SCSIDNIKUFESIN

31 Aug, 2011

▼自分ごとではない個人的な仕事が重なって沈黙がちな今月でした。月末なので記念に更新。最近の収穫はこの前の土曜に用あって行った名駅で立ち寄った69にてFIREBIRD「FIREBIRD」「NO.3」、ANNIHILATOR「KING OF THE KILL」。安かった。ちょっと好きなアーティストのMUSIC FOR NATIONS(※閉鎖済み)盤を見かけると無条件で「今が買い時」モードになってしまう癖をどうにかしたい、とは思わなくて今後も受け入れていきたい考えです。最近は背ラベルのCDMFNていう文字の並びを見るだけで鼓動が速まってると思います。
FIREBIRD「NO.3」

本日のレビュー:FIREBIRD「NO.3」

FIREBIRDは英国の元祖ゴアグラインダーにしてメロディックデスのパイオニアにもなった絶対的デスメタルレジェンド・CARCASSのギタリスト、ビル・スティアーによるトリオバンドです。このジャケ、デイヴィッド・パホのソロか何かみたいな雰囲気してますがリリースはちゃんとドイツのSPV。内容は、MOUNTAIN直系の豪快なブルーズロック。線は細いが感じは出ているクリーン声ヴォーカルで、そうと言われなきゃ元デスメタラーという出自はほぼ誰も推測できないと思います。
こういうケースはメタル界でよくあります。元々がかなり空気の読めたクールなバンド(またはそうでもないバンドの中での個人的貢献)をやっていた人が、のちのち全然メタルではなくなってしまうケース。おお大胆!の次に、実際面白いのか?という疑問が当然出てくるわけでして、ケヴィン・ムーア(DREAM THEATER→CHROMA KEY)みたいな成功パターンに収まってくれれば万々歳なのですが、当然ダメな例はいくらでも。
このFIREBIRDはといえば、曲に新鮮味はないものの、グルーヴやアンサンブルはやはり相当オトナで、「曲云々よりとりあえず乗っかってみる音楽」としては充分秀逸。更にCARCASSファンとしての嗅覚を働かせると、シンプル&ソリッドでちょっとボテボテするくらいのグルーヴに向かっていったラスト作「SWANSONG」が完全に武装解除された姿を、この中に見ることができると思います。そして常に地面の土にズリズリ擦るような重心の低さに、むくっとサチュレートしがちな低音域と、往時の面影に胸が熱くなります。昔の姿を知らずしてこの作品単体に興奮することはないとも思いますが、なんだか「素直になれておめでとう」という感慨まじりの清々しいアルファ波を発生させてくれるような一枚。こんな形で現役中の現役でいてくれるということに凄くインスパイアされます。
ちなみにCARCASSファンはジェフ・ウォーカーがやっていたBLACKSTARのチェックもお忘れなく。