物色日記−2004年2月

※頻出語句解説はこちら
  2月29日
▼今日は久し振りにちゃんとCDを買いに出掛けました。やっぱりブックオフやアマゾンに頼ってばかりいてはイカンです。本日の収穫、本店にてTRANS CHAMPS「DOUBLE EXPOSURE」(TRANS AMとTHE FUCKING CHAMPSの合体ユニット!)、THE MUFFINS「MANNA/MIRAGE」、DAVID SINGER「THE COST OF LIVING」(DEEP ELMからのリリースもあるSSW)、MICROPHONES「IT WAS HOT WE STAYED IN THE WATER」、CHICK COREA & HARBIE HANCOCK「AN EVENING WITH CHICK COREA & HERBIE HANCOCK」("Mayden Voyage""La Fiesta"など収録の79年デュオライヴ)、HAEMORRHAGE「EMETIC CULT」(スパニッシュ・ゴアグラインド名バンド!)、名駅店にてFATE「FATE」(MERCIFUL FATEの元メンバー達によるバンドの85年作、2000年再発盤)、バーゲン品300円でDANGEROUS TOYS「HELLACIOUS ACRES」(WATCHTOWERの1stで歌っていたジェイソン・マクマスター在籍バンド!)、DESTRUCTION「CRACKED BRAIN」(シュミーア抜きの90年作)。

▼なか卯の豚丼は先日既に試しまして、豚であることを忘れさえすれば牛丼とほぼ変わらぬ効用の得られる品であるとの手応えを得ました。今日は遂に、真打ち吉野家のカレー丼、いきました。性転換をした長年の友人に手術後初めて顔を合わせるような心持ちで。さて詳細にリポートします。まず一口目、悪くないというか変な味はしない。目視で確認できるサイズの具(玉葱と細切れの豚肉)の存在や、丼ものはそれ一杯で食事が完結するものであるという先入観による助けもあり、トッピングなしのココイチのポークカレー(400円)よりダメという感じはこの時点で特にありません。今まで紅生姜が入っていたケースの中身が福神漬に変わっているのが目に留まって、今度はそれと一緒に食してみたところ、たちまちカレーの風味が曖昧に。デフォルトの状態のを空腹で食って「あカレーだ」と認識できるギリギリの薄さに作られていたということにここで気付きます。確かに色からして中途半端だし、恐らくはカレーうどんに使うようなカレーを更に何かチャラいもので希釈しているんでしょう。福神漬が際限なく進んでお得感を自らプラスできるココイチと俄然差がつきます。ああミッキー吉野家(※1)もとい吉野家、ぼかーちょっと残念ですよ。せめてCELTIC FROSTの「COLD LAKE」(※2)くらいのを期待してたのに、これじゃクォーソンのソロ(※3)じゃないですか。これを裏切りとは呼びませんけどね、愛ひとつで今後も通い続けるのはちょっと難しいですよ。もはやYESとは思えない「90125」(※4)やABWH(※5)よりSTARCASTLE(※6)聴いちゃうわけです。だけど各チェーンこぞって考案した代替メニュー群の中で吉野家が一番ダメだったってのは、むしろ凄く前向きに納得のいく話で、たとえなか卯で豚丼食ってても内心、吉野家の並+タマゴ+けんちん汁=440円また食いてーなぁと思いながらいるのは確実なんです。勝手に吉野家に愛を感じ過ぎですか?どのみちあるかないか判らんものだから感じ過ぎるのも勝手でしょう。クォーソンのソロは依然売り飛ばせないし、吉野家も支持します。

※1:本秀康の漫画「レコスケ君」に出てくるジョーク(ミッキー吉野はゴダイゴのメンバー)
※2:スイスの暗黒スラッシュメタルバンドがいきなりLAメタル路線に大シフトしたものの生来の悪魔臭がちっとも抜けきらず全然陰湿だった問題作
※3:元祖ブラックメタルとして名高い一人ユニットBATHORYのクォーソン氏が90年代に入ってソロアルバムを制作、BATHORYの影は微塵もないグランジかぶれのALICE IN CHAINS崩れという無残な内容だった
※4:プログレバンドYESが80年代幕開けとともにMTVポップスと化した有名な問題作
※5:YESを離脱した元主要メンバー達が活動中のYESと並行して結成したユニットで、唯一リリースしたアルバムは当時のYESよりもYESらしいとの一般的評価だが実際は割とツライ内容
※6:「アメリカのYES」として語り継がれる重厚長大時代YESの伝説的ソックリバンド

【只今のBGM:THE MUFFINS「MANNA/MIRAGE」】


USレコメン筆頭バンドの、これは78年作1st。この頃はまだ「太陽と戦慄」+カンタベリー(HENRY COW〜NATIONAL HEALTH)+若干チェンバーてな感じで、アメリカ特有の荒涼としたマスロッキンな攻撃性はまだ抑えめ。RIOに我々も同調致しますと宣言してる段階といったところでしょうか。エレピがやたら印象的に使われていて、感触はフュージョン時代の英国ジャズロックそのものです。模倣臭が一気に抜けた次作「185」が本当に素晴らしいだけに、少々肩透かしではありますが、この手のバンドのデビュー作としては充分評価できるクオリティでしょう。損はしません。内ジャケのメンバー写真で一人、カメラの三脚を手にしてる人がいますが、趣味なのか、ジョークなのか、何かのステイトメントなのか。

  2月28日
収穫はなし。そろそろ目鼻がダメです。凍頂烏龍茶が大して効かないのは安いの飲んでるから?何が嫌かってむしろ、月並みに流行りの病気を患ってることがつまんねーっす、ダセーっす。聴覚にフェイザーがかかって生活ノイズが全部サイケになる病気とか、どっちかといえばそんなのがいいなあ。

【只今のBGM:LANDING「OCEANLESS」】


Kのコンピに入っていた1曲がやたら良くて、後日このフルアルバムを見つけたので買いました。そのコンピ収録曲はラリッて漫然となったAMERICAN FOOTBALLみたいな感じだったように覚えてますが、ここではひたすらサイケ一直線。ポストロックの流れに入れてもらいたげな頭良さそうなドローン系とはまた少々違う、やってみようかと思った、やってみた、的なある意味わかりやすさのある初期ジャーマン音響風の適当さがみなぎってます。調性的には割と親切だったりもしますけど。25mプール満杯の水に薄めたTRISTEZA、初期フローリアン・フリッケな激低速マニュエル・ゲッチング、北極の白夜の彼方によぎるファラオ・サンダース、等々、そんな感じです。とにかく例のコンピの1曲が凄く良かったという印象だけで向き合ってるので、ひたすら肯定的になってしまってますが、地味といえばTHE FOR CARNATIONよりもMICROSTORIAよりも地味。最近の他のアルバムを聴きたい。

