ファミリーネームのスペリングがこんなんだったとは意外なフュージョンギタリスト、リー・リトナーの77年作。世間では代表作扱いのようで、のちに一緒にFOURPLAYを結成するハーヴィー・メイスンやTOTOのジェフ・ポーカロも参加してます。作風は、代表作といわれるだけあって当時のフュージョンのパブリックイメージそのまま。RETURN TO FOREVER、DIXIE DREGS、SPECTRUMなどを思わせるなかなかのアグレッシブぶり。この進歩的なコード使いと下世話なスリル(ドラムだけはかなり攻めまくり)のバランスが、ここ最近ちょうど欲している感じです。ひどいリバーブ病もなくソリッドで小気味よいサウンドプロダクションにまとまっているのもいい。メインテーマその他の印象的なパートはたいていギターが担うものの、総じてギタリストのリーダーアルバムという印象はさほど強すぎず、アンサンブル全体でイメージを提案してくる感じです。一歩引いているというより、全員充実している。基本的に全編インストの中、5曲目でスティーヴィー・ワンダーの"Isn't She Lovely"を歌入りでやっています。シンガーは80年代以降CHICAGOに加入するビル・チャンプリン。一般リスナーの集中力が切れるかというタイミングでこういうのを投入して、全7曲でスパッと完結という流れも大変親切といえます。これはなかなかいいもの買いました。
着信した瞬間「わああぁあぁぁ…」と。DEMETRIO STRATOS "O Tziteras O Mitzeras"
1:32くらいから始まります。両者とも、一応いつでも選択可能なようにデータフォルダにストックされています。最終的に音声着信はTBSドラマ「誰にも言えない」で麻利夫(佐野史郎)がよく流していたスティールパンの曲(BRUTE FORCE STEELBAND OF ANTIGUAの"Say Si Si"、カスタムオーダーCD-Rでのみ入手可能なブツ!!)に落ち着きました。Eメール・Cメールもそれぞれ仕込み有り。そのスティールパンの曲の動画がないかなと思って探してみたら、はからずも「誰にも言えない」の名シーンが!
▼本日の収穫、バーゲン初日のサウンドベイ金山にてMAGMA「EMEHNTEHTT-RE」、BARON ROJO「LARGA VIDA AL ROCK AND ROLL」、SIR LORD BALTIMORE「KINGDOM COME / SIR LORD BALTIMORE」、TESLA「FOREVER MORE」、以下100〜300円でSTEVE VAI「ALIEN LOVE SECRETS」、BOSTON「WALK ON」、PLATYPUS「WHEN PUS COMES TO SHOVE」、AEROSMITH「LIVIN' ON THE EDGE」(シングル)。それと計画的に居合わせた友人M田君に保護してもらってあったSEPULTURA「NATION」(ボーナス入りデジパック)、BERNIE MARSDEN「LOOK AT ME NOW」。
▼好収穫をかかえてそのままちょっとひさびさの鶴舞ラディッシュで昼食。ランチはハンバーグとプレーンオムレツのカレーソース。相変わらず何を食べても外したことはないです。調子にのって小倉トーストも追加、今日はバター具合が最適でバランスよかった!しかし外食全般で利用客が減っているとtwitter上でも見かけていましたが、いつも満席・待ち有りの繁盛ぶりなのに今日はどことなく余裕がある感じでした。無意味な共倒れはいかん。▼その後練習を経て、ひさしぶりのDOIMOIライブ。何がよかったのか分からないけど演奏しながら「こーりゃ、いいな」という実感が得られたライブでした(ただし「これはひどい」と思いながらやった演奏をホメられたりするので、クオリティには無関係だったと思います)。お客さんも大勢来てくれたし楽しかったなー。THE CAVITYはTHE GET UP KIDSみたいなスタイルに変則展開を加えたようなこだわり派エモ。3年振りくらいに見た6EYESが、同じ土俵にあがるのが申し訳ないくらいかっこよかった…。土屋さんのカリスマ度は、この人がカリスマなのはもうしょうがないよね。というレベルの説得力。CONVEX LEVELは出所不明な音楽性がいつまでも古びなそうな今日性をもつ、超ユニークな存在感のバンドでした。DISMEMBERMENT PLANや31KNOTS的とも思えるトリックが仕込まれた屈折チューンの応酬。大いに楽しんで、サクッと片付けて帰宅。今日も新しい天変地異はなかったことを知って安心。いつものABSENTEEで月曜に何やらチャリティーイベントが企画されているとのことで、これから仕込みをします。
