この前運よく315円で買えた、未だ謎多き覆面ギタリスト、バケットヘッドの94年作です。割と初期ですね。プロデュースはビル・ラズウェル(MATERIAL)、ベースになぜかブーツィ・コリンズ(JBズ!)が全面参加。内容的には、ハードロックギターを対象化しきったのを吊るし上げて弄ぶような、MELVINSやTRANS AMに近い内なる狂気ときついジョークを感じさせるインスト。インストといえど喋りやSEをふんだんに挟むので、ひとけはあるようなないような。ファンクとの邂逅はただ単にハネるリズムを導入するなどの安易なやり方ではなく、ミョンと鳴るエンヴェロープフィルターの感じだとか、ニオイを感じさせる部分だけをうまーく楽曲性の内側に潜り込ませています。パッと聴くと変拍子だ何だと激烈なバカをやっているわけではなくて、とにかくさまざまなコンテクストをブッた切っては変なアングルから晒し者にするという感じ(伝えづらい)。80年代ザッパ的な楽しみ方が向くかも知れないし、「メタルはよく知らないがDEAD CHILDは楽しめた」というインディロッカーにもお勧めかもしれないです。ちなみにシュレッドの腕前のほうは、本気で凄いSHRAPNEL系の人達に比べれば正面突破の力技って感じですが、ライブ動画を見ると相当ヤル模様。それよりも「そんな飛んで来かたするとは思ってなかった!」とビックリするような人を食ったところがあり、インパクトやショックを自在にコントロールするセンスが卓越しています。そのあたりはある意味SYSTEM OF A DOWN的。常にフルスロットルではいかずテクを無駄遣いしない、ヌーノ・ベッテンコートのような匙加減であることです。