  2月27日
収穫はなし。スイングジャーナル読者の皆様、こぶ平の論評って如何なんですか?今日の「たけしの誰でもピカソ」に17歳・天才・女子高生・サックス・プレイヤー・!の矢野沙織が出演してて、パーカーナンバーを1曲披露したあとのこぶ平(同じくゲストとして出演)のコメントが「いやー、良いですよねー、ストレートなジャズで」でちょっとガッカリして、そのあと昔ジャズ喫茶でバイトしていたというたけしが「あれだよな、バードって云うんだよバード。あとあの頃は色々居たよなソニー・ロリンズとかさ、ジョンッ・コルットレェーンとかさ」と嬉しそうにサックス奏者の名前を挙げはじめたところに入れた「マイルスとかね?」との横槍でもうひたすらうなだれてしまったのですが…。それだけのサンプルでこぶ平のポテンシャルを見通した気になるのも乱暴な話ですけども、「ペイジとプラントが背中合わせで立ってさあ、二人とも背高くて髪長くてシビレるんだよ、リッチーは黒魔術とか言ってて当時は俺馬鹿にしてたね。」程度のノスタルジーを立つ瀬にしてもの書いて金取れてるのなら、ショウビズとは世知辛いものでございます。

 ちなみにその17歳の矢野さんは、ドメスティック学生クラシックピアノ弾き的に流暢という意味において、巧いといえる人ではありました。それと共演して何かのスタンダードを1曲歌っていった、これまたゲストの氷川きよしが、演歌グルーヴに全筋肉を支配されたような四角い歌いっぷりで、「る」が「ゐ」でプリントされていゐ台湾製品みたいでした。

【只今のBGM:STRYPER「SOLDIERS UNDER FORTUNE」】


先月のこの欄で大絶賛したSTRYPERの85年2ndです。ああ、これでしょう。80年代は。SHYの「EXCESS ALL AREAS」同様、どこを切り取っても完璧。非クラシカルかつ確実な泣きとアメリカ・ノリの体力、これの両立は米・欧州いずれのバンドにとっても難しいことです。ありそうでなかったTNTとFIREHOUSEの掛け橋みたいな、正に80年代の夢の結晶だと思うんだけどなー。マジで全員、今すぐ、深夜ならばアマゾンで、買えるだけ買って下さい。あとドラムサウンドが(当時のメタルとしては)割と堅実な生っぽさでなかなか良い一方、やっぱりベースが異常に小さいのは何故でしょう、可哀想です。

  2月25−26日
▼両日ともに収穫はなし。21世紀、あなたの隣に青色ダイオード。歩行者信号の白抜きの人が、ダイオードの個数節約のためなのか、今までと色のついた部分が反転して真緑の人になってしまって、あれ凄く気持ち悪くないですか。

【只今のBGM:THE POLL WINNERS「STRAIGHT AHEAD」】


満面の笑顔でストライプのポールにつかまっていた3人の18年後、75年の録音盤です。角刈りスーツ紳士だったシェリー・マンがすっかり爆笑問題・田中になってしまっていて哀しい限りですよ。内容は基本的に相変わらずの安心ハイクオリティ。ピアノレス・ホーンレス独特のスキマ扱いが更に熟達してて、"Caravan"やら"Someday My Prince Will Come"やらが大変なことに、この3人以外あり得ん姿に変貌してます。部屋感を忠実に再現するロイ・デュナン・サウンドの方も相変わらずではあるんですが、中高域の拡がりっぷりの割に低音がずるんと滑り出してくる感じが減って、その分もろにレイ・ブラウンの陰が薄くなってるのが無念(再生装置の質と設定によっては却ってもの凄くリアルになるのかも)。1曲だけ入っている彼のオリジナルが30〜40年代風の和みチューンで凄く良いんですけど。ともかくこの中の誰か一人でも好きな人なら普通に買いです。

  2月23−24日
▼23日は収穫なし本日24日の収穫は店舗改装につき円盤屋洋楽店が前あったところに仮移転中の大須グレイテストヒッツにてJONI MITCHELL「LADIES OF THE CANYON」(70年)、ERIC'S TRIP「PURPLE BLUE」(96年)、STEVIE WONDER「MUSIC OF MY MIND」(デジパックリマスター)。最近のレコーディングは、家に帰って録れたのを聴いてハズレってことが減りました。マイキングに疑問をもったりコンプ/EQ/リヴァーブ使いに苦闘する前に、演奏の練習とマトモな音作りが大事っすね、本当に。

【只今のBGM:JONI MITCHELL「LADIES OF THE CANYON」】


70年の、これは3rdにあたるようです。いや〜ヨロシイですよ。まだフュージョン色は全然なく、普通の歌度(喋り歌い度に対する)も高め。しかし独特の頼れる硬質感は既にバリバリ健在です。ああ、こっちの方が好きだなあ。ジャコパスとかと絡んでる頃より。下地にはフォークがあるのに、ポヤーッとした平和ボケ・愛ボケ感は排除されたかの如く一切窺われず、譜面的な要素よりジョニ女史の存在感が強い女!て感じで圧倒的な求心力をもつ、なかなか他では聴けない完成度だと思います。アレンジの完璧な必要充分性も見事。ジャケも録音も良いし、なんだ名盤じゃないですか。買い買い。

  2月20−22日
▼サーバメンテナンスで更新ができないのをいいことに怠慢中です。3日間に渡って収穫はなし。昨日のことや一昨日のことを詳細に書くのもどうにもやる気が起きんですが、飲んだり、録音したり、日々それなりに何かありながら暮らしています。もとより毎日わざわざ書き記す必要もないことを書いているといえばその通り。こういう趣向の人間が何の気なしに口にする「今日何買った?」と「今聴いてるのそれ何?」の回答を一方的に垂れ流して、フーンと思ってもらえればそれでよい、というスタンスの日記です。それ以上何を書いても皆さんの明日着ていく服や来週の休日の過ごし方には係わるところがないわけで、余計なことが書いてある日は構わずばーか、知らんわ、と侮蔑のヘドを吐きかけて下さい。(皆さんのPCのディスプレイにね!)

