03 アルバムの仕上がり
- 福
いやー本当に音源完成して良かったです。
(現物を手に取りながら)しかも紙ジャケ!紙ジャケいいなぁ〜高いんだよなぁ〜。
うわーこれいいなーステッカーも貼ってあるしなー。 - 杉 プレスに出した時はまだどこで流通するか決めてなくて、オビもプレス代に込みじゃなかったから、ステッカーはバーコードのっける用にあとづけで。
- 福 じゃあこれ手で貼ったんですか?内職してますねぇ〜。イラストは?
- 杉 イラストはわたくしです。
- 福 ほんとこういうのが一つのマルチプレイヤーの要素ですよね。
- 星 あ、そこ(註:ディスクを固定する透明トレー下)歌詞カードになってるから。
- 福
あ!ほんとだ!やっと歌詞が読めるわけだ(笑)
やっぱり全部、「ツインピークス」? - 杉 雰囲気だけで、別に具体的にちなんでない曲もあるけど、ちなんでる他の曲にも馴染むようにはなってる。
- 星 そのジャケットを作ってる時、ちょうど25年ぶりのシーズン3が放映されてて、杉山君の中で絶頂期だったからそれはもう、入れたい要素が満載(笑)
- 杉 毎週有頂天の喜びで、一週間が短すぎたなぁ。見終わった後、フォーラムや、ファンが作るWikiみたいなのを見て解釈を確認したりして、もうめちゃくちゃ楽しかったね。
- 星 杉山君っていう存在にツインピークスとの出会いがあったことが、今回の音源が出来上がった最大の要因かも。何かネタになるものを与えたら、鬼に金棒みたいなとこある。
- 杉 そう、何か作るときは、発想の部分をなんとかするのに一番時間がかかる。「これを頼りにすればいい」というものがあれば、形にする部分ではわりと頑張って何とかなる。
- 福 そうなったら迷いは無い感じなんですね。曲を聴いてると迷いがないなーって思うんです。実際は迷ってるんですか?
- 杉 どうだろう。ログメンの曲は割とどれもはっきりしたひとネタがあって、それさえ表現できたら、あとはどうきれいに着地させようとか悩まずに完成に至ることが多いかな。DOIMOIみたいに明らかな歌物だと、なんやかんやで最後「ご馳走さまでした」って感じで終わらなきゃいけない感じだけど。ログメンはハナから破綻したようなパートが間に入ってたりするし、どう着地してもいいかって。
- 福 なるほどね。それはツインピークスと通ずるものがあると。
- 杉 そうそうそう、ある程度困らせる、何かな、迷惑アートみたいな。メタル界にもそういう変わったバンドがいくつかあって、その辺からの精神性を受け継いでいたりする。
- 星 福沢君、一番好きな曲ってある?
- 福 ベタですけど“ルームサービス”ですね。何でかっていうと、“ネイティブアメリカンの友人”みたいな、ちょっとえぐいって言うか、玄人寄りで凝ってる感じのところから、この曲がドンってくると、凄くスカッとするんですよね。だって4拍子でずっと行くし。その感じがもうすごくいい。何か我慢した甲斐があったかなっていう。言い方ちょっと悪いですけど(笑)
- 杉 まあ、まあ分かります(笑)
- 福 曲順もいい感じですよね。“ネイティブ~”で始まるのも、すごい「らしい」なって感じだし。一番「ログメンです」っていうのがこの曲だし…
- 星 福沢君にとっては永遠の(笑)
- 福 そう、ログメンと言えばみたいな(笑)
04 続・哲学、「謎のまんじゅう工場」
- 星 杉山君、ご飯足りてる?
- 杉 うん。食べ過ぎないように家でちょっと食べてきたって言ってたのにね。結局残り物全部さらえてて、そのうえ足りてるかどうか気遣わせてるっていう。
- 星 いやいや、担当パートだから。
- 杉 担当パートがコストパフォーマンス?
