30 Sep, 2009
▼平日でしたが無事今池ハックフィンにてDOIMOIのライブやってきました。いつもVAN HALENの"1984"にしている演奏前SEを、今回は不穏な1曲目にバッチリつながるようにCELTIC FROST(「INTO THE PANDEMONIUM」に入っている"Tristesses De La Lune"を1分程度に編集したもの)にしてみたらやっぱりちょっと調子狂いました…。 "1984"ひとすじでいきますこれからは。
本日のレビュー:DEICIDE「LEGION」
数日前、自宅で世を忍ぶ仮の仕事をしなければいけなかったとき、せっかく自宅なんだからと手に取ったBGMの中の1枚です。何か作業するときのバックにデスメタルというのは、メロディや歌い回しに意識をとられないことと、何で家でこんなことを…という鬱憤を解消できるのとで非常によいです。
そこへきてDEICIDEなんですが、あんまりデスメタル好きという人で「DEICIDEが一番好き!」と主張する人に会うことがない気がします。私もあんまり一定したイメージを持ってなかったんですが、改めてこの2nd(92年)を聴くともうメチャクチャですね。MORBID ANGELやOBITUARYなんかとは比べ物にならないくらい曲展開が崩れきっていて、つっこみすぎのブラストなのかフィルなのか判別できない冒頭曲イントロとか、凄く新鮮。どう磨き上げればデスメタルとして殺傷性が増すが研究し尽くしている若手の新作に感動することはもう全然ないですが、かたやここには「非音楽」の自由を手に入れたテンションの高さが溢れておるのです。リアルそして純粋。で、CANNIBAL CORPSEやSUFFOCATIONみたいなテクニカル筋の一派として語られる場面が少ない気がする彼らも実はかなりの技巧派で、例えるならFORBIDDENの神経質そうなリフが下水道に落ちて20〜30kmくらい流されてきたみたいな、下品さと屈折性を併せ持つスタイルなんですね。終始どこかドタバタしてはいるものの、バンド単位での動きはそれで完璧に整合性がとれている不思議。
92年にこれだけのものが世に出ていたと思うと、ORIGINとかそのへんなんてただ演奏が上手くなっただけで、デスメタル界本流の10ウン年分の進化は本当に微々たるもんですね。
29 Sep, 2009
▼明日発売の「INDIES ISSUE」付属のサンプラーに、Zや双葉双一さんに混じって我々DOIMOIも、新作から"オリンピック"が収録されます。たぶんレビューか何かも載ってるんだと思います、読みたい。買わねば。しかし明日は世を忍ぶ仮の仕事が終わったら今池ハックフィンに直行するので、買ってる間がないのです!
- 9月30日 (Wed) 名古屋 今池 ハックフィン
- 18:30開場 / 19:00開演
- DOIMOI, サクラショック!, GoGaTheElephantCH (東京) , 万作, POPFROG
- 前売2000円 / 当日2500円
▼近頃もっぱら使用機材を減らす方向で努力している私ですが、たまにエフェクタの販売サイトは見たりします。でMXRが小っちゃいサイズの本格ハイゲインペダルを出したってんで、オフィシャルサイトでサンプル音源を聴いてみたら、凄く弾けてないのが公開されてて少し残念な気持ちに…
こちらです(明らかにSLIPKNOTを意識した2曲目で特に顕著)。あとやっぱり日本はFULLTONE製品の高さが異常ですね。みなさん
FULLDRIVEは2万円以下で新品が手に入る製品です。嗚呼2・3年前のいろいろ買い漁ってた時期が今みたいな円高だったなら。
本日のレビュー:TOTO「TURN BACK」
81年リリース作。衝撃の
「IV」を聴いて以来TOTOのことはリスペクトしてやまない私なのですが、彼らにも時期ってもんがあったようで、このアルバムではまだ「よくできた職人プログレハード風産業ロックにエディ(・ヴァン・ヘイレン)似のハードなギターをのせる」というのを延々試している感じの内容。当然質は高いんですが、「技を持て余した神々の遊び」的なぬるさが支配的で、全てを注いだギリギリ勝負みたいなあのスリルが皆無でちょっと残念。これで全然問題ないという人もいるだろうし(よく知らないですが当時は凄く売れたんだと思います)、何を求めるかによって評価の分かれるところでしょう。スティーヴ・ルカサーみたいなまともなスタジオ職人にまで及んだエディ・ショックの大きさを観測して感慨にふけるには充分。
26 Sep, 2009
▼凄く久し振りに年齢の下1桁がリセットされて、遂にサード・ディケイド完了の「3」が左側に点灯いたしました。毎年この日記では何事もなかったかのようにスルーしてきましたが、今年の段差は結構ヘヴィなので記念っぽく書いておきます。といっても、今年度に入ってから約5ヶ月間かけて覚悟してきたことなので、今日が特にどうだという感覚はないですけども。とりあえず実家に帰ってケーキはいただいてきました。
▼
昨日の収穫、米アマゾンマーケットプレイスで注文してあった
SKIN YARD「INSIDE THE EYE」。いい買い物だった。
本日のレビュー:SKIN YARD「INSIDE THE EYE」
なんとなーく名前くらいは見たことがあって、最近米アマゾンで試聴したら凄く良かったうえに凄く安かった(1ドル以下)ので購入しました。SOUNDGARDEN〜ALICE IN CHAINSタイプの硬質グランジバンドの93年作。ここのところ
GRUNTRUCK、
TAD、