 さて、三歩前のことはトリのように忘れて、今日は久々にthe world's heaviest heavy metal magazine、BURRN!を立ち読みで読みました。EUROPEが知らん間に再結成してるわ、TESLAもオリジナルメンバーで再結成するわ、WARRANTからジェイニー・レイン(Vo.)脱退とかいって逆にWARRANTの健在を知るわで、気分は竜宮城帰り。BURRN!を立ち読みだけして買わないのはメタルへの背信行為になる気がして、買わなくなってから今まで殆ど立ち読みはしてこなかったけど、2004年の今ジョー・ぺリーとポール・スタンレーが表紙ってのはやっぱり不健全でしょう。つまるところメタル(とBURRN!)は良心を残しつつ進化することが激しく下手な音楽(と雑誌)になってしまったのか?若手の新星といっても往年のHELLOWEENやイングヴェイをイデアとしてそれに従ってるだけっぽいし、挑戦的になろうとする連中は大抵大事なところを台無しにするし、上手くはみ出したバンドはフォローされず。今更MOTLEY CRUEやロブを旗手にでっち挙げて正面からのメタル復権を叫ぶのは凄く自虐行為だと思うんですよ、他の新しいオプションを見定めて、今なりの活路を見つけないと。凋落するフォーディズムを諦めきれないヘンリー社長と変わらんではないかと。なので未だ、もっぱら↓のようなのにグッと来るしかない。

【只今のBGM:AC/DC「POWERAGE」】


78年名盤!ボン・スコット何で死んでんだよーとこの期に及んでまだ思うカッコ良さ。「HIGHWAY TO HELL」以降も無論素晴らしいですが、これはこれで成功前夜のえも言われぬ加速度がまた格別です。むしろ背負わない者ののびのびした良心ロックンロールが堪能できて、個人的にはコッチの方が良いなあ。現金なメロディラインや各種トリックに頼ることなく、シンプルなリズムを土台に素材の活き具合だけで勝負するのが当然のように昔ロックバンドのしのぎの削りどころだったことを再認識します。生っぽさを殺さず程よく締まったプロダクションもこの時代のものとしては文句なしどころか秀逸の部類。ギターサウンド特にシビレます!!ソロアルバムでAC/DCの原型が見えないカヴァーを大量に披露して度肝を抜いているマーク・コゼレク(RED HOUSE PAINTERS)もこのアルバムからは3曲もやってます。彼がここからロックを学んだなら凄く良い話。

  2月19日
▼こんばんは。本日の収穫、千種HALF WAYにて矢野顕子「PIANO NIGHTLY」。8〜9月頃に企てて失敗した、バイト先BGMの独自編集CD-Rによる乗っ取り計画ですが、現在は何とか3枚チェンジャーの2枚分の占領に成功中です。開店5分前くらいに流れ始める、disc1にセットされたベタベタ・ジャズ・スタンダード編の1曲目が「RELAXIN'」収録"It Could Happen To You"で、イントロのレッド・ガーランドが無茶苦茶爽やかなので「あー、いい朝」といつも満足してます。トレーンはふらふらですけど。

※お知らせ:
サーバのメンテナンスで20日金曜から翌週木曜までファイルのアップロードが出来ないようです。その間の分は、いずれアップしますが、メンテナンス期間中は掲示板にも随時コピー・ペーストしていくつもりなので、しばらくの間そちらをどうぞ。

【只今のBGM:矢野顕子「PIANO NIGHTLY」】


店頭の値札にあった但し書きどおり、レーベル面のキズのせいでノイズがバシバシ入る数十秒があって非常に残念ですが、300円だったし、いずれちゃんとしたのを見つけて買い替えます。これは95年の完全ピアノ弾き語りカヴァーアルバム(1曲のみオリジナル新曲収録)。当然の如くサイコー。ハネないビート感が気持ち良く進むキース・ジャレットの系譜のポップなピアノと、口から出るご存知の声とが、境目がないほど絡まって歌いに歌っております。強制フィルターで全部均一化するだけとは対極の、然るべきように心で歌いこなした結果いつも完全にユニークになってしまうという、お得なというか恵まれた人ですね。勿論、人知れぬ積み上げがあってこそ大成した才覚なんでしょうけど。もはやここまでになると楽しそうに、好きなものを愛でながらやってるなということ以外は、窺う隙すらありません。こちらも無心に歌心を堪能すればよい。ヘッドフォンで聴くと指が鍵盤に当たる音(あるいは鍵盤が沈んだり上がったりする音)が時々つかつかと小さく鳴ってるのがわかるような録音になっていて、物音/残響フェティシストにとってはちょっとした色気ポイントです。

  2月18日
収穫はなし。DEERHOOF再来日の東京公演の前座に二階堂和美さんも出演すると知ってたちどころに東京遠征を決定してしまった今日この頃、おりしも大学のサークルで一時的なDEERHOOFのコピーバンドの練習をして参りました。本家同様ビールケースにバスドラ・スネア・クラッシュの気合充分3点セットで臨んで、出来はなかなか。DEERHOOF、マトモに聴き込むほどに、崩壊とポップのバランスとか色んなものを結構新しい地平にもっていった実はスゲー人達なのかなと思います。アヴァン職人としての底力はアルバム「REVEILLE」を参考のこと。ドラマー役の私は、あとはフォハッフォハッと突沸のように笑わなければいけない。

【只今のBGM:ERIC'S TRIP「LOVE TARA」】


SONIC YOUTHの曲名にあやかったバンド名の冴えなさが印象的なSUBPOPバンドの93年作。ジュリー・ドワロンが在籍したということで近頃はネット上でも時々名前を見かけます。私もジュリーさん絡みの方向から知ったクチなんですが。さて内容は、BEAT HAPPENINGのような極初期SUPERCHUNKのような、あるいはそのまんま「GOO」あたりのSONIC YOUTHみたいな、要はインディロックがすべからくローファイパンクだった頃の王道のそれです。メンバー4人中3人がヴォーカルを執るらしく、ジュリーさん目当てで買っても満足度は低め。たまに出てきても歌は割と普通です。ただ、ゴガーゴガーと速い曲のコードストロークをアコギに持ち替えてやっただけのようなションボリ弾き語りチューンも混じっていて、この手の枯れ系SSWの発生過程が垣間見れるようでナルホドって感じです。基本的には冴えないイメージが覆らないまま。変なもので、こういうバンドこそ知らない間に中古でコンプリートしてしまいがちじゃないですか?

  2月17日
収穫はなし。昨日今日あたり、名古屋は依然寒いような暖かい方に向かっているような、ぬるくなった風呂の湯の中に温かいひとすじを感じた気になったようなならないような感触に似ているといえば似ている、思わせ振りの気候でございますが、あっ涼しいね!と判り易いフェイズシフトが訪れる秋の直球の嬉しさとはまた違う情緒があるものだなと思います。身の回りの人が着実にハナをすすり始めていくのもそんな感じ。季節の話題をしだしたら相当何もないってことです。

【只今のBGM:GUIDED BY VOICES「HOLD ON HOPE EP」】


99年の「DO THE COLLAPSE」からのカットと同時期のセッションのアウトテイクを集めた、太っ腹の9曲収録のEP。ただただこの頃のこの人達の姿が切り取られているのみです。突き抜けたメジャー感が顕著だった01年の「ISOLATION DRILLS」と比べると少々ビンボーな装いでもって、本質的には昔から変わらぬごく良心的なUS・DIYポップをやっています。SUPERCHUNKのカワイさの代わりにダメさが存在するような。初期の激ローファイなのもそれなりの味ですが、私はこれくらい整然としたプロダクションの方が普通に楽しめるなあ。AMGで評価を見るとフォゲッタブルだのモノトウナスだの言われてて、確かにその通だけど、それはいつものことでしょう。ちょっとYESみたいな多重コーラスがエモくてグッと来る2曲目、やたらハイテンションな御機嫌リフが印象的な7曲目あたりは普通に出色の出来だと思います。ファンならずとも格安であれば買い。

