HOWEVER
ディスクレビュー
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SUDDEN DUSK
1981 KINESIS INC.
81年アメリカ、4人組プログレバンドの1st。プログレの純血性にこだわる向きからすれば、「81年」で「アメリカ」という時点で即圏外扱いになりそうですが、むしろプログレッシャーでない人がまさに今聴くのに良いと思われる内容です。
大雑把な組成としては「チェンバー感あり、のんびりと高速崩壊を不敵に行き来するPICCHIO DAL POZZO的素っ頓狂アヴァンレコメンがベース」「そこにSEBASTIAN HARDIEばりの叙景系雄大ムードが違和感なく挟まってドラマ性のレンジがやたら広い」といったところ。レコメン感については割とテンプレートに忠実で普通にCUNEIFORMっぽいのですが、もっと下地の素養の部分で、パット・メセニー・グループあたりに潜り込めそうな進歩的なコードヴォイシングや、クールな?変則拍子を使いこなしているのがなかなか恐るべきところ。「演出/楽曲表現としての混沌」のやりかたが二段・三段進んだ感のあるここ数年の野心的な人達からブラックミュージック要素を取り除いた残りのように聞こえる瞬間もあり、心に響く楽曲性がありますね。はい。そういう瞬間は少しだけでもよく効く。
明らかにスジがいいというか一時の夢で終わるはずがない能力の高さを感じるので、メンバーのその後を調べてみましたらば、管楽器と鍵盤を担当するボビー・リードさんが、エンジニア/プロデューサー業の傍らブルース・ホーンズビーのバンドの一員として永く活動している人でした。
HOWEVERとしては85年に2ndと、バンド名義ではないですが主要メンバーが集まって2008年に久し振りの1枚を出しているようです。