- 福 コストパフォーマンスっていうパート?(笑)いいですねそれ、それを以ってパフォーマーとするって。
- 星 コストパフォーマー(笑)
- 杉 もう最近パフォーマンスの域に達してるんだなって。(笑)
- ki
練習中にみんなでご飯を買いに行ったりする時の、杉山さんの目利きが凄すぎてちょっと面白いんですよ。(註:ログメンとkiiiu氏との共同レコ発での合同編成の練習中のこと)
昨日の練習の休憩でパン屋さんに行って、「どれでも3つで何百円」みたいな閉店間際セールをやってて、杉山さんがいち早く「じゃあこれを2セット買えば3個x2で一人2つずつ、いい感じで分けられる」とか「単品で300円以上するやつは2個としてカウントするって書いてあるから、ぎりぎり300円しないぐらいのを買えばお得」とか、それをお店で延々やってるんですよ(笑) - 星 それがコストパフォーマンスですから!大丈夫!でもこれをインタビューに残すのはどうなんだろう(笑)
- 杉 掲載するか否かは、編集者の判断で…
- 星 絶対に載せるけどね。
- 杉 今池に中古CD屋の「ピーカンファッジ」あるじゃないですか、高校時代からよく行ってたんだけど、当時の小遣いだから、昼ご飯を何回か我慢すると800円のCDを1枚買える…っていう計算をいつもね。昼食代いくらか貰ってるのに、買うのはピザまん1個にして、それも2限後と3限後に半分ずつ食べちゃって、昼休みは空腹を忘れる為に部室(註:軽音楽部に所属)に行って練習するとか。その延長に今の人生が…
- 福 ほーすごいなぁ(笑)でもらしいって言えばらしいですね。感じるなあログメンを。
- 杉 ちっちゃく済むものは済ませて、詰め込める物はうまいこと最大限詰め込んでやろうみたいな?なるほど!
- 星
ほらぁー繋がっちゃった。繋がると切れなくなっちゃうじゃん(笑)
でもその後もログメンは、竹串から拡大化を続けたんだよ! - 杉 そう、あのすごい高級なかわいいシンセ(註:TEENAGE ENGINEERING OP-1)買ったりとか…
- 星 最近はだんだん物が増えて、もうギリギリ溢れそうなくらいに拡大して。それで杉山君と押し合いになってる。MicroKORGも杉山君の方のポータサウンド(PS-400)もちょっと板からはみ出た状態でやってるから。
- ki
ライブ中に落ちたりしてますもんね(笑)杉山さんの竹串が、叩いてるうちにどんどん回転してくのとかがえ、え、大丈夫大丈夫!?って、あのヒヤヒヤ感もすっごい面白い。
…ログメンは、例えば私が温泉旅行のチケットが当たって見知らぬ温泉街に行くんですよ。その旅館に着いて、お茶請けのお菓子が出てきて「これおいしいですね」って言ったら「じゃあ作ってる所に案内するよ」って言われて案内されるんですよ。旅館の横の普通の一軒家みたいな所に案内されて、「僕たちの作ってるまんじゅうおいしいですか!ありがとうございます!じゃあ作ってる所ちょっと見ます?」って言われて中に入ったら謎の大きい機械があって、作り始めるんですよ。この位の生地があるから、じゃあ一回動かすと生地を全部まんじゅうにしなきゃいけないからって、すごい丁寧に作ってくれるんですよ。でも何かいろんな所から水やらなんやらバーッと出てきて何かすごいんですよ。わあ!って見てると何かすごい美味しそうな匂いがするし、でももう、二人の工場長がてんやわんやで作ってるんですよ。これおいしいでしょう!って言って試食させてくれたり。もうてんやわんや!でも出来上がってくるまんじゅうは素晴らしい訳ですよ。何というんですかね。だから… - 福 つまり?(笑)
- 星 そして「私何しにここに来たんだっけ?」てなると(笑)
- ki でもその光景を見るのはとてつもなく面白いんです!めちゃくちゃ爽快感がある。その作ってる様を見るのが。「これウチで作ったおまんじゅうです」って美しくパッケージされたまんじゅうも、家に帰って食べるとそれはそれでとても美味しい。
- 福 けど、思い出されるのはてんやわんやだ。
- ki そう、思い出されるし、あそこもう一回行って仕事してみたいなーなんて事も思う。
- 福 それが、ログメンです。
- 全員 (笑)
- ki でも二人はそこに住み込みとかじゃなくて、終わったらスーッと帰るんです。いい距離感がある(笑)
- 福 それ、漫画にしてよ。
- 星 ログ漫(笑)
- 杉 まんじゅうとバンドルで売り出す?
- 福 ログ饅とログ漫画で!
- 全員 (笑)
(つづく)