30 Jun, 2010
▼いろいろと準備に追われて上手いこと時間を使えてないここ最近。「客観的に妥当な優先順位」が「心の中の先にやりたい度」に打ち克つ良い方法とか、他にも何かと知りたいことだらけです。「おもいっきりDON!」で秀ちゃんが教えてくれないだろうか、などと呟くようになったらもう死んだほうがいい本当に。嗚呼。
▼CLIMB THE MINDが7/3に予定されていたライブ出演を急遽キャンセルとのことで、事の詳細が
オフィシャルブログに昨日発表になっていました。知る限り誰よりも大きく口を開けて歌う人なので、回復しても、曲のいいところで傷口が再びブチッ、ダラー…とならないか心配です(本当に)。しっかりオチをつける余裕があるところを見ると精神は元気そうでひと安心ですが、ともあれ一日も早い復帰を願いましょう。
本日のレビュー:PANTERA「THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL」
最近実家から持ち帰ってきた96年作。公称4作目(本当はメジャーデビュー前のキャリアがあるのでプラス何枚か)。硬質パワーメタルから「ブラックアルバム」感化型の90年代へヴィサウンドにコロッと転がり、そこから比類なきアグレッションをひたすら磨き上げていった彼らの恐らくもっとも凶悪な1枚です(2000年のラストアルバムはサザンロック的なオヤジノリが拡大してスラッジ方向への深化があった)。元々備えていたキャッチーさとエキセントリックなアプローチのバランスが最良だった「VULGAR〜」がやっぱり、「リピートできる名曲集」としては優秀で、以降、この手の音の旗手としてへヴィネスの最長不倒距離を究めんとするあまり、楽曲の耳に残る度は徐々に落ちていっていたという感想が、10ウン年経った今も変わりませんでした。だからといってつまらないアルバムということはなく、危ないものがビーンと飛んできて刺さるかのようなリフのひねりの特殊さは全く古びないどころか、未だに多くのバンドがここに追いつこうとしているような状態ともいえるでしょう。たとえば
NEVERMOREがリリースを重ねるごとに剥き出しにしてきているエクストリーム性もきっとここで聴ける音と無縁ではないはず。RELAPSEのポストHIGH ON FIRE一派みたいな若手たちも。ダレルすげーなと改めて感じ入るとともに、フィル・アンセルモの凄まじいレンジの広さと突き抜け具合にも改めて驚嘆。マイク・パットンでもこの男には永遠に勝てまいて。
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28 Jun, 2010
▼リニューアル効果なのか、今までずっと3位だったYahoo!JAPANでのDOIMOIオフィシャルサイトの表示順位がついに1位に。テーブル屋さんとはサイト公開以来の長い戦いでした…。管理者以外にはどうでもいい話。
▼昨日、居間で、今シーズン初のGを成敗。相変わらずG対策グッズのCMや製品の装丁は間違っているものが多い。少しでも生活からGを遠ざけたい人のための商品なのに、リアルにGを感じさせるような工夫を凝らして何の良い事があるのか。これからの殺G剤は写実的なイラストも何もないターコイズブルーとかの爽やかな入れ物で作ったらもっと売れるはず、と製薬会社各社にここで提言しておきます。
▼ワールドカップの中継もVTRもまだいっさい見ていない人間がここにいます。敢えて早起きしたり普段見ないニュースを見たりせず、自然体でいたら自ずとそうなりました。問題ないと思うんだけども。
只今のBGM:BEEKEEPER「OSTRICH」
IDAのカーラ嬢が在籍するバンドの98年のアルバム。リリースはSOUTHERN。いわゆる歌ものポストロックなわけですが、大量複製が容易な感じのよくある和みフレーズの類には手を出さず、勢いと圧縮率で押し通すこともせず、リズムを組み立てる引き出しの豊富さと一筋縄ではいかない妙な歌心とで楽しませてくれます。HENRY COWと合体中のSLAPP HAPPYが寝起きのテンションでルイヴィル化したような。丁寧で重みがあっていい。後期JUNE OF 44、SMART WENT CRAZYやOSWEGOあたりの枯れ系がお好きなら探す価値はあり。
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27 Jun, 2010
▼平日の昼間にやっていることと何ら変わらない土日の過ごし方をしてしまいました、というのはこちら。DOIMOIのサイトを大幅リニューアルしてます。ブログ風の佇まいをやめて(このページもブログではないのですよ、ときどきそう書かれるのですが)ついにまっとうな複数ページ構成になりました。目疲れたなー。
▼自転車で5分くらいのとこにあるインドカレー屋によく行きます。地元のR&B〜トランス歌謡みたいなのがいつも流れてるんですが、欧米人がエスニックになったつもりでわざわざやるそういうのとは一線を画すセンスと完成度ですごいなーと感服します。「エスニック」の部分に偽りがないのはもちろん、「R&B〜トランス風」の部分まで完璧に乗りこなしていて全くダサくないのが驚き。と思いつつ食べた今日のナンはパリパリ度が低めであった。継続的に通ったと言えるインドカレー屋が3店舗ばかりあるんですが、どこも行く度に微妙に塩加減や弾力具合が違う気がします。人によって出る差なのか、材料や気温その他に依存するものか、インドカレーに詳しい人教えてください。
本日のレビュー:MORTAL SIN「EVERY DOG HAS ITS DAY」
むかーし何気なく買ったら良かったオージースラッシャーの91年3rd。たぶん購入額300円とかでしたがきっと今やレア化してるのでしょう、なにせUNDER ONE FLAG。ディストリビューション元のMUSIC FOR NATIONSからしてとっくに消え去っているという…。
この人達はこれのひとつ前のアルバムも持ってまして、それは全曲"Creeping Death"の単純バージョンみたいな、中期TESTAMENTより更に芸のないナローレンジな自家中毒スラッシュだったのですが、ここではギターサウンドの極悪度が増すとともにM.O.D.〜EXODUSのようなスパスパッと畳み掛ける鋭角感を獲得。代用品はいくらでもある感じながら、なかなか小気味良いザクザクサウンドを聴かせてくれます。2曲目"Access Denied"はEXODUSでいうなら"Toxic Waltz"、VIO-LENCEなら"Officer Nice"に匹敵する名曲の域なんじゃないでしょうか。
検索してみたらmyspaceがあっさり見つかって、なんとニューアルバムをリリースして世界中のフェスにもバリバリ出まくっているようで。しかも最近の曲がけっこうかっこいい。なんか知らんが頑張ってもらいたいものです。
[myspace]
25 Jun, 2010
▼あと2週間になってしまいました。何やるんだろう!