本日のレビュー:BOSTON「WALK ON」
全国どこのブックオフでも見かけるこのアルバム、駄盤だと思っていませんか??とんでもない!BOSTONは由緒正しいUS産業ロック界のジャイアントです。2ndと3rdの間が8年空いて、そこから更に8年を挟んでの4thが本作。作曲からエンジニアリングまで全てをギタリストのトム・ショルツが掌握していて、ブックレットにはヴォーカル録りに使ったマイクやノイズゲートの機種名、更には「ハンドクラップは生身の人間によるもの。リズムマシンじゃない」「ピアノは本物のピアノ。サンプラーじゃない」などなどご丁寧に記されています。トムさんあんた、シールドも書いてほしかったな。やっぱりアメリカのスタジオはBELDEN8412なのか。端子はNEUTRIKかいな。さておき内容は、超前向きキラキラ産業ロックそのもの。代表作1st・2ndの頃は実はメロディアス度はその後に比べるとまだ地味めでしたが、ここではプログレハードに近いスケール感とともに、意気揚々とした赤面ヴァイブスが大量発生しています。ドン・ヘンリーやTHE STORM〜TWO FIRESにも匹敵。フワ〜ッと取り囲むシンセとコーラス、よく練られた展開と、仕上がりはほぼ完璧なのですが、なぜこの盤がそんなに安値の中古で出回っているか?というと、たぶんアルバム中盤に入っている"Walk On Medley"のせいじゃないでしょうか。日本のFMリスナーには馴染まないハードブギーの組曲?がインスト部分多めで4〜7曲目を陣取るというこの冒険ぶり。これを7〜10曲目に移動させておけば名盤度上がったんじゃないのかなと思います。
この前運よく315円で買えた、未だ謎多き覆面ギタリスト、バケットヘッドの94年作です。割と初期ですね。プロデュースはビル・ラズウェル(MATERIAL)、ベースになぜかブーツィ・コリンズ(JBズ!)が全面参加。内容的には、ハードロックギターを対象化しきったのを吊るし上げて弄ぶような、MELVINSやTRANS AMに近い内なる狂気ときついジョークを感じさせるインスト。インストといえど喋りやSEをふんだんに挟むので、ひとけはあるようなないような。ファンクとの邂逅はただ単にハネるリズムを導入するなどの安易なやり方ではなく、ミョンと鳴るエンヴェロープフィルターの感じだとか、ニオイを感じさせる部分だけをうまーく楽曲性の内側に潜り込ませています。パッと聴くと変拍子だ何だと激烈なバカをやっているわけではなくて、とにかくさまざまなコンテクストをブッた切っては変なアングルから晒し者にするという感じ(伝えづらい)。80年代ザッパ的な楽しみ方が向くかも知れないし、「メタルはよく知らないがDEAD CHILDは楽しめた」というインディロッカーにもお勧めかもしれないです。ちなみにシュレッドの腕前のほうは、本気で凄いSHRAPNEL系の人達に比べれば正面突破の力技って感じですが、ライブ動画を見ると相当ヤル模様。それよりも「そんな飛んで来かたするとは思ってなかった!」とビックリするような人を食ったところがあり、インパクトやショックを自在にコントロールするセンスが卓越しています。そのあたりはある意味SYSTEM OF A DOWN的。常にフルスロットルではいかずテクを無駄遣いしない、ヌーノ・ベッテンコートのような匙加減であることです。
この曲名はガーシュウィンのスタンダード"Rhapsody In Blue"の逆で"Adolescence In Red"の意だそうです。アーティストから被災した日本人に向けて…と贈られる曲がほとんどシットリ優しい曲調のものばかりですが、再起にむけて意欲のたぎるようなオラオラ系のやつが、もう少ししたら出てきてもいいじゃないかと思っています。
と昨晩書きました。以下がその居間で書いてあった分です。一部重複する事項もそのままお届けします。
▼名古屋は今日も穏やかな晴天。こもってばかりいても何なので外出しました。
▼まずは歪みエフェクター試奏の旅の続き。先週はCATALINBREAD「DIRTY LITTLE SECRETS」を試しましたが、今日はZ-VEXの「DISTORTRON」、LOVEPEDALの「PROVALVE2」。