STOMPBOXと、リアルタイムでちゃんと聴いていなかったB級グランジバンドの発掘を休み休み楽しんでおりますが、このバンドもひたすら最高。ヴォーカルはクリス・コーネルを胡散臭くした感じで、むしろREPERTOIRE再発系のB級C級ブリティッシュハードによくあった感じのオヤジ声が音楽性のシブみにズバッとはまる。リフはメタリックとまでいかないものの、気持ちよい歪み方でパンチ力と粘性を併せ持ち、どす黒さを勢いで中和してくれるので総体として非常に聴きやすくなっています。なんかもう、あとは説明不要ですね。こういうのをあらかじめ求めてない人に対して「これが楽しめない人生なんてもったいない」とか汗垂らして説くつもりは全然ありません。何かあるとすれば、完全にポストコア文脈のみでQUICKSANDやHELMETやJAWBOXを聴いてる人には、こういう空気があったことを知っておくのも良いかも知れないですよと小耳に挟んでおきたい。そして他にもこの手の知られざるバンドをご存知の方がいたら教えていただきたいです、本当に待ってます。
23 Sep, 2009
▼京都(高速バスの到着地)・高槻(ヨメさんの生家があった)・梅田〜難波(DOIMOI新作の営業)・また京都(帰りの高速バスの搭乗地)ウロウロ旅から戻りました。食べ物とたまたま出会った動物とおもしろ看板を中心にボチボチ写真も撮ってきましたが、アップは後日気が向いたときに。こんなおもしろ企画とニアミスだったことに出発直前に気付いたものの既に売り切れで、たいそう口惜し。その日その時間ほんとに梅田のへんにいたから、出待ちすりゃ良かったなー。遭遇できたとしても見て終わりですけど。
ということで4日間を通しての
収穫は、京都AVISにて
INTERNAL BLEEDING「THE EXTINCTION OF BENEVOLENCE」、高槻で行くところがなさすぎて適当に移動した先の枚方駅ブックオフで
TOTO「TURN BACK」、大阪はKING KONGがバーゲン中だったけど高すぎるのと見づら過ぎる(あれは問題だと思う)のとで何も買わず、帰りの京都で立ち寄った新京極TAKE・Jにて
SIAM「THE LANGUAGE OF MENACE」(ゼロ・コーポレーション!トニー・ミルズ/ex.SHY
!!)と
JETHRO TULL「WARCHILD」、これら全てを500〜600円にて。TAKE・Jは明らかにメタル偏重な品揃えで(聴かないだろうから泣く泣く諦めたけどREVERENDのライブ盤なんてのがあった
!!!)しかも店内BGMはNUCLEAR VALDEZだったりしたので、生きてるうちにまた何度か行きたいです。店畳まないでくださいね。
本日のレビュー:SIAM「THE LANGUAGE OF MENACE」
邦題「鎬(SHI・NO・GI)」。SYMPHONY XやMASQUERADE、JACKAL(Yじゃない方)、KINGSTON WALLなどどこか普通じゃないメタルバンドを大量に送り出したパッション120%のメタル専門レーベル、ゼロ・コーポレーションからの94年作です。イギリスが誇る泣き泣きハイトーンメロハーバンド・SHYの超音波シンガー、トニー・ミルズがバンド離脱中に結成・在籍していた短命グループ。ジャケの暗い雰囲気や難しそうなアルバムタイトルから、
MASQUERADEの2ndよろしく「グランジに日和ったつもりが相当無理のある90年代型ダークメタル」をわくわくして期待していたら全っ然違って、トニー・ミルズの細いハイトーンをジェフ・テイトに見立てたQUEENSRYCHE風正統派メタルでびっくり。94年ともなると
ギャグの域の生き写し的QUEENSRYCHEフォロワーもぼちぼち存在していたかしようとしていた頃ですが、この人達の場合は、根が違うくせに細かいところがやけにリアルに感化されてて、さながら笑っていいともの夏休み企画の有名人そっくりさんコーナーに出てきて「言いたいことはわかるし確かに似てるしこれはこれでカッコイイ人だけど、結果雰囲気まったく違うよねー!」と容赦なく『思い込み』の札を突きつけられる素人の如し。誰が何を思って聴けばいいのかといえば、本家に飽き足らないQUEENSRYCHEファンではなくて、やっぱり"Emergency"の甘い夢が忘れられない旧SHYファンが網羅欲達成のためにでしょう。もっと暗そうなジャケの2ndが出てたはずだからそちらも是非聴きたいです。
18 Sep, 2009
▼連休を多少なりとも心置きなく過ごすために、今まで死んでもやらなかった世を忍ぶ仮の休日出勤というのを初めてしてやりました。それで明日からはまた懲りずに関西方面(身内の都合で休日の大阪は宿泊先のアテがあるので)をフラフラしてきます、今回はCDの営業も兼ねて。サウンドベイのバーゲンを丸々見過ごすことになりますがそれもまたよし。この前普通に金山行ったけど1枚も買うべきものはなかったので。あっ昨日の収穫、米アマゾンマーケットプレイスで買ったTHE METHOD AND RESULT「THE THINGS YOU MISS」。
▼嫁さんの実家のお隣さんが今日行ったどこかの半島の市場で箱買いしてきたというサンマのおすそわけを刺身で食べたら異常にうまかったです。と、最近よく聞くtwitterってこういう感じで使えばいいんでしょうか、いまひとつあれの意義を理解してないです。ブログがSNS内の日記機能に移行したところから、更にまとまった文章を書くことなく近況をカジュアルに共有できることになったということですか
??しばらく前にmyspaceについたStatus and Mood機能も、思えばこれを意識してたのかと。(違うんですかね。)何にしろ、尺が短いのが前提になってる分だけ「そこを発言するのか、しないのか、するならどう言うのか」という粋/不粋が自ずと問わてしまう感じがして、そんなハードルの高さをクリアしながら日々の出来事をつぶやくのしんどいなと思いつつ、省みればこの日記でも大したことは書いてないですが。数年来続けてきた「日記」のボリューム感に慣れてしまって新基準にスムースに移行できないという老いぼれボンクラ病なだけか。
本日のレビュー:THE METHOD AND RESULT「THE THINGS YOU MISS」
最近その存在を思い出して実家の棚から引っ張り出してきて以来ちょくちょく聴いている