- 7月9日 (Fri) 名古屋 新栄 PARLWR(パルル)
- パルルで遊ぼう企画 『この人のワンマンショーが観たい!!』 第四回「杉山明弘(DOIMOI」ワンマンショー
- 18:30開場 / 19:30開演(本人到着まで代理DJ)
- 料金 500円(1CD-R含む)
- ライヴイベント、カフェライヴ、ワ−クショップ、祭、その他諸々のイベントも飽きたらパルルで遊びましょう企画。
普段ライヴで観てるあのバンドのこの人に思う存分やってもらおうという内容です。演奏以外のものも可。普段感じている演奏への責任感を捨てて、自分が心底楽しめることをやってくださいというオファーで、チャ−ジも内容に応じてパフォーマ−に決めてもらいます。
これはある意味もっともリアルなライヴかもしれませんねえ。生き様見せましょ見届けましょう。【プロフィール】
自称カリフォルニア出身名古屋定住系ナードメタルバンド・DOIMOIのギタリスト/メインソングライター。1979年名古屋市生まれ。12〜13歳頃より、ヤングギター誌・BURRN!誌・MTVを頼りに音楽を学ぶ。DOIMOIのほかに元KDハポンPAの星裕久とのデュオ・ログメン、ソロ活動や音源制作のみのサイドワークも行う。またバンド活動開始以前よりCDレビューサイト「SCSIDNIKUFESIN」を運営し、現在は朝日新聞名古屋版夕刊文化欄でのライブ評(不定期)・フリーマガジン「SCHOP」でのディスクレビューなども執筆中。 【内容】
- DJ講演「20世紀HM/HRの体系俯瞰」「初期欧州デスメタルシーン深部における構造解体と無法のルネサンス」(※変更の可能性あり)
- もしかして何か演奏
Keiさん(Ett)の農園でとれた素材で提供されるゴハンが普通においしいので、そして多分当日の会場は寂しいので、皆さん来てくださいぃ。題目を変更しろという指令も受け付けます。
本日のレビュー:PRIMUS「SAILING THE SEA OF CHEESE」
ギターのラリー・ラロンドはPOSSESSEDという極悪スラッシュメタルバンド出身。ベースのレス・クレイプールもこの人と一緒にBLIND ILLUSIONという幻のテクニカルスラッシュメタルバンドをやっていた、というのはメタル界の外ではきっと知られざる話でしょう。どうりでギターのディストーションが必要以上に汚いはずです。ということで今日は91年作のこちらをおもむろに。これを初めて耳にした中学生当時は「変なベースがリーダーの変なファンクバンド」くらいしか言葉がなかったですが(それが一番端的という話もある)、結局のところエイドリアン・ブリューというかもっと言えば"Elephant Talk"の世界を狭いところで爆発させたみたいなバンドであることですね。シングルヒットとなった"Jerry Was A Race Car Driver"のメインリフしかり。しかし何か、とりあえず唖然とさせはするけどそのあと責任取らねーぞ、という無鉄砲な感じが90年代初期ですね。学習に学習を重ねて、どこに収まるか決めてから出てくる現代っ子とは圧倒的に違う。ちなみにこのドラマー、のちにex.TESTAMENT(今は出戻ったとか)のアレックス・スコルニックがやっていた冴えない実験インストファンクトリオ・ATTENTION DEFICITのメンバーになってたようです。何の売りにもならない補足情報でした。
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24 Jun, 2010
▼特記事項といえばサマソニの件。左のリンクから投票もツイートもよろしくお願いします。ドニントン何ぞやについてはこちら。
本日のレビュー:COVERDALE/PAGE「COVERDALE/PAGE」
言わずと知れたバーゲン棚の常連。80年代のポール・ロジャースと立ち上げたTHE FIRMも不発に終わって冴えない極みだったジミー・ペイジと、サーカス・ロックはもう御免と言っていたはずがスティーヴ・ヴァイを入れて更に大変なことになったWHITESNAKEを解体させてフリーだったデイヴィッド・カヴァデイルが組んでしまった、凄い巡りあわせの1枚です。93年GEFFENリリース。THE FIRMに比べるとわかりやすくロック然とした方向を向いていて、当時は「コンセプトとしてはどうしようもなさそうだけど、決して悪くない」という空気があったように記憶しています。この曲はいかにもペイジ、こっちはデヴィカヴァ、あーカヴァさん真面目にプラントの身代わりになってんなぁ、ペイジのこれは事故じゃないのか…といろんな楽しみ方ができつつ、最終的には曲がそこそこ面白いので割と前向きに聴けるという。当時MTVでそれはそれはヘヴィローテになっていて繰り返し聴いたせいか、4曲目"Pride And Joy"には未だにシビレます。サビ以外の拍頭をどこで取っていいのか分からない奇曲。オープンリールのテープが廻るスタジオの映像が懐かしい。105円で捕獲できれば、300円分くらいは楽しめます。ツェッペリン風の曲のほうが面白いけどWHITESNAKEファンに近い感受性の人でないと聴きにくいかも。
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22 Jun, 2010
▼PCから見ていただいている方はページ左側に付箋が現れていると思いますが、サマソニの一般投票が開始になってDOIMOIもエントリーしています。1日1票(モバイルはこちらから)よろしくお願いします!
できることならここに直接投票ページを貼ってしまいたいので、iframe内の外部ページを別ファイルから動かして特定の座標で表示させるJavaScriptとかわかる人がいたら教えてください。twitterで広めてくれるひと用にURLエンコード済みのリツイート用リンクは
このとおり仕込みました。日々活用してください!