DISTORTRONは、Z-VEX初のまともな歪みペダルとしてヒットした「BOX OF ROCK」のブースト機能をレベル固定のスイッチ化して、低域を2段階カットできるようにしたもの。快いざらつきでクランチサウンドとしては良質でしたが、ブリッジミュートで低音弦をズンとやるとやはりハイゲインペダルのようなクリアさや気持ちよく尾を引く感じは保たれず、用途違い。価格は手頃。PROVALVE2は恐ろしく頑固なペダルで、アンプライクながら相当極悪な歪みが鳴る、それだけ。ゲイン0にしてもDISTORTRONより歪んだ状態で、手元のボリュームを絞らない限りクランチサウンドすら出ません。A・Bのチャンネル切り替えができるものの、キャラクターは完全に同じ。並みのディストーションペダルのツマミの目盛りでいえば8から11までくらいのレンジしか持たず、この切り替えができる意味が全然わかりません。FULLTONEの「FULLDRIVE」あたりと同じく「他のことはできないが限られた仕事は完璧にやる」というタイプで、しかもMXRの「FULLBORE METAL」みたいにデスメタル以外無理なゲショゲショ系とも違います。それなりのハイゲインを必要としていて、音決めに迷いたくない人には、けっこうお勧めです。ベストな組み合わせのアンプがあれば一生使える。どちらのペダルも、現在メインで使用中のMI AUDIO「TUBE ZONE」を持参して、並列につながせてもらって比べながらの試奏でしたが(ドロップDの開放パワーコード以外ほぼ弾いてない)、結局いまの用途におけるTUBE ZONEの強力さと万能さを思い知るばかりでした。数年前の自分、いい買い物したよ。
▼その足でグレイテストヒッツ大須に向かい本日の収穫、2階バーゲンコーナーにてBUCKETHEAD「GIANT ROBOT」、DEFTONES「DEFTONES」(2003年)、GRIP INC.「POWER OF INNER STRENGTH」(デイヴ・ロンバード/ex.SLAYER+ウォルデマー・ゾリクタ/ex.DESPAIR!外盤買い替え)。すべて315円でこれはいい買い物でした。グレヒ2階は時々急に潤いますね。▼来週末はサウンドベイバーゲンのちDOIMOIライブの予定。中部経済を盛り上げていきますから皆さん奮ってお越しください!
▼以上が昨日の晩に書いてあった内容でした。嗜好品へのカジュアルな散財と電力消費を誘発するCDレビューはもう少しお休み。(エフェクター評は、検討に入っている人ならば購入に踏み切る確度が高いと思われるので、人助けとしての情報提供。)しばらくはスッと楽しめるYoutube動画のみでいきます。今日はラジオから流れてきて和んだDAVID LEE ROTH"Just A Gigolo"。曲本編は1分35秒くらいから始まります。
▼元GENESISのフィル・コリンズ(60)が音楽界からの引退を表明したそうです。理由は父親業に専念するため。何だかな〜、と思うものの、40年も現役として活動していたことにむしろ驚き賞賛すべきかも知れんですね。GENESISおよびフィル・コリンズはまだ私が小学生だったころ、TM NETWORKの木根尚登がゲスト出演していたのをきっかけに聴き始めたAMラジオのリクエスト番組で、"No Son Of Mine"(「WE CAN'T DANCE」収録)や"Another Day In Paradise"がよく流れていて好きになったという因縁深い存在だったりします。あとの4人とアンソニー・フィリップス、幻の3代目シンガーのレイ・ウィルソンはどうしているかなー。
本日のレビュー:GENESIS「WE CAN'T DANCE」
日記本文からの流れでGENESISです。プログレ時代の名盤の数々(「DUKE」まで)は各々コンプリートしていただくとして、今やわざわざ誰も勧めないであろうこの91年作を。簡単にGENESISの歴史をまとめておきますと、極初期は牧歌的なフォークスタイルで、すぐに大作志向プログレに転じ、英国プログレ5大バンドのひとつに数えられる(「四天王」の場合は除外される)。品があってシンフォニックで根がポップな作曲およびアンサンブルは、YESの系譜に収まるようでいて似て非なるもの。暴走キャラのピーター・ゲイブリエル(Vo.)の脱退後はドラマーであったフィル・コリンズがヴォーカルを兼任。しばらくはプログレっぽい作風を維持したものの、ギタリストのスティーヴ・ハケットも脱退するといよいよコンパクトな大衆ポップスへ本格転向。とほぼ同時にフィル・コリンズはソロ活動も並行して始めて成功を収める。GENESIS本体では今「とくダネ!」のテーマ曲にもなっている"Invisible Touch"(86年)でビッグヒットを記録し、その次がこのアルバムです。ポップ化以降は基本的に、明るめで肩パット盛りまくりテイストなアレンジが幅を利かせていたのですが、時代も暗くなった91年にリリースされたこのアルバムでは、どことなく重苦しさや内省的な雰囲気を漂わす曲が増えています。超シリアスな冒頭曲"No Son Of Mine"然り、FISH脱退後のMARILLIONの空気に通じなくもない場面も。と同時に、もっぱらバラードがウケるフィル・コリンズのソロ活動からのフィードバックも当然あり、そういう曲は本当にただの耳あたりがいいAOR状態。アルバム総体としては二世帯住宅的な様相です。