BLINDERのウェンデル夫婦が、BLINDERのあとにやっていたデュオのたぶん唯一のEP。あんまりよく知らないインディレーベルから2004年に出ています。ベース(夫メイスンの実演奏)+ギターまたはキーボードのうわもの(妻ミーガンの実演奏)+サンプラー、という体裁で、ミニマムかつ色彩豊かなアンサンブルをなす半生半エレクトロの歌もの。これがなかなか素晴らしいものでして、シカゴ人脈の総バックアップを得て作られていたレベッカ・ゲイツ(SPINANES)のソロを更にパーソナルでダイレクトに迫るようした感じ(?)というか、とにかくギターもキーボードも達者で歌を唄えばLOISが少し逞しくなったみたいなミーガン嬢のイマジナティブさと存在感がよっぽどスゴイ。BLINDERのような不穏なコード使いはもはやほぼ完全に排除されてますが、決まりきった奇数拍子というでもない自由な字余り変拍子の使い方なんかはマイク・キンセラにも迫るセンス。バークリー卒というミーガン嬢の経歴を知ったせいか、アンサンブルの凝りようにもどこかアカデミックな深みを感じます。通り一遍でないおもしろさをドサドサ盛り込んでもイビツにならずに「単純にいい」という感覚を残すってのは理想的。
17 Sep, 2009
▼6月に引っ越してからずっと、朝「とくダネ!」を見れる時間ができていたのに、何故ここ数日になって急に日記に登場しはじめたかというと、世を忍ぶ仮の会社に行くのが嫌過ぎるがゆえに、いままでは朝食をとったあと再びギリギリまで寝る(寝付くか寝付かないかくらいの時間しかないですが)という生活を続けていたからなのです。さすがにそれだと世を忍ぶ仮の出社後も脳みそがスリープ状態すぎてマズいと思って、せめて食事中だけでもテレビをつけることにしたという次第です。今日も岩上安身が相変わらずで安心しました。そしてテーマ曲がGENESISの"Invisible Touch"になっていた。うーん違和感なし、よほどフィル・コリンズ好きがスタッフの中にいるんでしょうな(それとも小倉氏がそうなのか?)。
この流れで今日のレビューは「INVISIBLE TOUCH」にいこうと思って棚を見たら、GENESISは「THREE SIDES LIVE」までしか実家から持ってきてなくて断念。
本日のレビュー:ALOHA「SUGAR」
ということで代わりにALOHA。2年前くらいに出たアルバム「SOME ECHOES」は超GENESISスタイルでびっくりしたもんですが、この2ndは裏DIZZY MIZZ LIZZYだ!と主張し続けて誰にも理解してもらえません。むろん影響なんか受けてるはずないことはわかってますが、こざっぱりしたオルタナ感や軽装ぶり、迂回しながらあらぬフックをひっかけてくるメロディセンス、そして声質そのものが、偶然よく似てると思います。
そんなことはさておいて、このアルバム、ポストロックまさに全盛!という2002年にPOLYVINYLから出て、その手のリスナーに絶賛されたものですが、今こうして改めて単体で聴くと、ポスト云々と呼ばれたのはほとんどはヴィブラフォンが正式メンバーにいるからという気がして、中身の肝心な部分は非常に人肌感のある「今様に着崩したグッドな(エモ・)ロック」ではないかと思います。TORTOISE以下ポストロックと呼ばれたバンド(もちろん別文脈もたくさんありますが)の多くが、ドライで無機質なテクスチャを重ねて重ねて、伝えたいことは特にないけどアンサンブル、ライブではとりあえず全力!て感じのまとまりを見せていたのに対して、ALOHAは至って昔気質の楽曲勝負派。ひとつひとつツブが立ってて、ぬかりない丁寧な練り上げぶりが、次から次へとCDを買わなくなった身にはちょうどいい重量感です。
ということで、エモ/ポストロック/インディロックリスナーのみならず、GENESISファンとDIZZY MIZZ LIZZYファンにもおすすめのALOHAです。
15 Sep, 2009
▼今日も「とくダネ!」をちょっと見た。テレビで見られるニュースネタの繰り返し頻度と実際の重要度がいい加減比例してなさすぎるので、NHK-FMにじっくり耳を傾けるようなタイミングが一日の中にあればいいなと思います。
本日のレビュー:SADUS「A VISION OF MISERY」
スラッシュ/デス界きってのムダ手数指弾きベーシスト、スティーヴ・ディジョルジオを輩出した突撃スラッシャーSADUSの3rdフルです。SADUSといえば当然アタマからしっぽまで超速2ビートで畳み掛けるデビュー作「CHEMICAL EXPOSURE」が最高なんですが、なんとなーく少し後のを聴き返してみたらそれはそれで良いもんでした。ミドル〜スロウパートの比重が上がったもののまだまだ突進シーンは数多くあり、彼らの場合何故だか知らないがそのスピード感が早送り的というか、とにかくノリノリでスッタスタなのです。これ見よがしな変拍子やブレイクつきじゃないから見過ごしがちなんですが、細部の入り組んだキメフレーズの精度もひたすら圧倒的。ちょっとWATCHTOWER2nd以降な空気を取り入れてておしゃれですな。それで何このシンセみたいな妙な音、と思ったときは大抵ベースが無茶している音だったりします。スティーヴ・ディジョルジオが駆り出されているDEATHの大名盤「INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS」での彼のスーパープレイに飽き足らない向きはこのアルバムも必携。SADUSというバンドの魅力が伝わるかという点ではやっぱり初期。
14 Sep, 2009
▼今日ひさびさに「とくダネ!」をちょっとだけ見たらやっぱり和んだ。花王のCMの人も変わっていなかった。今出てる人の前の人がちょっと良かったんですけどね。
▼レコード店用にDOIMOI新作のコメント追加をいろんな人にお願いしていて、その中でKILLIE/SORAのウッチー氏が「ブログでセルフレビューをやっては?」と言ってくれまして、あんまり自分でノリノリでそういうことするのもみっともないかなと思ってたんですが、弾みをつけてくれたんで以下、長々と書いちゃいます。バンドのホームページから流しているニュースレター的なものの中でも以前やりましたが改めて。