▼そういえばもう1週間以上前に左メニューの送信フォームから、GORGUTSがORIGINやDYSRHYTHMIAのメンバーを入れて再結成していたという情報をいただいていたのでした。そのまんまになっててすみません!
myspaceにあがっている最新のリハーサル動画(ドラムとギターのみ)が不敵すぎて壮絶。どこからのリリースになるかも気になります。
只今のBGM:HENRY COW「WESTERN CULTURE」
ラスト作となった78年のアルバムをおもむろに。元祖レコメン系というかその発起人であるので、「レコメンて何?RIO?」という人に対する必要充分な答えは「HENRY COW」になります。SLAPP HAPPYとの合体を経てコンポジションとフリーパートの比重や混在具合が更に円熟に向かい、「作り込みのスキのなさ自体がラディカル」といえるまでの域に。もちろん詰め込みすぎているのがカッコイイとかいう単純な話ではなく、異常な経路を描くメロディの流れとそれを破壊せんとばかりに絡むアグレッシヴなドラムのものすごい構図とか、それをとりまとめて淡々と進行していく楽曲に宿る意思とか、接触するだけで緊張するような感覚があります。こういう音はポッと出てきたときが一番凄くて、似たような路線で存続していくとだんだんその重みが薄まるように感じてしまいがちですが、何のことはない、これも充分ギッチリ詰まった渾身の力作です。
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21 Jun, 2010
▼うーむ盛りだくさんな週末でありました。まず土曜は予告どおり、大学時代のサークルの後輩の結婚式二次会に運営側で参加。ライブハウスばりのPAシステム設営に挑戦し(いろいろ上手くいかず予定の半分くらいになってしまったけど)、本番中はDJブースに張り付いてBGM係。凄く久しぶりに会うはずの人もあ〜いるなーと遠目で視認するにとどめて、予定された出し物がひとつひとつクリアされていくごとの新郎新婦と幹事チームの満悦げな様子だけで充分こちらも満足。胸いっぱいの空腹で臨んだ三次会はしっかり楽しみ、訓練中のおじさん店員に気を遣いながらの四次会(デニーズ)でシットリと反芻し、26時過ぎの帰宅。シャワー浴びて就寝。
▼で、明くる日曜は新宿NINE SPICESでのライブ。私以外のドライバー3人は無休憩長距離持久運転にどんどん慣れてきて、行きも帰りも4時間かかるかどうかという速さでの移動。食事にも極力こだわらないようにしつつ、極太麺が食べられたらよかった。あとユニオンにも行ければよかった。イベントはまた最高な内容で、フロアも賑やかだったしよっぽどまた26時過ぎまで打ち上げたい気分でした。とりわけhununhumの壮絶っぷりは異次元のもので、ステージ上の画づらからしてもうMUSEAの再発モノの裏ジャケで見かける感じそのまんま。いつになるか分からない次回作はぜひCUNEIFORMかTZADIKからブチ落としてもらいたいものです。
終演後、hununhumのTシャツも買って、「君は絶対南米のブラックメタルを聴いたほうがいい」「SARCOFAGOならギリ知ってます」などと突っ込んだ会話を楽しんでいたネモジュンさんに、ANVILの映画を実はまだ見ていないことが知れると一転して人でなし認定をいただいてしまったので、次にノコノコと東京へ出て行くまでには絶対見ておこうと心に誓ったのでした。まずはそのへんのレンタル屋の会員証を作るところから始めねば…それとも流行の宅配レンタルなのか…。
只今のBGM:NEVERMORE「THE OBSIDIAN CONSPIRACY」
リピート中。THRASH DOMINATIONでの来日が決まって、しかも2DAYSのうち後のほうはSANCTUARY名義で出るとか(メンバーは不明)。あのタンザッペェ〜〜〜〜ィジ!を今でもちゃんとやってくれるんでしょうか(※"Future Tense")。よっぽど見たいし見ておくべきな気がする。うむー!
19 Jun, 2010
▼昨日の収穫、THE OMEGA ORDERから来たNEVERMORE「THE OBSIDIAN CONSPIRACY」。今日は大学時代のバンドサークルの後輩の結婚式二次会に行ってきます。朝降っていた雨がスッとあがって、新婦の晴れ女伝説にまたひとつ逸話が。そして明日は朝から東京に旅立ちます。お待ちしてます!!↓
- 6月20日 (Sun) 東京 新宿NINE SPICES
- 18:00開場 / 18:30開演
- DOIMOI, Creepy Pop, hununhum, 似非浪漫, the regimentals
- 前売1,500円 / 当日2,000円
本日のレビュー:NEVERMORE「THE OBSIDIAN CONSPIRACY」
ようやく到着!現役メタルバンド(の中で動向をチェックしている数少ない人たち)の中で最強くらいに思っているNEVERMOREの5年振りの新作。常に最新作=最高傑作をキープしながらコンスタントにリリースを重ねてきた彼らが、売れて忙しくなったというのもあるんでしょうけど、珍しく長い期間タメて出してくる次の一手が猛烈に気になっていたのでした。
基本的な色合いは変わっていないし変えるつもりも毛頭ないという感じで、そこには特に不満はなし。いつものハイパーテクニカル+ダークゴシック(ルーツにBAUHAUS)なNEVERMOREサウンドを堅持してもらった上で、どこまでやり過ぎることができるかというのが本人達の挑戦のしどころでもありファンが期待するところでもあるでしょう。CDを再生しはじめていきなり、ワニさんマーク(※ヤングギター誌参照)級の速弾きをリフにしてしまったようなイントロで思わずニヤリ。ジェフ・ルーミス(ギター、師と仰ぐのはジェイソン・ベッカー)は必ず少しでも「次」を見せてくれる男です。ウォレル・デインの歌メロやキャラは前身のSANCTUARY時代からほとんど変わるところがなく、音域も狭い(禁じ手のファルセットハイトーンを使わなければ)ので「この節回しどっかで聴いたな…」という瞬間もますます増えてきましたが、アクの強さゆえにもう彼であればいいというか、ほとんどデス声と同等のつもりで聴いているのでここも問題なし。
