日記本文からの続きで、今までまったく侮っていたシリーズです。ご存知BON JOVIが85年にリリースした2nd。1stはいわずと知れた"Runaway(夜明けのランナウェイ)"やその他いかにもアーリー80'sな赤面度120%のイモイモメロハーチューンぞろいで、3rdはBON JOVIの代名詞"Livin' On A Prayer"や椿鬼奴でお馴染み"You Give Love A Bad Name"があり、間に挟まれたこのアルバムはというと、いち早く自分達に目をつけて支持してくれた日本のファンに贈る"Tokyo Road"(しかし「大した曲ではない」ともっぱらの世間の声)が有名なくらいで、94年に発売されたベスト盤にもこのアルバムからは冒頭曲"In And Out Of Love"のみ(日本盤は件の"Tokyo Road"も)しか収録されていないという、完全な「過渡期の1枚」的扱いの作品です。だがしかし...2曲目"Price Of Love"・3曲目"Only Lonely"と畳み掛ける激泣き2曲の振れ幅たるや、イギリスのこの手のシケシケマイナーバンドの如し(だからヒットしなかったのかも)。1stよりは多少大人で、3rdほど化調的な隙のなさもないという塩梅が何ともいい心地です。初期の面影を残すもさもさしたシンセが泣かせるバラード"Silent Night"、またもSHYさながらのドロドロチューンが続く後半~終盤の流れなど、何もこの手の無名バンドを掘り返して散財することもないという問答無用の名曲群がここにありました。いわゆるBON JOVIのパブリックイメージ(が何かもはっきりしませんが)とは若干ズレがある気がしますが、良質な赤面メロハーバンドとしてBON JOVIを満喫するには頂点に来るであろう1枚。ジョンのボーカルにしても、年々顕在化するいやらしい低音域のひねりも目立たないし、今まで「特定の曲の刷り込みを受けていて手放せないだけで別に特別好きじゃない」と思い続けたりしてごめんジョン、嗚呼。