後者のほうは特に深く説明するべき点はないのですが、前者のほうが、決してプログレ時代を彷彿とさせるとまでは言えないまでも「80年代のチャラチャラ路線とはちょっと違う」と特筆しておきたいくらいの濃さはあります。おそらくトニー・バンクスによるものと思われる、短い尺のあいだでも豊かなストーリー性を感じさせるコード展開がとにかく効いている。よくあるソウル/ファンクの流れのおしゃれコードとはまったく異質なので、目立たないけど実はけっこう新鮮。個人的にGENESISの魅力はここに尽きます。10分を超すラストの曲(激展開はなくただただ悠長なだけでこの長さ)では、"Cinema Show"みたいな長いキーボードソロもひさびさに聴けます。GENESIS免疫がない人には難しいかも知れないけど、好きなアルバム。
新旧ジャズへの興味が高かった頃、友人の勧めでマークしていたFLESH SOUND NEW TALENTというレーベルからの1枚です。買った頃もよく聴きました。NY界隈の若手〜中堅が集まった、リーダーがピアノのカルテットの05年作。近頃の好みはめっきり、何枚めくっても刑事ものドラマのエンディングみたいな気取った新主流派は全然好きじゃなくて、ベタベタなハードバップもブルーズ同様にプレイヤーへの思い入れや造詣がないと深く楽しめないし、フリージャズについていこうとする精神状態じゃなくなったし、結局は心地よく出来上がったウエストコーストものやフュージョンで充分満たされるじゃないかという浅〜いところで決着がついているのですが、この盤はそんな嗜好にプラスαでガッチリはまってくれます。きわどくも美麗なコードワーク、うっうっと引っ掛かるようでいてスッと通りのよくなるその後の展開との対比に華を添えるにとどまる変拍子キメ、ピアノ主体のクリーンな響きのアンサンブルにソプラノばりのカロヤカさで絡むテナーサックスなどなど、快適さを壊ないように仕込まれる数々の聴き応えポイントというバランス感が最高。しかもその双方ともにしこたま上質。スムースのひと言では決して片付かないが、ただスムースというだけってことにしてもこの際いいじゃないかと思えるほどの聴感を誇ります。こういう、日常聴き可能な性質と、その気になればどれだけでも深く聴き込める奥行きを併せ持つ作品にもっぱらあこがれるこの頃です。
6 Mar, 2011
▼昨日午後は、近頃高まる一方のエフェクタ熱を妄想から現実に近づけるべく、市内の楽器屋を巡って試奏の旅に出てきました。先月の日記に登場したCATALINBREADの「DIRTY LITTLE SECRETS」も現物を試せて満足。物凄く信用できるクオリティでしたが、音色のコントロールがTONEしかないのはやはり不安で、血迷って即購入、という展開にはならず。名古屋でWAMPLERのペダル置いてるお店はないでしょうね、SUPERがつかないPLEXTORTIONを猛烈に試したい。
▼この日は朝、なぜか実家の夢を見て目が覚めたのでちょっと寄ろうと思ったけど、行っても夕飯を準備してるだけの時間帯になりそうだったので見送って、女子大らけいこにて汁抜き+生卵。ノーマルの汁ありより良かった。▼で夜はまたSTIFF SLACK横ABSENTEEにて、常連のバンドマンに無理やりソロパフォーマンスをやらせる企画第2弾でDOIMOI篠田君(B.)が出ることになっていたので見物に。玉置浩二のディテール再現がやはり抜群。a million miles田島君のアコギも非常にガチで、練習意欲再燃。終了後にいつもの飛び入りで、べしゃりと歌まねとヴォイパが業務レベルのクオリティを誇る大学のサークルの後輩・リョウヘイ君と2時間くらい、歌と演奏を挟みつつの鍋トーク垂れ流しみたいなので延々散らかして24時に帰宅。当人達は凄く楽しかったですが大丈夫だったでしょうか。
▼明くる本日6日の収穫、栄ミュージックファーストにて801「LIVE」、DEATH「LEPROSY」。昨日の試奏の旅で唯一行かなかったロッキン(※ローカル楽器屋の名前)を訪ねようと桜通り沿いを走って向かったら、あったはずの場所がローソンに。無くなったか、とがっかりしてミュージックファーストに行ったわけですけども、今さっき検索して調べたら、そういえば若宮大通り沿いにできてた楽器屋がロッキンなんでした(移転していた)…己の深刻な節穴ぶりに絶望。写真を見る限りエフェクタは最大級の品揃えであるっぽいので期待しつつ近々行ってきます。