前作はよりエクストリームな方向に進化を見せて、あの手この手でアグレッシブに攻め倒す感じでしたけども、全体を聴いてみると今回はそのベクトルを伸ばすことはしなかったようです。行き詰まりを早めるよりも前とは違うことを…というジャッジは賢明。抑えを効かせてメロディや情景を丁寧に描き込む曲が増えたのは、彼らがメジャーな存在になってきたことも関係しているのでしょう。中盤、ちょっと落としすぎじゃないか?というくらいの場面も続きますが、終わりにかけてじわじわとテンションを盛り返してきて、最近の定番になっている「ラストチューン=異常に気合の入ったタイトルトラック」方式が今回も炸裂。"Dead Heart〜"や"This Godless Endeavour"級の宇宙が見えるほどの凄まじさではないものの、ライブの人気曲としてビシッと場を締めてくれそうないい出来です。
なかなか変化がないバンドは基本的に、名盤を1〜2枚作ったらあとはいつ解散してもいいと思ってしまうクチなのですが、彼らに限っては世界中のメタルリスナーにライブを見せ続けながら、ブレない程度にちょっとずつ前進するようなニューアルバムをポツンポツンと作っていってくれればいいという気がします。部屋の中だけで音楽に接していると忘れがちだけどスタジオワークだけがバンドの生命ではないだろうし。あー早く単独公演を見てみたい。決定的な泣きメロとかそういう日本人受けする要素が欠けているために、まだまだ海外との温度差は激しくて単独で全国廻るのは厳しいのかも知れないですが。ところで今回唯一失敗したと思ったのは、限定盤を買ったら最後にボーナストラック(THE TEA PARTYのカヴァー)が入っていたこと。ドラマ性の鮮やかさが見せ所のバンドなので、当人達の意図したフィナーレどおりにスパッと終わってくれるほうが気持ちよかった。
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17 Jun, 2010
▼フー書いた、Egoistic 4 Leavesのライブ評原稿(→この件)をおおかた書いた。来週月曜の日中締め切りで、明日の夜からの予定の詰まり具合からして今晩しか時間がないはずだったのに、ついひげ抜きに手を染めてしまうのは高校時代のテスト前の自分と何も変わらない。変わったといえば道具が普通の毛抜きから目玉クリップ(右図参照)に変わったこと。こいつでちょっと伸びかけのヒゲを青田刈りすると凄いですよ。お試しあれ。
授業中に寝るとか、やるべきことを先送りにするとか、そういう発想すらないのが普通だった中学時代の集中力と切り替え能力はほんとに、どこに落とすか流すかしてきたんだろうと思います。
本日のレビュー:BEATS THE HELL OUT OF ME「ROLLING THUNDER MUSIC」
今、気分はおもむろにグランジモードで、何年か前に買ったこれを取り出して聴いています。記憶以上にかっこよくて実は数回目のリピート中。これは95年リリースのアルバムで、おおよその概要は
以前紹介した前作でほぼ満足に語り尽くしてました。それよりこっちの方が骨太度・ユニーク度ともに上がっていて、最高にいい感じです。PEARL JAMとALICE IN CHAINSがいいところで混じりあったグランジの最大公約数+αな音。当時のトレンド100%な内容なのに、エグゼクティブプロデューサーにブライアン・スレイゲル(METAL BLADE創立者。このバンドはなぜかMETAL BLADE所属)の名前があるのが笑えます。ちなみにメインのプロデューサーはKORNで一発当てて以来ラップメタル時代の寵児だったロス・ロビンソン。お膳立てに負けないしっかりした内容なので、気になった人にはおすすめです。
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16 Jun, 2010
▼椿鬼奴、ボンジョヴィキャラでいくならもうちょっと発音を頑張ってほしい。そんで「本当は一番好きな曲は"Born To Be My Baby"」とかそういう話があったら聞きたい。関係ないけどついでに谷原章介はもっと色んなところで元・筋金入りのベイエリアスラッシャーだということを公言してもらいたい。以上、今のテレビ界に望むことでした。
本日のレビュー:BON JOVI「SLIPPERY WHEN WET」
椿鬼奴が「シャスザハー!」とシャウトするあの曲はこのアルバムに入っています。86年発表の3rd。あれ、見覚えのあるジャケ(胸のきわどいところに切り抜きがあるTシャツを着たブロンド女性の写真)と違う、とお気づきの方、この頃のアメリカは各種団体からのハードロックのレコードに対する検閲が厳しく、セクシーな表現や暴力的な表現はにかなり厳しくダメ出しがついていたようなのです。ということで外盤を買うとこのジャケです。
泣く子も黙るメガヒット"You Give Love A Bad Name"〜"Livin' On A Prayer"が入っているということで一般的には疑う余地もなく名盤扱いですが、よくよく見ると主立った曲のクレジットには必ず、メンバーではない「デズモンド・チャイルド」の名前が…。この男については
最近の日記でも触れましたが、とにかく80年代赤面ポップス界の黒幕的仕掛け人です。メロディの訴求度、曲展開を際立たせるブレイクやシンガロングパートの入れ方、緩急を自在にコントロールするアンサンブル術など、出来すぎてて恐いというくらいの天賦の才。バンドが完全自力でやったものも"Never Say Goodbye""Wanted Dead Or Alive"など、その後ベスト盤に入るような曲を何曲か書いて健闘してはいますが、細部に渡る達者度合いにはやはり開きが。味の素みたいでシャクだけどとりあえず「デズモンド・チャイルド買い」をしてりゃ満足できるのかも知れません。
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14 Jun, 2010
▼本日の収穫、THE OMEGA ORDERから届いたVIRUS「CARHEART」「THE BLACK FLUX」。一緒に注文したNEVERMORE新作はその時まだ発売前だったから、在庫のあったこっちだけ先行して別送してきよった。追加送料取られてないみたいだからいいですけど。おー早く届け「OBSIDIAN CONSPIRACY」。
▼ところで来週これです。関東方面の皆さんどうぞよろしく!