  2月16日
▼担保があると銀行の預金残高をマイナスに出来るということをご存知でしょうか?25日以降の自分からのカワイイ前借りと言って下さい。シャとか言わない。二階堂和美さんの新品があるかなと思って行ったサウンドベイ上前津で本日の収穫、THE BAND「CAHOOTS」(2000年リマスター)、THE POLL WINNERS「STRAIGHT AHEAD」(76年)、RAY BROWN「SOMETHING FOR LESTER」。今回もバーゲン情報は入手できませんでしたが、例年どおり3月にあることだけは確定のようです。そんでそのまま引き下がれずパルコ東館のタワーに向かい、ありました二階堂和美「また おとしましたよ」。ついでに値下げワゴンもあってGIANT SAND「CHORE OF ENCHANTMENT」(2000年THRILL JOCKEY)、AC/DC「POWERAGE」、JUNOTHE DISMEMBERMENT PLANのスプリット、GUIDED BY VOICES「HOLD ON HOPE EP」をいずれも格安ゲット。給料日までもたせるつもりの自分からのカワイイ前借りが…

【只今のBGM:二階堂和美「また おとしましたよ」】


いやはや笑顔が素敵な姉さんでした。これは昨日やってた曲がガンガン入ってる最新作です。頭の中で鳴っている音を口と手から強引に全部出すようなステージを見せてくれたわけですが、音源はというと別段インストパートが山ほど増えているでもなく、ライヴどおりの弾き語りを基調にもっぱら声を重ねる方向で作り込んでおられます。雰囲気としては童心に帰った矢野顕子的BJORKがウィル・オールダムとミック・ターナーの共演EPあたりに憑依しまくったような感じで、KLIMPEREIばりの奔放ノリが愉快なばっかりかと思いきや時々ラジオのチューニングを間違えたかの如く悩ましい戦前歌謡みたいなのが混じってきたりもして、「遊び心満載の…」といかにも言われたげなのとは違う不測かつ素直な楽しさで溢れかえっております。ライヴでの大ハッスルに比べると若干落ち着き気味な気もしますが、これはこれで近所迷惑な絶唱をしようにも出来ない宅録テンション・ヴァージョンってことなんでしょうか。かなりオンマイク気味に重く録ってコンプもぴつぴつに掛けて声色の端から端まで丸裸にしてしまうか、アルビニ録音のシャノン・ライトくらい正直な部屋リヴァーブを全部収めてしまうようなプロダクションだったら、より最高だったのに。昨日ライヴで演奏されて「チェロが鳴ってるような曲だなー」と思いながら半ば本当に聞こえているつもりで聴いていたこの2曲目にホントにチェロが入ってて、俄然応援していくことに決めました。

  2月15日
▼昨日の晩に突如一念発起して、500円高い当日券でジェン・ウッド&二階堂和美を今池得三まで見に行って参りました。いやー大充実でした。カノーヴァンでのジュリー・ドワロン&TEASIの時と勝るとも劣らん感動。二階堂さんが壮絶だった分今回の方が上だったかも?詳細はライヴリポートにて後日(未だ先月のEXTREME THE DOJO Vol.7すらアップしておりませんが、そのうち全部書きます)。物販でTシャツやCD買いたかったのに直前に今池P-CANに寄ってしまったため残金足らず、外まで走ったのにATMも日曜夜ということで取り扱いしておらず(365日24時間じゃないんかいUFJのあほ!)、てことで本日の収穫I POOH「ALESSANDRA」、YATTERING「MURDER'S CONCEPT」(ポーランド激ブルータルデス)、BLOOD DUSTER「STAB OUTTA NORTHCOTE」、DEPRESSION/HAEMORRHAGE「ZUR STILLE FINDEN/LIVE IN THE MORGUE」(スプリット)、そしてギリギリ買えたJEN WOOD「JEN WOOD」(4曲入り最新EP)。二階堂さんグッズが買えなかったのが至極残念!とはいえ、ライヴの物販で物を買うのは、記念半分、良いもの見せてくれたアーティストへの感謝半分なので、買えない代わりに帰りがけに二階堂さん本人に直接「素晴らしかったです、楽しみました、また名古屋来て下さい」と声を掛けさせてもらいました。先日のENONのトーコさん然り、相手が日本人だとこういうことをちゃんと言いたいように言えて良いですね。クラブ規模の会場で見れるような国内アーティストのお気に入りが増えると楽しそうだなあ。CDは後日購入しようと思います。

【只今のBGM:JEN WOOD「JEN WOOD」】


てことで会場で買った最新EPです。日本のFACE HAND SHYリリースですが、外盤が存在しない品で、裏ジャケなどに日本語も皆無ということで安心して買いました。内容は、見てきたライヴそのまんまの、弾き語る本人と、ベース/エレクトリックギター/キーボード/コーラス氏(日本人)、ドラム/コーラス氏(男前)のトリオ編成での録音。この手のインディSSW一派の中では若干フツーの乙女風の声をしてる人で、路線としてはメランコリックな女性版OWEN(特に2nd)、あるいはちょっと可愛らしくなったK.(IDAのカーラさん)てなところでしょう。女性らしいたおやかさが結構強く、時に暗かろうと、ささくれ立ったスローコア臭はそんなにしません。アラニス・モリセットが2nd以降も好きとかいう人でも全然問題ないのでは。「あなたの周りを私の腕で包んで/愛してると言うの/あなたがどこにいようとも/私のすぐ近くにいてくれると判ってる」なんてサラッと歌われるとちょっとビックリもしますが、そんな彼女はまだ20代半ばの若さだとか。変に達観していない乙女の実直な自分語りに対面できるといった感じで、何言われても全部ポジティヴに聴けます。そこへもっていけるだけ歌に説得力があるということでしょう。心洗われるってこういうのに使う言葉なんだなー。

  2月14日
収穫はなし。脳ミソってねー意外とエネルギー使うんだよ、とつい最近のテレホンショッキングでタモリが力説してましたが、録音に熱中した後にえらく空腹になってることはよくあることです。宅録ダイエット流行りますよ絶対。