本日のレビュー:DOIMOI「DIALECTIC AND APOCALYPSE」
ということで自ら書きます。新しいアルバムに手をつけようと思ったときにまず、「今度は一聴して音が"強い"アルバムにしよう」というのと「収録する曲順のとおりに作っていこう」というのを決めたのでした。前者に関しては、トリオ時代に相当煮え切らないライブをしていたこともあってもっとバカーンといきたいなと思っていたのと、後者はその方がバリエーション豊かかつ無用なブレのない作品になるだろうと踏んだからです。実際本当に、この曲はこのキーとこのテンポでこのコードで終わるから、続くイントロはこういう風に始まったらイカス、というようにして曲を作り足していっていました。降って沸くタイプのコンポーザーではないので、逆に何か条件を限定するものあったほうがイメージを持ちやすいのです。
さてここから収録曲別に。1曲目
"オリンピック"は、DON CABALLEROがRELAPSEから出した復活第1弾アルバムの冒頭曲リフで鳴っていた6弦C(=2音下げ)のエグさに感銘を受け、ヨシこのグズグズズルズル感で1曲いこう、と思ってメインリフから作り始めて割とスンナリ完成しました。AメロのリフがHELMETになってしまったのは成り行き上仕方なし。そこの歌メロの、音程の境目が不明瞭なままとにかくギギギギと上がっていく感じはANTHRAXの"Among The Living"Bメロを意識したんですけど、気付く人はいないでしょう。この曲をラジオ局で流してもらえることになって、タイトルどうしようと思っていた頃にちょうど漫画「AKIRA」を読んでいまして、劇中に出てくる何か象徴的なものから拝借しようといろいろ考えて結局オリンピックに落ち着きました。リアルでオリンピックが開催されている年のリリースにならなくて良かったです。
2曲目
"エクソダス"、これは全然バンドのEXODUSをイメージしたとかではなく、FOO FIGHTERSとブルース・ディッキンソンのソロ(「SKUNKWORKS」の頃)を同時に思い浮かべて作りました。ドドドドドとどこまで踏むのという変な焦燥感。8分の裏でズレる奇数拍子を使いすぎたため、ライブではポカンとなるのを恐れてあんまり演奏できない曲。あとメンバー自身も表拍と裏拍を入れ違えて覚えたまま矯正しきれてなかったりして危険度の高い曲。ちなみに前作でもスピッツを思って作ったのが6曲目"映画"でしたが、FOO FIGHTERSのつもりでこうなるのがDOIMOIです。
3曲目
"小鳥"はKING'S X的なユニゾン感を多分にイメージしています。KING'S Xはどれだけあからさまに意識しても、本家は本家で似たような曲ばかりやってるのでその列に加わったところで特に罪悪感がないのと、気付くひとはごく少数、気付いた人はニヤッとしてくれる、といいことづくめなのでこれからも意識していきます。ギターソロは「ずっと16分なのに覚えれば最初から最後まで口でも歌える」ことを念頭に、かなりじっくり練り込みました。変なタイミングでのハンマリングやチョークアップ&ダウンはやっぱりジョン・ペトルーシ(DREAM THEATER)やピート・レスペランス(HAREM SCAREM)の影響だと思います。
4曲目
"インサルブリアス"、タイトルからもわかるようにこの頃はCARCASSの、特に後期の再評価熱が勝手に上がっていまして、一瞬で吐き気がするみたいなリフを求めて遂に6弦をAまで下げました(3音半ダウン)。アウトロ近くのリフではナットの外側を押さえて開放弦をベンドしております。とにかくバカ。
5曲目
"スチフナー"はもともと全然違うドラムパターンで、サビ以外ずっとキメみたいな曲だったんですが、メンバーの誰にも曲の全容が理解されず、そうなると多分お客さんにも伝わらないよねということで現在のかたちに変更したという経緯がありました。進んでるのか止まってるのかわからないビート感にとにかく切羽詰まった様子の歌が乗るイメージだったのだけど。2コーラス終わってぐぐっと落ちるあたりが勝手にTRAINDODGEのイメージ。あと途中でギターと歌だけになるブレイクはもちろんMESHUGGAH(ファン歴10年以上)。これも奇数拍子が激しいのと、低域に密集した和音が多分伝わりづらいのでライブではなかなか演奏する機会がなくなってしまっています。
6曲目
"TXOK"はこのアルバム中でも1・2を争うぬえ(鵺)チューンです。土台はタイトルのとおりテキサス=KING'S Xとオクラホマ=TRAINDODGEの出会いで、BメロがALICE IN CHAINS、サビはENCHANT(書いても通じないと思いますが良心的な古株USプログレメタルバンドです)、ウッとくる拍子トリックはLED ZEPPELINへの敬意。日本で普通にポッと出てくることがまずない音になったとの自負があるなりに、とてもポップな曲だと思ってます。なおかつ演奏が楽しい曲。
7曲目
"クオーテーション"は1stの頃にイントロのリフだけ存在していたものの、適当な続きが思いつかず長らく放置してあった曲。結局親切な歌を乗せるのを諦めて変拍子+叫びという売れなそうな方向にまとめてしまいましたが、これ以外ないという感じでコンパクト&必要十分に収まったと思います。RAGE AGAINST THE MACHINE+UNSANEのイメージ。あとギター的には「ヤングギター」誌に根掘り葉掘り説明したいこだわりの奏法がいろいろ入ってます。ブレイク部分のヴォーカルにかかっているオートチューンはPERFUME狂のベーシスト篠田君へのプレゼント。
問題曲の8曲目