- 6月20日 (Sun) 東京 新宿NINE SPICES
- 18:00開場 / 18:30開演
- DOIMOI, Creepy Pop, hununhum, 似非浪漫, the regimentals
- 前売1,500円 / 当日2,000円
DOIMOIの予定はその後も続きますがその他7/9(金)には新栄パルルでワンマンショー、7/31(土)に大須モノコトにてログメンも決定(ex.MAGNOLIAの
岸眞衣子さんとツーマン)。来月お暇な方はできるだけお付き合いいただけると嬉しいです。
▼いきなりですがレビューのあとに試聴可能なページへのリンクを貼ることにしました。ほとんどが便利なamazon.comのサンプラーです。アフィリエイトとかではないので安心して踏んでください。とりあえず今月分すべてに追加。
本日のレビュー:VIRUS「THE BLACK FLUX」
いやー今猛烈に感動しています。変態もので久々に。しばらく前、このサイトの送信フォームから「BEYOND DAWN好きならこんなのも」と教えていただいたバンドの2nd。1stはついさっき聴き終わりました。BEYOND DAWNのドラムと、ノルウェーブラックのラディカル・アーティスティック派の最右翼VED BUENS ENDEのメンバー(これがまた、CADAVER INC.の1stであの激烈ロウ&ノリノリなブラストを叩いてた奴だという…ここではなんとギターヴォーカル)なんかが集まったトリオです。ニューウェイブもしくはVOIVOD風のトボトボスカスカとした脱力感の中に、ブラックメタル・マナーの不穏極まりないコードワーク(こうして聴くと現代音楽/アヴァンジャズそのもの)を放り込んだような、気高さとしっぽり感とが同居する奇跡の変態サウンドの応酬。「太陽と戦慄」の本当の続きはここにあったかーという。変な響きを宙吊りにして遊ぶだけならアメリカのティーンズがいくらでもやってくれますが、彼らが素晴らしいのはその全てを有機的な楽曲としてつなげて、クッキリねっとりとした「表現」「描写」をしていること。上級者すぎる…。改めてノルウェーブラックメタルシーンの音楽的豊穣さに感服です。LUGUBRUMもCHEER-ACCIDENTも超えたかも知れん。
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12 Jun, 2010
▼今日は行き当たりばったりで終日出掛けて、何やら具合良く過ごせた一日でした。購入以来6年くらい使い倒して黒い布地があいまいなモスグリーンみたいになってしまっていたヒップバッグ(ショルダーとして使用)の後継ぎが見つかったのと、あとブックオフ川原通店にて本日の収穫、ANNIHILATOR「SET THE WORLD ON FIRE」(外盤で買い直し)、THE ALMIGHTY「CRANK」(同じく)、COVERDALE PAGE「COVERDALE PAGE」(10年振りくらいに買い直し)、BILLY JOEL「52ND STREET」。たまたま500円以下の商品の半額セールを行っていたのでこの4枚で750円。
そして夕飯は何年かぶりに「喫茶マウンテン」に行きました。あそこはチョイスさえ間違わなければちゃんと料理と呼べるもので満腹になって幸せになれる店です。今日は自分が「グラタン風アボガド」、巻き添えを食った嫁は「まいたけと鶏のスープスパ」を注文。前者はパスタがマカロニで(ゆえに末尾に「スパ」の文字がない)、業務用ホワイトソースにニンニクと油と玉ねぎか何かを足して粉チーズをかけたところにアボカドが丸1個入っているというもの。アボカド好きには単純に嬉しい。後者は親子丼のたれ風のスープに鶏・マイタケ・ねぎ・玉ねぎのダシが重なる素直で家庭的な味で、やや油っぽいことを除けばまっとうに「おいしい」と言える品でした。なんか明らかに評価のハードルが低い点は気にしないでください。満腹になれて嬉しかったです。
本日のレビュー:THE ALMIGHTY「CRANK」
「絶対500円以下(できれば300円以下)でいつか買いたい」とライフワーク的に探し続けているアルバムというのがいくつかあって、これもそのひとつ。THE WiLDHEARTSと同時期にイギリスから登場したラフ&パンキッシュなハードR&Rバンド(HM/HRのフィールドでそういうことをやる、THE HELLACOPTERSの系譜に近い感じです)の94年作。安値にこだわったのは国内盤から外盤への買い替えだったからです。高校の頃によく聴いた懐かしい1枚。
デビュー当初は小型MOTORHEADなどとも言われるような荒々しさと機動性を売りにしていたのが、これの前作「
POWERTRIPPIN'」では時流に感化されたくぐもり系グランジメタルに鞍替えしながらも出来は良く、しだいにFOO FIGHTERSやGREEN DAYあたりの台頭でパンキッシュで勢いのある方向へトレンドが動くと、それはもともと俺らの仕事!とばかりにヘヴィリフと快活なリズムを同時フィーチャーしてそこに追従したのがこのアルバム。ジャケは確かSEX PISTOLSの「NEVER MIND〜」を手がけたジェイミー・リード。冒頭曲から直径14〜5cmのコブシで殴りつけるようなリフで幕を開け、ALICE IN CHAINSが凄くやる気になったみたいな異常に男臭い世界を繰り広げます。何がいいかってガナりながらもしっかり芯のあるヴォーカルと、ヘヴィリフの扱いにしても流行に乗っかるだけでなく自前の表現と呼べる域に消化できているそのセンス。要はほんとにいいバンドだったんです彼ら。シングル曲"Jonestown Mind"はちゃんと「HEADBANGERS BALL」でも流れてたなあ。仮にもリリースはCHRYSALISなので。その後FOO FIGHTERSやANTHRAXやジェフ・ベックまで手がけることになるクリス・シェルドンによるサウンドプロダクションもすこぶる良好。最近、キツイやつに打たれてないなぁ〜と思っていた人にはおすすめしたい盤です。
[myspace]
11 Jun, 2010
▼昨日は新栄アポロシアターにて、DOIMOIドラムの礼一君がやっているバンド・EGOISTIC 4 LEAVESを拝んできました。以前からほぼ隔月ペースで書かせてもらっている朝日新聞文化欄ポップス評の次回分に登場します。前回見たときから半年くらいしか経ってないはずだけど、ますます変拍子バンド化が進んでてエキサイトしました。詳細は再来週木曜の夕刊で。
▼左メニュー下の付箋には直近の予定だけ載せてあるDOIMOIの今後のライブ予定は9月まで絶好調で詰まってます。
ホームページにてご確認を。レコーディングとかいつやるのか、誰か教えてください。