【只今のBGM:JOURNEY「CAPTURED」】


やけに歓声がデカい81年のライヴ盤。いかにもなサウンドボード録音くささがありありと残っている演奏部分と、ぺったぺたに均された客席マイクの声とが驚異的にミスマッチで、当時そこそこ売れてて金もあっただろうに、どうしてこんなプロダクションになったんでしょうか。ウソ・リヴァーブで会場感を稼ぐなり、歓声を落として潔くブートみたいにいくなりすれば良かったのに。さて私はJOURNEYの好きなアルバムといえば「FRONTIERS」くらいしか挙げられないようなダメダメ・素人なので、この盤はこの時点までのキャリアからの都合のよい抜粋というつもりで聴いています。昔はEAGLESをハードロックにしたようなのだったと解釈して正しいんでしょうか。BOSTONみたいなギラギラした意味不明の高揚感は別にどこにもありませんね。宇宙船もいないし。「FRONTIERS」で見事花開いた叙情性はどこから来たのか謎です。にしてもニール・ショーンのギターは速くて流暢だけど聴き流してしまうようなタイプだなー。何でそうツルツルとフレーズが出てくるのって人とは何かが違う。あと裏ジャケのスティーヴ・ペリーが、ゲディ・リーに見えて仕方ありません。とここまで散々冴えない評価できていたら、ラストがスタジオ新録(当時)曲でビックリしましたわ。既に産業ロック路線を往く作風でグッドです。これは買って良かった。

  2月13日
収穫はなし。近頃はもっぱらアマゾンでまとめ買い→貧乏→リアル物色不可能→家にいる→アマゾン、というサイクルに陥ってしまって全然ヘタレです。4日に1回はどこかのバナナに出掛けていた頃のヴァイタリティはどこ行ったんでしょうか。あー嘆かわしい、闘わない自分は死ぬ程嘆かわしい。岡崎店の移転バーゲンだって20日開始だけど給料入るまで行けないっぽいし、こんな奴はレコガールにひねもす罵倒されて1000回死ぬべきでしょう本当に。偽メタルに死をとMANOWARも言ってるわけです。偽メタルってのはTENとかROYAL HUNTとかそういうのであって、死ねとか言っていいんですよ。死ねくらい言わないとダメでしょう。実際。マイク・ミューアが繰り返すsuicidalなる単語は、本当はポジティヴな意味合いを背負ってるんでしてね、やっぱり死ねとか、思ったり言ったりするくらいじゃないとダメなんですよ。「愛」と「死ね」を物事の評価基準として持つのは大変結構じゃないですか。愛は信用と尊敬と肯定であり死ねは全か無かというアティテュード、この符合するでもなくシェアしあう二つの観念がここ数年、大きなテーマになっている気がします、私の。知るか、死ねと、死ねと今言って下さい。さておき、この日記を見てみても毎日「愛」と「死ね」のことしか書いてない気がしませんか?そんなことないですよ。そんなことないです。

【只今のBGM:PITCHBLENDE「GYGAX!」】


変種DCポストコアの96年作。これが3rdにしてラスト作になるそうです。何かにつけ変なポストコアを「VOIVODの子孫だ!」と言いたがるのは何を隠そう私がVOIVODを大好きでVOIVODに偉くなってもらいたいからに他ならんわけですが、この人達こそUNION OF A MAN AND A WOMANとも比較にならないくらいのVOIVODワナビー・バンドであったと断言します。リフから漂うニオイ、ヴォーカルのテンションコントロール、突発テンポチェンジの勘に至るまで、「DIMENSION HATROSS」〜「NOTHINGFACE」期のVOIVODの流儀を忠実過ぎるほど継承しているに違いないことは、本人達が音でそう宣言しているといっていいくらいに明らか。それでちょっとFUGAZIみたいなのに感化されれば自ずとこういう音になるでしょう。ここから希釈されてVOIVOD臭が屈折ポストコアの基本ツールとして蔓延していったのでしょうか。高校時代に「NOTHINGFACE」をほぼ丸覚えするまで聴いた身としては何だかデジャ・ヴみたいなアルバムだなー。さっきから本当にVOIVODのことしか書いてませんが、高円寺百景を語るのにMAGMAを、JAMIROQUAIを語るのにスティーヴィー・ワンダーを引き合いに出さざるを得ないのと変わらん勢いなので仕方がありません。クオリティとしては優れてるし卑下したいわけじゃ全然ないです。こんなんが存在してるという現象がひたすら興味深い。

  2月12日
▼(本秀康の漫画の登場人物風に)ブックオフって漫画安いし、いいですよね。特に私みたいにレコ屋めぐりを生業にしてる者にとっては、満足の品を探して買いたいっていう欲求が安上がりに解決されるって点で、禁煙パイポみたいなモンです。だけどこれ、消費中毒のリハビリにはな〜んの役にも立ちません。バナナの代わりにブックオフに行ったって、買うことをやめたくなるわけじゃない。だから漫画買うのもCD買うのも一緒。どっちかっていうとCDの方が嬉しい。どれだけ漫画を買っても、CDはCDで買いたいものを買えるだけ買っちゃうわけですよ。結局道楽に拍車がかかっただけっていう、どうしようもない人です。収穫はなし。「君の友だち」収録の「アーノルド」に出てくるトリ号がいいなあ。

【只今のBGM:NAT ADDERLEY「BRANCHING OUT」】


キャノンボールの弟・ナットの58年リーダー作です。コルネットってよく知らなかったんですがほぼトランペットのような楽器なんですね。若干ホゥワッと丸い音色をしとるようです。内容の方はノリノリのアーシー大らか系ハードバップ。コルネットの若干ノンキな響きゆえか、金管以外がやけに渾然一体として引っ込んだ録音のせいか、私の苦手なブレイキー的ノセノセ感がないこともないけどそれもちょっと膜を隔てたような感じで聞こえてきます。好ましいです。(ジョニー・グリフィンが威勢良くブッ放すと一気にそっちノリになってしまいますが。)このファンキーにしてブルージー過ぎない、気前の良い優しさに泣けるようなアメリカ感ってのが好きなんですわ。全編景気良く飛ばしておいて、ラストだけ堂々とバラードで締める構成もニクイ。フラッシーな要素は少ないけど何だか愛せる盤です。

  2月11日
本日の収穫、ブックオフ杁中店でRIVERDOGS「RIVERDOGS」、同植田店でCOME「NEAR LIFE EXPERIENCE」(クリス・ブロッカウ!)、漫画も5冊ばかり購入。植田店はマジで辺鄙な丘の上にあって、自転車での到達は結構な苦行でした。ふくらはぎを張らせながら自宅から一時間強もかけてそんな所へ行ったのはただの休日の暇潰しにあらず、そのとなり駅の原近辺にある友人夫婦宅に遊びに行ったんでした。この日記にも度々登場する御子息・直(なお)クンを激写してきたのでご紹介!