"ゴモラの滅亡"、これはTESLAの94年作「BUST A NUT」のクールでテンポのいいへヴィネスがむちゃくちゃかっこいいーと思って作り始めたら、RIDDLE OF STEELが割り込んでそのままVAN HALENかGENESISか何かになってしまったという、なりゆき世界一周旅行的な1曲。長いブレイクはまたしてもENCHANT、イントロだけCELTIC FROST。どうせならやり過ぎたほうがいいということで、3コーラス目に入る前に速弾き16分のハモリを投下しておきました。赤面系産業ロックのテイストはこんな感じで今後も上手く使っていけたらと思っています。
9曲目
"カレンダー"、これぞまさにジャスト・アナザー・KING'S Xスタイル。ですが一見普通にいい曲になりました。我ながらそのまんまだなーと思いつつも気に入っています。事あるごとにAメロ→Bメロ→サビ→…の定型ループを無理なく逸脱できないかと思っていたのがこの曲ではうまくいって、どこをサビと呼ぶべきかよくわからんけども盛り上がりの山谷はとにかく必然的、という感じになったと思っています。ガーンゴーンと引っ張るエンディングはTHE LIFE AND TIMESのイメージであったりします。偽メロトロンも入れてみた。
そしてラスト10曲目
"ストレスへのプレニテュード"、アルバム中最も謎なタイトルがついていますが、曲の終盤の歌詞で唇を奪うくだりが出てくるので、スタンダード曲"Prelude To A Kiss(キスへのプレリュード)"を何とか上手いこと崩せんかなあと思ってこうしました。先読みをことごとく裏切る曲展開でトータル2分以下に完結。アルバム最後なのにそりゃないよというエンディングにわざとしてあるので、そのまま1曲目頭にリピートするとよい感じになります。
と結局、レビューどころか単なるイメージ元オンパレードになってしまいました。いくらいろいろ意識しているとはいっても、「中身は他人同然なのにまるでもともとそれが自分自身であるかのようなふり」ではなくて「『あの人はこう言った』と自分の口から発言する」感じになるようにはしています。そんで別にそれが人には伝わらなかったりして、結果的にオリジナルなものになっていればいいなというところです。
13 Sep, 2009
▼今日はDOIMOI2ndの営業で東浦と岡崎へ。岡崎のイオンが独自の法令とか知事とかある/いるんじゃないかと思う広大さで驚きました。あそこにないものは駐車場の空きくらいではなかろうか。そんで時を同じくしてドラムのレーイチ君も、遠征の合間をぬって渋谷あたりでダメ押しの再アタックをかけてくれた模様。あとはご購入を検討していただいている皆さん、無駄に最寄りのタワーで予約したりしてみてください。
本日のレビュー:JUDAS PRIEST「SAD WINGS OF DESTINY」
数日前に1stを取り上げたばかりのJUDAS PRIEST、一緒に買ったこの2ndも相次いでご紹介いたします。76年リリースの本作、とにかく頭から最後まで恐ろしく濃い大名盤でした。その後のプリーストのアイデンティティ、および正統派へヴィメタルとその発展/派生に必要なものはすべて詰まっているのではないかという物凄い質量。DEEP PURPLE〜RAINBOWやURIAH HEEPあたりがヒロイックな哀愁メロ+ハードなリフミュージックという図式を固めつつあったものの、ここまで明確にヘヴィメタル然としたエキサイトメントの中心をつかんでみせたのはこのアルバムが世界初だったのでは…と(世界中の70年代ハードロックを聴ききれてないなりに)思います。
スピードと重さのバランスが計算し尽くされた現代の水準からするとよっぽど要領は悪いですが、語り口として最も重要なのはそんなところではないと説き伏せられる完成度。頭がおかしいくらい硬いリフに狂人じみたハイトーンが乗る"Deceiver"など、METALLICAその他を横目で見つつHELLOWEENみたいなバンドが気張っていた80年代中盤の縮図のようだし、"The Ripper"の字余りサイバー変拍子を組み込んだ異様な緊張感は、プログレッシヴ呼ばわりされるようになった後のQUEENSRYCHEそのもの。"Tyrant"で2コーラス終わったあとの大サビを入れる感じとかも、近頃のいわゆるメロスピにそのままの姿で引き継がれております。
更にこのアルバムの面白いところは、パンの振り方その他のスタジオワーク的な面がまだ未発達で、予想外の飛び方をされるのが時にかなりサイケデリックであったり、あとはやっぱりロブの恐るべき役者ぶり。その後トレードマークとなる超音波スクリームはもちろんのこと、トッド・ラングレン寸前のピアノバラード"Epitaph"で聴かせるような野太く艶やかな低音には驚きました。続く"Island Of Domination"での変幻自在ぶりには完全降伏。80年代型メタリックハイトーンの礎を築いたジェフ・テイト(QUEENSRYCHE)も出発点はここだったんだなと納得です。
メタルであるための作法にのっとって造られたのではなく、「今の時代、向かう先はこんな方向だよね」という感覚の中で自然発生的にできあがったものがそのままルールブックとしての完璧さを備えてしまったという、名盤と呼ぶには理想のたたずまい。バシャバシャしたスネアの音やその他の子供騙しじみた派手さは敬遠するよりほかないけど、たしなみとして「ヘヴィメタル、一体何なんだ」ということだけ知りたいという心の広いロックリスナーがいらっしゃいましたらば、迷わずこのアルバムを。
12 Sep, 2009
▼本日の収穫、近所のタワーレコードでFOE「DO NOT KILL 'EM」。そして米アマゾンマーケットプレイスでBLINDERの後身バンド・THE METHOD AND RESULTのEP(ヴォーカルの女の人、バークリー卒だそうで。納得)と、ダメな感じのグランジバンド・SKIN YARDのアルバムを投売り価格で発見して注文。円高のニュースをみて勇んで買ったのに、知らん間に若干送料を値上げされてて残念無念。
本日のレビュー:FOE「DO NOT KILL 'EM」