▼まったく唐突な下ネタですみませんが、この前見たスピッツのライブDVDで、"ハイファイ・ローファイ"という曲に出てくる歌詞の一節「OK!憧憬」が何度聴いても「包茎!童貞」にしか聴こえなかったので記念にメモしておきます。というかもともとそうだった可能性を疑う。
本日のレビュー:BLACK SABBATH「THE ETERNAL IDOL」
グレン・ヒューズがジェイソン・ボーナムやらデレク・シェレニアン(ex.DREAM THEATER)やらと残念なスーパーバンドを結成、というニュースを目にした中でグレン・ヒューズの肩書きにサバスの名があり、そりゃパープルはおろかTRAPEZEとかHUGHES & THRALLとか書いても若い(≒購買機動力のある)リスナーには説得力ないしな…と哀しくなった気分のままに、さっき「SEVENTH STAR」を聴いて、続きでこれです。サバス史上一番かわいそうな名シンガー、トニー・マーティン加入作となった87年のアルバム。
トニー・マーティンは、声こそ甘いハスキーなハイトーン(ちょっとTHUNDERのダニエル・ボウズぽくもある)で、トップガンのサントラでもいけそうな素材なんですが、脳内でリアルタイム変換できるほど、力むタイミングやら節回しやらがロニーに酷似しているのです。冒頭曲"The Shining"サビの「ゥライズォアッ(プ)!」とか「フォゥゥー(ル)」とか、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」級の拾い方。6曲目"Nightmare"もAメロから凄いです。しかしながら、スムースで万能でも押しは弱いので、似れば似るほど切ないというジレンマ。これが本家サバスじゃなくてサバス風の別のバンドだったら、感動まじりの賛辞で未だに伝説の逸材と言われていてもおかしくない仕事をしているのに。
で曲のほうは、さすがに80年代後半とあって、「HEAVEN AND HELL」の頃の"Lady Evil"みたいな、ちゃんちゃかやっとこうかという曲(悪くはないんですがね)は完全に卒業。しっとりと叙情性を滲ませてクドクドにはならない、独特のアイオミ流様式美を確立しています。ギーザー・バトラーは離脱中でデイヴ・スピッツ(ANTHRAXのダンの兄弟)およびボブ・デイズリー(ロニーといいグレン・ヒューズといい、なぜにリッチー卒業生ばかり囲い込むのか?)がベースに参加、ドラムはKISSのエリック・シンガー。あ、80年代サバスだな、と思わせるのは意外に、「HEAVEN AND HELL」以来パーマネント・サポートとして参加しているジェフ・ニコルズのシンセだったりします("Ancient Warrior"イントロが一瞬"Die Young"な件)。某誌編集部の某瀬・某木のように不必要にほめちぎりはしませんが、しっかり高品質な作品なので普通におすすめ。
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8 Jun, 2010
▼ロニーの妻ウェンディ・ディオが立ち上げた「ロニー・ジェイムス・ディオ"Stand Up And Shout"がん基金」に先ほど募金しまして、メモリアルパッケージがそのうち届いてくれる手筈です。bandcampで少しだけ得たPayPal残高(現金化は50,000円以上からなので使えないと思っていた)が役に立ちました。eBay用とかでPayPal口座をお持ちの方は是非ひとくち協力しましょう。
▼Ett/Coupの渓さんがパルル(旧カノーヴァン)で先月から始めたシリーズ企画「この人のワンマンショーが観たい!」に、私も来月出させてもらうことになりました。詳細はまた追って。何やっていいか全然わかってないので(開催済みの得三臼井さんの回は、即興演奏についてひたすらしゃべったそうです)、これやったらいいんじゃないという提案があったらぜひ教えてください。
▼実はまだ未取得の単位が残っていて、大学を卒業していなかった。という夢を見た!こわかった。
只今のBGM:YES「TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS」
おもむろに。「CLOSE TO THE EDGE」で大作志向の味をしめたYESが、2枚組4曲・すべて20分前後という派手な時間の使い方で作ってきた73年の6作目。「CLOSE TO THE EDGE」によく似せた作風のはずなのに「冗長」「記憶に残らない」「締まらない」とファンおよびプログレリスナーからは賛否両論の否が圧倒的に多く、変な聴き方をすればもしかして救済できるのでは…と思って今、改めて新鮮な気持ちで聴き返している次第です。
「CLOSE〜」のときは、各メンバーのばらばらのアイディアを大して折り合いもつけないまま強引につないでいったらああなった、みたいなことを昔メンバーの誰かが「炎」で語っていた気がしますが、端から大作ありきで取り組んだ本作は「次、何しようか〜?」的なゆとりで溢れていて、ジェットコースタードラマのつもりが
モヤモヤさまぁ〜ず。グダグダしているのは責めるにあたらないとしてそれを楽しむか否かという、ある意味挑発的なつくりといえます。これはYESのアテなき街歩きなんだと思い込めればそれなりの楽しみ方が可能…なんか昨日と同じようなシメになってるな。新しいもの全然買ってないので、まだ書いてない盤を探すとこんな感じです。
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7 Jun, 2010
▼最近の趣味は「転調」ですどうも。HMV渋谷店が8月に閉店ということで、いよいよ産業構造の変化が目に見えてきた感じですねー。時代が変われば炭鉱だって閉山するわけで、そこに生まれていた文化やそれで糧を得ていた人はどうなる、と所与の現実にかじりついてもしょうがない気がしつつ、その経過に立ち会うにあたっては若干の寂しさもあるものです。HMVの場合は普通にそのへんでCDを買いたい人に商品を提供するインフラ的な存在でしかなくなっていたと思うけど、より嗜好性の強いニッチな発信者(=セレクトショップ)に対しては一定の需要があり続けるものだと思いたい。でもそのあたりの皆さんも軒並み厳しいようで…DISK HEAVENも「売り上げは一時の四分の一に減り、新譜の入荷が出来ないほど資金繰りには窮して」いるとのこと(掲示板でのバーゲン延長告知より)。ほかにも気を吐いて頑張っていた小さい店が廃業になったという話はよく聞きます。
ネットを介して誰でもハードルなく発信できてポチッと購入できて、ある程度情報をとりまとめてくれる人もどこにもいなくなったら、あとには混沌とした時期を経てまた新しい秩序が出来上がるんでしょうが、そのときの収益構造がどうなってるのか見当もつかないですね。芸術そのもので対価を得るなんて夢の中の話か、という、すべてがテレビ電波みたいな(無料で垂れ流されるものに付随するところだけでよくわからないビジネスが発生する構図)時代になっていくのはどうもかなり現実的な流れっぽくてそれはあんまり歓迎したくないなあと思います。
