがビシビシ大量に来ました。やっぱり誰しも自分のレコ発だとか自主企画という場だと、自ずと「何か違う」演奏になるもののようです。単純に長めのセットを落ち着いてやってくれたせいもありますが。そしてギターがうますぎるので、今度こそCD買ってコピーして練習しようと思います。
▼そして出張でフード販売をやっていた春日井のcafe CAWAのトマト煮込み肉ダンゴ&カレー味ちくわ串が、いずれも見た目の予想の上限を3倍上回るウマさで、一人静かに驚愕。去年知多半島でやったフェス「コダマ」でも屋台のカレーを食べて、更にログメンのライブでお世話になったことがある(その時も何かの丼を食べた)お店ですが、自転車圏内だったら絶対通うクオリティ。と思ったら11月はじめから2ヶ月の長期休業だそうで…再開したら皆さんぜひ訪れてみてください。
最終的に何食わぬ感じで打ち上げまで混じって、名古屋随一のナイーブ&イノセント&スカムMC・HADAさんの困りごとにみんなでツッコんだりして遅くに帰宅。充実した。
ANTHONY MOORE「MORE」

本日のレビュー:ANTHONY MOORE「MORE」

カンタベリーが誇る謎めいた唄心集団・SLAPP HAPPYの一角、アンソニー・ムーア。デイヴィッド・カニンガムと共同でTHIS HEATの1stのプロデュースもやってる人です。HENRY COWとの合体プロジェクトに興じるうちにダグマー・クラウゼとピーター・ブレグヴァドがART BEARSの活動に引き抜かれ、一人残って77年に制作したアルバム(しかし客演にピーター・ブレグヴァドほかケヴィン・エアーズ、POLICE以前のアンディ・サマーズなども参加)ですが、プレスまで完了しながら、パンクムーヴメントに衝撃を受けたムーアが自らお蔵入りにしたといういわくつきの盤。
内容は、SLAPP HAPPYの「エキセントリックと受け取っていいのかどうか超微妙な、どこか悪意の隠れた牧歌ポップス」の濃縮形。「ワンフレーズの中で2拍分伸びる音の位置を、繰り返しごとに順列組み合わせで移動させるけど一度も変拍子にならない」という非常にわかりづらい実験を含むリフがまず飛んでくる冒頭曲から、その脱力した意気込みのほどが伝わります。歌はさして上手いわけではなく、なんだかいい曲っぽいアレンジを次々選択するのだけど情感がまったく板につかず。この作品を前にはてなマークを繰り出すリスナーを、中の人としてではなく50mくらい離れた背後からニヤニヤ見ているような、微妙ポップスの極み。プログレ/カンタベリー/R.I.O.界隈の作品だからといって、形質的な実験性(変則アレンジとか変拍子とか)を求めてこれに手を出してもまったく無意味です。ピーター・ゲイブリエルのソロ初期と同枠か、しれっとノーウェイヴ化したTHE VELVET UNDERGROUND、全然しっぽを出さないソフトロック版ザッパなどとでも思って、よく噛み締めてお聴きください。