10月に対バンさせていただくFOEの、リリースされたて(今月9日発売)の最新作を買ってきました。このジャケ、イラストかCGだと思ったらこういうオブジェの写真だそうでびっくり。鋼鉄改め「メタリカる」と近頃はもっぱら自身の音楽性を形容されておられるようで、直接的な(マニア以外を引かせるような)メタルの符号はさほど登場させずしてそんなテイストのみ演出するというやり方をそう命名したのはいたく納得。バキッとメリハリの効いた低音リフのクランチ感とか、額まわりの血管がブワ〜と拡がる感覚に似たダウンチューニング+ファズの酩酊性を、器用な役者の如くスマートに乗りこなしつつ、ポップ職人が普段使わない余力を全開にしたひねくれコードワークやメロディ運びでもって、かなりアンユージュアルな展望を描いております。うんとカラフルで楽しいQUEENS OF THE STONE AGEというか。G/Voの會田さんはリミックスワークも多いだけあって(なんと我々もやってもらいます)、純粋なメタル畑からは絶対出てこないようなシュッとした音響遊びも随所に仕込んであり、トータルで聴いて凄くヴィジョンのある作品に。こんなアルバムを引っ提げてのリリースツアーに1公演だけでも同席できるとはこれ光栄の極みであります。メタル(的なもの)・イズ・クール、との提案がそのへんの二十歳前後の女子とかにもキャッチしてもらえる時世になっていくと、本当にいいなと、勝手に共闘。
11 Sep, 2009
▼今日は珍しく世を忍ぶ仮の勤め先のみなさんと肉焼いてきました。2回連続で食べ物のことしか書いてないですが、そんなもんです。
本日のレビューその1:THIN LIZZY「CHINATOWN」
これまで散々THIN LIZZYのよさを説いておきながら、このアルバムを通して聴くのが生まれて初めてという大ばか者です。だってMERCURYのリマスターシリーズから漏れてるので。ということでこちら、アイルランドの心優しき薄らオシャレハードロッカーズの80年作。のっけから強烈なツインリードで攻めてくるわけですが、だんだん自己模倣で味が濃く狭くなってきている感も。時代のせいか全体的にはハードさを増していて、決してマッチョではないがゴツゴツバキバキした威勢のよさが爽快。大名曲のタイトルトラックは言うに及ばず、不良ウケがよさそうな高速シャッフル"Sugar Blues"の強引な推進力なんかは最高(ブライアン・ダウニー天才)。のちの"Dedication"〜フィルのソロへの流れの原点かのようなさわやかタテノリビーツ"Having A Good Time"ほか、よく聴きゃそれなりに新しい顔も持ってるアルバムでした。この流れで次作へつづく。
本日のレビューその2:THIN LIZZY「RENEGADE」
エンジニアにクリス・タンガリーティスを迎え、分離がよく軽めのまさに原始HMなサウンドプロダクションになったのがまず印象的です。そんで何故か比重を増してきたサポートメンバー、ダーレン・ワートンのシンセパート。このアルバムがファンから敬遠される理由はひとえにここでしょう。メタルファンは忠義深くそして単純であります。"Waiting For An Alibi"ラインのヴァースで無難に来ていたかと思いきや「LOAD」以降のMETALLICA同然のへヴィなサビにもつれこみ、そして間奏は何故かプログレハード…という"The Pressure Will Blow"、2nd以降のTHE POLICE風の変化球"Fats"など、かなりありえない姿も楽しめて非常に興味深い内容なのですが。あんまり記憶に残らない明らかにつなぎ的な曲も混じってはいるもののそれは昔からのことで、これだけの頻度で名曲が出てくれば充分名盤呼ばわりでいいのに。TNTも何故か「TELL NO TALES」より「INTUITION」の方が名盤と言われがちだったりするように、時代のニーズに合った/合わなかったで後世までどこか間違った評価がまかり通ってしまっているのはどこかで正されてもらいたい。
7 Sep, 2009
▼本日の収穫、CDconnectionから送料半額で届いたHEAVEN AND HELL「THE DEVIL YOU KNOW」、JUDAS PRIEST「ROCKA ROKKA」「SAD WINGS OF DESTINY」、THIN LIZZY「CHINATOWN」「RENEGADE」。満足。藤が丘から原に移転したパスタ屋「ことこと屋」に昨日ひさびさに行ったんですが、セットの体系(フリードリンクへの敷居が上がった)や生麺の具合が微妙に変わっていて、以前の神懸った満足度には至らなくなってました…残念。もはやパスタよりハンバーグでライスおかわりがオススメです。一方、金山の北のはずれにある一見地味な天丼屋「てんこもり」も久しぶりに訪れたらこちらは相変わらず最高でした。サウンドベイ(9月の連休5日間かけてバーゲンやるみたいです、1日も行けませんけども)巡礼のついでにおすすめの天丼505円です。
本日のレビューその1:HEAVEN AND HELL「THE DEVIL YOU KNOW」
発売後5ヶ月経ってようやく買いました。2009年のイケてるメタルアルバムNo.1作品。念のためしっかり説明しておきますと、オジー脱退後のBLACK SABBATHの2代目シンガーとしてロニー・ジェイムズ・ディオ(ex.ELF〜RAINBOW)が在籍していた時期のレパートリーだけを、当時のラインナップ(ドラマーはビル・ワードではなく「MOB RULES」から合流したヴィニー・アピス)で演奏するというプロジェクトがHEAVEN AND HELLです。はじめはツアーだけだったのが、リマスターベストに新曲が入り、そして遂に全曲新曲のフルアルバムという奇跡の流れ。