本日のレビュー:GENESIS「ABACAB」
さっき、久々に聴いたら熟成して面白くなってないかなーと「INVISIBLE TOUCH」や「GENESIS」や「CALLING ALL STATIONS」を手に取ったら(抜けている「WE CAN'T DANCE」はもともと好き)やっぱりどうしようもなかったので、ギリギリOKラインに戻ってこちら。GENESISがかつてのたたずまいを残す最後のアルバムとなった81年作。いかにもシンセポップなアレンジに侵食されまくってはいるものの、細かなフレーズのフック加減とか、STEELY DANみたいなフュージョン的発想とはまた毛色の違う大胆なコード展開とかは、探すつもりで聴けばそれなりに楽しめます。何よりリヴァーブ温泉に浸かってないストッと正直なサウンドプロダクションが救い。エンジニアはその後の作品と同じヒュー・パジャムではありますが。フィル・コリンズのドラミングの小気味よさも際立ってます。これはもともとAORなんだと思って聴くと勝手に面白さが増幅して具合がいいかも知れません。
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6 Jun, 2010
▼この週末は母校の大学が学祭の最中で、所属していたバンドサークルのライブに顔を出してきました(在学中から今まで、メインの通りに出て祭本体を謳歌したことはほぼ一度もない)。DEERHOOFのコピーバンドなどなどを楽しんだ後、OBのみが集められる飲み会に参加。訪れるOBの中でもそろそろ自分が最年長の部類になってしまったのをやや寂しくも思いつつ、あーこうだったこうだったと昔の空気をひとしきり満喫し、食べ過ぎて一人で何度かえづきながら26時頃帰宅。
▼明くる本日は久々にできたDOIMOIの新曲のデモを録ったり、サークルの先輩の結婚式二次会で演奏するスピッツの曲のライブ映像を研究したりして短めに暮れました。アメリカを発ったNEVERMOREの新作が早く届いてほしい一心です。
本日のレビュー:DAVID LEE ROTH「DIAMOND DAVE」
いわずと知れた元VAN HALENのシンガー、デイヴ・リー・ロスの2003年ソロはなぜかプログレ系レーベルMAGNA CARTAからのリリースでしかもカヴァーアルバム。あんまりわかりやすいネタ性はなく、SAVOY BROWNとかジミヘンとかDOORSとかのたぶん比較的マイナーな曲を中心に取り上げているようです。アレンジはどことなくミッチェル・フルーム&チャド・ブレイク風。客演は曲によって違って、ジェイムズ・ロメンゾ(WHITE LION〜PRIDE AND GLORY〜MEGADETH)、グレッグ・ビソネット、なぜかエドガー・ウインター(しかもサックスで)など。デイヴはブルーズの人というイメージがあんまりないですが、そういえばあの貫禄が何のバックボーンもなしに出るわけがないということでこの選曲も妙に納得。VAN HALEN脱退後の彼のソロワークって、スティーヴ・ヴァイみたいにアクの強い人がメンバーにいなくなってからは、どうにも「パラレルVAN HALEN」に収まろうとする感がにじみ出てしまって、確かにそれが一番ハマるんだけどなんだか切ないなと思っていたので、ぜんぜん違う顔が見られるこのアルバムはなかなか貴重かもしれないです。そしてここに収められているその姿というのがやっぱり良い。金になる感じの真面目なバラードはこなせないかも知れないが、ある一方向には恐ろしく秀でた、頑固なアナログエフェクターみたいな歌い手であることです。あっあと終盤で"Ice Cream Man"をブライアン・セッツァーノリのゴージャスなモダンスウィングスタイルで再演しています!ファンはこれ目当てで買いましょう。
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4 Jun, 2010
▼ニュースサイトWeROCK Cityにロニーの一般告別式の模様があがってますね。ジョーイ(ANTHRAX)、意外と歌えてるじゃないすか…。
ということで、新栄パルルでEttのKeiさん主催でとり行われたロニー追悼会に行ってきました。「面識のない人だらけで、しかもその人たち同士は知り合い、メイン行事はDJと食事を愉しみながら歓談」というシチュエーションで前半は思わずメールの返事とか打ったりしてしまってましたが、やがてDJのソースがYoutubeに移ると会場も私も俄然テンションアップ。プロジェクタで大画面に写すロニーはやっぱり感慨ありました。あの「ヒラヒラヒラ〜ッと出てくる」(ETERNAL ELYSIUM岡崎さん談)独特の動き、あれだけで何か神々しい。締めには岡崎さんの「2007年HEAVEN & HELL名古屋公演前日のZIP-FM主催ミート&グリート(於ハードロックカフェ)に行った。緊張のあまりガチガチになってしまい、明らかにやる気ないアイオミとギーザーを前にして一刻も早く帰りたかったが、ロニーだけは大丈夫か?と気遣ってくれた。明日のショウにも行くと伝えたら、その場でメロイックサインを繰り出してくれた」という泣ける逸話が披露され、"Stand Up And Shout"を流してのフィニッシュ。満足しての帰宅と相成りました。
本日のレビュー:V.A.「TRIBUTE TO AEROSMITH」
↑の日記の催しにも持っていけばよかったと悔やまれる、ロニーファンには実は必携の1枚。99年にリリースされているAEROSMITHのトリビュート盤なのですが、豪華なメンツの中の目玉として、イングヴェイ+ロニーの"Dream On"というのが入っているのです。字面からの想像をまったく裏切らないすばらしい出来。ALKATRAZZでグラハム・ボネット、自身のバンドではジョー・リン・ターナーやドゥギー・ホワイトと、歴代のリッチーの相方と共演を果たしてきたイングヴェイですが、最も敷居が高いと思われるロニーもここで(その前にHEAR'N AIDでもですが)制覇していたわけです。
ちなみに他の収録曲は、マーク・スローター(SLAUGHTER)の"Back In The Saddle"、テッド・ニュージェントの"Rag Doll"、ヴィンス・ニールの"Chip Away The Stone"、ショウ&ブレイズの"Sweet Emotion"、ジェフ・キース(TESLA)の"Draw The Line"、ジェイニー・レイン(WARRANT)の"No Surprize"、スティーヴン・パーシーによる"Toys In The Attic"などなど。それぞれなりの面白さがありますが特にジェフ・キースのはまりっぷりがスゴイです。