トマト嫌いに美味いトマトを食べさせるとパッタリそれが治るのと同じように私が子供を可愛いと思うツボを彼で習得出来たってくらいカワイイ子でですねー、撮った写真のプレビュー画面を見せると、自分を指差して「ナオ」とか「アカ」(着てる服の色)とか言うんですねー。愛が足りてなさげな邪悪さや理不尽オーラを全く出さない、ノリノリで明るい子です。私が持参したSTRYPERに合わせて踊ってくれたので、これは将来に大いに期待ですね。クラスで他に誰も聴いてないIRON MAIDENやスティーヴィー・レイ・ヴォーンが大好きな自分に疑問を持ったりしつつ、会社勤めを始める頃には「オヤジ…、」と無言の感謝を心の内に抱くのでしょう。ロング・リヴ・ロックン・ロールということで。

【只今のBGM:RIVERDOGS「RIVERDOGS」】


EPICの冴えない横ラベルにQUIREBOYSやHAVANA BLACKと同じノリのやさぐれ90'sなバンド名、これは!と思って手に取ったらヴィヴィアン・キャンベルでした。ロブ・ラモスなるギターヴォーカルの男をフィーチャーした、予想通りの元メタル・ルーツ回帰組っぽいバンドです。ヴィヴィアン・キャンベルのDIOとDEF LEPPARDの間のキャリアといえばSHADOW KINGのことしか言われない気がしますが、こっちの方が1000倍素晴らしいですよ!?BADLANDSやDAMN YANKEESのノリにHARDLINE的なキャッチー泣きメロをドサドサ注ぎ込んだような超親切な内容です。ヴィヴィアン・キャンベルがセンターを張っているジャケ写真とは裏腹に、シンガーのロブ・ラモスの魅力ある歌唱がかなり全体を牽引してる印象です。ザッカリー・スティーヴンス(SAVATAGE)とジョニー・ジョエリ(HARDLINE)の中間の声がデヴィ・カヴァばりに巧いのを想像して下さい。かつギターソロでは主将ヴィヴのDIO時代を彷彿とさせるようなゲイリー・ムーア〜ジョン・ノーラムと同族のソウルフル激弾きが聴けて、つまるところこれは結構な名盤なんじゃないでしょうか?NUCLEAR VALDEZの1st並みの感動は保証します。SHARK ISLANDとか探し回る前に。

  2月10日
収穫はなし。今日はエンジニア日記です。貧乏宅録がいよいよ充実してきたので色々とご紹介します。ピアノ録りをしたことはありますか?私は初挑戦にして運良く成功でした。オフめ(約1.5m)に置いた57と、アンビエンス担当のD-12内蔵マイク(恐らく無指向性)の2トラックで録って、あとから逆相を利用した小技で無理矢理にステレオ感を創出したところ、PLUSHの1stフルのピアノそのものになるじゃないッスか。感動ですよ。D-12の内蔵マイクが本体の作動音を常に拾い続けるため「んにーんにー」というノイズがずーっと鳴ってるのだけが残念です。余りにPLUSHっぽくなったのでヴォーカルもダブリングにして完全コピーしてやりました。EPIC SOUNDTRACKSからの系譜に混じれるなら模倣でも何でも光栄です。

 ヴォーカル録りも進化致しました。ベースのペグの向きを上手く調節してその間にマイクを挟んでスタンドに見立て、ウインドスクリーンの代わりにオーディオ用のスピーカーネット越しにマイクと向かい合い(効果覿面!情報提供元の藤井君有り難う)、厚めの上着を罪人ばりに頭からかぶって階下の家族への防音対策とし、安心してノリノリ、歌いまくりです。自室の録音スペースは大きなガラス戸のすぐわきにあるため、ふと窓の外に目をやった向かいの会社の人がその姿を目撃したかも知れませんが、遠目には人間かどうか判らなかったはずなのでOK。牧場!!

 てことで世界に広げよう宅録の輪。最高の娯楽です。

【只今のBGM:MOCKET「FANFARE」】


この頃とかく肯定的なKの男女混成トリオです。97年の作品ながら、ちょうど最近旬な屈折ハイテンションガレージロッキン・テイストでガンガン行くタイプで、なかなか逸材!陽気なELUSIVEかセサミストリート向けBLUETIPかってなところもあります。PRETTY GIRLS MAKE GRAVESやLES SAVY FAVが好きなら絶対ストライク。Kにしてはダメっぽさが薄い方だと思います。TOUCH AND GOリリースでボブ・ウェストン録音とか、SWAMIでマーク・トロンビーノとかだったら「隠れ名バンド!」などと有り難がられてたかも知れないのに。録音もやたらと良いし、スティーヴ・フィスク(PELL MELL他)が何曲かでゲスト参加してるのもちょっとポイント高いです。強くお勧め。

  2月9日
▼3月のバーゲン情報を求めてサウンドベイ金山に行って、入手できたのはCDだけでした。本日の収穫DOUG MARTSCH「NOW YOU KNOW」(ミスターBUILT TO SPILL、02年ソロ!)、LANDING「OCEANLESS」、MOCKET「FANFARE」(K!)、NORTH OF AMERICA「THE SEPULTURA」(LEVEL PLANEからのEP)、JUDAS PRIEST「PAINKILLER」(リマスター買い替え!!)、CRIMSON GLORY「ASTRONOMICA」(ミッドナイト/Vo.抜きの再結成99年作)、CAPTAIN BEYOND「CAPTAIN BEYOND」(1stリマスター)、NATIONAL HEALTH「NATIONAL HEALTH」「OF QUEUES & CURES」(カンタベリースーパーグループ1st&2nd、SPALAXからのデジパックリイシュー!!)、I POOH「ROTOLANDO RESPIRANDO」(歌ものイタリアンロック名グループ77年作)。

▼更に今日はそれのみに留まりませんで、熱田区に存在するという郊外型電機量販店並みにデカいブックオフまでそのまま自転車で行って参りました。いやー驚いた。デカいっす、ヤバいっす。「ぼのぼの」をしこたま買い込んで満足できたものの、あそこまで広いと、フラフラと棚を見て気になったものを何となく手に取るということがもはや困難で、凄く楽しいだろうと思って行ったのに逆に大いに狼狽しました。ある程度明確な目的意識をもった書籍ハンティング上級者向けなんでしょう。我こそはという方は是非どうぞ。

【只今のBGM:NATIONAL HEALTH「NATIONAL HEALTH」】


HATFIELD AND THE NORTHとGILGAMESHのメンバーを中心とする70年代後期カンタベリーシーンの目玉グループのデビュー作です。HF&Nの「THE ROTTER'S CLUB」の胸躍る軽快さはややシリアスなフュージョンテイストに取って代わられていますが、やっぱりリチャード・シンクレア不在効果なんでしょうか。(私はあの人の声が周波数レベルで大好きです。)ホールズワース加入でえらくかっちりしちゃったSOFT MACHINEは結局あれで良かったのかなー、悪かったのかなー、てなこの時期の流れがここにも及んでいる感じか。「可愛いカンタベリー」を期待せずに聴けば、エレピもオルガンもあの独特の音色に歪んでるし、牧歌的なのに毒づいてるし、非常に成熟・充実したカンタベリージャズロックそのものの素晴らしい内容です。今回手にしたのはこれまたイイ感じのデジパックで、名作が良い装丁で入手できると幸せですね。ジャーマンサイケ一筋と思っていたSPALAXがこんなのまで手掛けてるとは意外。