で肝心の内容なのですが、一旦脱退したロニーが出戻って作ったものの散々「暗い」「重い」「時流にのまれた」といわれなき批判を浴びた不遇の大名盤「DEHUMAIZER」(92年)よりも、「安易にモダン化した」だの何だの脊髄反射的な保守思考によって同じくズタズタの評価をよこされたトレイシー・G在籍中のDIO諸作(特に「STRANGE HIGHWAYS」「ANGRY MACHINES」)よりも、ただひたすらに重苦しく一本調子でストイックなものになりました。メタルファンが喜ぶフック云々の話をすれば「DEHUMANIZER」のほうがよっぽどよく出来た作品に思えます。がしかし世間の評価はもっぱら良い。いい加減「メタルを暗化させるグランジ/オルタナは敵」みたいな化石じみた思考を誰もしなくなって、これぞサバスにもともと備わっていた暗黒様式美そのものであるとリスナーや評論家が理解を示したのか。多分そういうことでもなくて、齢60超えにして観る者の魂を浄化するような凄まじいライブを行ってきた彼らの存在の奇跡性を前に、内容が何だろうと参拝するような気持ちでCDを所持し音に接しているから、であろうと思います。例えツアーでこの作品からの曲を1曲も演奏しなかったとしても、称えられるべき1枚には違いありません。
変わらない変わらないと言われ続けているロニーの声はしかし、さすがに少しはかすれが感じられるようになりましたね。だが表現力の奥深さは全く損なわれることなく、若い頃よりもっと強いうねりをたたえています。あなたが歌ってくれているだけでありがたい。と感謝の言葉を贈りたい早めの敬老の日。
本日のレビューその2:JUDAS PRIEST「ROCKA ROLLA」
奇跡の現役の新作の次は、生ける伝説の語られざる原点を。元祖へヴィメタルバンドのひとつ、JUDAS PRIESTの74年発表のデビュー作。こともあろうにオフィシャルのリマスターシリーズから漏れ、それなりに心あるメタラーからも「初期は普通のハードロックをやっていて…」の一言でいつも済まされてしまうこの1stは、そもそも「SCREAMING FOR VENGEANCE」の横に置いて比べて「そうだね〜パワーも泣きも足りないね〜」と不満がること自体が見当違いだと早くメタル界は気付いてもらいたい。REPERTOIREからの再発がお似合いのペッカペカなファズギターがバックを支え、たまに妙な変拍子を別に妙とも思わない様子で練り込んできて、独特のハッスル具合がこの頃から既にどことなく気持ち悪いヴォーカリゼイションがどこまでも唯一無二。ギリギリのストーナーロックをプリーストが大真面目にやってしまう奇跡
!!という視点でご対面してみると、あらゆるパーツが醸し出す異様な酩酊性と何ともいえないリアリティに、激ヤバ以外の言葉が出ないはず。"Winter Retreat"アウトロの驚愕のラウンジーな展開(!)から軽薄なカウベルが轟く"Cheater"への流れなんて、今わざとやったらとても正気の沙汰ではない。後任のレス・ビンクスやデイヴ・ホランド以上に語られることの少ないドラマーのジョン・ヒンチが意外に味のある叩きをすることとか、何曲かでロブが聞いたこともない声を出すあたりも("Dying To Meet You"の振れ幅の凄まじさ…)最高です。ジョーン・バエズの傑作カヴァー"Diamond And Rust"も秀逸すぎ。ああ買ってよかった。
5 Sep, 2009
▼メンバーが多忙でなかなかバンドの練習ができないので、明日は使わない免許の書き換えにでも行ってきます。この前実家から大量のCDを持ってきて以来、「生まれ変わっても絶対買い直したいほどではない好盤」に囲まれる生活の意外な心地よさにびっくりしています、なんとなくウハウハ状態のテンションになるというか。余分なものがそれなりに大事なようです。いやそれは実は「もうそれほど好きではなくなったかと思いかけていたが、そこからもう一周まわった今改めて聴くと、ただ直進方向に心酔していた頃とは違う楽しみ方が見つかるかもしれない」という「更なる楽しみしろ」の存在ゆえかも知れません。ともかく自分の中で結論が出てしまっている(少なくともそう思っている)ものだけに囲まれて暮らしていると何も変わらなくて、それはそれでダメだなと思った次第。
本日のレビューその1:TRIOSK「THE HEADLIGHT SERENADE」
ということで今日もレビューいっぱい書きたいと思います。まずはこちら、ヤン・イェリネックとの共演盤が秀逸すぎて私の中で凄く話題になったオーストラリアの若手気鋭インストトリオ・TRIOSKの2nd。ポストロック〜エレクトロニカの感覚でジャズコンボの体裁というとTIED+TICKLED TRIOとかTO ROCCOCO ROTとかFONTANELLEとかがおりましたが、このTRIOSKは「1曲ワンテーマで待てど暮らせど特に何も起きない」系ではなくて、ジャズプレイヤーとして訓練された流暢な表現でもってポストロック的な無機質+メランコリーの世界観を写し取るという、内容そのものは異なれどジム・ブラック〜クリス・スピード一派に近い考え方でコンポージングを行っておるようです。ループ/サンプリングの組み込み方もどうもリアルタイムでやってるようで、ライブを見たら恐らくとんでもなく色彩豊か・スリリングな演出に圧倒されることでしょう。「和み系トイトロニカ」とか一時期の盛り上がりがとうに過ぎ去ってしまった感がありますが(MANITOBAの1stとか大事に持ってます)、そのついでに忘れ去られるなんてとんでもない。まだ健在なんでしょうかね。
本日のレビューその2:DK3「NEUTRONS」
これぞTOUCH&GOの隠れたお宝。97年リリース、パーソネルはTHE JESUS LIZARDのデュエイン・デニソン(G./B.)、LAUGHING HYENASその他のバンドを渡り歩いて現在はRETISONICにいるはずのジム・キンボール(Ds.)、そしてFLYING LUTTENBACHERSにも参加歴アリ・シカゴ随一のトンガリブロワー、ケン・ヴァンダーマーク!ちゃんとジャズと呼べるほど柔軟なインタープレイは見せないものの、ポストパンク・ミーツ・アヴァンジャズ的なもの、といった雰囲気をかなーりシブく体現しております。若干EINSTURZENDE NEUBAUTEN風なメタルノイズの組み込み方も全然恥ずかしい感じになってない。部分的にメビウス/プランク/ノイマイヤーの「ZERO SET」が不気味変拍子化したような表情を見せたりもします。何故かツーバスが延々炸裂するタイトルトラックはほとんどVOIVODミーツCHROMEの様相。HOOVER周辺のファンクネス追求型ともまた違う、独特の冷徹さがしびれどころでしょう。