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3 Jun, 2010
▼たまたま世を忍ぶ仮の会社から早く帰れて、まだ明るいしということで寄り道した今池WILD HONEYにて本日の収穫、すべて店外の300円コーナーからRATT「DETONATOR」、ALICE COOPER「TRASH」、DAVID LEE ROTH「DIAMOND DAVE」。はからずも3枚中2枚がデズモンド・チャイルド(BON JOVIの"Livin' On A Prayer"やAEROSMITHの"Angel"の作曲者としてクレジットがある、80年代メインストリームメロディアスHRの筒美京平みたいなソングライター)祭り。この人いま何やってんだと思って調べてみましたがちゃんと現役だったみたいです。恐れ入った。
▼最近、
こういう品物があることを初めて知りました。こんな原価の安そうなもので5,000円強なんてあほらしや〜と、某ウレタンブローカーから吸音材の端材をゲット。カッターでジギジギと切って、あっさり自作してやりました。
MD421(バスドラ用)に至ってはスタンドも兼ねた作りになっています。早くこれ使って録りたいものです。
本日のレビュー:RATT「DETONATOR」
解散前ラストとなった90年作。大昔はモトリーよりも人気があったという、80年代スリージーR&Rメタルの代名詞的バンドです。初期は意外にジットリした叙情性があったりしたものですが、ここでは最終兵器デズモンド・チャイルドを投下して、平均化された一流80年代サウンドが完成しています。もともとの毒気をうっすら残しながら商業用のフックを巧妙に入れてくるワザはさすがとしか言いようがありません。アルバムを通しての曲のバリエーションは広がり、ペンタ主体のなんてことないロックチューンにも必ず一箇所は泣き落としフレーズを自然な流れで挿入。モトリーの「DR. FEELGOOD」を更に飼い慣らした感じで、ここまで快適でいいのかなと不安になるまでの完成度。しかし異常な個性派(トカゲになったYUIみたいな独特なハイトーン)なヴォーカルが有無を言わせぬダーティさを醸し出して、RATTのアルバムなんだという印象に力ずくでもっていってくれます。
こういうめんどくさいことを何も考えずにただパッと聴く分には、非常によくできたアルバムなので、ヘアメタルの良作を掘り下げてみたい向きにはむしろおすすめ。
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2 Jun, 2010
▼相変わらずオーディオが調子よくて(詳細は先月末日の日記参照)気分もよいです。
更に勢いづいて、綿棒にCAJの接点洗浄オイルみたいなのを塗って、RCA端子・ピン、スピーカー端子など、ありとあらゆる接点のクリーニングもやってみました。写真のとおり思いのほか汚れがとれて、レンジとスピード感にけっこう分かりやすい改善が。楽器でも何でもそうですが、もうひとついいのを手に入れようとする前に、現状のものをそれ以上ないところまでいい状態に引き上げる努力をするってのが必要なんですなー。手間なくして金はいい仕事しないと改めて自戒。
本日のレビュー:ARMORED SAINT「REVELATION」
ちょっと前に伝えられたニュースですが、ANTHRAXに2代目(実質初代…)シンガーのジョーイ・ベラドナが戻っちゃったそうですね。彼がいた頃の作品群は大好きですが、今のこの流れは個人的にがっかりです。ANTHRAXの魅力のひとつは「常に新しく変わっていて、いつでもANTHRAXに聴こえること」だと思っていて、これ以上の進化には役不足と判断されて切り離されたジョーイがまた戻るというのは、聴いて楽しい作品は出来上がるんだろうけど生命あるバンドとしては前向きな選択じゃないなと思うわけです。
のっけから話がそれていますが、ジョン・ブッシュはじゃあ何をやってるかというと、元鞘のこちら、ARMORED SAINTのほうでやる気まんまんだそうで。今年の3月に10年振りの新作を出したわけですが、その10年前のアルバムというのがこちら。これも91年の解散前ラスト作から9年振りに作られた作品でした。ヴォーカルトラックは紛れもないジョン節。ブルース・ディッキンソンとレイン・ステイリーの間をいく唯一のノドの持ち主であり、正統派メタルを歌ってもパフォーマンスは素晴らしいです。ただARMORED SAINTを聴いていつも思うのは、「曲が煮え切らない」この一点…。これといって特徴もないし、かといって要領がいいわけでもなく、消化不良の普通っぽい曲を延々と繰り出す中にたまに当たりがあるというイメージ。84年でも91年でも2000年でもそれは変わらず、プリミティブな衝動が薄れた分だけ「普通さ」はなお際立ちます。ミックスはビル・メトイヤーだったりしますが、むしろ音は、クリアながらあまりいいバランスとはいえないもの(スネアが弱くてギターがでかい)。
と散々な書きようでファンには申し訳ない限りですが、結局ヴォーカルの素晴らしさゆえ、私も売らずに持っているわけです。ANTHRAXファン(である私)にとっては何か、しっくりこないパラレルワールドをのぞくような感覚。移り住みたいとは思わないがそんなものがあるなら気になるという。ゆえに最新作もちょっと気になってます。
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1 Jun, 2010
▼あっ6月。そろそろ蚊も見かけます。今年も庭(※マンションの1階なのでついてきた)で家庭菜園だと意気込んでいたヨメさんですが、2ヶ月くらいに渡る大規模改修とかで庭にも工事の足場を組まれてしまって、つたを這わせる気まんまんだったゴーヤを希望の場所に地植えできず残念そうです。
本日のレビュー:THINKING PLAGUE「IN THIS LIFE」
米レコメンバンドの88〜89年録音盤。最近この界隈の作品のリマスターで名前をよく見かけるボブ・ドレイクがドラム/ベース/バイオリンとしてメンバーにいます。内容的には「KEW.RHONE.」+ART BEARS+AKSAK MABOULてな超高純度レコメンフィメール激崩壊ポップス。新鮮味はないながら、エキセントリックさの質はなかなかリアルで、あっそー、とならずに楽しめます。同じことをやる新人が今出てきてもお疲れ様と思うほかないですが。節回しや声質自体も含めて、ときどきヴォーカルがBJORKに激似なのも面白い。MUFFINSやCURLEWをわざわざ買う人ならこれも欲しいところです。
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