  2月8日
収穫はなし。ぼちぼち花粉来てますね。流行りの立体マスクの着用は、DIOのTシャツで栄の地下街を歩くよりもためらわれるなあ。ダース・ベイダーみたいじゃないですか?キング・ダイアモンドを模したフルフェイスタイプとか、目のかゆみだけが特にひどい人用にCRIMSON GLORY型のとかも発売して、皆ジャンジャンそれを着けてれば、恥ずかしくもなかろうに。
↑参考画像:キング・ダイアモンド(左)、CRIMSON GLORY(右)

【只今のBGM:FREDDIE HUBBARD「OPEN SESAME」】


初リーダー作となる60年の盤。モード/新主流派の人ってイメージが強いですがこの頃は割とベタめのハードバップをやってます。スムースにまとまり過ぎず、程よく豪快かつ泣きのアクは強めで、いかにも日本ウケの良さそうな感じです。1・3曲目の哀愁ラテンチューンが突出して印象的なこともあって、わかりやすさ的にはケニー・ドーハムの「AFRO-CUBAN」に近いといえば近い。上手いし雰囲気もちゃんとあるけど、うわっ出たな!という程のインパクトにまで至らないのは、若さなのか、のちにフュージョンにも適応していくフットワークの軽さの現れなのか、それとももはや「新主流派時代の若手新星」という勝手な先入観ゆえでしょうか。これしかねーよという付き合い方をしていけるかどうかはともかく、パッとする曲と優れた演奏を収めたいい作品には違いないと思います。

  2月7日
▼ポン・デ・収穫はなし。「黒ごま」と新登場の「しょうゆ」を試してみましたが、黒ごまは少々クドイながらもチャレンジングかつまずまずサクセスフルな出来で、しょうゆは違和感も驚きもない無難系。ミス・ドは割といつも応援してます。

【只今のBGM:THE CRABS「BRAINWASHED」】


王道Kバンドの96年2nd。最近このオリンピア流(といっても彼らはポートランドの人達らしいですが)が染みてなりません。ギター&ドラムのデュオで、あ〜、Kですね、て感じのBEAT HAPPENING直系の愛らしいローファイポップをやってるだけなんですけど、何かアメリカらしい平和なものが色々凝縮されてるんだなあ。頑張らなさと直球ロッキン感の兼ね合いとか、もー共感しっぱなしです。キャルヴィン・ジョンソンの呪いと私が勝手に呼んでいる、昔のKのレコードでよく聴かれたジョークのようなプレートリヴァーブもなく、むしろやけに優秀なプロダクションも嬉しい。中古だと大抵安いはずなので買って下さい。

  2月6日
収穫はなし。「CMネタは風化する」とは言ったものですが、気にせず。田中美佐子が朝の食卓でヤクルトを飲み干すCMのBGMでメロトロン(をサンプリングしたシンセ)が鳴ってるのが気になります。ブリ・グリとかにチャラチャラと使われると思わずANGLAGARDの2ndのケースのカドでブン殴ってやりたくなりますが、これは割と妥当性を感じる使い方でOKです。赤福のCMには多分本物が入ってるけど地方限定っぽいから通じない人もいるでしょうか。残念だ。今んとこテレビでモエるプログレな瞬間としては、キューピー3分クッキングのハモンドが最強なんでしょうかね。下降ラインに被るディレイが行き止まりでピタッと乱暴に切れるのが何回聴いてもグッと来るなあ。

【只今のBGM:THE FIRM「MEAN BUSINESS」】


ZED LEPPELIN解散後のジミー・ペイジがFREE〜BAD COMPANYのポール・ロジャースを捕まえて結成した伝説の激スベリ・ユニットTHE FIRMの、これは2nd。当時のセールス的には相当芳しくなかったらしく、ZEPファンは皆ガッカリだったという話を聞いた気がするんですが、個人サイトのレビューなどを探して見てみた限り、今となっては意外と好評なようです。それもそのはず、実際サイコーですので。基本的にはポール・ロジャースのアルバムという感じで、後期BAD COMPANYの正統な進化形以外の何者でもありません。ジミー・ペイジが書いている曲は、パッとするしないはともかく、明らかにZEPの影を引き摺るものだし、特に1曲目のナチュラル変拍子はファンのハートをガッチリわし掴みなんじゃないでしょうか?ちなみにベースがトニー・フランクリン、ドラムはクリス・スレイド(URIAH HEEP〜AC/DC)という、地味に豪華な面子でもあります。(1曲だけ入っているトニー・フランクリンの曲は凄く冴えなくて意味不明です。)まー確かに全然シャキッとしてませんが、色々と楽しいので、皆さん買っても大丈夫っすよ本当に。

  2月5日
収穫はなし。宅録して充実。

【只今のBGM:ALOHA「THAT'S YOUR FIRE」】


エモ界の隠れDIZZY MIZZ LIZZYだと一人で言い張り続けて未だ賛同の得られたことのないALOHAの1stフルです。この発声と歌い回しとかそのまんまだと思うのになー。DIZZY MIZZ LIZZYも良いバンドですよ。それはさておきこの1st、基本的には2ndと大差はなく、ただ2ndほど歌ものとしてストレートにまとまってなくて雪崩的展開もしばしば。ちょっと無茶するのがブーム中のSHARKS KEEP MOVINGのギターを片方ヴィブラフォンに無理矢理すげ替えたような、いかにもエモ/ポストロック近親交配の中だけから生まれた音ではありますが、良く出来てます。決してボーダー越えをしないニッチ埋め立て型新世代というか。この手の音楽がひとしきり落ち着いた頃には多分、LATTE E MIELEやFORBIDDENみたいな扱いを受けるんでしょう。探し出してくれるマニアはいつの時代もいてくれるということで、それはそれで名誉かと。SHUDDER TO THINKはこういう風に進化すれば面白かったのにともちょっと思いました。

  2月4日
▼こんちは。暖かくならんですね。本日の収穫、パルコ店にてHUGO MONTENEGRO「LOVE THEME FROM THE GODFATHER」("ゴッドファーザー愛のテーマ"!!)、CHESTNUT STATION「CHESTNUT STATION」(DRAG CITY、ライアン・アダムス)、THE CRABS「BRAINWASHED」(K!)、THE SEA AND CAKE「THE BIZ」(95年)、THE HYDROMATICS「PARTS UNKNOWN」。