本日のレビューその3:OSWEGO「OSWEGO」
ああ渋すぎる。KEROSENE454とTHE MOST SECRET METHODという、いずれ劣らぬシブ系DCポストコアバンドの残党によって結成されたバンドの唯一のフルアルバム(もう1枚EPがあります)。まさに歳食って枯れきったポストコアとしか言いようのない、どうしようもなくニオイのある作品です。各パートのアプローチ角度は完全にそっち世界のパラダイム下のもの。しかし中身となる歌心はあたかも60〜70年代の、ブロード・マインデッドで焦らないオヤジロック。ライアン・ネルソンはBEAUTY PILLでの仕事も大好きですが、「グッとテンションを落としたからこそ確保された余裕の中で、あらゆるエレメンツに冷笑を添えて小綺麗に披露するポップ感覚」(?)はこちらにも相通じております。そしてJ・ロビンスによるプロダクションも雰囲気充分。全体的に「控えめな名曲が目白押し」な感ながら、超やる気のない"Red"〜"Starless"(もちろん両方クリムゾン)な趣の5・6曲目の流れがやはり秀逸でした。枯れ系は好きだがABILENEは頑固すぎて…というウルサ方(日本に何人いることやら…)には絶対おすすめ。
本日のレビューその4:ROBERT PLANT「FATE OF NATIONS」
やたらシブい流れできたので、シメはこれで。バンド解散後はニューウェイブになびいたりしながらどこか妙な趣味を守り通してきたロバート・プラントが、90年代のグランジブーム/70年代回帰の流れで洗い出された「結局アメリカでロックをやる者はどこかしらツェッペリン的な危ないグルーヴに感化されているらしい」という風潮の中、真打として放った中途半端な1枚(93年作)。生半可な中近東リフがほとんどMETALLICAの"Wherever I May Roam"な冒頭曲は、確か当時ビデオクリップがMTVでそれなりに流れてました(COVERDALE/PAGEのほうがオンエア回数は多かったですが…)。その後もどことなくどんよりしたエスニズムを強調した曲が多く、ツェッペリンファンなら、究極のコスプレユニットであったCOVERDALE/PAGEよりこっちのほうがよっぽど移入できたんじゃないでしょうか。ただ当のプラントのヴォーカリゼイションの張りのなさはいかんともしがたく、色気とか味とかではなくて「歌えてなくて揺れちゃってるだけ」な感じ。しかしそれとてこの男にしかできない揺らぎであるからして、ありがたがるだけの価値は感じます。結局のところ「胸張って買えとはとても言えない名盤」。
2 Sep, 2009
▼何故だか知らないですが今日現在、ヤフーで「録音」と検索すると犬録音サイトが1位に表示されるみたいです。なんでー。
一方DOIMOIのサイトがいつまで経っても某オンラインモール店舗を追い抜けないのは何故かと、googleページランクを測定してみたところ、意外に僅差でいい線いっている模様。外部リンクはなかなかもらえるものではないので、とりあえずHTMLタグの記述をまた改善して、ついでに上部メニューを追加してしかもスムースにスクロールするようにしたりしました
どうぞ。
そうこうやってる間に10/21のライブの詳細が送られてきて、既に連絡をもらって知っていた情報ではあったんですが改めて倒れて死にそうになっています。
本日のレビューその1:MACHINE HEAD「BURN MY EYES」
とりあえず鋼鉄なのを聴いて奮い立たんといかんということで、「この前実家から持ち帰ってきたシリーズ」を続けます。言わずと知れた、ex.VIO-LENCEのロブ・フリンによるバンドの94年1st。この手のPANTERA感化組はこの頃それなりに大勢いたはずなんですが、その中でも元ATLANTIC所属の人気スラッシャーがやっていたというのと、やっぱり小技に溺れないズバズバッとしたわかりやすさがあったのと、あとは当時ノリにノッていたROADRUNNERの後押しもあって上手く時流に乗ってブレイクできたのでしょう。その後スラッシュ界の売れっ子渡り鳥と化すクリス・コントスのドラミングの凄まじさも特筆すべき要素です。コンプガチガチに加工されてもなお伝わるパワーヒッターぶりと、白熱すればどこまでもつんのめるオセオセなリズム感覚。メタル界が大して進化してないというのもありますが、15年経っても意外に古びてない作品なのでした。
本日のレビューその2:TORQUE「TORQUE」
ついでにこちらも。VIO-LENCEのもうひとつの残党、ギタリストのフィル・デメルとベースのディーン・デルが組んでいたTORQUEの96年作です。リリースはオランダのMASCOT RECORDSと、MACHINE HEADとは天地の差。プロダクションがスカッと突き抜けなかったり、ヴォーカルがひと昔前の吐き捨て型スラッシャー風でいまひとつパッとしなかったり、音楽的内容としては別にMACHINE HEADとさほど大差があるわけではないのにとにかく「おっしゃコレだあ〜」と世の中が動くには至らなかった盤です。VIO-LENCEの好きだった部分をよくよく思い出すと、鋭いクランチリフ…を従えて鮮やかなフィルを炸裂させるドラムであるとか、高音でキイキイ叫ぶいかれたヴォーカルであるとかがむしろ鮮烈に出てくるかと思うので、その面影を求めるにも微妙。だがしかしその決して目立ちすぎることのないセンスの良さが旧友に認められてか、フィル君は途中からMACHINE HEADに加入することになったんですね。今どうなってるか調べてないですが、円満にやっていればいいなと思います。あの狂人シンガーと華麗なドラマーはどこへ行ったんでしょうか。