SCSIDNIKUFESIN

13 Sep, 2010

▼予告どおり昨日は学会でアメリカから一時帰国する大学時代のサークルの先輩の歓迎飲みで名駅方面へ。たまにしか行かない名駅なのでもちろん早めに出て12日の収穫、駅裏の69にてGARY MOORE「BACK ON THE STREETS」。妙に偏った品揃えと安さが魅力の店です。たまに近くを通るときには必ず寄りたい。
で物色後、中途半端に時間があいたので、そのまま自転車で10分強の距離にある実家へ。普段は姉夫婦+子供が来ているところにヨメさんと一緒に帰るばかりなのですが、珍しくフラッと一人で両親しかいない実家に行くというのもなかなか良いものでした。「これから飲み会なんだけど、時間があるから」と一報入れて行ったものの、予想通り果物とかゼリーとかが出てきて、これぞ実家...と噛み締めながらシメのパピコまでおいしくいただいて小一時間の滞在おわり。充実。
んで夜の本編はひさびさの先輩がゾロゾロ現れて大変良い時間だったなー。「現在の日常ではないけど、以前は散々その中にいて、ある時点までの自分に至らしめたその空気」に久し振りに振れるのは、何だかいろいろと補正される心地です。下級生ポジションを満喫、胃も満タンにしてちょっと苦しくなりながらの帰宅。日記は昼にアップしてあったので風呂入ってそのまま奇跡の24時台就寝。良い週末でした。
GARY MOORE「BACK ON THE STREETS」

本日のレビュー:GARY MOORE「BACK ON THE STREETS」

ルックスはマシュマロマン(ゴーストバスターズ)。ハードロックというにもどうもオヤジっぽくてノリの重厚さがなく、優秀なAORチューンを放つときもあるけど演ってる本人がマシュマロマンじゃなあ...と、80年代のソロワークにはあまり入り込めずじまいのゲイリー・ムーアです。これはTHIN LIZZYに出たり入ったりしている頃(78年録音)の作品なので安心して買いました。何よりフィル・ライノットとの共演曲"Parisienne Walkways"のスタジオ版が入っているし。プロデュースはクリス・タンガリーディス。
のっけからただの高速ペンタごり押しが和みアイリッシュに聴こえる独特のマジック炸裂でよい感じ。2曲目でいきなり、THIN LIZZYでは軽快なシャッフルチューンだった"Don't Believe A Word"をお湿りブルーズバージョンで、しかもフィル・ライノットとデュエットで披露するので驚いた。もう一発フィルのペンによる"Fanatical Fascists"があり、これはTHIN LIZZYのビートパンク風の側面をモロに思わせる出来。ここまででもうTHIN LIZZYファンは買わないといけないですね。おまけにブライアン・ダウニーも8曲中4曲で叩いてます。かと思えば続く2曲はSPECTRUM~ジェフ・ベックを嬉々として再現するインスト。元COLOSSEUM IIの肩書きがなかったら恥知らず呼ばわりされても仕方ないモロ具合ながら、ドン・エイリーとサイモン・フィリップスを従えての熱演にはやはりエキサイト。結局どうしたいんだと思って更に進むと、グレン・ヒューズというかTRAPEEZEの"Coast To Coast"にしか聴こえないソウルAORチューン(でもギターソロは"Sarah")、再びビヨビヨしたシンセが踊るジェフ・ベックよぎり系えせファンクフュージョン風インストときて、ミュージシャンシップが満たされればポリシーも何もないのか...と匙を投げかけたところでスッと切り込むラストの"パリの散歩道"。「泣き」とは何ですか、と尋ねられたときにこれさえ聴かせれば誰でも納得するであろう、ハードロック史の中でもモニュメンタルな名曲です。再びフィルとのデュエット曲で、その後ゲイリー・ムーア単体でのライブテイクなども発表されていますが、PRETTY MAIDSがカヴァーした"Please Don't Leave Me"同様、フィル入りのオリジナルバージョンはべたついた詩情もサラッとなる感じがありますね。遠い思い出のように淡々としかし深々と語りきる度量はさすが。1コーラス目と2コーラス目の間のマンドリン風のトレモロがまた泣けます。
ということで、プレイヤーとしてのゲイリー・ムーアに心酔する向きにはまた別の聴き方があるとは思いますが、いち音楽作品としてはいろいろと不純なところが多い、しかしラストですべてが水に流れるというズルイ1枚でした。繰り返しになりますがTHIN LIZZYファンであればチェック必須。たびたびリイシューされながらもちょっとレアになってるようですね。レトロなMCA盤でゲットできたので良かった。