【只今のBGM:THE HYDROMATICS「PARTS UNKNOWN」】


ジュエルケースに貼られたステッカーにAll international alliance consisting ofとしてずらずらっとメンバーの名前が書いてあって、THE HELLACOPTERSのニッケ・アンダーセンしか判らず、一人だけ元BGKとか書いてあるのでン?と思い、とりあえず試聴してイカしてたから買って帰って調べてみたらビックリ。本当にかの男気ダッチハードコアバンドBGKの人、その後身とおぼしきNITWITZの人、MC5やSTOOGESのメンバーもいたという伝説的なUSパンクバンドSONIC'S RENDEZVOUS BANDの人など、オリジナルパンク世代の錚々たるメンツと若き元EARACHE野郎ニッケが絡むというとんでもねープロジェクトでした。曲はそのSONIC'S RENDEZVOUS BANDのカヴァーが結構入ってるらしいんですが、全然THE HELLACOPTERS気分で聴けるようなガッツィー&哀愁後ろ姿な2004年対応型ハードガレージR&Rです。こりゃ最高。コンプ感を出そうとするあまりギターがどしゃっと全体を覆ってしまって、本来あるべきドラム主導のビート感を希薄にしているプロダクションが少々残念なものの、それとて大音量でガンガン鳴らせば気にならないはず。ともかく色気と男気でロックが聴ける人は必聴。「北欧爆走系」の小粒新人を買い漁る前にこれ一枚でOKでしょう。

  2月3日
収穫はなし。あかん、豆投げんかった。

【只今のBGM:ORNETTE COLEMAN「AT THE GOLDEN CIRCLE, VOLUME TWO」】


アマゾンの1000円均一セールで買えたRVGリマスターです。普段偉そうなことを散々書き立てておいて、実はオーネット・コールマンはこれがやっと初体験なんですな。死ね馬鹿と言って下さい私に。さて、難解だからとか高尚な試みだからとかいうのを全く度外視しても、とても楽しく聴けてます。インタープレイやニュアンスの妙や、「フレージング」さえも「メロディ」なしで体現出来るじゃんってことなんでしょうか、これでちゃんとジャズの美味しいところは全部入ってると思います。つかず離れずで時に奔放に崩壊するリズムの縛りの緩さなんて愉快ったらないッス。インプロヴィゼイションの可能性を究めた結果この形に到達したというのはひたすら納得のいく話。正に開放された、「自由なジャズ」かつ「自由だけどジャズ」だからフリージャズなんですな。バカっぽい気張りっぷりが何だか結構愛らしかったりもして、割とスンナリ好きです本当に。録音も素晴らしい。

  2月2日
▼御器所ディスクヘヴンに久し振りに行ったら何だか広々とリニューアルされてました。敷地面積は変わらないはずなのに何故…、と思ったら、大須グレイト・ロックンロール・ヘヴン開店に伴って消えたと思い込んでいたサウスオブヘヴン(旧エレクトリックサン)にデス/ニュースクール/ストーナー系の商品がごそっと移動してたんでした。ひたすら正しい選択。てことで本日の収穫、サウスオブヘヴンでDEAD INFECTION「SURGICAL DISEMBOWELMENT」(ポリッシュ・ゴアグラインド名バンド!93年1st、EP「POPPY-SEED CAKE」とカップリングのリイシュー盤)、姉妹店ホーリーハウスで中古にてMICHAEL SWEET「MICHAEL SWEET」(STRYPERのシンガー、NOUVEAUXを出していたBENSONリリースの94年ソロ廃盤!!)、QUIET RIOT「METAL HEALTH」(LAメタル超重要盤リマスター買い替え!)、そしてアマゾンから届いたDEERHOOF「REVEILLE」、WOLF COLONEL「SOMETHING/EVERYTHING!」、ELIZABETH MITCHELL「YOU ARE MY SUNSHINE」、STRYPER「SOLDIERS UNDER COMMAND」「THE YELLOW AND BLACK ATTACK!」、FREDDIE HUBBARD「OPEN SESAME」(RVGリマスター)、ORNETTE COLEMAN「AT THE GOLDEN CIRCLE, VOLUME ONE」「AT THE GOLDEN CIRCLE, VOLUME TWO」(いずれもRVGリマスター)、THE IMPRESSIONS「PEOPLE GET READY -THE BEST OF THE IMPRESSIONS」。今回はこの9枚で消費税・代引手数料込み12,000円切ってますから良い買い物です。

【只今のBGM:DEAD INFECTION「SURGICAL DISEMBOWELMENT」】


名盤「屍体愛好癖」を思い出さずにはいられないジャケに、内容も初期CARCASS直系の鈍〜いグラインドそのもの。93年リリースのこれがゴアグラインドの金字塔と言われているということは、CARCASSは純デスメタルがわざわざブルータルデスと呼ばれ始める遥か以前からゴアグラインドの完璧な雛型を提示してたことになるわけですな。CARCASSスゲー。しかし今回はDEAD INFECTIONの話です。この人達もまー、ビックリするほど速いわけでもなく、低過ぎるデス声も気持ち悪いばかりで威圧感はそんなになく、シブくて好感度高いですよね。この頃から既に、先日の来日公演で目撃されたようなナチュラル感(もはやレイドバック感に近い)が漂っています。誰が一番テクニカルになれるか、速くて衝撃的になれるか競っている先っぽを追うのもそれはそれですが、日々の畑仕事をこなすが如くカロヤカにグラインドするこういう人達こそ、真のダイハードなマニア達に末永く愛好されていってもらいたいものです。

  2月1日
▼おー2月じゃないか。そろそろ夏の過酷な空気が恋しくなって参りました。ビアガーデンカモン、飲むぜ烏龍茶。収穫はなし

【只今のBGM:HEY MERCEDES「LOSES CONTROL」】


去年の10月に出たばかりの2ndフルです。若干キャッチー化が進行した気がしないでもなく、ガッツの入った初期PROMISE RINGてな趣きもありますが、大筋ではな〜んも変わってません。今回はJ.ロビンスは関わってませんが(サンクス・リストにも発見出来ず!)プロダクションさえこれまでとほぼ同じです。DEF LEPPARDでいえば「ADRENALIZE」みたいな驚きのなさと無難なクオリティ維持。真面目にやればこれだけ質の安定した作品をいつでも作れるということが証明された以上、あとはこのまま10年続けてもいいし、大・方向転換を図ってファンにそっぽを向かれてもいいし、今すぐ解散してもいい。ボブ・ナナはもう、行く末を見守ることに意義がある人々の殿堂に入ってしまいましたね。大好きだという人は是非これからも全部買って下さい。個人的には次はスローダウンして嫌われて、10年後に「何も期待せずに聴けば普通に良いアルバム」とか言われてもらいたいなあ。

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